世界に通用する軽自動車が目指されるべき
軽自動車の規格について、私は今のままで良いとは思っていません。むしろ改定すべきだと思っています。
特に全幅は狭すぎるのでもっと広くしたほうが快適性が高まるし、側面衝突時の安全性が高まるし、トレッドの拡大が操縦安定性の向上につながるなど、メリットが多いので拡大すべきだと思います。
1998年から現在の規格が採用されていますが、それを決める過程では、もう少し幅を広げるという方向にあったと言われています。でも、規格策定の会議に参加していた警察官僚が、「そんなにサイズを大きくするなら車庫証明の義務付けを考える必要が出てくる」とぼそっと話しただけで、横幅の拡大議論はひゅーんと小さくなって現在の規格が固まったと言われています。
まあ真偽のほどはともかく、ユーザーにとって本当に良いのはどんなクルマなのかという観点から決められた規格でないのは確かなようです。
また排気量にしても、660ccではなく800ccくらいが適当なのではないかと思います。ここにきてイース(仮称)がJC08モードで30km/Lを達成するところまで来ましたが、少し前までは初代フィットが達成した24km/Lの数値を軽自動車がなかなか上回れないでいました。これはボディと排気量のバランスが悪く、エンジンを回しがちになるために燃費が悪化していたものです。
800ccくらいにすれば、もっとバランス良く燃費向上を図ることができるものと思います。今でも、排気量不足を補うためのターボ車では、結果的に燃費が悪くなっていますが、これも解消することができるでしょう。
また、軽自動車のボディとエンジンを少し拡大したなら、そのままで新興国向けのクルマとして通用するようになると思います。現在の規格では、そのまま受け入れてくれる海外市場はほとんどありませんが、もう少し大きくすることで日本ガラパゴスの軽自動車から脱却することができます。
メーカーとして考えても、日本専用仕様と海外仕様の2種類を開発するより、1モデルで両方に通用するクルマになったら、そのほうが経営効率の面からも良いのではないでしょうか。
ただ、ボディやエンジンを拡大したときに税制などの論議がどうなるかが問題です。軽自動車メーカー各社はこの点を恐れて議論に入ることすら避けています。
そもそも軽自動車の税制は優遇されているのではなく、規格の制約との引き換えで設定されているもので、優遇という表現は必ずしも正確ではありません。なので、非関税障壁という言い方も当を得ていないと考えます。
とはいえ、ボディやエンジンが大きくなったらかつて奥田碩社長だったか会長だったかの時代(自工会の会長時代だからトヨタの会長時代だと思いますが)に軽自動車の税制に言及したことがあったように、日本の自動車業界の中からも税制論議が巻き起こるかも知れません。
歴史的に見れば、軽自動車の優位性は少しずつ奪われ続けてきました。1989年の消費税の導入で物品税が廃止され、登録車と横並びになったのはいい例ですし、車庫証明は必要ないにしても車庫の届け出が必要とされる地区が増えていることなどもその例です。
今後もそうした方向に進むことは十分に考えられるので、軽自動車の側から打って出て、新しい軽自動車規格を作る方向に進むのが良いのではないかと思います。
現在の軽自動車の税制上のメリットは、これは維持する必要があります。地方の比較的収入の少ない地区のユーザーが軽自動車を利用していることを考えたら、この税金を上げるという議論はそもそもあり得ません。また年間では軽自動車を購入するユーザーが200万人近くいるのに、また軽自動車を保有するユーザーは2700万人近くいるのに、そのユーザーを敵に回すような税制改正はあり得ないでしょう。
軽自動車の税制上のメリットを大きくスポイルすることなく、軽自動車を世界に通用する良いクルマにしていくことが求められていると思います。
コメント
奥田さんは確かに当時社長ではなく会長でしたね。失礼しました(苦笑)。
私も、闇雲な(大きければ大きいほどいい、みたいな)規制緩和は反対ですが、松下先生の仰るように、全幅はもう少し広くてもいいと思います。今の幅は特にハンドルが回しづらい(泣)。
ヴィヴィオでしたっけ?運転スペースの狭さに業を煮やして、助手席を極端に窓側に寄せたものもありましたね。
インフラ側を考えても、軽専用駐車スペースは殆どが長さの関係で軽専用なのであり、幅は普通車スペースと同じくらいあります。又、幅1.4m規制の踏切も一部にあるものの、これは98年以降の軽の幅ではオーバーします。
ただ、どれくらいまで拡大するかは難しそうですね。
小型車と同じ1700は論外にしても、後席に3人座れる幅にしてしまったら事実上リッターカーと変わらなくなりますし、車庫証明が必要な制度改訂がなされる可能性は高いと思います。
それと、少し乱暴な話ではありますが、、、全長は3400のままでいいのではないでしょうか?
クラッシャブルゾーンが必要とはいいますが、軽トラはここ最近キャブオーバーに戻す車種が多いです。
山陰地方が一家の車保有台数が多いのは、公共交通網が不便であるが故に必要に迫られてであり、交通網が発達し、免許保持者の何人かに1人は自家用車を所有していない東京23区とは次元が違います。
地方在住者から足を奪うような軽自動車税制撤廃は、断じてあってはならない事だと思います。
軽自動車税の増税を議論している「有識者」といわれる方々は、公共交通機関に恵まれた東京の、かつ大学教授等、地方のインフラのことなどご存じない面々が増税ありきで議論しているようにしか思えません。「どうせ地方は車以外の"アシ"が無いから、増税しても渋々乗るから問題ない」、取りやすいところから取る構図がミエミエです。
もし増税が決定すると、軽自動車のメリットは取り回しだけ。車両価格はコンパクトカーの方が安価なものもあり、軽自動車の規格を議論するどころか軽自動車の存続にかかわる事態と考えます。
燃費についても660㏄で工夫次第で良くなってきていますし
普通車に近づきすぎては存在意義が薄れてきます
「世界に通用するように」という意見もありますが、コンパクトカーがその役目を担っているはず。
世界市場を意識して設計販売してる車は既にある、と言うことです
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