OEMは全否定されるべきものか

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2011/06/28

 

ラフェスタ発表会

渡辺陽一郎さんがコリズムの評論家ブログを始めました。渡辺さんといえば、当代切っての売れっ子評論家で、原稿執筆量では西川淳さんを上回るとも言われています。

その渡辺さんがコリズムデビューで、いきなりOEMに対して厳しい見方を表明していますので、これについて少し。

渡辺さんの言うように、できることならOEMなどをせずに自社開発のクルマだけで賄うのが理想でしょう。ただ、現実にはそうも行かない面があるから盛んにOEMが行われているのだと思います。

クルマが高度化するにつれて1車種当たりの開発コストが高くなり、開発期間も長くなっています。にもかかわらず車種数が増加しているため1車種当たりの販売台数が少なくなる傾向にあり、簡単に開発コストを回収できない状況になっています。

OEM供給をすることで販売台数を伸ばして開発コストの回収を容易にしたり、あるいはOEM供給を受けることで開発コストをかけることなく商品ラインナップを充実させることができますから、うまく行けばウィンウィンの関係を作ることができます。

OEM供給を受けることで生まれた余力を自社ブランドの開発に振り向け、より魅力的なクルマを作っていけば、本当の意味でOEMが成功したことになるのだと思います。だからOEMも全否定すべきものでもないように思います。

現状では、エンブレムを付け替えただけのOEM車が多いのが実情で、そうした車種については渡辺さんの怒りもごもっともだと思います。私もほとんど存在意義を認めません。でも、今回のラフェスタハイウェイスターのように、デザインを大きく変えるとか、あるいはトヨタやダイハツで作られたスバル車の一部のように、OEM元にない仕様を備えたクルマなら、OEMにも一定の意義があるのではないかと考えています。

まあスバル車の独自性もほんの少しだけなので、もう少し違うクルマにできたらという感じではあるのですが。

いずれにしても、OEMが望ましいものであるとは思いませんし、しなくてもすむならそれに越したことはないのですが、自動車ビジネスの現状を考えると止む得ない面もあるかと思います。OEM車を開発するときにメーカー間で話し合うことが、相互に刺激になってクルマ作りに好影響を与えることも含めて、一定程度の評価を与えても良いのではないでしょうか。

コメント

逆にOEMがトリガーになって、昔の名車復活、というのもよいのではないでしょうか?日産-マツダで言えば「シルビア」と「コスモ」をロードスターかRX-8ベースで折半で開発みたいなことはできないのでしょうか?限られた資源でマキシマムなリターンを得る道も純然たるOEMから派生して、どんどん出てきたらまだまだ国産車も楽しいクルマ、往年の名車の系譜の復活、などいろいろできると思うのですが。マツダはボンゴバンを大量にOEM供給していましたし、日産は軽をずっとOEMで調達しています。日産はオッティライダーなど、OEMであっても、供給元ブランドでは選べないグレードを持っていたりもして、しっかり口を開けて待つだけにとどまらない商品企画もしているように感じます。「マツダが日産に供給」のOEM車は、両社の得意分野の合作といえるのではないでしょうか。とにかく強く生きて欲しい、日本の自動車メーカー!!その為に、OEMそのものの是非、ではなく、深化を探るOEMの模索ならむしろ楽しみなくらいです。
by 中込健太郎
2011/07/21 17:37

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