【日産リーフ 長期評価レポートvol.12】爽快な走り、圧倒的な経済性、十分な航続距離と、EVの魅力を凝縮したリーフe+(イー・プラス)
日産リーフ 長期評価レポートvol.12の目次
航続距離は458㎞(WLTCモード)! 第2世代のリーフにe+(イー・プラス)登場!
日産は2010年12月にリーフを発売し、EV時代の幕開けを告げた。世界でもっとも売れた初代リーフは、2017年10月に第2世代にバトンを託している。
2代目リーフが登場したとき、日産はさらに大容量バッテリーを積むリーフの追加バージョンがあることをアナウンスしていた。それが、1年3カ月後の19年1月に実現したのである。
新たに加えられたのは、62kWhのリチウムイオンバッテリーを積む「リーフe+(イー・プラス)」だ。標準仕様のリーフの総電力量は40kwhだから、容量は55%もアップしたことになる。
40kWh仕様のリーフはJC08モードでの1充電走行可能距離は400km。これに対しリーフe+プラスは、570km(JC08モード)まで距離を延ばした。リアルワールドでの走行状態に近づけたWLTCモードでは458kmを達成している。
航続距離だけでなく、より伸びのある爽快な加速感を手に入れたリーフe+
リーフe+プラスは、バッテリーの容量を大幅に増やしただけではない。モーターの定格出力も40kWh仕様の150ps(110kW)から218ps(160kW)へと高めている。また、最大トルクも320Nmから340Nmへと増強され、余裕を増した。
バッテリー容量のアップに伴い、Gグレード比較だと車両重量は160kg増え、1680kgになっている。だが、パワーウエイトレシオは、最上級グレード40kWhのGグレードで10.1kg/ps。62kWhのe+Gグレードが7.7kg/psとなり、こちらも大幅に加速性能が向上している。
この大幅に向上したパワーウェイトレシオを試すために、まずは高速道路へ。合流の加速レーンでアクセルを踏み込むと、40kWh仕様よりパンチの効いた加速を見せた。
アクセルを踏み続けても伸びがよく、息切れしない。気持ちいい加速Gが持続するのは好印象だ。内燃機関と違ってEVはタイムラグなしに、シームレスに俊敏な加速を見せる。こうした性格なので、意識してアクセルを早めに戻してあげると電費が良くなり、より遠くまで走れるようになる。
とくに、印象的だったのが70km/hから100km/h程度の追い越し加速だ。40kWh車と比べると、明らかに加速が鋭くなっていた。モーターのいいところは、アクセルを踏み込むと瞬時にパワーとトルクが盛り上がることである。
明確な違いを感じるのは、パーシャル域からアクセルを踏み込み、再加速したときだ。これまでのリーフより速い。速度を上げていってもパンチがあり、トルクも湧き出てくるように感じられる。高速道路でも余裕があり、速い流れにも無理なくついていけた。
静粛性も高く、実電費も良好
ダイレクトで気持ちいいパワーフィールに加え、静粛性も群を抜いて高い。遮音を徹底するとともにインバーターなどの雑音も上手に封じている。
2代目リーフは空力性能もよくなっているから、高速走行を続けても風切り音が耳につかない。流れに乗って90km/h前後のスピードでクルージングすると、平坦路では7km/kWhに迫る優秀な実電費をマークした。車重が40kWh車に対して、160㎏も重くなっているので、もう少し実電費は悪くなるかと想像していたが、予想外の電費に驚いた。
プロパイロットは、相変わらず快適・安全で疲れ知らず
日産リーフは、先進技術の塊であることからインテリジェント・モビリティと呼ばれる。そのインテリジェント機能のひとつが「プロパイロット」。この機能は、セレナやエクストレイルでも高い人気を誇る。とくに、高速道路などでは重宝する装備だ。
追従クルーズコントロールは使い勝手がよく、加速も減速も滑らかだった。また、高速道路の大きなコーナーではステアリングに軽く手を添えているだけで車線の中央を上手に走り続けてくれる。高速道路などでは、疲労軽減に大いに役に立つ先進安全装備だ。
そして、ノートe-Powerで好評を博しているワンペダルドライブをさらに進化させたe-Pedalは、アクセルコントロールひとつでゴー&ストップできるので、とくに一般道で重宝した。
ブレーキをあまり使わないで走れる運転のしやすさと、操る楽しさは新しい発見である。モーターによる回生機構を使えるリーフは、ノートよりもアクセル操作だけで走れるシーンが大幅に広がり、運転しやすい。
リーフ本来のポテンシャルを生かすために、e+にもNISMO(ニスモ)仕様が欲しい!
重いバッテリーをフロアの下に敷き詰めているリーフとリーフe+は剛性が高く、乗り心地もいい。また、ハンドリングも軽やかだ。
とくにリーフe+は乗り心地に強くこだわり、路面の凹凸に合わせてしなやかに動くサスペンションを採用した。さすがに、荒れた路面では突き上げを感じる場面もある。だが、ほとんどの路面で、後席でも快適な乗り心地を実現していた。
リーフe+は重心が低く、重量バランスも優れているから一体感のあるコーナリングを身につけている。だが、タイヤは電費を意識したエコタイヤだし、サスペンションも乗り心地を重視したソフトな味付け。運転を楽しむような走りをすると、少々物足りなく感じる。
こうした傾向は40kWh車も同様。しかし、40kWh車には、タイヤやサスペンションを変更し、走行性能を大幅に引き上げたNISMO(ニスモ)バージョンが用意されている。リーフがもつ運動性能の潜在能力は非常に高く、こうした能力を生かした仕様も欲しい。62kWh車のリーフe+にもNISMOバージョンの投入に期待したい。
効率よく継ぎ足し充電すれば構造距離に不安なし
リーフe+の航続距離は458km(WLTCモード)と長い。積極的にロングドライブに出かけたくなるクルマになった。62kWhの容量をもつバッテリーを搭載しているので、実燃費7km/kWhという実燃費で計算しても434㎞も走行できるので、一般的な使い方ならほぼ途中充電の心配はない。
そうは言っても、航続可能距離が減っていくとやはり心配になるのは当然。そこで、お勧めしたいのが継ぎ足し充電だ。休憩場所などを急速充電器がある場所にして、休憩時に充電する。何も急速充電器のマナーとされている30分ギリギリまで充電する必要はない。10分、15分といった時間でも十分だ。バッテリーの残量にもよるが、バッテリーの容量が大きいリーフe+は一度にたくさん充電できるので、かなりの走行距離を走れるようになる。また、バッテリーの特性上、電気の残量が50%より30%といったように、なるべく残量が少ないときの方が、短い時間でたくさんの電力を充電できる。こうした特性を理解して、効率よく充電するとよい。
圧倒的な経済性をアピールする月額2,000円の「使いホーダイプラン」
こうした充電で、経済性や利便性面で頼りになるのが日産の「ZESP2」会員の「使いホーダイプラン」だ。なんと月額2000円+税で、日産の店舗にある急速充電器だけでなくNCSの充電スポットが使い放題になる。
普通充電は1.5円/分だが、利用頻度の多い急速充電器が使い放題だからお得感は群を抜いている。毎日クルマを使うような人は、とくに経済的。毎月使っているガソリン代と比較すれば一目瞭然だ。
こうしたプランの恩恵や長くなった航続距離は、新たな顧客を生み出した。従来、マンションなどに住む人は、充電設備が無く、リーフに乗ることが難しかった。
しかし、長くなった航続距離のおかげで毎日充電する必要も無くなり、充電が必要な時には、近隣の日産ディーラーなどで充電すれば十分に使えるようになったのだ。リーフe+は、こうした使い勝手の良さに、さらに磨きをかけた。
新たなライフスタイルが送れるV2H(Vehicle to Home)
自宅で200ボルトの普通充電を使うオーナーは、さらにリーフの使い方が広がる。リーフを蓄電池としても使える「ヴィークルtoホーム」へと発展させることもできるのだ。電気代が高価な電力ピーク時には、安価な深夜電力を使ってリーフに充電した電力を使って家庭に給電できる。また、太陽光パネルで発電した電気をリーフに充電することも可能。
しかも、非常用電源として使えるから、震災などによるエネルギー不安の解消も期待できる。リーフは、こうした新たなライフスタイルを可能としてくれるクルマなのだ。
<レポート:片岡英明>
日産リーフ価格
●バッテリー容量62kWh車
・リーフe+ G 4,729,320円
・リーフe+ X 4,162,320円
●バッテリー容量40kWh車
・リーフG 3,999,240円
・リーフX 3,661,200円
・リーフS 3,243,240円
日産リーフ燃費、ボディサイズ、燃費などのスペック
代表グレード 日産リーフe+ G
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4480x1790x1545mm
ホイールベース[mm] 2700mm
車両重量[kg] 1680kg
最小回転半径 5.4m
総電力量[kWh] 62kWh
最高出力[kw/rpm] 160kW(218ps)/4600~5800rpm
最大トルク[N・m/rpm] 340N・m//500~4000rpm
WLTCモード一充電走行距離 458㎞
JC08モード一充電走行距離 570km
タイヤサイズ 215/50R17
定員[人] 5人
消費税込価格[円] 4,729,320円
発売日 2019/1/23
レポート 片岡英明
写真 編集部
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