エコランの相棒は、ただのオモリになった
日産 広報部はエライ! 2012年8月に発売された新型日産ノート のメディア対抗エコラン企画を開催した。すでに、新型ノートは発売されてから6ヶ月が経過しようとしているのだ。業界のパターンで言うと、発売後1ヶ月くらいでイベント類は終わり。後は、我々が通常貸していただく広報車両(取材車)のみの対応が普通だ。ひどいメーカーになると、発売後6ヶ月も経つと広報車も無い、なんてところがあり取材できないこともある。それなのに、日産広報部は一生懸命ノートの露出を考え、メディアを通じて話題を提供して、少しでもノートの認知・理解を広げセールスに生かしたい考えだ。こういった活動の成果もあり、日産ノートは、ガソリン車でナンバー1の販売を記録するなど好調だ。
日産ノートによるエコランは、横浜の日産本社から名古屋まで往復するというもの。初日のゴールは、ノートの心臓部、エコスーパーチャージャー搭載の1.2L 3気筒のHR12DDRエンジンを生産する、愛知機械工業・熱田工場。ここで、工場見学。大人になってからの工場見学は、なぜか興味津々。その内容は、こちらで■ノートの心臓「エコスパーチャージャー搭載エンジン」生産工場へ潜入! 。エコランは、往復約700kmの走行。片道5時間30分というルールがあり、これを守らないとペナルティがある。
コリズムチームは、ノートの長期レポートもこなし車両を熟知しているはずの堂島 昭を起用。まぁ、ノートには乗り慣れてるし、そこそこいい結果がでると思っていたのだが、まさかの展開が。
横浜からのスタートは、堂島が担当。みなとみらいICから、首都高速に乗り、保土ヶ谷バイパスを経由し東名横浜ICへと向かう。堂島は、すでにノートの長期レポートで大人4名で名古屋往復をしている。■大人4人、フル乗車での新型ノート実力チェック!燃費や使い勝手を徹底検証! 。そのため、ほどんど堂島に任せておけばいい。横で寝てればいいや。なんて、思っていたのだが、この堂島 昭という男は、私の期待を見事に裏切ってくれるのだ。
そもそも、堂島は普段とても温厚でクレバーな人物。さらに、我慢強そうなので、まさにエコランにピッタリかと思っていたのだ。ところが、日産本社から出る瞬間から、随分と元気が良いアクセルの踏みっぷりを披露。みなとみらいICの合流も、下り坂なのにグイーンと加速してスイスイっと・・・。スタートとして、10分もしないうちに「おやっ?」と思う。横浜ICに到着する前に、堂島がエコランに向いていないという事実が判明したのだ。
エコランの意味は、堂島も頭では十分に理解しているのだが、体が我慢できないのだ。温厚でクレーバー、我慢強いのになぜ? そう、まさかのクルマに乗ると性格が変わるタイプなのだ。気持よく爽快に走れないと我慢できなくなるタイプで、分かっちゃいるがアクセルを踏む量を減らすことができないのだった・・・。のんびり助手席で居眠り、と思っていたのだが、交代する御殿場SAまで「アクセル踏み過ぎ」の連呼でグッタリ・・・。
予想通り、御殿場SAまでの燃費は20km/Lを割る結果に。以前、このレポートで■東名高速で、なんと実燃費23.4km/L! 私は、同じ区間を20.2km/Lを記録した。この時は、エアコンONで平均速度は97km/h。堂島はエアコンOFFで、平均速度は70km/h台後半であったことを考えると、どんだけ悪いの? である。堂島の言い訳は「やっぱり、実際の交通環境や使用状況にあわせないと。気持よく走らないと、クルマは楽しくないし」だそうだ。「だから、エアコンをOFFにまでしているエコランなんだって!」
とにかく、ビリだけは避けた。そう思いドライバーチェンジ。堂島は、この時点で戦力外。残りの250kmは私がなんとかしなければならない。そう思いながら助手席を見ると、堂島がにこやかに笑っている。もはや、石のお地蔵様に似たオモリを乗せている気分になった。
往路の燃費は24km/L台。ビリは回避できたものの・・・
さて、日産によると燃費の良い速度域は50~60km/hくらいだという。コレ以上になると、空気抵抗が大きくなり燃費は悪化傾向になるという。さらに、ノートのエコスーパーチャージャーは、力が必要な時に稼働するので、なるべく稼働させない走りが有効とレクチャーしてもらった。そうは言っても、高速道路なので80km/hを大幅に割り込んで交通の流れを乱すことは許されないし、危険でもある。そこで、なるべく80km/h前後で一番左の車線をキープして走行した。
浜松SAに到着すると、ノートの燃費は25km/L台に大幅に向上。燃費アップのコツは、瞬間燃費計。やはり、なんらかのモノサシがないとカンだけに頼る運転になる。速度も一定に保ちながら、瞬間燃費計が30.0km/Lになるように、アクセルをコントロールすると、良い結果が出てきた。
浜松といえば、うなぎ。遅めの昼食はうなぎ。しばし、ノンビリとしていたら、なんと指定の時間ギリギリという状況に・・・。慌てて浜松SAを出発したが、80km/hで走行しているとナビの到着予測時間がジワジワと伸びる。これはイカン。という訳で、残念ながらペースを100km/h前後にアップ。さすがに、燃費はジワジワと悪化。愛知機械工業・熱田工場に到着した時には、24km/L台になっていた。
この燃費はヤバイ・・・。と、思っていたら、どうやら他メディアにも堂島と同じく、我慢できないタイプがいたとみえ、後ろから3番目くらいの位置に。なんとか、中間点でビリは回避できた。
なんとか19チーム中、12位に! 燃費は27.2km/Lと上出来? 1位は、驚愕の30.3km/L!!
翌日。一晩寝て、少し反省したのか、堂島にやる気を感じた。ならば、堂島行け! と、ばかりにスタートを任せた。名古屋から浜松SAまで堂島がドライブしたのだが、やはりダメだった・・・。燃費は22km/L台に悪化・・・。
前日と同じく、浜松SAで休憩。中年オヤジ2名は、呑気にコーヒーなど飲んだあとは、お土産を物色。アッという間に、両手がお土産でふさがる。堂島がおいそうなフルーツ系の菓子パンをくれた。どうやら、この先はよろしく、ということらしい。ちょっと、うれしい。しかし、助手席で微笑む堂島を見ると、やはり石のお地蔵様に似たオモリにしか見えない。
浜松SAからも、80km/hを基本にのんびり走行。エアコンOFFだと、少し寒い。燃費は徐々にアップし25km/L台に。ただ、あまりにのんびりしたため、また、時間に間に合いそうにない状態。御殿場ICから、しばらく下り坂。ここは、大幅に燃費アップができる区間。とにかく、スピードを落とさずアクセルを開けずに走行。なんと、燃費は大幅に上がり27km/L台に突入! しかし、厚木IC付近からは、到着時間に間に合いそうにないため、再び100km/hに速度を上げる。
そして、なんとか27km/L台を維持したままゴール! 結果は、27.2km/Lで19メディア中12位という結果だ。エコランには自信が無かったので、正直、思っていたより良い結果だった。
驚きだったのが、1位となったホリデーオートチーム。燃費は、なんと30.3km/L! 我々より約11%もよい燃費を叩きだしている。いったい、何をしたらこんなに良い数値がでるのだろうか。
実は燃費だけじゃなく、気持よく走れるノート。スポーツモデルにも期待!
今回のエコランは、正直、あまり一般の人にとってあまり参考にならないだろう。エアコンOFFだったり、高速道路では一番左の車線で大型トラックにあおられたりと、おすすめもできない。
今回のエコランで、感じてほしいことは、日産ノートの高速燃費は抜群によいということだ。30km/Lなんて燃費は特殊だが、普通に使っても20km/Lは楽勝だということ。ECOモードをONにして、少し慎重にアクセル操作するだけで、かなり燃費はアップするだろう。
さらに、燃費アップには車間距離をしっかりと取ることが重要。前方車両の速度変化で、アクセルをパタパタと踏んだり放したりすることで燃費悪化になりにくくなるし、アクセルOFFでゆっくりと減速できる。さらに、安全面でもメリットも大きい。
もちろん、堂島ではないが、気持よく走ってこそクルマは楽しいものだ。燃費ばかり考えていたら、ストレスばかりが溜まる。新型日産ノートのエコスーパーチャージャー付き車は、楽しい走りとエコという2つの顔をもつ。低燃費性能は、今までレポートしてきた通り。楽しい走りがしたい場合は、ECOモードをOFF。そうすると、スーパーチャージャーがアクセル操作にリニアに反応するようになる。比較的軽量なボディと、1.5L並のトルクの組み合わせは、爽快な走りを提供してくれる。
新型日産ノートには、発売当初からスポーティグレード追加の噂がある。フィットRSやヴィッツRSのようなモデルだ。もし、そんなグレードが登場したら、日産広報部に燃費とタイムを競うようなイベントを開催してほしいものだ。
日産ノート価格 燃費 スペックなど
<新型日産ノート価格>
■2WD HR12DE車
・S 1,249,500円
・X 1,298,850円
■2WD HR12DDR車
・S DIG-S 1,449,000円
・X DIG-S 1,499,400円
・MEDALIST 1,674,750円
■4WD HR12DE車
・X FOUR 1,557,150円
代表グレード | 日産ノート X DIG-S |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,100×1,695×1,525mm |
ホイールベース[mm] | 2,600mm |
トレッド前/後[mm] | 1,480/1,485mm |
車両重量[kg] | 1,090kg |
総排気量[cc] | 1,198cc |
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] | 72(98)/5,600 |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] | 142(14.5)/4,400 |
ミッション | CVT |
タイヤサイズ | 185/70R14 |
JC08モード燃費 | 24.0km/L |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 1,449,000円 |
発売日 | 2012/8/28 |
レポート | 編集部 |
写真 | 編集部 |
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