オープンモデルの異端児ホンダCR-Xデルソルが一同に会する年に一度の聖地巡礼 第17回ツインリンク茂木デルソルミーティング

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2014/07/13

 

太陽をテーマにコスタ・デルソル海岸をイメージしてデビューしたHONDA CR-Xデルソル。その集いに今年も多くの参加者が来てくれた。

ミドシップ? タルガ!? いえいえ、オープンモデルのクルマです

EG1 デルソル

ミュージアムをバックに集合したデルソルたち。「太陽の」とイメージにはあるのですが、当日の天気が微妙に曇っていたのはご愛嬌
 ホンダCR-Xという車をご存知だろうか? おそらく車が好き、走るのが好きという方ならご存知ないといいう方は少ないと思われる。ではデルソルは? といわれると、わからない方ももしかしたらいるかもしれない。CR-Xシリーズ最後のモデルにして、もっとも変わったモデルでオープンカー。それも電動メタルトップを持つそれがデルソルです。このデルソルを愛してやまないオーナーたちの集い、それが年1回行われている茂木デルソルミーティングなのです。
実は今回またしても公には物販ができないイベントであり、筆者も取材に専念。それでもと、依頼には応じましたのでお持ち帰りで描いておりました。

あらゆる意味で異端児であった太陽のクルマ

ホンダCR-Xデルソル

 ホンダCR-Xといえば、シビックから派生したファストバッククーペモデルそう記憶される方がほとんどかもしれません。しかし、その最後のモデルだけは、形状もコンセプトも全く異なっていました。それが、CR-Xデルソルなのです。

今の若い世代が見れば、その系譜はよほどCR-Zの方がそれらしく、デルソルが同じCR-Xの流れとはとても思えないかもしれませんね。それほどまでに、その当時から第一印象は筆者にも違って見えました。

それまでの走り主体から、どちらかといえば流して走る方向へシフトした印象の車体へ、ガラリとスタイルを変えてきました。初めて、その姿がお目見えした時には、当時次々と出ていたホンダのスポーツモデルが、NSXやビートといったミドシップを用意していただけあって、その形状から1.6Lクラスでもミッドシップモデルが出ると、皆が思っていました。しかし、実際にはFFのオープンモデルそれも国内では初めてメタルトップのオープンモデルであった。今でこそメタルトップのオープンモデルなど、そう珍しくもなく、機構もかなり確立されています。

しかし、その現代においてもかなりトリッキーなのが、このデルソルです。なにせBピラーを飛び越えて屋根を収納するというかなりエキセントリックな収納方法をとっている。開発者の繁氏の話によれば、当時の運輸省に初めての機構なのでと持っていくと、そんな初めてのものは恐ろしくて認可ができないとビビられたほどだそうです。

一見するとタルガトップのような形状も、実はリアのウィンドウは収納され柱だけになるので厳密な意味でオープンカーとして位置づけられます。なんとも、不思議な機構を持つオープンカーだが(ホンダらしいといえばそれまでだが)それゆえ、普通の車にはない人目を引く魅力があります。

ホンダCR-Xデルソル

中庭に続々と入ってくるデルソル軍団。こうしてみるとコンディションはまるで新車当時のようだ。

ホンダCR-Xデルソル

痛車も参加。

ホンダCR-Xデルソル

スポーツモデルではないのかといえば、実はそうでもなくて立派に走れば速いスポーツ仕様に組み上げている方も。ボンネットの中にはtypeRのエンジンをスワップする車体も。確かにCR-Xの系譜だ。

 

ホンダCR-Xデルソル

これだけ派手でも受け入れてしまえるクルマなのです。
このデルソル、それまでとは変わってスタイルが大きく変わったこともあってか、それとも時代が徐々にクーペやスポーツモデルから遠ざかり始めていたからなのか(この頃からRVやミニバンが台頭し始めていた)日本市場では振るわず1万代強といった販売台数にとどまるに過ぎなかったのです。それでも、北米市場などの人気はそれなりにあり、いまだに大事に乗られている車も少なくないのです。今回で17回を迎えるこのイベントも、国内のそうした根強いファンが続けているイベント。

デビューから20年が経過しても異彩を放つ

トランストップ

デルソル最大の特徴トランストップ。実はこの他に非電動の手動着脱トップのモデルも存在。そちらの屋根は、素材がアルミで出来ています。

 デルソルの特徴といえば、そのあまりに独自性が過ぎるとも言えるオープン機構「トランストップ」にあります。トランクフードが真上にせり上がり、トップ部分の後部がサンルーフのチルトアップ機構のように持ち上がるのです。そこに上がったトランクフードから、腕が伸びてきてトップ部分を掴み(正確にはトップをロックする際の穴にロッドを差し込む)そのままトランクフード内に引き込んで収納します。最近のメタルトップのオープンは、基本的には電動幌オープンと同じトランク部分やキャビン背後がバッと開いて折りたたむように収納します。

デルソルのように真上に上がったフードの中から、腕が出てくると何が始まるのかと、今見てもちょっと驚いてしまいます。その機構のせいか、様々なカスタマイズが個人個人でされています。数年前までは、多く見られたガルウィングドア(正確にはシザーズドア)や、中には全く元がわからないくらいカスタマイズされている車もあるのです。

そんな、今見てもあらためて様々な楽しみ方のできるモデルがデルソルであり、その集いには当時の開発メンバーの方などが、毎回ゲストとして招かれ様々な開発エピソードや裏話が笑いを交えて紹介されるのです。

開発時のエピソードや、当時のこぼれ話のようなものは、さすがに17回もやると出尽くしているのか今回は川田氏、繁氏の両氏とも既にホンダを退社していることもあって、今だからできる話やコレ外に出しちゃダメですといった参加者の驚きと笑いを誘う話を多々されていました。

トランストップ

トランクが垂直に上昇して、屋根の後ろがチルトする。そこに向けて、このトランクの隙間からロッドが出てきて屋根をトランクフード内にBピラーを乗り越えて引き込んでいきます。こんな機構どこにもありません。

カスタム

仕掛けの多いクルマなのか、カスタマイズが激しい車両も。ちなみにライトはスズキのバイクからの流用だそうです。

ホンダCR-Xデルソル

内装も張替えや様々なカスタマイズをされる方も多い傾向にあります。

 

ホンダCR-Xデルソル

繁氏、川田氏のトークライブ。なぜか真ん中ではなく、壇上の端の方ではじめられる2人。
何を話していた? それは外に出しちゃダメだっていう話なくらいだから、あまり筆者も口外できません。それじゃあんまりだからって、チョットだけ裏話。オイルはホンダ純正が、実は他車種にも結構いいらしい。人によっては「は?」となるかもしれないが、高回転エンジンが売りのVTECを回すことを前提にして用意したオイルであるから、当然市販のモノよりも高回転には強いのだそうです。しかも、低回転でも使えなければいけないので、自然に質の良いオイルになるということ。もちろん、専用オイルを使用しなければいけないというような車種は、別として並みのスポーツモデルならとても相性はいいとのことでした。エンジニアの立場で語られた彼らの言葉には説得力がありました。気になった方は、試されてみては。

また会う日まで、イベントの帰りはいつも皆がそう願う

 単一車種のイベントとなると、多くは展示がメイン、このデルソルイベントも、基本はまったりとした集いであります。コンクールデレガンスもあり、2台の車が表彰されました。

とここで、絵かきである筆者は、今回は全く描かなかったのか? そんなことはありません。表立ってはできませんでしたが、希望者には描かせていただきました。もちろんお持ち帰りの宿題車両も。それが最後のこの1枚ドアをカスタマイズして跳ね上げ式にしたデルソルです。

中庭に回された2台を中心に、集合写真を撮って、また次の茂木でとデルソル乗りたちは帰路に着いていきます。次もまた、元気に集まれることを信じて。

ホンダCR-Xデルソル

コンクールデレガンス優勝はこちらのクルマ、オーナーは女性の方でした。

茂木ミュージアム

11年前筆者は、やはりこのイベントにお邪魔していました。その時には、50台以上が参加。年々少なくなってはきているのかもしれませんが、こうした車の集まりは長く続いていただきたいものです。

デルソルイラスト

今回のお持ち帰りの1枚。イベントでは、諸事情によって早くに帰路に着かれる方も少なくありません。そんなときは、絵描きは後日発送もしています。
今回エントリーしたのは、20台強といったところでしょうか。この車を愛して止まないオーナーたちが一同に集うというのは、国内の販売台数を考えるとなかなか難しいのではないでしょうか。そして、裏を返せばそれだけ彼らは、熱心な集団ということにもまります。愛してやまない車=愛車、車が好きな人があれば、その数だけ熱心なオーナーがいます。絵描きは、そんなオーナーを探して次の旅路へ向かいます。

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