日産リーフ、長野へ行く。軽井沢に充電器がないって、どういいうこと? 高崎~軽井沢~上田編 [CORISM]

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2011/07/25

日産リーフの弱点は登り坂!

 高崎の日産ディーラーで、約98%まで充電してお腹いっぱいの日産リーフは、碓氷峠を経由して軽井沢を目指す。上田市まで、おおよそ90kmというナビの数字をみて、まぁ楽勝で到達できると判断。しかし、この楽勝ムードが碓氷峠を走行中に絶望の一歩手前までに追い込まれるとは、その時はまったく予想もしなかった。

 ここで、ようやく評論家ブログでもリーフの長期レポートをしている丸山さんと合流。ルンルン気分で高崎をあとのにして、碓氷峠を目指す。市街地を抜けるとゆるいダラダラとした登り坂が続く。ふと気がつくとリーフの電費(燃費と同じような意味1kwhでどれだけ走るかという指標)は、7km/kwh台に落ちている。運転手の技量の差だろう、なんて思っていた。

 碓氷峠に入る。長いドライブのため、助手席でウトウトしていると、なんと碓氷峠を7割ほど登った地点で走行可能距離があと50kmという表示に変わっていた。そして、ついに走行可能距離表示は、ドンドンと減り続け9割ほど登った地点でなんと、あと30kmと表示されてしまった。この状態で、ナビには「目的に到着できません」というコメントが・・・。

 困ったことに、リーフは登り坂に弱いという事実が判明。アクセルをそれほど踏んでいなくても、登り坂では大量に電力を消費する。その消費量は、想像以上。直近の電力消費状況で残りの走行可能距離を表すため、走行可能距離はドンドンと減っていくのだ。なんとなく、電力の消費量が多くなるようなイメージはあったが、予想をはるかに超越。高崎~軽井沢間の50km弱という距離が、満充電でも難しいとは・・・。

軽井沢には一切充電施設がないという問題が発生

 ナビは充電しろというメッセージを出すが、肝心の軽井沢には充電施設がない。自然が豊かで日本を代表するような観光地であるのに・・・。この段階で、一旦、高崎に戻るかという選択肢が頭をよぎり、長野を地元とするドライバーの丸山さんに相談。すると「あぁー、もう登り切りますし、そこからちょっと下って軽井沢。その先、上田までも下りだから大丈夫」と余裕のコメント。この余裕、なんの根拠もないただの感だけだった。

 そうこうしているうちに、碓氷峠を走破。残りの走行可能距離は25km。軽井沢駅方面に向かい緩やかに下って行く。軽井沢駅到着時には、結構走ったのに走行可能距離は35kmまで伸びた。しかし、この距離でも上田市までは微妙な距離だ。

 ここで、ようやく遅めの昼食。人間はお腹いっぱいのままだが、リーフはかなりの空腹状態。行けるのか上田市へ?

下っているのにうなぎ登り?

日産リーフ

 上田市の日産ディーラーで、最後の充電

 軽井沢駅をあとにして、上田市に向かう。ひたすたダラダラと下り坂。目的地の日産ディーラに到着する頃には、40kmも走行しているのに航続可能距離は60kmと軽井沢駅を出た頃に比べると25kmも伸びていた。

 高崎から軽井沢を経由して、上田市までの約90km。航続可能距離は、残り60kmということなので、合計150kmは走行可能ということだ。この数値は、高崎で充電直後の航続可能距離とほぼ同じ。登りは完全に電力を消費するが、登りがあれば下りがある。下りでドンドンと充電し、つじつまを合わせてしまった日産リーフ。

 実際、初めとの場所で登り下りがあると、航続可能距離で不安に思う。しかし、一度でも実際に走った経験があれば、問題はなくなる。ただ、碓氷峠のような急な登り坂のふもとには、やはり念のため急速充電ポイントが欲しい。

 リーフのナビには、さすがに登り下りのロジックは入っていない。登りで多くの電力を消費するのだから、目的地設定をした場合、登り下りのロジックで、ある程度到達できるか判別できると日産リーフの評価はさらに上がるだろう。実際に、日産の開発スタッフに聞いたところ、そういったロジックを取り入れた開発が進められているようだ。そうなれば、ますますリーフは便利になる。

観光地こそリーフの魅力が倍増する!

日産リーフ

 自然の中でのリーフは気持ちいい。音がしない電気自動車の利点が満喫できる

 今回のように、自然を観光としている軽井沢のように充電器がまったくないというのは、行政のあり方としては、少々疑問を残す結果となった。ゼロエミッションのリーフは、まさに軽井沢のような自然環境を保持する街のためには必要なクルマであることには間違いない。しかし、そのインフラ整備にまったく興味を示していないのはなぜだろうか? 
 
 今回とくに実感したのは、排ガスの臭いもエンジンの音もないリーフで軽井沢の高原をゆっくりと走ると、今まで聞こえてこなかった鳥のさえずりや、爽やかな空気の臭いまでも感じることができた。この体験は、リーフに乗っていなければ感じられなかったことだ。

 電気自動車は、シティコミューター的要素ばかりがピックアップされていて、都市内での使い方がメインのように語れれてきた。それも正しいと思う。だが、こういった自然をクルマの中で快適に楽しめるというのも大きな魅力の一つだ。自然をウリとしている観光地にこそ、自治体が積極的にインフラ整備を進め、自然保護を進めるのも観光地としてのアピールにもなる。

 首都圏からインフラ整備が進まない関越道を通らなくても、2回充電で軽井沢や上田市までに行けることができた。時間こそたくさん消費したが、その分CO2を排出せずにいられた。急速充電でも30分は必要だし、走行可能距離も短い。普通のガソリン車やハイブリッド車と比べれば、まだまだネガな要素はたくさんあるだろう。ただ、面白かったのは、スピードを競い合う時代において、まったく逆行する乗り物であること。また、多少、不便さを伴うこと。のんびり、焦らず、ゆっくりと進むことで、なぜか違う世界が見えてきたのも事実だ。そういう意味では、電気自動車の日産リーフは、ただの道具としての機能だけでなく、今までのクルマとはまったく違う価値観さえもボクに感じさせてくれた。ちょっと、セッカチな性格が穏やかになったような気がする。たぶん。

コメント

急速充電ウェルカム!というメッセージを発信して、遠方からの旅行者を受け入れるのに、逆手にとってはどうだろうか?自動車ディーラーであれば、急速充電中に試乗車を貸し出すというのも手かもしれない。他の産業であれば、この時間を有効に利用しショッピング食事を提案。或いはそもそも今回のように、受電ポイントが無いルート上の町で町おこしに使えるかも・・・静寂の代償として「待ち」の時間。ここに風情を満ちこんで、付加価値にする、これからの時代の贅沢なクルマのたびになるかもしれませんね。
by 中込健太郎
2011/07/25 22:00

大岡さま、こんにちは初めまして世田谷区北烏山在住の広澤と申します。私もリーフを所有しておりまして、7月18日~20日で軽井沢に妻と二人で旅行に行きました。リーフが登りに弱いのは、以前『箱根』に旅行した時に判っていましたのできっと碓氷峠が最大の難所だろうなと思っていました。大岡さんと同じ様に関越道はエアコンoffで窓は少し開けで走行、前橋ICの傍の『高前kit-R』さん到着時点で残距離60kmでした。ここで約90%充電、残距離207kmで軽井沢へ向け出発、碓氷峠を登りきった時には残距離28kmでした。ここから二回目の充電ポイント『軽井沢タリアセン』へ、タリアセンに着く頃には残距離45kmまで回生していました・・・が問題はここで起きました。旅行前に軽井沢町役場やタリアセン、星のリゾートのハルニレテラス等で200v充電が可能であるという情報を得て自身満々でやって来たのですが、なんとコネクターの形状が合いませんでした!ここで二次プランに切り替え、軽井沢で唯一リーフがあるお店へ行き充電(店員さんのみなさんありがとうございました)そして北軽井沢へ向かいました。まだまだお話したいことは沢山あるのですが最後に一つ。なぜガソリン車レンタカーを借りて軽井沢に行かなかったかと申しますと・・・大岡さんが書かれているように、排気ガスの出ない、エンジン音のしないリーフで、自然に迷惑をかけず北軽井沢の森の中を走ってみたかったのです。
by 広澤 剛
2011/07/28 15:52

 広澤さんも軽井沢に行かれたのですね。一度、行ければなんてことないのですが、最初はドキドキしますよね。せめて、軽井沢のアウトレットに急速充電器のひとつでもあればいいですし、レンタカー屋で200Vくらい設置して欲しいものです。私は、結果的に自然とリーフの良い関係に気付くことができてよかったと思っています。雰囲気的に言うと、自分でこがなくてもいい楽ちんな自転車にでも乗って高原を走っているような気がしました。この感動は、リーフを使って自然が豊かなところに行ったことのない人には分からないと思います。我々含め、多くのメディアも街中を数時間走っただけでは判断できないことがあるもですね。
by 大岡智彦
2011/07/28 19:13

大岡さまこんにちは、広澤です。コメントありがとうございました、『多くのメディアも街中を数時間走っただけでは判断できないことがあるもですね』メディアの方々がどの様にリーフを評価しているのか実はあまり知らないのですが、大岡さまのこのコメントに同感です。もっともっとリーフの素晴らしさを伝えて欲しいです。見通しの悪い交差点、窓を開ければ近付いて来る車のエンジンの音、耳を澄ませば自転車のタイヤから出るロードノイズ、相手が気が付くよりも先にこちらが安全を確保してあげられます。『自分でこがなくてもいい楽ちんな自転車』まさしくその通り!と思っちゃいました。高原の森の中を走行中妻が『まるで車に乗っていないみたいだね。』と・・・そうなんです互いに自転車に乗りながら普通にお喋りをしている様な感じでした。なんて言ったら良いのか上手く表現出来ないのですが、とにかく私が一番実感している事は、リーフに乗ると癒されるんです。
by 広澤
2011/07/30 13:09

皆様こんばんは。軽井沢での充電ポイントですが私が知る限りこのお店が一番近いかと思います。
http://www.logtei.jp/index.html
私自身も電気自動車の充電ポイント地図を製作中ですのでそちらの情報も!
http://maps.google.co.jp/maps/ms?hl=...
by 荻野 隆一
2011/07/31 00:41

大岡さまこんにちは広澤です、久しぶりに情報を一件投稿させて頂きますね。軽井沢へ向かう途中の富岡市役所に急速充電器が設置された事はご存じかと思います、そしてやっと来月、11/08に軽井沢町役場に急速充電器が新設されるそうです、まだはっきりとはしていませんが充電器は24時間営業らしいですよ。クリスマスに妻と二人で行って確認してきますね。
by 広澤 剛
2012/10/24 16:48

広澤様 ようやく軽井沢町役場に急速充電器が新設されるのですね。24時間営業というのはいいですね。多くの場所が、24時間対応できないので、深夜に充電できないのがEVの泣き所でもありましたし。来年の夏頃に、上田市の大きな病院が移転し新築されます。その病院には、2台の急速充電器が設置される予定だそうです。充電ビジネスは非常にむずかしいので、こういった企業が社会貢献のカタチでEVインフラを整えるということは、とてもいいことだと思います。
by 大岡智彦
2012/10/28 17:30