【日産リーフ 長期評価レポートvol.8】 「いずれ来るEV時代。地域に開かれた病院であること」病院とEV? その評価は?
初代リーフをいち早く導入し、急速充電器2基も設置した医療法人 理事長が日産リーフに初試乗
■日産リーフに試乗した一般男性のプロフィール
丸山和敏さん 丸子中央病院 理事長
クルマの使い方:サーキット走行、ドライブ
丸山さんは、大のクルマ好き。多くの自動車メーカーが開発中のクルマを持ち込みテストするという自動車の聖地とも呼ばれるドイツのニュルブルクリンクサーキットまで行き、自らサーキット走行を楽しむほどだ。
初代リーフをデビュー直後に、病院に導入した訳とは?
丸子中央病院では、初代日産リーフをデビュー直後に導入しました。本格的な量産EVということもあり、クルマ好きとして乗ってみたかった(笑)。もちろん、それだけでなく、長野県上田市という山に囲まれた豊かな自然環境を維持し、次の世代に残していくためにも、ゼロエミッションであるEVは今後必要という意識もありました。病院なので人が生きていく上で、環境も無視できません。排気ガスが出ないというのは、健康であり続けるということの一助にもなると思います。
また、初代リーフの価格は、社用車としては高価なものでした。丸子中央病院で1台EVを導入した程度で、世の中が大きく変わることはありません。しかし、環境や健康という観点も含め、我々のような事業を行うものが積極的にEV時代の扉をより早く開けるために、微力ながら積極的に導入することを決意しました。
無料急速充電器を2基も設置した理由とは?
丸子中央病院は「地域に開かれた病院」「病でなくても足を運べる病院」を目指しています。病院は「病んでいる人」だけが訪れる所で、できれば行きたくない場所のひとつです。
しかし、私は丸子中央病院を「どんな人でも訪れることができ、そして、訪れた方にはもう1度来たいと思っていただけるような空間」にしたいと思っています。
そのために、地域貢献として病院内のロビーでコンサートを開催。地域のお祭り「まるこベルシティまつり」を協賛し、病院敷地内で様々なイベントや花火大会を行っています。また株式会社ツルヤ様と共同で栄養のバランスを考えた体に優しいレシピ「いきいきレシピ」をご家庭にお届けしています。
同様に本格的なEV時代の到来に合わせて急速充電器は、今後地域に必要なインフラになるでしょう。そのため、「地域に開かれた病院」という考えの元に設置しました。
また、なぜ病院に2基も急速充電器を設置したの? 高速道路のSAでも2基もあるところは少ないのにと、よく質問されることがあります。まぁ、端的に言うと、充電待ちするのは嫌ですよね。私も何度か高速道路などで充電待ちしたことがあったのがですが、やっぱり時間がもったいない。充電サービスを利用してもらうなら、なるべくストレス無しに使ってもらいたいと思ったからです。丸子中央病院では、一度受付していただければ無料でお使いいただけます。
評価1 上質になった走りと静粛性。質感がアップしたインテリア
病院で使っている初代リーフは、初期型だったので最大トルクは280Nmでした。2代目リーフの最大トルクは320Nmなので、若干力強さは増したかぁといった印象です。
リーフに乗るたびに思うのですが、モーターのレスポンスの良さには驚きますね。アクセルを踏んだ瞬間にグッとクルマが押し出される感覚は、エンジン車には無い特徴だと思います。
2代目になって良くなったのが静粛性ですね。随分、静かになった印象です。車内での会話は良好でした。前席の人が前を向きながら後席の人に話しかけても、しっかりと聞き取れます。とくに大きな声を出さなくてもいいので、車内の会話も弾みますね。エンジンの騒音が無いEVのメリットがより明確になったと思います。
インテリアのデザインは、初代の個性的なものから、オーソドックスになりました。全体的な質感は上がったように感じます。リーフは軽く300万円を超えるのですから、これくらいの質感は必要ですね。
ただ、ナビは先代と同等くらいの大きさで、今となってはちょっと画面が小さい感じがしました。また、ナビの取り付け位置は、もう少し高くて奥にあった方が見やすいと思います。歳を取ると、小さい画面は見にくいので(笑)
評価2 e-Pedalは、山道での減速に便利で楽。そして、楽しい。
長野県上田市に住んでいるため、周辺は山だらけなんです。当然、道路はアップ&ダウンが多くなります。とくに、下り坂ではスピードが出過ぎるため、ブレーキを踏み続けたり、アクセルから踏み換える頻度が多くなります。こうしたとき、e-Pedalは便利で楽でした。
アクセルを離せば、かなり強めの0.2Gという減速度をもつ回生ブレーキがかかります。ちょっと慣れは必要ですが、慣れると下り坂ではアクセルひとつで自在に減速できるようになりました。よほどのことが無い限り、ブレーキを踏むことがなかったですね。いつもの山道の下り坂での運転は、かなり楽になりました。
通常の協調回生ブレーキは、少しフィーリングが良くなったと思います。ただ、相変わらずゴムボールを踏むようなグニャっとした感覚はまだ残っているように感じました。
登りの山道では、ノーマルモードにして走りもなかなか楽しめました。ハンドリング面でも、正確性としっかり感が増したように感じます。
リーフは元々、大きくて重いリチウムイオンバッテリーをボディ下に搭載しているので低重心です。2代目も同様に低重心さが生み出すカーブでの安定感は抜群でしたね。EVのアクセルレスポンスの良さと合わると、走ることの楽しさを感じます。
ただ、足回りが乗り心地重視のセッティングなので、積極的に走りを楽しもうとするとやや物足りない感もありました。スポーツグレードもあればいいですね。
評価3 プロパイロットは、リーフに必須装備。高齢者にお勧めなプロパイロットパーキング
同一車線内で車線を維持、渋滞時の追従も可能なプロパイロットは、リーフに必需品だと思います。クルマで長距離移動するケースが多いのですが、もはやこうした追従式のクルーズコントロールの無いクルマには乗れない体になってます(笑)。
自分のペースで走れないようなちょっと混雑した高速道路では、ちょっとイライラすることもあります。しかし、プロパイロットを使えば、アクセルとブレーキ操作から解放されることもあり、疲労軽減だけでなくイライラすることも減り精神面でも安全だと思います。
プロパイロットパーキングは、今のところ私には必要ないかな。ただ、私もいずれ高齢になって視界が少なくなったり、注意力が散漫になったりすることを考えたら、こうした装備が必要になると思います。運転が苦手という人だけでなく、高齢者が少しでも安心して運転できる機能という面では高く評価したいと思います。
評価4 リーフの技術が採用した軽自動車EVに期待したい
日産は、リーフで培った技術を使い2020年までに軽自動車のEVを投入すると公表しています。私はこうした小型のEVに期待しています。地方医療では、訪問医療や往診、訪問介護などで、クルマを使うことが多いのです。
地方では、道が狭かったり、駐車する場所も無かったりすることが多々あり、移動するクルマには機動性が求められるのです。軽自動車程度の大きさが便利です。
EVの軽自動車なら、病院などで充電すればいいので、わざわざ給油しに行く手間も省けます。近隣でしか使わないので、リーフのようにJC08モード値で400㎞もの航続距離も必要ないのです。
実際に導入するとなると、価格も重要な要素になるのですが、少々高い程度なら積極的に導入を考える医療事業関係者も多いのではないでしょうか。やはり、ゼロエミッションというのは、医療関係との相性は良いと思います。
日産リーフ価格
■リーフ価格
・S 3,150,360円
・X 3,513,240円
・G 3,990,600円
日産リーフ燃費、ボディサイズ、燃費などのスペック
代表グレード 日産リーフ G
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4480x1790x1540mm
ホイールベース[mm] 2700mm
車両重量[kg] 1520kg
総電力量[kWh] 40kWh
最高出力[kw/rpm] 110kW(150ps)/3283~9795rpm
最大トルク[N・m/rpm] 320N・m//0~3283rpm
JC08モード交流電力量消費率[Wh/km] 120Wh/km
JC08モード一充電走行距離 400km
定員[人] 5人
消費税込価格[円] 3,990,600円
発売日 2017/10/2
レポート 編集部
写真 編集部
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