ホンダ は、低全高型の多人数乗用車である新型ホンダ ジェイド（JADE）に直噴1.5Lダウンサイジングターボエンジンを搭載したジェイドRS（JADE RS）を追加し発売を開始した。

新型ホンダ ジェイド（JADE）は、2015年2月に発売されたばかりのモデル。新型ジェイドは、低全高型の6人乗り車としてデビュー。全高を1,530㎜とすることで、全高1,550mmまでという都心部に多い立体駐車場でも使える都市型多人数乗車モデルとしての価値をアピールした。

デビュー時は、1.5L直噴エンジンを使ったハイブリッドシステムのみの設定。このハイブリッドシステムは、SUVのヴェゼル同じもの。システム出力は152psというもので、2.0Lガソリン車クラスの実力をもつ。燃費は、エントリグレードが25.0㎞/Lで上級グレードのハイブリッドXの燃費が24.2㎞/Lという低燃費性能を誇っている。

そのジェイドだが、新型車なのに販売台数が伸び悩んでいる。月販3,000台の目標をすでに割り込んでいる状況だ。これには、理由がある。まず、売れ筋グレードのハイブリッドXの価格が292万円と高額。この価格は、両側スライドドアをもつ本格派ミニバンのトヨタ ノア＆ヴォクシーとほぼ同じ。こうしたモデルより、乗車定員も少なく室内も狭くスライドドアを持たないジェイドは高価なイメージとなるのは当然だ。

本来ならジェイドは、ガソリン車も同時にリリースしたかったところだが、ジェイドの後に登場するステップワゴンに同じ1.5L直噴ダウンサイジングターボを搭載することから、今回のようにガソリン車はやや遅れて登場することになったようだ。ステップワゴンに、ホンダ初のダウンサイジングターボ搭載、というアピールがしたかったからだろう。

そして、ステップワゴンも発売され、ようやくジェイドにも直噴1.5Lダウンサイジングターボが搭載された。エンジンスペックは150ps＆203Nmで、ステップワゴンと同じ。スペック的には、2.0Lガソリン車相当。ホンダが2.4L相当と言っているのは、低速域でのトルクが2.4L車並みということだ。

新型ジェイドの燃費は18.0㎞/Lとなっている。ハイブリッド車に比べ燃費は約30％ダウンなので、なかなかの低燃費性能をもつ。また、ライバルとなるトヨタ ウィッシュの2.0Lの燃費が14.4㎞/Lなので2.0Lガソリン車よりも20％ほど燃費がよいことになる。

また、外観デザインはハイブリッド車との差別化が図られた。フロントグリルは、メッシュタイプの専用デザインを採用。さらにテールゲートと同様、フロントグリルにもRSエンブレム装着。「フォグライトガーニッシュ」、「アウタードアハンドル」、「テールゲートモール」にはダーククロームメッキを、ホイールには「17インチ ノイズリデューシングアルミホイール」を採用した。

インテリアは、ブラウンとブラックの2色を用意。シートはファブリックとプライムスムースのコンビシートとなった。本革ステアリングとブラックシートには、レッドステッチを施し、マニュアル感覚のシフト操作を可能とするパドルシフトを装備。アクセルペダルとブレーキペダルは、RS専用デザインとした。

こうした見た目だけでなく、クルマのキャラクターも大きく変更されている。RSというグレード名からも分かる通り、なかなかスポーティな味付けがされた。サスペンションは、ハイブリッド車に対してフロントの剛性を15％、リアの剛性を20％アップ。さらに、スプリングやダンパーなどには、RS専用のセッティングを施した。その結果、安定感のある走りと軽快なステアフィールを実現。

さらに、走りのパフォーマンスを向上させるために、電子制御システム「アジャイルハンドリングアシスト」を採用。ブレーキ制御を活用することで、コーナリング時に狙ったラインをトレースしやすく、少ないステアリング操作でスムーズな車両挙動を可能としている。

こうしたハンドリング性能の向上を目指した装備を生かすために、ボディを補強。アンダーフロアパネルに補強部材のトンネルブレーズを追加し、フロア回りの剛性を強化した。

新型ホンダ ジェイドRSは、単に安価なガソリン車というタイプではなく、走りを重視したモデルとして投入された。日本マーケットは、どうしてもハイブリッド車が人気の中心になってしまうが、これくらいキャラクターがハイブリッドと異なれば、あえてスポーティなジェイドRSを選ぶという選択肢もありだろう。ただ、せっかくRSの名を付けるのなら、ステップワゴンと同じエンジンスペックではなく、もう少しパワフルな仕様にしても良かったかもしれない。