日産スカイライン長期評価レポート Vol.5 世界最速のハイブリッドの燃費は? ECOペダルと自分の足、どちらが低燃費かチェックする! [CORISM]

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2015/02/03

低燃費でスポーティなスカイラインのハイブリッドシステムとは?

日産スカイライン350GTハイブリッド エンジン

エンジンとミッションの間にあるものがモーター

 日産スカイライン ハイブリッド は、3.5Lエンジンにモーターを組み合わせ364psというシステム出力をもつ。このパワフルなハイブリッドシステムにより、日産 自らが世界最速と標榜するほど圧倒的な動力性能が魅力のひとつでもある。

 動力性能だけでなく、ダイレクト感があるスポーティなフィーリングも特長だ。スカイライン ハイブリッドは、1モーター2クラッチ式と呼ばれているハイブリッドシステムが使われている。これは、エンジンとトランスミッションの間にモーターを挟み込むタイプだ。トヨタ の動力分割2モーター式とは違い、シンプルな構造をもつ。

 シンプルな仕組みだが、こだわりのハイブリッドシステムでもある。このハイブリッドシステムは、7速ATのトルクコンバーターを廃止し、モーターとクラッチを収めることでコンパクト な構造としている。ひとつのモーターが、駆動とエネルギー回生のふたつの役割をこなすので、構成部品を減らし、軽量化を実現し低コスト化にもつながっている。

 さらに、トルクコンバーターが無くクラッチで制御するため、エネルギーロスも小さく効率的。また、トルクコンバーターの滑るようなフィーリングが無くダイレクト感とレスポンスの良い加速を実現しているのだ。こうしたフィーリングは、まさにスポーツモデルにとって重要な要素でもある。

 ただ、頻繁にクラッチを切ったりつなげたりするハイブリッドシステムの場合、クラッチ式は不利とされていた。それは、クラッチ接続時のショックだ。ギクシャクするような車両の動きや、不快な振動となってしまうからだ。日産は、そうした悪影響を高度な制御技術で乗り越えた。当初、フーガ に初めてハイブリッドシステムが搭載された時は、ややそうした印象があったものの、スカイラインでは進化と熟成が進み、今ではほとんど違和感のないハイブリッドシステムとなっている。

日産スカイライン350GTハイブリッド
日産スカイライン350GTハイブリッド
日産スカイライン350GTハイブリッド

日産スカイライン350GTハイブリッド

視覚だけでなく、触覚にも訴えて実用燃費を向上させるエコペダル

日産スカイライン350GTハイブリッド
 スカイラインのハイブリッドシステムは、こうした走りのフィーリングも重要視しながら18.4㎞/Lというガソリン車の2倍近い低燃費性能を実現した。

 また、ハイブリッドモデルには、エコペダルと呼ばれ低燃費化技術が導入されている。一般的にハイブリッド車は、カタログ燃費値と実用燃費値の乖離が大きいと言われている。実際にその通りなのだが、ドライバーの乗り方により、燃費値は大きく左右されるのも事実。多くのメーカーが、メーター内のランプなどで、視覚的に燃費状態を知らせる仕組みをもっているが、エコ運転を直接的にアシストするとういものは数少ない。

 日産がスカイライン ハイブリッドに搭載しているエコペダルは、燃費運転に直接影響するアクセルワークをフォローしてくれるシステムだ。エコペダルは、必要以上にアクセルペダルを踏みすぎてしまうことでおこるエンジン回転数の上昇を、アクセルペダルの反力とランプの色、点滅によって事前にドライバーへ知らせることで抑制するというもの。この技術により、多くの運転シーンにおいて燃費5%~10%程度の向上するという。ランプでの視覚的アシストだけでなく、直接触覚でエコドライブをサポートしているのが特徴。

 こう表現すると、運転の上手い人には余計なお世話的でもある。そういった人は、エコペダルをオフにする機能もあるので、自分の好みで使い分ければいい。とはいえ、せっかく装備されている機能。このエコペダルが、本当に有効かどうか一般道でテストしてみた。

エコペダルVS自分の足、どっちが優秀かチェック! エコペダルに惨敗!?

日産スカイライン350GTハイブリッド

多少渋滞があったとはいえ、18.0㎞/Lという燃費が出るのはさすがハイブリッド車。低速域では、積極的にEV走行ができるので大きく燃費を落とすこともない

 燃費計測は、スカイライン200GT-tで使ったコースと同じで首都高速。横浜の大黒パーキングを起点として、湾岸線を都心方面へ。浮島で川崎方面へ分岐し、大師で横浜方面へ向かい大黒パーキングへ戻るルートだ。高速道路での燃費とはなるが、1周約30㎞で高低差もかなりある。また、交通量が多く、一定速度で走り続けるのは難しく、簡単に良い燃費値が出るコースではない。一般的な使い方を考え、エアコンはONで走行した。

 まずは、ドライブモードセレクターでエコモードを選択。これで、エコペダルが使える状態となる。

 パーキングエリアから、ゆっくりと走り出す。本線への合流を前にして、急激な登り坂。もう、ここですでにエコペダルから反力があり、これ以上アクセルを踏むなとの指令。加速はイッキに鈍る。加速はほぼしない状態。後続車が少々気になる。登り坂が終了すると、いつの間にか反力は無くなり加速できる状態に。3車線中、中央もしくは左側車線を法定速度内で走行。道路がフラットで、緩やかな速度コントロールが求められている状況下なら、ほとんどエコペダルが介入することはなかった。

 そして、再び登り坂にさしかかると、エコペダルが存在感を増す。速度維持より燃費を優先するようで、後続車が気になる状態になる。左側車線で、ちょっとガマンのストレスがたまる走行となる。

 登り坂をクリアして、しばらく定速走行。しかし、渋滞が発生。出口渋滞で、停止することはなかったが、5㎞/h前後になることも。こうなると、燃費値は期待できない。5分ほどこうした状況が続く中、意外な発見があった。渋滞時に速度が下がった途端、すぐに速度が上げる瞬間などにエコペダルが存在をアピール。目の前のクルマがスッと加速し、こちらもスグに加速状態に入るとエコペダルに反力が発生。グッとアクセルを踏みたくなる焦る心を抑制する。ストップ&ゴー時のラフなアクセルワークによる燃費悪化を抑制していることを実感した。

 再びパーキングエリアに戻り、燃費を計測すると18.0㎞/Lとなった。以前、横浜から静岡の日本平までエコランを行った時は、20.7㎞/Lという驚異的燃費を叩き出したスカイライン ハイブリッドだったが、さすがに渋滞とアップダウンの激しい首都高速では燃費が悪い方向となった。それでも、自然吸気2.0Lクラス以上の低燃費だ。

 次は、ドライブモードセレクターでスタンダードを選択。エコペダルは、この状態でオフとなる。同じコースを同じような速度域で、同様の渋滞にはまった結果、燃費値は17.2㎞/L! なんと、約5%ほど燃費が悪化してしまった。日産がエコペダルの効果は5~10%としているので、ちょうどその数値通りという結果になった。結構、アクセルワークに気を使いながら走ったのに、ちょっとショック。やはり渋滞中で、ややイライラしながらの運転で、アクセルワークが雑になっていたことが大きな要因と予想した。ついつい、不用意にアクセルを踏んで、EV 走行していたのにエンジンを始動させてしまったことが燃費悪化の大きな理由だろう。

 それで、5%の燃費悪化で済んだのは、先にエコペダルで反力を感じる状況がインプットされていたからだろう。先にスタンダードで乗っていたら、もっと燃費が悪くなっていたかもしれない。

 その翌日、同じようにテストしてみた。同じコースで渋滞が無い状態での再チャレンジ。エコモードでエコペダルはオンの状態で燃費は19.2㎞/L。スタンダードでは18.8㎞/Lとなった。やはり、燃費の落ち率は渋滞があったときよりも、ないときの方が低い。前回の予想通り、渋滞時のアクセル操作が燃費を悪くしている可能性が高まった。そうなると、エコペダルの効果は高速道路でのクルージングよりも、都市部で速度の低い一般道でより効果を発揮しそうだ。

 日産スカイライン ハイブリッドは、このように1モーター2クラッチ式ハイブリッドシステムで、走りが楽しいハイブリッドであると同時に、エコモードではエコペダルによる効果で実燃費をさらに向上する工夫がされている。普段の走行では、徹底して低燃費。しかし、思い切りアクセルが踏み込める環境なら、ダイレクト感のある豪快な走りが楽しめる。まさに、メリハリのある高い環境性能をもった新世代スポーツ セダン と言えるだろう。

日産スカイライン350GTハイブリッド

渋滞したこともあり、平均車速は56㎞/hと遅めの結果となった

日産スカイライン350GTハイブリッド

ドライブモードセレクターのパーソナルモード設定は下段のタッチパネルモニターを使い選択するだけ

日産スカイライン350GTハイブリッド

エコ、スポーツ、スタンダードなどの基本モードは、手元のレバーで簡単に設定できる

日産スカイライン価格、燃費、スペックなど

日産スカイライン350GTハイブリッド
■新型日産スカイライン350GTハイブリッド価格
●2WD
・350GT HYBRID  4,624,560円
・350GT HYBRID Type P 5,002,560円
・350GT HYBRID Type SP 5,415,120円
●4WD
350GT FOUR HYBRID 4,905,360円
350GT FOUR HYBRID Type P 5,283,360円
350GT FOUR HYBRID Type SP 5,695,920円

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代表グレード 日産スカイライン 350GT HYBRID Type SP
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,800×1,820×1,440mm
ホイールベース[mm] 2,850mm
トレッド前/後[mm] 1,535/1,560mm
車両重量[kg] 1,800㎏
総排気量[cc] 3,498cc
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 225〈306〉/6,800
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 350〈35.7〉/5,000
モーター最大出力[kw(ps)] 50〈68〉
モーター最大トルク[N・m(kg-m)] 290〈29.6〉
ミッション 7AT
タイヤサイズ 245/40RF19
JC08モード燃費 17.8km/L
定員[人] 5人
税込価格[円] 5,415,120円
発表日 2013年11月11日
レポート 編集部
写真 編集部

■新型日産スカイライン200GT-t価格
・200GT-t 3,834,000円
・200GT-t Type P 4,212,000円
・200GT-t Type SP 4,568,400円

代表グレード 日産スカイライン 200GT-t Type SP
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,800×1,820×1,450mm
ホイールベース[mm] 2,850mm
トレッド前/後[mm] 1,535/1,555mm
車両重量[kg] 1,680㎏
総排気量[cc] 1,991cc
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 155kW(211PS)/5500rpm
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 350N・m(35.7kg-m)/1250-3500rpm
ミッション 7AT
タイヤサイズ 245/40RF19
JC08モード燃費 13.0km/L
定員[人] 5人
税込価格[円] 4,568,400円
発売日 2014年6月5日
レポート 編集部
写真 編集部

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