ダウンサイザーの受け皿として、コンパクトセダンとして価値を高めた
ホンダは、コンパクトセダンのグレイスをマイナーチェンジし発売を開始した。
ホンダ グレイスは、2014年に登場。フィットをベースとしたセダンだ。ホンダには以前、同じようにフィットをベースとしたセダンで、フィットアリアをラインアップしていた。このフィットアリア、セダンマーケットの縮小していることもあり、あまり売れなかった。これは、単にマーケットだけの問題ではなかった。フィットという名前が付き、外観もあまり変えずにセダン化したことだった。
とくに、ダウンサイザーである顧客にとって、フィットの派生車というイメージはあまり良くなかったようだ。そこで、グレイスはフィットをベースとしながらも、外観デザインなどはフィットを感じさせないものとし、独立したデザインにし、車名も独立したグレイスとした。
当初、グレイスはハイブリッド車のみの設定だったが、モデル途中で1.5Lのガソリン車を投入。このガソリン車は、安価な設定で装備も簡素化されたビジネス用ともいえるものだ。
ホンダ グレイスの販売状況だが、デビューから1年弱の間は、新車販売台数ランキング30位以内に入っており、なかなか好調だった。しかし、こうしたコンパクトセダンのニーズをもつ顧客に一通り販売された後は、徐々に販売台数も縮小。その後、新車販売台数ランキング30位以内に入ることはほとんどなかった。コンパクトセダンマーケットの需要は、非常に少なくなっているので、売れていないというよりも、仕方ないといったところだろう。
全車標準装備化ではなく、残念な設定になったホンダセンシング
マーケットが縮小しているから、グレイスの販売台数が少ないのは仕方のないこと。しかし、そのまま放置していたのでは、ドンドンと売れなくなるというのも事実だ。目の肥えたダウンサイザーの受け皿になるためには、質感・装備・性能など、一定の期間でアップデートする必要がある。
そして、今回のマイナーチェンジでは、高齢者が多いグレイスの顧客層を考え、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備「ホンダセンシング」が用意された。
ホンダセンシングは、単眼カメラとミリ波レーダーを組み合わせたもの。歩行者検知式自動ブレーキや誤発進抑制機能、車線維持支援、前走車追従式クルーズコントロールなど、8つの機能をもつ先進予防安全装備だ。グレイスのような小型のセダンは、高齢者が乗るケースも多いので、こうした予防安全装備の充実は重要。しかし、残念ながら全車標準装備ではなく、4グレード中、上から2つのグレードのみに標準装備。残りの2グレードはオプション設定だ。
また、衝突時に重要なサイド&カーテンエアバッグも上から2つのグレードには標準装備。残りの2グレードにはオプション装備となる。
ライバルとなるトヨタ カローラアクシオと比べると、先進予防安全装備はグレイスが勝る。カローラアクシオは、対車両のみの自動ブレーキで歩行者は検知しない。ただ、サイド&カーテンエアバッグは、全車標準装備化されており、グレイスに勝っている。
どちらも微妙な状態で、そろそろホンダセンシングとサイド&カーテンエアバッグくらいは全車標準装備化してほしいところ。ホンダは安全思想でセーフティ・フォー・エブリワンを掲げているのだから。
ライバル、カローラアクシオを上回る34.8㎞/Lの燃費値を達成!
グレイスはフィットがベース。そのフィットが、マイナーチェンジで燃費向上したことを受けグレイスの燃費も34.4㎞/Lから34.8㎞/Lへ向上。この燃費値は、カローラアクシオの33.8㎞/Lをやや上回る数値となった。
そして、ダウンサイザーの受け皿として重要なのは、高級感があること。そこで、グレイスは力強さと高級感をアピールすデザインを採用。フロントグリルは、ややシャープな印象となった。前後のバンパーのデザインもスポーティなタイプのものに変更された。また、フロントフェイスのイメージを決めるヘッドライトは、インラインタイプのLEDヘッドライト(HYBRID LX/EXに標準装備)が採用された。高級感と先進感をアピールする。
ボディーカラーは、新色であるブリリアントスポーティブルー・メタリックとルナシルバーメタリックの2色が追加。全7色のバリエーションとしている。
インテリアでは、全グレードでシート表皮を一新。より高級感ある仕上がりとし、全4タイプを用意。また、小さいところだが、フロントマップランプやルームランプにLEDを採用。ちょっとした部分だが、うまく上質を表現している。
そして、快適装備系では、ようやくApple CarPlayに対応。スマートフォンと連動した新機能を追加。より運転が楽しめ、便利になったナビのインターフェイスを得た。
ホンダ グレイスのグレード選び方
ホンダ グレイスのグレード選び。グレイスHYBRID LX Honda SENSINGの価格は2,236,680円となった。従来のLXに比べ約19万円ほど価格がアップしている。ホンダセンシングやLEDヘッドライトなどの装備がプラスされているので、まぁ、安くはないが装備なりの価格アップといったところ。
ガソリン車のLXは、1,769,040円と価格は安いが装備も簡素化されている。予算重視で割り切るのなら、リーズナブルな1台。ただ、オプションのホンダセンシングを選択することが前提だ。
ハイブリッド車のDXの価格は1,979,640円と200万円を切っているが、これは価格訴求用のおとりグレード。装備はかなり簡素化されている。かなり選びにくいが、予算重視というのであれば、ハイブリッド車の低燃費性能を楽しめる。ただ、これもホンダセンシングをオプション選択すると、ひとクラス上のLXと大きな価格差は無くなる。
ただ、多くの人が満足するグレードということになると、2,236,680円のLXグレードからとなる。EXとの大きな装備差は、LEDフォグライトやコンビシート、シートヒーター(FF車のみ)、16インチアルミホイールなど、またEXは遮音効果も高められている。
EXの価格は2,353,320円とLXとの価格差は12万円ほど。なかなか微妙な価格差だ。LXのFF車はシートヒーターがオプションでも選べない。中高年にとって、冬場のシートヒーターはかなり快適だ。寒冷地以外でもかなり便利な機能。シートヒーターの利便性を知っている人には、EXを選ぶしかない。
シートヒーターが必要ないとうのであれば、LXで十分といった仕様になっている。今までクラスが上のセダンに乗っていて、より上質な質感や走りというのであればやはりEXがお勧めとなる。
ホンダ グレイス価格
<ガソリン車>
・LX 1,769,040円/4WD 1,985,040円
<ハイブリッド車>
・HYBRID DX 1,979,640円/4WD 2,195,640円
・HYBRID LX Honda SENSING 2,236,680円/4WD 2,452,680円
・HYBRID EX Honda SENSING 2,353,320円/4WD 2,569,320円
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