【新型日産ノート長期評価レポートvol.17】 ノートe-POWERってどんなクルマ? その魅力は? ノートe-POWER購入ガイド [CORISM]
日産の世界戦略車がノート。ガソリン車だけでもランキング上位の実力! しかし、ハイブリッド車が渇望されていた!
日産ノート は、日産 の主力となるコンパクトカー だ。初代モデルは2005年1月に発売された。当時の日産はマーチ やティーダ などをラインナップしていたが、その中間に位置するモデルとして発売された。コンパクトカーとして広い室内空間を持つとともに、1.5Lエンジンを搭載しながら1.3Lエンジンの搭載車に匹敵するような割安感のある価格を設定したのも特徴だった。
2012年9月に発売された現行モデルは、2代目でボディの全長をやや拡大したが、それ以上に有効室内長を拡大して広い室内を作っている。搭載エンジンは、ダウンサイジングされた直列3気筒1.2Lミラーサイクルで、スーパーチャージャーを装着し1.5Lエンジン並みの動力性能を確保するとともに、低燃費を実現している。最も燃費の良い仕様は、当時のガソリンエンジンを搭載する登録車として最高の燃費を達成した。
2013年12月には、歩行者を見分ける性能を持つ自動ブレーキを含むエマージェンシーブレーキパッケージの装着車を設定し、2015年7月には自動ブレーキは全車に標準装備するなど、積極的に安全装備の充実化を図ってきた。
日本の自動車市場がハイブリッド 車を中心にした売れ行きになっているのに対し、ノートはガソリン車だけの設定でありながら、常時販売ランキングの上位に入る売れ行きを示してきた。軽自動車を除くと、ガソリン車で最も良く売れたのがノートだった。
こうした結果は、ライバルのハイブリッド車には負けない、という営業力があった。しかし、販売の現場や日産ファンからは、日産のハイブリッドコンパクトカーが渇望されていたのだ。その想いが新型ノートe-POWERの登場につながったのだ。
シリーズハイブリッドを採用し、モーターだけで爽快に走るe-POWER。その力強さは、ライバルを圧倒!
2016年11月にノートに新設定されたのが、新型パワーユニットを搭載したe-POWERパワーだ。これまでのガソリン車や電気自動車、ハイブリッド車とも異なる新しいパワートレーンを搭載したモデルである。
e-POWERは、直列3気筒1.2Lエンジンを搭載するのは従来のノートと変わらないが、このエンジンは直接走るためには使われず、電気を発電するためだけに使われる。圧縮比を高めて効率を上げ、より低い回転数で最高出力や最大トルクを発生するようになっているが、動力性能は通常のHR12DE型エンジンとほぼ同じだ。
エンジンによって発電した電力をリチウムイオン電池に蓄え、そこから電気を大出力のモーター(リーフ 用と同じモーターだ)に供給してクルマを走らせる。いわゆるシリーズハイブリッド式で、トヨタ アクア や ホンダ フィット などのパラレルハイブリッド車とは異なる仕組みを使う。これが、非常によく差別化されていて、乗り味はまったく異なる。
日産ノートの受注が、発売から約3週間を経過した11月23日時点で月間販売目標の2倍となる2万台を突破した。この人気ぶりも、単に燃費性能だけではなく、ライバル車とは異なるEV的な新感覚のドライブフィールが高く評価されているのだろう。
e-POWERは、エンジンを搭載してはいるが、電気モーターだけで走るので、走行感覚は 電気自動車 と同じである。254N・mという大トルクを瞬間的に最大トルクが立ち上がり、とても静かで力強くて気持ちの良い加速を示すのだ。
アクセル操作一つで、加速から停止まで自由自在にコントロールできる「e-POWER Drive」って何?
e-POWERは、電気で走るクルマながら充電の必要はなく、普通のガソリン車と同じようにガソリンを給油するだけで良い。使い勝手はガソリン車と変わらない。ガソリン車と変わらないのだが、燃費性能が優れているので、ガソリンスタンドに立ち寄る回数が少なくなる。使い勝手はむしろ良いのだ。燃費性能は、最も良いグレードが37.2㎞/L(e-POWER Sグレード)。売れ筋グレードのe-POWER X以上になると、34.0㎞/Lとなり、いずれもクラストップの燃費値となった。
e-POWERは、発進加速や中間加速に優れるだけでなく、減速時に新しい運転感覚を提供してくれる。3種類が設定される走行モードのうちECOモードとSモードを選んで走ると、アクセルペダルから足を離したときに、通常のガソリン車が発生するエンジンブレーキの3倍くらいの強力な減速度が得られるのだ。
これによって、実際の走行ではアクセルペダルを微妙にオン/オフするだけで、ブレーキペダルをほとんど踏まずに走ることができる。信号待ちなどでは、強い減速によって停車まで行え、そのまま停車状態が保持されるから、とても運転が楽になる。発進時には軽くアクセルを踏むだけで発進が可能だ。日産はこのユニークなドライブ感覚を「e-POWER Drive」と呼ぶ。
この新感覚の運転操作は、一定の慣れが必要であるものの、慣れるとけっこう病み付きになって楽しくなる。運転が苦手な人は、ノーマルモードで走行すれば、普通のクルマのように運転ができるので安心だ。徐々に運転を楽しみながら、ドライビングスキルを向上させることができる。
e-POWERは、高速道路など高出力が必要な場合、エンジンが回り続けるケースが多い。そのため、より優れた低燃費性能を享受したいのなら、あまり速度が上がらない街中ユースを中心とした使い方が効果的だ。街中で日常的にクルマを使う人には、とくにお勧めのコンパクトカーといえるだろう。
日産ノートe-POWERのグレード選びは?
日産ノートのe-POWERの選び方。グレードは、e-POWERメダリスト、e-POWER X、e-POWER Sの3グレードが設定されている。このうちSは、かなり装備を簡素化した燃費スペシャルなグレードなので、一般の人が乗るグレードではないため、選択肢から外れる。
メダリストとXの装備の違いは、LEDヘッドランプ、フォグランプ、本革巻きステアリングホイール、ジャガード織物のシート表皮&ドアトリム、ヒーター付きドアミラーなど。ほかにアルミホイールやメッキパーツの使われたバンパーなどによって外観デザインも少しだけ差別化されている。さらに、メダリストは遮音性能をアップさせており、快適性も向上させている。
価格はe-POWER Xが195万9120円であるのに対し、e-POWERメダリストは224万4240円。28万5000円ほどの差がある。LEDヘッドランプ分の価格差が大きいわけだが、28万円もの価格差があると1クラス上のクルマを選ぶようなイメージになる。
こうなると、お勧めは手頃な価格が設定されたe-POWER Xのほうだ。これに、SRSカーテンエアバッグ、スマートルームミラー、アルミホイール、フォグランプなどをオプション装着したら良いだろう。実際に購入するときには、さらにカーナビ&オーディオを装着しなければならないから、e-POWERメダリストを選ぶと購入予算が大きく膨らみすぎる感じになる。LEDヘッドランプは、オプションで75,600円なので、単品でセレクトすることも可能だ。
ちなみに、e-POWER Xの購入例は以下のようになる。
車両本体価格 1,959,120円
スマートルームミラー 97,200円
SRSカーテンエアバッグ 48,600円
ナビ取り付けパッケージ 27,000円
ナビレコお買い得パック 227,926円
15インチアルミホイール 64,800円
フォグランプ 35,234円
合計車両価格 2,459,880円
e-POWER Xは低燃費車なので、エコカー減税によって自動車取得税と購入時の自動車重量税が免税になるが、自賠責保険料や自動車税、リサイクル料金、登録諸費用などがざっと10万円くらいかかるから、それも計算に入れる必要がある。そこから値引きをしてもらった金額が、実際の支払い総額である。
日産ノートe-POWER/ノート価格
■日産ノートe-POWER/ノート価格
・HR12DE-EM57(モーター) 2WD
e-POWER S 1,772,280円
e-POWER X 1,959,120円
e-POWER MEDALIST 2,244,240円
・HR12DE(1.2L) 2WD
S 1,393,200円
X 1,495,800円
MEDALIST X 1,627,560円
・HR12DE(1.2L) 4WD
X FOUR 1,711,800円/スマートセーフティエディション 1,827,360円
MEDALIST X FOUR 1,843,560/スマートセーフティエディション 1,929,960円
・HR12DDR(1.2Lスーパーチャージャー)2WD
X DIG-S 1,738,800円
MEDALIST 1,985,040円
日産ノートe-POWER燃費、スペックなど
代表グレード | 日産ノート e-POWER X |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,100×1,695×1,520mm |
ホイールベース[mm] | 2,600mm |
トレッド前/後[mm] | 1,480/1,485mm |
車両重量[kg] | 1,210kg |
総排気量[cc] | 1,198cc |
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] | 58(79)/5,400 |
エンジン最大トルク[N・m(kgf・m)/rpm] | 103(10.5)/3,600~5,200 |
モーター[型式] | EM57 |
モーター定格出力[kw(ps)] | 70(95) |
モーター最高出力[kw(ps)/rpm] | 80(109)/3008-10000 |
モーター最大トルク[N・m(kgf・m)/rpm] | 254(25.9)/0-3008 |
タイヤサイズ | 185/70R14 |
JC08モード燃費 | 34.0km/L |
定員 | 5人 |
税込価格 | 1,959,120円 |
発売日 | 2016/11/2 |
レポート | 松下 宏 |
写真 | 編集部 |
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