【新型日産ノート長期評価レポートvol.20】 「e-POWER Drive」を試す! 素人女子ドライバーとベテランドライバーとの実燃費差は? 結果は、まさかの・・・ [CORISM]
30年ぶりに日産車で月間新車販売台数ナンバー1に輝いたノートe-POWER。人気の理由は、力強い走りと独特の運転フィーリングをもつ「e-POWER Drive」にあり!
日産ノート e-POWERは、1.2Lエンジンで発電し、電気自動車(EV) であるリーフと同じ駆動用モーターで走行するシリーズハイブリッド 車だ。Bセグメントと呼ばれるコンパクトカー クラスでは、日産初のハイブリッド車ということもあり、日産ノートe-POWERはデビュー直後から大ヒットした。2016年11月の軽自動車 を含めた販売台数は15,784台となり、新車販売台数ナンバー1に輝いた。日産 にとって月間新車販売台数ナンバー1になったのは、30年振りの快挙となった。
ノートe-POWERは、単にシリーズハイブリッド車ということだけで売れたわけではない。他のパラレルハイブリッドとは大きく異なる走行フィーリングが、マーケットで高く評価されたからだ。
それは、発電用のエンジンを搭載してはいるものの、電気自動車のようにモーターだけで走るユニークさだ。ノートe-POWERのモーターは、リーフと同じで254Nmという大トルクで非常に力強い。この最大トルクは、自然吸気エンジンの2.5L車並みの最大トルクを誇る。コンパクトなボディに大トルクを誇るモーターの組み合わせは、他のハイブリッド車で体感できないような力強さを感じさせてくれる。このフィーリグの差は、誰もが乗ればスグに分かる明快なものだ。この明快さもヒットの要因だ。
ノートe-POWERのウリである「e-POWER Drive」は、素人女子には難しいのか?
さらに、ノートe-POWERを上手く扱うための独特の運転手法がある。その運転手法は「e-POWER Drive」と呼ばれ、別名ワンペダルドライブとも言われている。ノートe-POWERでは、ECOモードもしくSモードにすると、e-POWER Driveが可能になる。まず、アクセルをポンっと戻すと、速度にもよるがかなり強力が回生ブレーキが作動する。ガソリン車で例えるなら、シフトダウンしたようなイメージだ。
また、アクセルを徐々に緩めると回生ブレーキも緩やかに作動する。こうした特性を理解し、アクセルをイッキに戻したり、徐々に緩めるなどし、右足ひとつで回生ブレーキの効きをコントロールすると、発進から停止までアクセル操作ひとつでコントロール可能になるのだ。
この「e-POWER Drive」、慣れてくると意外と便利。アクセルとブレーキを踏みかえる回数が激減するからだ。結果的に、疲労軽減に役立つ。また、「e-POWER Drive」を上手く使って走ろうとすると、前走車との車間距離にある程度の余裕がないと難しいので、副次的に安全運転にもなる。
このように多くの顧客に今まで体験したことのない感動や経験を与えることができる商品は、ヒット商品になる可能性が高い。ノートe-POWERは、未体験の加速感や新しい運転手法も高く評価されて11月の新車販売台数ナンバー1となったのだ。
ただし、この「e-POWER Drive」は、特性を理解した上で一定の慣れが必要なのと、微妙なアクセルワークというドライバーのスキルが要求される。そのため、ノートe-POWERには、クルマの運転に興味が無いという人も普通のクルマのように乗れるノーマルモードが用意されている。
さて、ここで疑問なのは、一定のスキルと慣れが必要な「e-POWER Drive」。どれくらいのスキルと慣れが必要なのか? また、ドライバーのスキルによって、燃費はどう変化するのだろうか?
このあたりをノートe-POWERを熟知したベテランドライバーと、初めてノートe-POWERに乗る素人女子ドライバー代表の高浦めぐみ がチェックしてみた。
ベテランドライバーの実燃費は、大台30.0㎞/Lに届いたのか? 燃費向上のポイントは?
今回、そうした疑問をチェックするために、神奈川県横浜市にある日産本社から箱根ターンパイク入り口まで片道約60㎞を往復した。まずは、素人女子高浦めぐみにノートe-POWERの特性や乗り方をレクチャーしながら、ベテランドライバーが往路を走る。その後、素人女子高浦めぐみは、練習を兼ね1時間少々箱根を走行し、再び箱根ターンパイク入り口から、日産本社を目指した。
ルートは、日産本社から一般道で横浜新道へ。横浜新道から国道1号を経由し、新湘南バイパスに乗り国道134号に。国道134号からは、西湘バイパスを経て箱根ターンパイク入り口に向かった。往路復路とも、とくに渋滞は無くスムースな移動。エアコンは常時ON。ECOモードを選択し、とくにエコランはせずに、一般車との流れに乗った走行をした。
注目の往路の燃費は、29.4㎞/Lという低燃費を記録! わずかに30.0㎞/Lという大台には届かなかったが、かなり好記録といえるだろう。平均速度は47㎞/hだった。
燃費向上のポイントは、スタート時にアクセルを踏み過ぎないこと。アクセルを大きく踏み込むと、ノートe-POWERの場合、電力を多くモーターに送らなくてはならないため、すぐにエンジンが始動してしまうからだ。
また、平坦路の低中速時には、なるべくEV走行させるようにアクセル操作をすること。EV走行中エンジンが始動したら、少しアクセルを緩めるなどするといい。アクセルを緩めると、一旦始動したエンジンがすぐに停止。EVモードになるため、エンジンの始動している時間を減らすことができる。その後、ジワーっとアクセルを踏み、EV走行を維持するといい。
初めて乗った素人女子でも、まさかの29.1㎞/Lの低燃費を記録! 「e-POWER Drive」って意外と簡単!?
そして、約1時間、ノートe-POWERに慣れるため、箱根を走行した素人女子高浦めぐみ。箱根の山道で、ノートe-POWERの力強さに感動。「e-POWER Drive」に慣れるというよりは、単純に力強いノートe-POWERの走りを楽しんでいた様子。箱根では交通量が少なく、自由気ままに運転できたが、バイパスや国道など交通量が多いところで、いかに上手くノートe-POWERを操るかが燃費向上のポイントだ。
復路の西湘バイパスは、ノートe-POWERの絶妙な制御を知る絶好のシチュエーションとなった。中速域での回生ブレーキの効き具合や、微妙なアクセルコントロールなどをチェックした。
そして、ついに一般道へ。最初の交差点で、停止までアクセルペダルだけでコントロールできるのか? さすがに、アクセルの戻し量と減速度がつかみ切れずに、前走車のやや手前で停止しそうになる。そこで、再びアクセルを踏むという結果に。それでも、ブレーキを踏まずに停止できたことに素人女子高浦めぐみ、大感動! 「おおっ、止まった!」を連発。このユニークな運転感覚が楽しいようだ。
その後、発進と停止を繰り返しながらゴールを目指すこと30分程度。停止直前のアクセルコントロールが徐々に上手くなり、自然にアクセルコントロールだけで停止できるようになった。
「e-POWER Drive」運転のコツは? と、聞くと
「車間を長めにとって、その車間を常に一定に保つことですね。少し慣れてくると、前走車との車間をアクセル操作で上手くコントロールできるようになって一定に保てるようになります。低速域では回生ブレーキが強めに効くので、アクセルを少し緩めたり、ジワッと踏み増したりすることで、上手く速度調整ができるようになるんです。最初は難しく感じましたが、意外と簡単でした。この試乗の後に、自分のクルマに乗った時、ブレーキを踏むのが面倒に感じるほどでした。慣れちゃうとe-POWER Driveの方が楽かもしれませんね」
さて、そんな素人女子高浦めぐみが、当日初めて乗ったノートe-POWER。復路の燃費は、なんと29.1㎞/Lを記録! ベテランドライバーとの差は、わずか0.3㎞/L!
ベテランドライバーの平均速度47㎞/hより、42㎞/hと若干遅かったとはいえ、初めて乗ったノートe-POWERでいきなりの優れた燃費値を出したのは立派だ。
素人女子高浦めぐみは、通勤でほぼ毎日クルマに乗っている程度で、特別な訓練を受けた女性ドライバーではない。それでも、初めて乗ったノートe-POWERでベテランドライバーと、それほど差のない燃費値を出せたということは、慣れてコツさえつかんでしまえば、多くの人が30.0㎞/L前後という燃費値が出せることが可能かもしれないということの証明にもなった。
日産ノートe-POWER/ノート価格
■日産ノートe-POWER/ノート価格
・HR12DE-EM57(モーター) 2WD
e-POWER S 1,772,280円
e-POWER X 1,959,120円
e-POWER MEDALIST 2,244,240円
・HR12DE(1.2L) 2WD
S 1,393,200円
X 1,495,800円
MEDALIST X 1,627,560円
・HR12DE(1.2L) 4WD
X FOUR 1,711,800円/スマートセーフティエディション 1,827,360円
MEDALIST X FOUR 1,843,560/スマートセーフティエディション 1,929,960円
・HR12DDR(1.2Lスーパーチャージャー)2WD
X DIG-S 1,738,800円
MEDALIST 1,985,040円
日産ノートe-POWER燃費、スペックなど
代表グレード | 日産ノート e-POWER X |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,100×1,695×1,520mm |
ホイールベース[mm] | 2,600mm |
トレッド前/後[mm] | 1,480/1,485mm |
車両重量[kg] | 1,210kg |
総排気量[cc] | 1,198cc |
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] | 58(79)/5,400 |
エンジン最大トルク[N・m(kgf・m)/rpm] | 103(10.5)/3,600~5,200 |
モーター[型式] | EM57 |
モーター定格出力[kw(ps)] | 70(95) |
モーター最高出力[kw(ps)/rpm] | 80(109)/3008-10000 |
モーター最大トルク[N・m(kgf・m)/rpm] | 254(25.9)/0-3008 |
タイヤサイズ | 185/70R14 |
JC08モード燃費 | 34.0km/L |
定員 | 5人 |
税込価格 | 1,959,120円 |
発売日 | 2016/11/2 |
レポート | 高浦めぐみ |
写真 | 編集部 |
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