誰もが手軽に楽しめる自動車競技、デイラリー。「ツールド伊勢原2017」レポート [CORISM]

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2017/03/20

発進を待つランチア・デルタ。こうした姿を見ると、もの凄い本気モードな競技に見えますがご安心を。

誰にでも参加可能な競技、デイラリーってなんだ!?

ツールド伊勢原

朝早くから競技会場は準備に余念のない参加者であふれています。

 デイラリーという言葉をご存じでしょうか? 大きなくくりで言えばラリー競技、そういえばちょっと詳しい人ならWRCやパリダカールを想像するかもしれません。あながち間違いではないですが、そこまで大仰なものではなく、サンデーラリーとして気軽に参加できて、なおかつ誰でもが参加できる競技なのです。

 それでは、いかなる競技かを簡単にお話しすると、要はA点からB点までの地点を指定された時間で走る競技です。が、ここが大事なところで指定された時間、つまりそれより早くても遅くてもダメなわけです。そのため距離がどのくらいあり、時速何㎞で走ればそこに到着するかを計算して走る、むしろスピードよりも頭を使って走る競技ともいえるかも知れません。

 もちろん、一般の道路を使用して行いますので、その競技中のスピードも法規に沿ったものと当然なります。

 エントリー資格のある車両は、基本的に車検が通っている普通に走れる車両であればOK。もう少し詳しくという方はHPを見るか、事務局に問い合わせてみるとよいでしょう。

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この日の参加車両はおよそ30台。ラリーコンピューターを搭載した本物の競技車両から、ごく普通の日常の足クルマまで様々。

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今回ご協力をいただいたロードスター。こちらもラリーコンピューターを搭載してのエントリー。

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コースはコマ地図と言われる略地図をもとに普通の道路を走ります。そのチェックにも余念がありません。


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これが途中にいくつかあるチェックポイントの一つ。白線を引いていますがご安心を地球にも優しく小麦粉を使って引いております。雨に流れて自然に帰る素材を使い近隣の方の生活にも配慮しております。

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これがチェックポイントでの計測器。赤い部分が現在進行形で流れる時間で上の画像の白線を踏んだ時にボタンを押せばその時の時間が下の緑の明かりの部分に表示されます。

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競技コースは通りの少ない山道や農道なのでかなりの田舎道。結構物々しい看板が(汗)。

今回この伊勢原ラリーにお邪魔するにあたってご協力をいただいたのは、参加者でもあるゼッケン27番の福田氏と三島氏のロードスターコンビ。彼らの動向を伺いつつ、競技の様子を見ていきたいと思います。

年間を通して行われるランキング制! 本気のプロから家族参加の超アマチュアまでが参加

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本気のスタートを見せるランサー。でも実はそんなにスピードは出していません。

 この関東デイラリー ですが、キチンとしたJAF公認の競技であること。そして、年間のタイトルまであります。したがって、本気の競技者からご家族や友人と気軽に参加される方まで様々です。御覧の通り、デカールやロールケージまで張り巡らされた車両から、どう見てもコレ通勤車だよね? と、いった車まで様々にあります。

 さらに、仕分けをすれば、これらの車両もエントリークラスが分けられラリーコンピュータのあるものと無いものでクラス分けされています。面白いのは、コンピューター無しのクラスは乗車人数に制限がありません。普通にラリー競技を考えれば、ドライバーとナビゲーターですが、このコンピューター無しのクラスは法規上の乗車人数いっぱいまで乗ることができるのです。え、そんなに乗ってどうするの? と、思いますよね。それがおもしろいところで、この乗車したドライバー以外のすべての人間でナビをするのです。つまり、ある人はコースを案内することに専念。ある人は、距離と時間の計算に集中、といった具合です。どうです、コンピューターが無くても全員で一致協力すれば戦えるのです。もちろんご家族を乗せて単に景色を楽しまれる方もいるのかもしれません。

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ドライビングランプを追加武装したシティ。こうした本格派のラリー車両もエントリしている。

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聞いた話では前回のクラス優勝の車両MAZDACX-5、ラリーコンピューターなしの4人乗車で戦っています。4人全員で走ると聞いて、つい筆者つぶやいたのが「ギャングセブン走法?」。

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こうした日常の足として使っているような軽自動車でも参加が可能。

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後続車として参加車両がすべて通過し終えるとこのクルマが通りチェックポイントは撤収をする。この日のオフィシャル車両は260Z

走行に当たっては、いきなりスタートはしません。一般道を使用するということもあるので、競技車両が走る前後には前走車~後続車という始まりと終わりを示す車両が通ります。

コマ図とタイムで時間通りに駆け抜けろ!

 普通の自動車競技と大きく違うのがスタート方法。普通にレースなどは一斉にスタートするのですが、この競技はタイムがいかに指定時間に合わせるかが順位になりますので、そのスタートは1台毎に1分間隔くらいでゆっくりとスタートします。

 ですから、この日も最初の1台が出てから最後の1台がスタートしたのはおよそ30分後になります。なんとも気の長い話ですが、これがラリー競技なのです。

 ゴールもしかりで、到着順ではもちろんありません。ゴール後には時間の集計が待っています。各チェックポイントで到着時間を書かれたチケットを受け取ります。それによって、自分たちが現在どのくらい正確なタイムで走っているかを知る(予測をする)わけです。

 その間にミスコースや時間の早着、遅れなどからポイントが減点されて最終的に順位が決まります。基本、走る際には法定速度で走ることが前提ですから、もしかしたらナビゲーターの方が面白く感じる人もいるかもしれません。

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モデファイドスピダーの4号車。カメラを構えているとY字路のコースではない方からのご登場!?なんと痛恨のミスコース。


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でも、しっかりとコースに戻ってチェックを受けました。

ツールド伊勢原
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チェックポイントを過ぎてパッシングで筆者に答える福田、三島組のロードスター。調子は上々のようでした。


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「ねえ、ねえ。タイムあってる?」そんな会話が聞こえそうです。

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競技と聞くと、それなりのスピードを想像しますが、実際にはこれらの画像の撮影でカメラを構えていると、その速度には驚きを覚えるかもしれません。ええ、それはもうゆっくりです(笑)
当たり前ですが、法定速度内ですので、この路地では時速20kmくらいなのです。

ギャラリーも気軽に訪れることができるのが、デイラリーの良いところ

 コース上は、さすがに止める場所等の関係で難しいかもしれませんが、イベントとしては見学者ウェルカムです。スタート地点には、かなりの駐車スペースがありましたし、会場である伊勢原総合運動場は一般の運動場使用者のための駐車場もあり、かなり余裕がありました。

 ただ、筆者が驚かされたのは、その会場に現れた車両たちです。往年のラリーマシーンが次々と入って来るではありませんか。これらが出走するのか!?と驚愕をしましたが、そこはそれ、じつは見学に来た車両でした。それでも、こうした車両が見学者と称した展示を行ってくれることで、より華やかになるのは間違いありません。

サンクターボMAXI ランチアデルタ

サンクターボMAXI、ランチアデルタ等往年のGr.B、Gr.Aが整列するパーキング。これを見に来るだけでも価値あり。

240SX

国内代表、輸出名バイオレットGTS。車体はシルビア2000RSがベースだそうです。

037ラリー

この日人だかりのできたGr.B時代の怪物マシン037ラリー。

ランサーEX ツールド伊勢原
 砂埃や豪快なスキール音を立てながら走り抜けるラリー競技と思われがちですが、こうした誰でもに門戸が開かれたデイラリーも実はあったりします。ご自宅のクルマと、たまには通勤や買い物でだけではなく一緒に遊んでみてはいかがでしょうか?

 午後の部スタートの声を聞きながら会場を後にし、絵描きは旅を続けます。

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