たくさんコメントを頂いたみなさま、ありがとうございます
読者の皆様、いつもブログをご愛読、ありがとうございます。
今回は多数の書き込みを頂いているOEM車について補足したいと思いますが、その前に、左ハンドル車の件について貴重なコメントを頂戴しております。
「今はLHD大好き」様は、6年ほど前に脳内出血を患われ、左斜め下が見えにくくなったとのこと。そこで左ハンドル車を運転すると、不自由をほとんど感じないそうです。左ハンドル車の欠点も認識され、右側のフロントピラーにカメラを装着し、カーナビの画面に表示して死角を補う工夫も施しておられます。
左側の視野が欠けているドライバーにとっては、「右ハンドル車よりも左ハンドル車の方が安全」という考え方も成り立つわけですね。「身体の個性に応じて左右のハンドルを選び分ける」ことは、左ハンドル車の存在理由になり得ると思います。
私はまったく考えもしなかった事例です。貴重なご意見、ありがとうございます。
一般的な話として、左ハンドル車の運転に危険が伴うことは、程度の差はあっても、このブログの読者諸兄の間ではすでに共有されている認識だと思います。
しかし、危険が伴うことを承知の上で、敢えて乗りたい人、乗る必要性に迫られている人がいることも事実。そこに目を向けて幅広い見識を持ち、安全に使える方法を考えることも大切でしょう。
意見交換を可能にするウェブのメリット、雑誌とは異なる優れた機能を改めて実感した次第です。
メーカーの都合も、理解はできるものの・・・、
さて、OEM車についての補足ですが、私はプラットフォームやユニットの共通化まで問題視しているわけではありません。Aというメーカーが開発して製造を行ったクルマを、Bというメーカーが、あたかも自社製のようにして売る。そこに疑問を感じるのです。
背景にある事情は理解できます。典型的なのが軽自動車。一部の例外を除くと海外では販売できない日本固有のクルマで、製造コストに対して価格が非常に安い。日本でしか売れない薄利多売の商品ですから、品ぞろえの充実を図るべく自社ブランドで軽自動車を扱おうとすれば、採算上、OEMに頼らざるを得ない事情があります。
軽自動車ではありませんが、日産のラフェスタハイウェイスターも同様。今ではミニバンの売れ行きも二極分化が進み、全高が1700mmを下まわる背の低い車種の大半は販売台数を落としています。
そこでマツダと日産が提携すれば、マツダは生産台数を稼げて、日産は多額の開発費用を費やさずに新しいスポーティなエアロミニバンをラインナップできます。
こうなった要因は日産製ラフェスタの失敗にありますが、今さら高コストのテコ入れは難しく、OEMという手段を用いました。
クルマは嗜好品的要素が強く、OEMとは馴染みにくい商品
上記のような話は、あくまでもメーカーやディーラーの事情です。
それに基づいてOEM車を扱うのであれば、せめて製造メーカーの表記だけは明確にして欲しい。いずれも「製造事業者」は、カタログに小さく記載されるだけ。日産モコのホームページには、本稿を執筆している9月24日の時点において、スズキ製であることの表記がありません。
製造メーカーの表記にこだわる理由は、クルマには嗜好品的な性格も強く、ユーザー、メーカーともに運転感覚などの「味わい」を重視する商品であるからです。
OEM車だとは知らずにラフェスタハイウェイスターを買ったユーザーが、「やっぱり日産車だよなぁ。昔乗っていたスカイラインに通じる良さがあるよ」と喜んだとしましょう。その後に、マツダが開発してマツダの工場で造られたクルマだと知ったら、どう思うでしょうか。
少なくともクルマ好きとしては、各メーカーとも自社製品にこだわりを持って販売し、OEM車は副次的な取り扱いにして欲しい。仮に扱うのであれば、他社の製造品であることを明確に示す。クルマはそういう商品であって欲しいと思います。メーカーもCMなどで、メーカーのコンセプトを打ち出した表現を行う場合が多いですから、OEMには馴染みにくい側面を持った商品ともいえるでしょう。
いろいろな事情があるものの、製造メーカーのくらいは明記して欲しい
読者の皆様からは、「日産と三菱のOEM関係がNMKVという合弁会社に発展し、新しい軽自動車造りに乗り出した例もある」というコメントを頂きました。こういった新たな車種が生み出される展開になれば、ユーザーの受けるメリットもあると思います。
また、税金の安い軽自動車は、1人に1台の割合でクルマを使う地域で数多く売れる傾向があります。となれば、一家に1台の所有形態が多い都市部では、スズキやダイハツの出店が少ない。日産が取り扱いを開始して、都市部で軽自動車を購入しやすくなったことは事実です。
以上のように、いろいろな事情に基づいてOEM車を扱うとしても、せめて、製造メーカーの表記は分かりやすく行って欲しいと思うわけです。
理解不可能なトヨタが売る軽自動車
トヨタもダイハツ製OEM軽自動車を設定しましたが、一部のトヨタ系ディーラーでは、以前からダイハツ製軽自動車の販売を行っていました。
今になってOEM車を導入する意図が分かりにくいです。ダイハツ車の販売がさらに増えることを予測して、トヨタも潤うようにすべくOEMを開始したのか、あるいは軽自動車の増税を行う時、トヨタも扱っていれば全メーカーに共通する販売面の不利益になり、つまりは増税の布石なのか、1年間の販売計画が3車種を合計して6万台(モコ1車分と同程度)という点も含めて不可解です。
単純に考えれば、「パッソやヴィッツのユーザーが軽自動車に流れないように、またダイハツの営業を妨害しないように台数を抑えた」という話なのでしょうが、それならOEM車を扱う必要性も乏しくなります。
軽自動車は、1人に1台の割合でクルマを使う地域では、日常生活に欠かせない一種のライフラインとして機能しています。全メーカーが軽自動車を扱うようになったことで、「足並みをそろえて増税」という結果を招かないよう、注意せねばなりません。
今後とも、宜しくお願い致します。
コメント
メーカーのブランドイメージと言うのは、その商品のみから作られたものでしょうか?
「○○のDNA」「○○の技術」なんてのは所詮イメージでしかなく、ラフェスタハイウェイスターに乗って「さすが技術の日産」と思う人にはそれでいいと思います。
自動車関係で食っている人たちで試してみたら面白いと思いますが、その車が何であるか分からないようにして、ハンドリングや乗り心地だけでメーカーを当てられるでしょうか?
ブランドイメージというのはその商品だけではなく、広告戦略やディーラーでの顧客対応も含めて形成されているものだと思います。
カタログにわざわざ「○○会社製造」とか書いて、ユーザーが持っているブランドイメージに水を差すのは、ユーザーにとってもマイナスではないでしょうか?
車の場合はOEMでバッジだけを付けている場合もありますが、製造だけを委託している場合やバッジを付けるに当たって独自のチューニングを加えている場合もあり、商品の面からも製造会社にフォーカスすることは殆ど意味が無いと思います。
>メーカーのブランドイメージと言うのは、その商品のみから作られたものでしょうか?
初代セルシオを買った人は、それまで乗ってた車がメルセデスだったという人がかなり多かった。
ではなぜメルセデスに乗るのをやめ、セルシオに乗り換えたか。
「客の顔色を伺って態度を変えるメルセデスディーラーの接客に嫌気が差し、一方でトヨタディーラーのフレンドリーな接客に好感を持ったから」
この理由で乗り換えた人は意外に多い。
残念ながら当のトヨタはそれを知らないのか忘れたのか、セルシオをレクサスに移行し、レクサスではメルセデスディーラー(どこかは皆さんご存知だろうが書かない)に近い接客が行われている。
タウンエースは指名買いする人がほとんどらしいが、「トヨタの車だから」という人はどれだけいるかな?
「デルタワイド」という名前でダイハツマークに付け替えただけの車もあったわけだから、ダイハツ製な事は知ってる人は知ってる。でも、タウンエースはバカ売れした一方で、デルタワイドはあんまり売れない。
これも、販売店のネットワークや対応性の関係ではなかろうか。
トヨタが「ピクシス・スペース」(=ムーヴコンテ)をはじめとしたOEM軽の販売目標が控えめなのは、かつて奥田会長が軽自動車の存在を否定するかのような発言をしたしこりが今も残っているのもあるからではないか。
ダイハツ販売店への遠慮が理由なら、ラッシュ(=ビーゴ)だって目標は控え目だったろうし、宣伝だってしないはずだ。
(現実は、控え目などころか初代/2代目RAV4の乗り換え需要まで喰ってる状況。但しこれはRAV4を安易にバカでかにしたトヨタの企画陣にも問題あり)
そもそも、OEM車の是非以前に「OEM」という言葉の意味が、ここのところ不正確もしくは曖昧・抽象的に使われてきているのが気になる点です。
たとえばトヨタ86は、スバル(富士重工)の工場で製造されトヨタに納入されている時点で、れっきとしたOM車(スバルからトヨタへの)です。トヨタとスバルの共同開発云々以前の話です。
※ OEM=Original Equipment Manufacturer(オリジナル エクイップメント マニュファクチュアラー)の略で他社ブランドの製品を製造すること、またはその企業(Wikipediaより引用)
更に言えば以前のBMW X3やMINIクロスオーバー(カントリーマン)、メルセデスベンツGクラス、果てはアストンマーティン・ラピードだってOEM車です。オーストリアの「マグナ・シュタイア」社に生産委託をしているわけですから。でも、それらをもってして「トヨタ86はダメ」「アストンのラピードもダメ」なんてトンチンカンなことを言う人はいませんよね?
この記事では、むしろOEMではなく「バッジエンジニアリング」への批判かと思います。単に言葉の使い方と言うだけの話ですが、ちょっと気になりました。
それに関して言えば、私は別に構わないのではないか、と思います。バッジエンジニアリングは、同一メーカー・グループ内では昔から広く行われていましたよね。トヨタのマークⅡ三兄弟、日産のセドリック/グロリア・・・たくさんありましたし、今もあります。海外では北米ビッグスリーの得意技ですし、GM傘下の英国ヴォクスホールは、同オペルの完全なバッジエンジニアリング(かつOEM)ですよね。他にも枚挙にいとまがない。VWは傘下のセアト、シュコダで。経営統合したフィアット/クライスラーでもさっそくバッジエンジニアリングをやってますね。ランチア・テーマ/300、イプシロン、デルタ。
それが、別のメーカー間でも行われるようになった、というだけのことではないでしょうか。
本来ならばライバル同士なので「敵に塩を送る」的な行為になってしまいますが、自社で一から競合車を開発することが出来ない(あるいは、しない)という以上は、極めて合理的で当たり前のことではないかと思います。
それはなんとなく「談合」っぽく見えるかもしれない?いやいや、似たような大量の車種が粗製濫造されるより、ずっと良いと私は思いますよ。特定のブランドに強い思い入れを持ち、バッジエンジニアリングを否定するのは簡単ですが・・・たとえば前出のランチア・テーマ/クライスラー300。それからイプシロン。日本の熱心なランチア・ファンには「テーマはアメ車になったのか」「元はイプシロンはランチア・ブランドだろ」という論調で否定する声もあるようですが、そもそもの話、今のランチアがどれほどのものでしょうか。たとえバッジエンジニアリングでも、凋落の極みにあったランチアのていたらく(高級フィアットに過ぎない)を見れば、ブランド廃止にならないだけ良いはずです。
同じことが、ブランドだけではなくメーカーそのものにも言えると思いますね。無理にリソースを振り分けてラインナップを拡大し、しょうもない車種を用意してジリ貧になるくらいなら、他社から良い製品を調達することで販売面を満足させる。それで良いと思います。ただ、それでも最低限、そのメーカーとしてのデザインに不整合が出ないように最低限の手直しは欲しいものですね。プレマシーの側面ドアをごっそり替えた日産は、やはり意地があったのでしょう。逆にエンブレムを替えた程度でお茶を濁す三菱のやり方は、まさに「バッジエンジニアリング」ですね・・・
余談ですが
反感買うのを承知で敢えて反論様
>「客の顔色を伺って態度を変えるメルセデスディーラーの接客に嫌気が差し、一方でトヨタディーラーのフレンドリーな接客に好感を持ったから」
あのディーラーの「客を差別する態度」酷かったですね~
あのディーラー(私も名前は書かない)は、10年ちょっと前、オペルを相当数売りましたが、その後が全く続かなかった。今やオペルはとっくに日本撤退。あれは、当時のオペルの低品質っぷり(細かい故障が実に多い)はもちろんですが、それをまともにフォローすらしようとしなかったあのディーラーの責任も大きいと思います。そんなだから「輸入車総合商社」から輸入権も無くなって「ただのディーラー」に格下げになってしまうんですよ。と、個人的な恨み節ですね。失礼しました。
(しかも大排気量の方お薦めしている車では小排気量モデルではらしさが物足りないと書いておきながら、小排気量をお薦めしている車の方が車重が重かったりする。)
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