トヨタ ミライ(MIRAI)長期評価レポートVol.12 ミライを渋滞路でテストする! 想像を超えた燃費値が!? [CORISM]
平均車速26㎞/hで20分走行した燃費は、なんと128.7㎞/㎏!? 高速クルージングを超える燃費値を記録!
そこで今回は、渋滞路での燃費がどのようなものになるかを測定することにした。夏の朝の渋滞時間中に環状7号線を走り、通勤ラッシュの中でどうなるかを確認した。走り出す前の感覚値では、ストップ&ゴーを繰り返す渋滞路では90㎞/㎏台程度の燃費値になるのではと予想していた。
東京の環状線の中でも重要な路線である環状7号線は、大田区の平和島から江戸川区の臨海町までの52.5kmとされている。錦糸町からは臨海町のほうが近いので、臨海町を起点に内回りを走行することにした。スタート時間は朝の8時ちょうどだ。
最初のうちは片側3車線の区間が続く。交通量はそこそこ多くて信号待ちなどはあるものの、流れはまずまずで渋滞というほどではなかった。燃費を意識した走りを心がけるものの、実際には交通の流れに合わせて走るしかないという状況。つまり、一般的なドライバーと何ら変わらない走行条件になる。もちろん、エアコンもオン状態での走行だ。
東京都区部の東側を走る区間では、3車線区間が多かったこともあって燃費は上々で、最初の10.8kmを走る間は、ミライのメーターには128.7km/kgが表示された。ここに至るまでの間には表示が130km/kgを超えていたほどだ。そこそこ流れも良かったこともあり、まあ、走り出した当初の燃費なので誤差のほうが大きいと考えられる。ただ、渋滞区間を走らせても案外良い燃費が得られるのではないかという感触があった。
ミライの渋滞中の燃費がけっこう良い数値を示すのは、停車中には燃料電池のスタックが休止していることが大きい。真夏の暑い日のドライブでエアコンを常時オンにしていたが、クルマが停車しているとき、エアコンを作動させるために燃料電池が動くことがあまりなかったからだ。エアコンの電力は、搭載しているニッケル水素電池などによってカバーできるからだ。
小まめに回生する協調回生ブレーキと、ニッケル水素バッテリーが渋滞路で頑張った!
大谷田陸橋、梅島陸橋、江北陸橋など、北側区間にある陸橋を越えていくうちにだんだんに燃費の数字も悪化してきた。
東京都区部の西側区間にも大和町陸橋、板橋中央陸橋、桜台陸橋、豊玉陸橋、丸山陸橋、大和陸橋、高円寺陸橋などがあり、陸橋によってスムーズに流れる部分と微妙に渋滞する部分などがあった。
ヘビーな渋滞に捕まってしまったのは、甲州街道と交差する大原交差点。ここは甲州街道がアンダーパスになっていて、環状7号線は平面を走ることになる。この大原交差点では環状7号線の内回りは甲州街道の下り線へ右折するクルマがとても多く、その右折待ちのクルマが右折車線に収容しきれずに本線にまでつながっていた。
前にトラックを含め、たくさんのクルマが連なっている状態ては、その状況が把握できず、しばらくクルマが動かない状態になった。途中で気付いて左側の車線に移動したが、かなりのロスになってしまった。
こうした状況でも、ミライ燃費計は急激に悪くなることは無い。ガソリン車でこういったシチュエーションになると、アイドリングストップ機能もバッテリー容量が少なくなり、ほとんどエンジンが停止しなくなる。そうなると、燃費はドンドン悪化していく。
ところが、ミライの場合は、協調回生ブレーキがこまめに電力を回生しニッケル水素バッテリーに貯める。そのため、停止中はほとんどFCスタックが発電するケースが少ない。また、ニッケル水素バッテリーに余裕があると、渋滞時の微低速時にはニッケル水素バッテリーからの電力でモーターを駆動する。FCスタックは発電しないまま、ストップ&ゴーを繰り返すので燃費が悪くならない。
もちろん、ニッケル水素バッテリーの電力を使いきってしまえば、FCスタックが発電するので燃費は悪化するのだが、そこまで行く時間がかなり長い。今回の渋滞ドライブ中では、そうした状況になったのは多くはなかった。
高速道路での燃費と大差なし! 平均車速19㎞/hで、燃費109.1km/㎏
平和島のゴール地点では停車しにくかったので、大井埠頭に入ったあたりで停車したが、3時間1分かけて56.9km(平均車速19km/h)を走った結果は、モニターに109.1km/kgと出た。長距離を走るときと大して変わらない数値である。ミライは渋滞にも強いことが確認できた。
ミライの燃費が悪くなるのは、都内で比較的元気の良い走りをするようなシーンである。道路交通状況に合わせながら、やや強めの発進や減速を繰り返すような走り方をしていると、どうしても燃費の数値は悪くなる。
5月末に納車されて以来、これまでミライの水素充填の回数は17回になるが、最も燃費が悪かったのは、都内を中心に使って189km走ったときの89.3km/kgだった。ほかの15回の充填では、必ず高速走行をする機会があったが、このときにはほとんどが都内で、首都高などを多少使った程度だった。
ミライも走り方によって燃費が変わるのは、ガソリン車やハイブリッド車などと同じである。さらにいえばミライは電気自動車なので、力強い走りを得ようすればするほど燃費が悪くなる傾向が強くなる。一人で都内を走らせるときには、そんな走りをしがちだが、試乗会などで遠方まで出かけるときには割と穏やかな運転を心がけている。
新たな発見! ミライに乗ると「運転がていねいになり、心が穏やかになる」?
ミライ所有するようになって、穏やかな走りをするようになったのなら、それはミライから得られる大きなメリットであるといっても良い。個人的に究極のクルマとは、“ハンドルを握るとやさしくなれるクルマ”であると思っているが、ミライにはそうした資質があるのかも知れない。これは、私が期待していなかったミライの性能である。
トヨタ ミライ価格、航続距離、スペックなど
代表グレード | トヨタ ミライ(TOYOTA MIRAI) |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,890×1,815×1,535mm |
ホイールベース[mm] | 2,780mm |
トレッド前/後[mm] | 1,535/1,545mm |
車両重量[kg] | 1,850㎏ |
最小回転半径[m] | 5.7m |
FCスタック型式 | FCA110 |
FCスタック最高出力[kw(ps)] | 114(155)kw(ps) |
高圧水素タンク容量[L](2本) | 122.4L(前方60.0L/後方62.4L) |
モーター最大出力[kw(ps)] | 113(154)kw(ps) |
モーター最大トルク[N・m(kg-m)] | 335(34.2)N・m(kg-m) |
駆動用バッテリー | ニッケル水素電池 |
容量[Ah] | 6.5Ah |
サスペンション(フロント/リヤ) | ストラット式コイルスプリング/トーションビーム式コイルスプリング |
最高速度(㎞/h) | 175㎞/h |
一充電走行距離距離[㎞] | 約650㎞(JC08モード走行パターンによるトヨタ測定値) |
定員[人] | 4人 |
税込価格[円] | 7,236,000円 |
発表日 | 2014年11月18日 |
レポート | 松下宏 |
写真 | トヨタ/編集部 |
コメント
背景に写真撮られてましたね。丁度庁舎から出たらミライが停まっていてその後ろに会社からの連絡待ちで停車してました。(プロボックスです。)
どこかで見たナンバー、まさかと思い見ていたらやはり先生でした(笑)。
ミライは結構目撃しているので特に珍しくもないのですが夕方時見たのは初めて。そこで感じたのは
テールランプがしつこい位大きいのが災いしてブレーキランプ踏むと眩しいのなんの。これハッキリ言って
後ろはかなり迷惑です。バックランプもウインカーも国産では珍しくLEDなのは以外。レクサスの一部の
車種位かと思ったけどミライもLEDなんですね。もっと下位車種にも採用して貰いたいですがあのランプの
大きさと眩しさだけは頂けないですね。一度外から御自分の目で確かめてみて下さい。意外な発見がありますよ。
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