【BMW 320d BluePerformanceツーリング長期評価レポートvol.2】 売れてるクリーンディーゼル、その理由とは? [CORISM]
最新テクノロジーを搭載したクリーンディーゼル車、BMW 320d BluePerformanceが売れている
BMW320d ブルーパフォーマンスは、セダンとツーリングの両方が設定されている。良く売れているのは、ツーリング。発売当初はバリエーションの関係もあって、ツーリングの80%くらいが320dブルーパフォーマンスで占められていた。
現在でもツーリングでは半数以上、セダン でも半数近くがブルーパフォーマンスというほど良く売れている。国産車では、マツダ 車や一部メーカーのSUV にディーゼル車が設定されるようになったが、普通のセダンでクリーンディーゼル が売れているのはBMWが圧倒的だ。
運転席に乗り込み、シートベルトを締めてからスターターボタンを押してエンジンを始動させる。アイドリング音は、ガソリン車よりはやや大きめなのが分かる。ただ、室内で聞くエンジン音は、さほどではなく、車外にいて他の人が始動させたアイドリング音を聞くとディーゼル車であることが分かる。そんな感じだ。
シフトレバーをDレンジに入れて走り出すと、わずかにアクセルを踏んだだけでも、しっかりした力強さを感じさせる。低速域ではエンジン音も多少は気になるが、速度を上げていくと、まったく気にならなくなる。
市街地などでは、アクセルペダルに軽く足を乗せているだけといった感じで、とてもスムーズに良く走る。これはV8の4Lエンジンに相当するような大トルクを低回転域から発生することに加え、電子制御8速ATによるところも大きい。
市街地では、3速から6速くらいまでのギアを使って走っているが、走行中には何速のギアで走っているか分からない感じになる。それほど、ショックのない滑らかな変速を実現しているからだ。高速クルージングに入ればギア比の高い8速まで使って、静かで燃費の良い走りをもたらしてくれる。
低燃費なのに、速い!!
高速クルージング中は時速100kmで走行すると、瞬間燃費はほぼ常時20.0km/L以上を表示している。瞬間燃費なので路面の勾配によって常に変化するが、急な上り坂を除けば20.0km/Lを切ることはまずない。逆にはっきりした下り坂なら30.0km/Lを超えるような燃費が表示されるほど燃費に優れる。
市街地を含めた総合燃費でも、17.0km/L台の好燃費を記録した。特に燃費を意識することなく、普通に走ってというか、一般的な試乗だったので ときには急な加減速を試すなどした上でこのデータなので、燃費の実力はとても高いレベルにある。
アクセルレスポンスも、昔のディーゼル車にあったような鈍さは全く感じられない。ガソリン車にはガソリン車の良さがあるが、BMW 320dブルーパフォーマンスのクリーンディーゼルもアクセルワークに対してリニアに反応し、ディーゼル車とは思えないような吹き上がりを示す。
タコメーターの針が敏感に反応して回転が高まり、それに合わせて大きくトルクが立ち上がってくるので、加速の力強さはガソリン車を大きく超える。正確なタイムを計測したわけではないが、時速80km~100kmの区間加速などは、恐らくガソリンよりも早いのではないか。そんな印象で、ディーゼルでありながら相当にスポーティなエンジンなのだ。
FR車らしい、爽快な走行フィーリング
優れたシャシー性能による、ダイナミックなドライビングパフォーマンスも魅力の要素だ。まず好感が持てるのは、FR車ならでのすっきりした操舵フィールで、ワインディングなどでの操舵感覚がとても気持ち良い。
今どきは、FF車であっても操舵感覚にクセが残るようなクルマはなくなったが、それでもFF車とFR車では走りに違いがある。操舵輪と駆動輪が明確に分かれるFR車では、駆動力に邪魔されない爽快な操舵フィールは格別だ。ダイレクト感があってきびきびした操舵感覚と合わせ、ワインディングでは気持ち良いハンドリングが楽しめる。
BMWらしく硬めにチューニングされた足回りは、前後均等に近い重量配分などと合わせて軽快なフットワークを実現する。個人的にはMスポーツだとさすがにちょっと硬すぎるように思うが、標準車のしっかりした感じの足回りは、とくに好感の持てるものだ。
BMWは以前から、スペアタイヤを必要としないランフラットタイヤを採用している。サイドウォール部分を硬くしたランフラットタイヤでも、バランスの良い乗り心地を実現しているのは大したものだ。
エコロジ-&エコノミーなクリーンディーゼルを選ばない理由が見当たらない!?
BMW 320dブルーパフォーマンスは、環境性能に優れたクリーンディーゼルであると同時に、経済合理性にも合致したクルマである。
まず、車両価格が割安だ。ほかのメーカーのクリーンディーゼルがガソリン車に対して最低でも40万円くらいは高くなるのに対し、3シリーズではガソリン車との価格差がわずか20万円でしかない。これは、びっくりモノだ。
価格差の約半分となる9万円の補助金が受けられる(2012年度の例、2013年度は未定)から、実質的な価格差は11万円ということになる。この価格差でトルクフルなディーゼルエンジンが手に入るのは大満足だ。
しかも、この価格差は燃費の差によって簡単に解消される。月に1万km走るドライバーを想定して、320iと320dのJC08モード燃費を基準に燃料代を比較すると、燃費の差はそれほど大きくないものの、320iがハイオク仕様で320dブルーパフォーマンスが軽油仕様であることから、リッター当たり30円以上の違いがあることが効いて燃料代に大きな違いが出る。
資源エネルギー庁が発表している最新の燃料価格で計算しても、ガソリン車の320iだと年間12万円以上の燃料代が必要になるのに対し、ディーゼル車は8万2000円ほどですむ。年間3万8000円の違いがあるから、3年もしないうちに320dブルーパフォーマンスのほうが経済性で優位に立つ。
距離を走る人ならもっと早く優位に立てるし、優位に立った後はどんどん得をしていく計算になるから、経済性を考えたら断然にディーゼルが良い。これほど簡単に元が取れるクリーンディーゼルは、BMWだけだ。
最後に排気ガスのクリーンさも折り紙付きであることを記しておこう。BMW320dに限らず、今販売されているディーゼル車が補助金を受けられるのは、環境に優しい次世代自動車として認定されているためだ。
排気ガスを一切排出しない電気自動車には及ばないものの、標準車との価格差の半分が補助金として支給されるという条件は電気自動車と共通である。それくらいにクリーンなクルマであると認められている。
かつて、石原都知事がペットボトルに入れた煤(すす)を振ってディーゼル車に対する規制を強化したが、今ではその厳しい最新規制をクリアするだけのクリーンなディーゼル車が販売されている。
PM(パティキュレート・マター)と呼ぶ排出物はほとんどゼロになり、ディーゼルエンジンが多く発生するというNOxもほとんど発生しないように処理されている。
ガソリン車を大きく超える動力性能を持つディーゼル車が、ガソリン車と大差のない価格で買え、買った後の維持費で大幅に有利になり、しかも、環境性能にも優れているのだから、クルマ選びでディーゼル車が注目されるのは当然の結果だ。
BMW3シリーズツーリング見積り依頼
BMW 320d BluePerformanceツーリング価格、燃費、スペック等
・320d BluePerformanceツーリング 4,910,000円
・320d BluePerformanceツーリング Sport 5,110,000円
・320d BluePerformanceツーリング Modern 5,110,000円
・320d BluePerformanceツーリング Luxury 5,110,000円
・320d BluePerformanceツーリング M Sport 5,350,000円
代表グレード | BMW320d BluePerformance ツーリング Sport |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,625×1,800×1,460mm |
ホイールベース[mm] | 2810mm |
トレッド前/後[mm] | 1,520/1,560mm |
車両重量[kg] | 1,620kg |
総排気量[cc] | 1,995cc |
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] | 135〔184〕/4,000rpm |
エンジン最大トルク[N・m/rpm] | 380〔38.7〕/1,750-2,750rpm |
ミッション | 8速AT |
タイヤサイズ | F:225/50R17 R:225/50R17 |
燃費 | JC08モード 19.4km/L |
定員[人] | 5人 |
税込価格[万円] | 511万円 |
燃料 | 軽油 |
レポート | 松下 宏 |
写真 | 編集部/ユニットコンパス |
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