2013年、当時放送中の大河ドラマ『八重の桜』にちなんで、コリズムでは会津若松市から仙台市まで三菱 アウトランダー PHEV を走らせて、長距離走行での使い勝手をレポートしました。あれから２年半、アウトランダーがマイナーチェンジをして大きく変わったとのことで、2015年をもう少しで終わるという暮の忙しい時期、突然編集長から呼び出しがかかります。

「またアレ、やってほしいんだけど」「えっ、会津から仙台までの走行ですか？ 年も押し迫ったこの時期にカンベンして下さいよー。」「違う違う、今年の大河ドラマは『花燃ゆ』だっただろ。」「ええっ、あれって長州藩の話だったような・・・。ま、まさか、山口県まで行けってことですかっ！？」「そう！と言いたいところだけど、俺も鬼じゃないから、半分の神戸までカンベンしてやろう。うーん、なんて優しいんだろう、オレ！」「・・・」

　と、いうことで、東京は港区にある三菱自動車の本社から神戸まで、新しくなったアウトランダーPHEVの長距離走行企画は、なし崩し的にスタートしました。

　とはいえ、片道約600kmもある行程、高速道路をただ走るだけなんて内容のレポートつまらん。「そうだなー、『聖地』と呼べる場所に寄って行くっていうのはどう？ 経費と燃費代はできるだけ少なく、『聖地』はできるだけ多くっていうことで」という編集長の無茶振りに泣く泣くアウトランダーPHEVを発進させたのでした。アウトランダーPHEVにとっての聖地とは・・・？ 愛知県岡崎市にあるアソコ？こちらは後編で。

　取り合えず行程を考えなきゃと、気もそぞろに車を動かします。すると、すぐに「オッ、前よりずっとEV らしくなってる！」と感じました。もともと、アウトランダーPHEVは「EV」部分がひときわ大きくなったエンブレムがフロントフェンダーにつくなど、電気モーターで走ることを基本とする車だったのですが、さらにEV感が強くなった気がします。

　これは、マイナーチェンジでの変更によって、今まで聞こえていた走行音の室内侵入がかなり抑えられて、静粛性が大幅に増しているからです。さらに、EV走行からエンジンが始動するモードへの切り替わりが実にスムーズで、音の変化や振動などがほとんど感じられなくなっています。かなり意識していないと、エンジンが始動したことさえも気付きにくくなったからかもしれません。

　アウトランダーPHEVは、フル充電だと電池だけで60.8km（今回試乗したグレード「G Premium Package」のみ60.2km）走ることになっています。家族の送り迎えや買い物などの日常ユースでは、本当に純粋なEVとなります。それでいて、今回のような片道600kmを超えるようなロングツーリングでは、ガソリンも併用するので航続距離や充電の心配もありません。こうした使い勝手の良さがPHEVの魅力でもあります。今、最も現実的な環境対応車ともいえるのではないでしょうか。

　そうしたこともあり、欧州の自動車メーカーもPHVに力を入れ、続々と発売を開始しました。ただ、欧州車のPHVは価格が高く、アウトランダーPHEVの3,596,400円からという価格は非常にコストパフォーマンスにも優れたものとなっています。

　さらに、荷室も広く多くの荷物もちゃんと載せられます。また、1500W AC100V電源もあり、アウトドアなどでは、家電製品も使えアイデア次第で色々楽しめるのもPHEVならではのものです。また、車体は大きいのですがアウトランダーPHEVの最小回転半径は、なんと5.3mなんです。コンパクトカー並みの機動性を持っていて、スーパーやコンビニなどの狭い駐車場などでもハンドルが切れ使いやすいのも特徴です。

　とはいえ、せっかくのPHEVですから充電できる時は、しっかりと充電して少しでも燃費を稼ごうと、事前にどこに充電スポットがあるのかを調べるとビックリ！ 2年半前より格段に多くなっていました！

　以前は、自動車ディーラー以外には県庁などの公的施設や高速道路のSA（サービスエリア）、道の駅などが主な設置場所でしたが、複数の自動車メーカーが共同で出資・設立したNCS（日本充電サービス）という会社が「チャージスルゾウ」というネーミングで利用方法や利用料金体系を統一。ある程度、設置コストの回収の見通しが立てやすくなり、コンビニなどの商業施設の駐車場にも急速充電器が設置されるようになったのです。

　NCSの急速充電器は1回の充電は30分間、料金は450円（1分15円で課金×30分、消費税別）。普通充電は2.5円/分（消費税別）の料金になっています。自動車メーカーが発行するカードだと違う料金体系の場合もあります。

　従来の急速充電器は、自分で充電時間や充電率等を選ぶ方式が主流でした。そのため、充電口を差し込んだ人がで充電口を抜くまで、ほとんど占有状態。そんなこともあり、急速充電器に関するトラブルは度々起きていたのが現状です。ですが、NCS方式だと先に充電しているEVのオーナーが帰ってこなくても、1回の充電時間は30分までとされているので、時間が過ぎていれば充電が自動で終了しています。そのため、次の人が充電口をつけかえて充電することができます。これなら、トラブルも少なくなりますね。また、コンビニに充電器があれば、ちょっとした買い物のついでに充電できるので、自動車ディーラーにわざわざ行くより使い勝手もよし。充電関連のインフラは、ドンドンと増え便利になっています。

　今回は、早朝出発しようと思っていたので、急速充電器のあるコンビニで、あえて朝ごはんを購入しアウトランダーPHEVの電池と自分のお腹を同時に十分満たしたところで、いざ神戸に向けて出発です！

　道中、聖地（愛知県岡崎市のアソコ）へ無事たどり着けるのか？ また、アウトランダーPHEVの進化の内容が長距離移動にどのように影響を与えているのか、実燃費計測など、次回のレポートをお楽しみに！（つづく）

■三菱アウトランダーPHEV価格
・M　3,596,400円
・G Safety Package 3,882,600円
・G Navi Package 4,233,600円
・G Premium Package 4,590,000円
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＜三菱アウトランダーPHEV Gナビパッケージ　スペック＞
・全長×全幅×全高 　4695×1800×1710mm
・ホイールベース 2670mm
・トレッド前 / 後　1540/1540㎜
・タイヤサイズ 225/55R18
・車両重量 1850㎏
・乗車定員 5 名
・駆動方式 4WD
・モーター　搭載数 2 基 （フロント 1、リヤ 1）
・モーター最高出力 フロント：60kW、リヤ：60kW
・モーター最大トルク フロント：137N・m、リヤ：195N・m
・バッテリー
　種類 リチウムイオン電池
　総電圧 300V
　総電力量 12kWh
・エンジン
　2.0L 4 気筒 MIVEC ガソリンエンジン
　最高出力87kw［118ps］/4500rpm、最大トルク186N・m［19.0㎏-m］/4500rpm
・ハイブリッド燃料消費率（JC08 モード） 20.2㎞/L
・充電電力使用時走行距離　60.8km/L