「今後の自動車損害賠償保障制度のあり方に係る懇談会」を傍聴してきました。国土交通省が有識者を集めて開催しているものです。
自賠責保険は単純に事故の被害者に対して保険金を払うだけの制度ではなく、ほかにもいろいろ事業をしています。たとえばNASVAの自動車アセスメントなどはそのひとつですし、NASVAではほかにも被害者援護業務や安全指導業務なども実施していてこれらもユーザーが払う自賠責保険料とその運用益の一部が充てられています。このあたりになると、自賠責保険料から支出するのが良いのかどうかだんだんに怪しくなってきます。
それでもNASVA関係なら納得できる部分もまだありますが、運輸会社の運行管理のためのドライブレコーダーやデジタルタコグラフなどに対する補助金などということになると、それが自賠責保険の趣旨に合致するのかという感じです。
また財務省に6000億円も貸していることなども、保険料を払っているユーザーとしては納得できないものがあります。
最近の日本では交通事故の死亡者は減っていますが、事故の件数は増えていて、傷害を受ける人が増えているので自賠責保険は赤字になっています。このため2013年には自賠責保険料を値上げすることになりそうな状況ですが、この懇談会もそのために地ならしに使われているような気がしてきました。
懇談会の委員にはいろいろな立場の方がおられて、ユーザーの立場に立っての発言も多くありましたが、保険料の値上げの流れを既成事実化するために開かれたと思えるようなシーンもありました。
自賠責保険が交通事故の被害者救済だけに使われるようにするためには、保険料を払っているユーザーが文句を言い続けないといけないのかも知れません。
コメント
これだったら自賠責と任意を一緒にしてしまって、運営した方が良いんじゃないですかね?
たかはし氏
気持ちは痛いほどよくわかるが、無闇に「犯罪」とか「取り締まり」といった言葉を口にするべきではない。
なぜなら犯罪ではないし、仮に貴殿の発言が発端になって『自賠責保険を今すぐ無くせ!』とばかりに圧力を与える団体が出てきて業務に支障が出るような事(保険金がいつまで経っても支払われないなど)になれば、逆に貴殿が偽計業務妨害罪になる。
特に原付は任意保険に入っている人は少なく、「制度改革の為には一時的・少数の犠牲は致し方ない」などという論理での自賠責への業務妨害は不当にしか映らない。
とはいえ誤解のないように言うと、自分も現状の保険制度には賛同できない。
自賠責も法制化されているとはいえ実際の業務を行っているのは任意保険と同じ民間の保険会社であり、任意との結合・合理化は理論上不可能ではないだろう。
自分も可能なところから微力ながら、制度を変えるよう声をあげたいとは思っている。
ドライブレコーダーやデジタコは、どう考えても自賠責から支出するものではないだろ(苦笑)。
本来なら大型トラックは極力高速道路を走らせるべきであり、そのほうが歩行者への危険も少ないし、運転手の負担も少ない。
ところが現状では「重くて道路を痛めるから」という道路管理者の理屈で法外に高い通行料金が課せられ、運送屋はそれを支払いきれず、トラックが一般道を走ることになり、運転手の負担が高くなり、(タコグラフは兎も角)ドライブレコーダーの必要性が高くなったり、一般道と高速道路があるところへ更にバイパス道まで造られたりする。
そのあたりの構造から改めるべき話。
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