電池メーカーは簡単に自動車メーカーにはなれない
衝突実験の設備はホンダも栃木に立派なものを持っていますし、日産も追浜や厚木に設備がありますが、トヨタの設備が最高水準であるのは間違いありません。
またドライビングシミュレーターも世界一のものがありますし、THUMSと呼ぶダミーも世界の最先端を行くものを開発し、ほかのメーカーや研究機関などに供給しています。
トヨタに限らず、ほかの自動車メーカーも安全技術に対しては熱心な取り組み姿勢を持っています。
とりわけ進んだトヨタの取り組みを見ると、電気自動車の時代になると新しい自動車メーカーが次々に登場するという話が、いかに認識不足であるかが分かります。
電気モーターとリチウムイオン電池があれば簡単に電気自動車ができるなどというのは大きな間違いです。安全ボディや安全性に優れたシャシー性能などを考えたら、電池メーカーが簡単に自動車メーカーになることはできません。
電池さえ自社で作らずパナソニック製の電池を使って電気自動車を作り上げたテスラの例もありますが、テスラにしてもボディはロータスから買うことで電気自動車を作っています。電気自動車も既存の自動車メーカーなしに作ることはできないと思います。
なぜ、いかしきれない最新の安全技術
横滑り防止装置の例を上げましょう。トヨタはデンソーの協力によって日本で最初にVSCを開発しました。これはダイムラーがボッシュの協力でESPを開発するのとほとんど同時でした。
で、ダイムラーは早くから、軽自動車クラスともいえるスマートも含めて全車にESPを標準装備していますが、トヨタは標準装備しているクルマのほうが少ないくらいの状況です。
来年後半からは、新発売するクルマに横滑り防止装置の装着が義務付けられ、装着していないとクルマという名前の商品にはならなくなったわけですが、そのようにして法律で思い切り尻を蹴飛ばされるまで標準装備にしないというのでは、メーカーの姿勢が疑われます。
ダイムラーは早くから標準装備にし、結果としてそれが欧州で法規化されて義務付けられました。これに対して法規化されたので対応するのがトヨタというのでは、どちらが尊敬を集めるメーカーになるかは歴然としています。
今やトヨタは、横滑り防止装置のほかにもさまざまな最新の安全技術を開発するメーカーになっているのですから、それによって世界の自動車メーカーをリードして行って欲しいものです。ダイムラーをリードするくらいの実力を持ちながらそれを発揮できないのでは、日本人として歯がゆくて仕方ありません。
コメント
タイでは、今年、トヨタの世界戦略車である、Hilux Vigoのマイナーチェンジ時にVSCを撤去し、代わりにDVDを取り付けました。
パネル発表では、VSCとDVDを同じ価値のあるものとして発表しています
VSCとDVDは、同じ価値のある装備なのでしょうか
先進企業であると思っていた、トヨタですが、どうやら商売しか目が言っていないようです。
フォードやGMなどは、横滑り防止装置設置に積極的なようです。
少し慎重にアクセル・ブレーキ操作を心がければ、スノータイヤを履いていれば普通に走れてしまう。
雪国の人はすごく助かるだろう、トヨタ(+デンソー)はいいものを造ったものだ、と、関心したものだった。
メルセデスが2WDからESPを付け始め、ともすれば「ESPがあれば4WDはいらない」という議論になりかねないところ、トヨタはクラウンマジェスタi-Four(4WD)に最初に装着し、より高い安全性を主張したことも、トヨタのほうが一歩進んでいたと思う。
あれから十数年・・・装着車の少なさは長年のトヨタ車ユーザーである当方も悔しいばかりだ。
拡充のしやすさも決してメルセデス(ボッシュ)のものには劣らないはず。
横滑り防止装置の名称統一についてもトヨタは二の足を踏んでいるが、こちらはかつて「ESC」の呼称を現在のABSに使っていたトヨタの立場上仕方ないかもしれない。しかし、装着車拡充は法律で義務化される前にやってほしいと思う。
別の記事で書いたように、ブレーキアシストに関しては異論が出ながらもトヨタは早い段階に全車標準化できたのだから。
トヨタの新型ヴィッツがまさにそうです。これをはっきり指摘し批判した自動車評論家は、私の知る限り松下宏さんだけです。
輸出仕様の方が安全装備が充実しているいうのは、ずっと昔(20年以上前?)のNHKの番組でも指摘されていましたが、未だにそうだなんて勘弁して欲しいです。
もっとも、これはトヨタに限ったことでもなく、また日本メーカーだけを責めるわけにも行かない話ですね。一番悪いのは基本的な安全装備すら要求しない(意識すらしない)日本のユーザーだと思います。
日本車も車種によってまちまちで、ランサーやカリーナのように、欧州車でもリヤ中央席は二点式ベルトが普通だった時期に既に三点式を採用していた車もある。
そのように努力している車もある事もユーザーは認識してほしいし、そのような車を買うべきだと思う。
5代目シビックのフェリオSiRは、三点ベルトやヘッドレストイントがある、ない以前に、リヤ中央席を無くしてしまったが、これも一つのやり方だと思う。
>輸出仕様の方が安全装備が充実しているいうのは、ずっと昔(20年以上前?)のNHKの番組でも指摘されて いましたが、未だにそうだなんて勘弁して欲しいです。
二十年以上前は自動車の安全性の話をすると、「自動車なんて最終的にはどれも安全じゃないんだから、安全性の話なんかするな!」と一蹴されていたような時代だったからね。
小堀保三郎さんがエアバッグを開発した時代はおろか、クラウンがABS(当時の名称はESC)を初めて装着した頃や、レジェンドが初めてエアバッグを装着した頃でさえまだそんな調子だった。
当時からすれぱ「安全」を買ってくれるユーザーは確実に増えた。
しかし、100万円を切る車でもABSやエアバッグが付く時代になっても未だにABSがないグレードがラインナップされている車があったり、リヤシートヘッドレストイントが全く装着できない車があるというところを見ると、まだまだなのかもなぁ・・・。
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