売れる輸入新車。当然、輸入中古車も人気に?
中古車大手のガリバーは、輸入中古車の販売を強化するため、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディを中心とした輸入車専門店「LIBERALA(リベラーラ)世田谷」を東京都世田谷区代田にオープンした。
このリベラーラ世田谷は、主に200万~500万円の価格帯の輸入車を販売。さらに、高年式&低走行距離という程度のよい車両を選び販売する。
こういった専門店化は、ガリバーが進める2018年度800店舗展開の一環。特定のユーザー層をターゲットとした「カテゴリ特化型店舗」のひつつとして位置付けられている。
店舗のインテリアは輸入車販売ということもあり、輸入車を所有するステータス性を感じられるように、高級ホテルのラウンジを感じさせるような、こだわりの空間となっている。そんなリラックスできる空間で、輸入車選びを楽しんでもらえるような空間を作り出した。
今後「リベラーラ」ブランドは、2013年10月に札幌市、続いて2014年1月にはつくば市への出店を予定。その後も、宇都宮市・熊本市などへ出店を進めていく。この出店計画には、今までのガリバーブランド店舗では取れていなかった高額車の顧客層を取り込みたいという意向もある。
こういった輸入車マーケットへの積極的な参入は、好調な輸入車の新車販売の影響を大きく受けている。新車販売は、毎年右肩下がりの中、輸入車の販売台数はここ数年好調。今年も、ほとんどの輸入車メーカーが、昨年対比10~20%以上の伸び率をみせている。
ただ、輸入車が好調な理由は、円高効果もあり新車価格の引き下げが大きな要因だ。一般的な国産車は、フルモデルチェンジすると価格がアップする。しかし、ここ数年の輸入車の多くが、フルモデルチェンジしても価格は据え置き、もしくは引き下げ傾向になっている。この理由は「輸入車は高価」という、日本の顧客が持つ先入観によるものだった。
顕著な例として上げられるのが、メルセデス・ベンツCクラスだ。マイナーチェンジ時に、399万円からのCクラスという初の価格訴求を徹底。その結果、モデル末期となった現在もこのクラスでナンバー1の販売実績を誇る。つまり、多くの顧客は「メルセデス・ベンツって、もっと高価だと思っていた」というのが、好調の要因だ。
さらに、輸入Cセグメントカーも各社一気に価格戦略に出ている。VWゴルフ7は248万円から。メルセデス・ベンツAクラスは284万円から。ボルボV40は269万円からとなっている。これらの輸入車は、装備やパフォーマンスなどを比べると、国産車と遜色ない状態になったので売れない理由がない。
また、セダン車は、トヨタ以外ほとんどが輸入車へ移行している。これは、トヨタを除く各社が売れないことを理由に、魅力的な新型車をマーケットに投入してこなかったためだ。魅力的なセダンを望むと、必然的にクラウンか輸入車という選択しかないのが日本マーケットの現状。
新車価格が下がれば、必然的に中古車価格も下がるので、当然、輸入中古車もこれから注目されることになるのは確実。とくに、中古車の場合、予算は決まっていても、年式・走行距離・装備などで価格は変動する。予算が同じでも、1クラス上以上のクルマも見つかる可能性もあり、さらに買い物を楽しくする。とくに、輸入車の場合、モデルチェンジのサイクルが8年程度と長いので、中古車でも古臭く見えないのもポイントだ。
五感でクルマを買うって?
さて、出店戦略とかブランド展開などガリバーとしての思惑はともかく、リベラーラ世田谷店は、どんなメリットが我々顧客に提示できるかが重要だ。正直、今更ドイツ車中心の中古車販売店などはたくさんあるし、撤退を余儀なくされた大手資本の専門店もあるくらいだ。画竜点睛を欠くようでは、出店しても意味はない。
*そこで店長の西原 歩さんにリベラーラ世田谷店で輸入車を買うメリットについて聞いた。
「ベースがガリバーなので、3年保証や返品サービス、全国ガリバー店舗の在庫から最適な1台を探せるなどのメリットはあります」
*それだったら、ガリバー店舗のままでいいのでは?
「そうですね。ただ、このお店は、以前ガリバー店舗でした。世田谷という土地柄、高額輸入車を売却に来られますが、輸入中古車を買ってはくれませんでした。お客様が、輸入中古車を売っているということを理解されていないことも原因です。そもそも、中古輸入車を買いに、ガリバーに行くという発想がお客様にないんです。そういう意味で、ブランドを変更し、輸入中古車に特化することにより、お客様もお店を選びやすくなったはずです」
*でも、それではハコを作っただけで、多くの輸入中古車店と差別化できないのでは?
「そこは大事です。それで、このお店のコンセプトは五感で較べるをテーマとしています。実は、近隣を色々調べて、渋滞を避けながらクルマを評価できる試乗コースを用意しているんですよ。単に試乗コースなのではなくて、テストコース的意味合いを持たせているのが特徴です。見通しの良い直線路では、アクセルをグッと踏み込んでもらって、加速感をチェック。カーブでは、ハンドリング。路面が凸凹のところでは乗り心地。信号ではブレーキのフィーリングなど、いくつかチェック項目を決めて試乗時に、お客様に体感してもらうんです」
*ただの試乗ではないのですね?
「そうです! さらに、リベラーラ世田谷店では、たとえばメルセデス・ベンツCクラスで商談されに来たお客様には、Cクラスを試乗していただくのはもちろんですが、BMW3シリーズやアウディA4なども同時に試乗してもらっています。それぞれのメーカーにより、クルマの味って全く違います。その違いを試乗していただいて感じてほしいのです」
*面白い試みですが、それはなぜ?
「ほとんどのお客様が、目当てのクルマを決めたら、そのクルマだけしか試乗しません。考えてみれば、ディーラー系中古車店なら、同じブランドしか扱っていないため、違うクルマを試乗するには、違う店舗に行かなくてはなりません。次のお店へ行くために、自分のクルマで移動している間、試乗したクルマの印象を忘れちゃうんですね。この店舗では、それが続けて直ぐできるので、お客様がそれぞれのブランドの違いが明確に分かるんです」
*違いが分かると、何が変わるんですか?
「我々は、お客様に対して納得して買っていただきたい。多くのお客様が乗り比べの経験は無いので、まさに未体験なことです。それって、ワクワクしませんか? さらに、乗り比べてもらうことで、自分の購入予定のクルマの良さを再確認してもらい、他車の良さも体感していただきます。輸入車はそれぞれ特徴があるので、それぞれの良さを確認していただき、良いものの中からお客様が最も自分に合うものを納得して選択していただけるようにしています」
中古車を試乗して買ってもらう、それ自体それほど特別なことではない。しかし、多くの販売店はライバル車まで含めて試乗させることは少ない。それも、評価ポイントを決め、同じ評価場所で、同じように体感させる工夫はリベラーラ世田谷店オリジナルの方法といってもいいだろう。
中古車販売は、インターネットの普及で全国で同じように見ることができるようになった。これは、一定の条件で目的のクルマを探した後は、ほとんどが価格による選択となり価格競争になっているのが現状だ。こうなると、もはや店舗を持つことの意味さえ危ぶまれる。
リベラーラ世田谷店のように「リアルで体感」させること。それは情報過多で、ネット化によるバーチャルな買い物が進む中、買い物本来の楽しみである現物を見ながらワクワクする感覚を呼び起こすものだろう。単純に価格だけではない、ワクワクしながら輸入車の楽しい買い物ができる店舗の誕生だ。
■「LIBERALA(リベラーラ)世田谷」店舗概要
住所:東京都世田谷区代田1-37-3
営業時間:10:00-20:00
電話番号:0120-546-880
定休日:木曜日
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