トヨタ ミライ(MIRAI)長期評価レポートVol.4 想像以上に経済的!? トヨタ ミライの補助金と水素の価格は? [CORISM]
インフラなんて、何のその! 3月末に2,500台ものミライが売れた!
トヨタは、2015年末までに生産能力を3倍程度まで増強する計画を発表しているから、今から注文しても3年くらいで納車になるらしいが、いずれにしても納車待ちが長くなるのは間違いない。また、一気にたくさんの台数を生産して納車したとしても、水素ステーションのインフラが整っていない状況では、ユーザーは水素の充填に苦労することになる。
そのような状況なので、販売会社の現場では、現在はミライの受注を受けていないようだ。個人的に都内のディーラーで聞いた話では、すでに割当台数の5年分くらいの受注が積み上がってしまったので、注文を受け付けるような状況にはないとのこと。名簿にはリストアップするものの、正式な注文は納車のめどが立ってからということになるようだ。
現在、トヨタ ミライ納期についてというホームページ に行ってもミライについては販売店へ問い合わせて欲しいということになっている。販売店のホームページに行くと、取り扱い車種の欄にミライが掲載されておらず、実質的に受注を停止しているらしいことが分かる。まあ止むを得ないことといえるだろう。
私は2014年6月に、トヨタが「年内に燃料電池車を発売すると」発表した直後に注文を入れている。その時点では、まだ発売していないので正式な注文にはならなかったが、相当に早い段階で手を挙げたつもりだ。そうしたこともあり、そう遠くない時期にミライが納車される見込みになっている。
多機能なオプションのナビは、インフラ整備不足の心配を補う上で必須装備
私が選んだ装備やオプション内容はこちら。
●車両本体価格 7,236,000円
・カーナビ 326,160円
・グラスシーラント 70,200円
・フロアマット 57,240円
◎合計価格 7,689,600円
まず、オプション関連。トヨタ ミライでは、カーナビがディーラーオプションで設定されている。ミライ専用T-Connectナビ 9インチモデル DCMパッケージと呼ばれるものだ。T-Connectの通信機能を使い、自車位置から近い3つの水素ステーションの店舗情報・現在の稼働状況などを案内。また、トヨタフューエルセルシステム(TFCS)にウォーニングが発生した場合、メッセージをナビに表示する「ウォーニング通知」機能も用意。さらに、スマートフォンで車両情報(水素残量・走行可能範囲・災害時に活用できる給電可能時間[クルマ→家])の表示、水素充填記録(メモ機能付)機能などが用意されている。
こうしたナビの役割は大きく、まだまだ水素ステーションのインフラ整備が進んでいない現状でドライバーの不安を軽減してくれる役割を担う。こうした機能が無ければ、近隣でないとミライを使うことに不安を感じるので、必須オプションともいえる。私はガラケーしかなかったので、ミライ用にタブレット端末も購入した。
その他のオプションとして、グラスシーラント(ボディコーティング)とフロアマットを装備し、合計7,689,600円となった。
国に加え地方自治体の補助金がプラスされれば、約300万円超の補助金が受け取れる! もはや、クラウンハイブリッドよりお買い得?
国の補助金が202万円で、東京都在住なら補助金が約100万円さらにプラスされるので、合計約300万円もの補助金が出る予定だ。こうした補助金を使うことで、上記の車両代ベースだと約470万円+保険・登録諸費用などで購入できる計算で、実質的には500万円を切る程度でミライが手に入ることになる。実際に購入するときには、車両金額を一旦支払った上で、補助金の手続きをすることになる。
その補助金の考えはこうだ。同クラスのガソリン車に対して、次世代エネルギー車の価格がどれだけアップしているかを計算する。ミライの場合には、クラウン がベンチマークとされ、装備の中身なども細かく計算した上で、クラウンのミライの差額を計算する。そして計算された差額に対して一定の割合で補助金を支給するということになっている。その結果が202万円というわけだ。
国の補助金に加えて都道府県が補助金を支給する例があり、東京都や神奈川県などが国に補助金の半分を支給する。これによって100万円の補助金が受けられることになる。
さらに、横浜市のように市町村で補助金を支給する例があり、これは国の補助金の4分の1とされているから、約50万円が支給される。予算に上限があり必ずもらえる訳ではないが、こうなると国・神奈川県・横浜市と3つの補助金で合計約350万円にも達する。そうなると約420万円+保険・登録諸費用などで購入できるようになり、約450万円程度でミライの購入が可能になる。この金額になるとクラウンハイブリッド よりも安くなる。それこそ、ミライを買うためだけに横浜市へ引越したくなるくらいだ。
ほかの電気自動車 やクリーンディーゼル 、プラグインハイブリッド なども同様の考えで補助金が設定される。ただし、補助金の額は年々減額されている。ミライの補助金がどのように変わっていくかは、まだ分からない。
ミライは1㎞走るのに7.2円の計算で、ハイブリッド車並み?
その水素の価格だが、価格は販売会社によって微妙に異なっている。先に岩谷産業が開設した芝公園の水素ステーションでは1㎏当たり1100円で、JXなどでは1kg当たり1000円とされている。いずれも消費税別だが、水素5kgを充填してJC08モードで650km走るという条件で計算すると、1kgで150km走れるわけで、1080円で計算すると1km当たり7.2円という計算になる。
燃費は走り方によって大きく異なり、JC08モードでの走りは理想的な走り方に近いから、実用燃費は1km当たり10円くらいはかかると覚悟している。なるべくエコランをして7.2円に近づけるように心がけるつもりだ。1㎞/10円となると、20㎞走るのに200円かかる計算だ。
ちなみに、私は現在、クリーンディーゼルエンジンを搭載したBMW320dに乗っている。走行条件や走り方によっても異なるが、普通に走って悪くてもリッター18kmくらいは走っている。軽油代は今、110円程度だから1km当たり6.1円である。
さすがに、水素は軽油の燃料代にはかなわないが、ガソリン車はもちろんのことハイブリッド車に対しても良い勝負になりそうだ。
また、先々のことを考えると、水素タンクは2年ごとに定期点検が必要になるなど、整備・維持するコストがガソリン車に比べて高くつくことになると見込まれる。東京トヨペットでも、現在は都内でミライを整備できる工場は2個所しかないという話である。このあたりがネックになるかも知れないが、これもミライの販売台数が増えていくのと同時に改善されるだろう。
トヨタ ミライは、水素の充填やインフラ、整備コストなどなど未知の要素が多い。やはり、一般の人々はこうした不安があるため、ミライを購入するのをためらっている人もいるだろう。私には自ら水素社会への第1歩を踏み出したい、という想いがある。まずは、トヨタ ミライを実際に購入し使ってみることでの使い勝手や維持&ランニングコストを、このコリズムでレポートすることで、これからの水素社会に踏み出してみたいと考えている皆さんの参考になればよいと思っている。
トヨタ ミライ価格、航続距離、スペックなど
代表グレード | トヨタ ミライ(TOYOTA MIRAI) |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,890×1,815×1,535mm |
ホイールベース[mm] | 2,780mm |
トレッド前/後[mm] | 1,535/1,545mm |
車両重量[kg] | 1,850㎏ |
最小回転半径[m] | 5.7m |
FCスタック型式 | FCA110 |
FCスタック最高出力[kw(ps)] | 114(155)kw(ps) |
高圧水素タンク容量[L](2本) | 122.4L(前方60.0L/後方62.4L) |
モーター最大出力[kw(ps)] | 113(154)kw(ps) |
モーター最大トルク[N・m(kg-m)] | 335(34.2)N・m(kg-m) |
駆動用バッテリー | ニッケル水素電池 |
容量[Ah] | 6.5Ah |
サスペンション(フロント/リヤ) | ストラット式コイルスプリング/トーションビーム式コイルスプリング |
最高速度(㎞/h) | 175㎞/h |
一充電走行距離距離[㎞] | 約650㎞(JC08モード走行パターンによるトヨタ測定値) |
定員[人] | 4人 |
税込価格[円] | 7,236,000円 |
発表日 | 2014年11月18日 |
レポート | 松下 宏 |
写真 | トヨタ/編集部 |
コメント
水素ステーションは月に延べ2500台分?売らないと採算取れないとか?
天然ガスと大量の電力で作る水素はエネ効率も悪い。普通にHV車のほうが経済的です。
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