メルセデス・ベンツ Aクラス新車情報/購入ガイド スタイリッシュに大変身したAクラス。若年層を取り込め!! アニメでカジュアルなメルセデス・ベンツブランド戦略スタート [CORISM]
従来のモデルとは、まったく異なるコンセプトで生まれた新型Aクラス
以前のAクラスはメルセデス・ベンツ初の市販FF車として、燃料電池車に使うことも考慮した独特のボディ構造を持つスペース系のモデルだった。専用のプラットホームは床面が高くなるという欠点があったが、衝突安全の面では優れた構造だった。
新型メルセデス・ベンツAクラスでは、新プラットホームを採用するとともに、同じプラットホームを採用するBクラスより全高の低いスポーティなパッケージングを採用するクルマに変わった。これまでのAクラスユーザーは、Bクラスに任せた形である。
<メルセデス・ベンツAクラス試乗評価の続きはコチラから>
■メルセデス・ベンツ Aクラス試乗評価 メルセデスなのに、価格的フレンドリーになったスポーティ・ハッチバック
若年層を取り込むための切り込み隊長は、スタイリッシュに生まれ変わり激戦Cセグメントに参入
新型メルセデス・ベンツAクラスは、先代までのコンセプトを大きく変えて登場した。従来モデルは、まさにコンパクトカーの王道を行く短い全長と背の高いプロポーションをもっていた。しかし、新型Aクラスは、多くのハード部分をBクラスと共有している。大きく違う部分は、デザイン。全高を約100mm下げ、スタイリッシュなスタイルへと変貌を遂げていることだ。ひとつクラスの小さなAクラスとしてはいるが、ほとんど背の低く流麗なBクラスといってもいい。
Aクラスのプロポーションは、全長は4,290mm、全幅1,780mm、全高1,435mmと、BMW1シリーズの4335×1765×1440mmよりも、FF車ながらワイド&ローなフォルムへとなっている。このサイズは、もはや今までのAクラスにあらず。BクラスやBMW1シリーズ、VWゴルフと同じCセグメント車だ。メルセデス・ベンツは、このCセグメントにキャラクターの違う2台を投入し、マーケットリーダーを狙っている。
ハード部分はBクラスなので、搭載されるエンジンも同じ。1.6L直噴ターボ+7速DCTの組み合わせで、最大出力122PS(90Kw)/5000rpm、最大トルク200Nm(20.4kg-m)/1,250-4,000rpmを発揮するA180をメインに据えている。
背を低くしてスポーティさをアップしたことにより、Bクラスにない新グレードA250シュポルト(SPORT)が用意されている。A250シュポルトは、AMGが開発初期から携わったといスポーツモデル。新開発2.0L直列4気筒直噴ターボエンジンは、最高出力210PS(ベースモデル比+88PS)、最大トルク350Nm(ベースモデル比+150Nm)をアウトプット。0-100km/h加速では6.6秒(ベースモデル比-3.5秒)と、スポーツカー並の俊足を誇るモデルだ。
さらに、専用サスペンションはもちろんのこと、専用エアロパーツに、ブラックのカーボンデザイントリムにレッドアクセントが入ったインテリアなど、オリジナリティの高い仕様となっている。AMGの名前こそ付けられていないものの、走りを意識したモデルだ。こういった、付加価値が高いモデルは、お値段も高めで420万円となっている。
メルセデス・ベンツAクラスの価格は、メルセデス・ベンツブランド最安値となる284万円から。この価格でありながら、サイドエアバッグにニーエアバッグ、ウインドウエアバッグなどが標準装備されている。さらに、30km/h以下のレーダー式追突軽減ブレーキシステムであるCPAまで全車標準装備と、エントリーグレードであろうともメルセデス・ベンツらしい高い安全装備がウリだ。
ライバルBMW1シリーズの116iが308万円。FF車なので割安傾向になるとはいえ、24万円も安いとなると、BMWにとっては脅威だろうし、今年夏に登場すると言われているVWゴルフ7の価格にも影響をあたえると思われる。
また、新型Aクラスは、そのスタイリッシュさと低価格という2本柱で、今までのメルセデス・ベンツにはない若年顧客層の取り込みを狙う切り込み隊長的な役割りを担う。全自動車メーカーの課題に、メルセデス・ベンツは、日本オリジナルのアニメ戦略など、タレント頼みのCMとは違う姿勢をとっている。今後の売れ行きが注目される1台だ。
若年層取り込みのため、新しい購入方法として「My Mercedes メンテナンス」と2.90%ウェルカムプラン
(5 年タイプ・残価設定型ローン)を用意。月々定額10,000 円からのファイナンスプログラム「まるごとプラン」を用意。手軽なローンに、初回車検を含むメンテナンス費用が組み込まれ、5 年間安心してメルセデス・ライフを楽しむことができる。
メルセデス・ベンツは、車検や点検、部品交換の工賃などが国産車と比べ高価。本来ならば、こういったプランがなくても維持費の価格引き下げは積極的に行うべきだ。そんな状況のため、輸入車は買えないと思っている顧客も多い。こういった車検や点検で、想像以上の出費を抑え、なるべく定額でメルセデス・ベンツに乗れるという仕組みは歓迎したいし、携帯電話っぽい買い方も今時の若年層には理解を得られるだろう。
メルセデス・ベンツAクラス 価格 燃費 スペック等
・A 180 BlueEFFICIENCY 284万円
・A 180 BlueEFFICIENCY Sports 335万円
・A 250 SPORT 420万円
代表グレード | メルセデス・ベンツA180 |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,290×1,7805×1,435mm |
ホイールベース[mm] | 2,700mm |
トレッド前/後[mm] | 1,545/1,545mm |
車両重量[kg] | 1,430kg |
総排気量[cc] | 1,595cc |
エンジン最高出力[kW(PS)/rpm] | 90(122)/ 5,000rpm |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] | 200(20.4)/1,250~4,000rpm |
ミッション | 7速DCT |
タイヤサイズ | 225/45R17 |
JC08モード燃費 | 15.9km/L |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 2,840,000円 |
発売日 | 2013/1/17 |
レポート | 編集部 |
写真 | メルセデス・ベンツ |
2013年1月8日更新 背の低いスポーティなBクラス?
メルセデス・ベンツAクラスは、1998年にデビュー。初代Aクラスは、わずか3,605mmという小さいボディながら、1,575mmと少し背の高いフォルムで5名乗車を可能とした。メルセデス・ベンツらしく、高い安全装備も備え、小さな高級車といえる仕様だった。2代目Aクラスは、2005年にデビュー。キープコンセプトの2代目モデルだが、全長は3,850mm、全高は1,595mmと多少大きくなったが、それでも4mを切るコンパクトなサイズだった。
今回導入される新型メルセデス・ベンツ Aクラスは、大きくコンセプトを変更。欧州仕様A180で、全長4,292×全幅1,780×全高1,433mmと、もはやコンパクトカーとはいえないくらいに巨大化した。初代Aクラスと比べると、全長で約690mmも大きくなった。全長だけなら、4,365mmのBクラスと大差はないほどだ。
Bクラスと大きくサイズが違うのは、全高。1,540mmあるBクラスに対して、新型Aクラスは約100mm低い。2代目Aクラスと比べると、なんと約160mmも低くなっている。Bクラスは、背が高くファミリー感のあるコンパクトカーに対して、Aクラスはカジュアル・スポーティなフォルムになっている。
基本的に、ボディサイズは全高を除き、ほとんどBクラス。搭載されるエンジンも同じで、A180には1.6Lダウンサイジングターボとなる。スペックも122PS(90Kw)/5000rpm、200(20.4)/1,250-4,000rpmというパワーとトルクになるとみられている。燃費は、車高が低くなった分だけ、軽量化されていると予想されることから、Bクラスの16.0km/Lより、若干優れてた結果になるだろう。
欧州仕様には、クリーンディーゼルエンジンも存在するが、残念ながら排ガス規制はユーロ5止まり。ユーロ6に対応していないと、日本のポスト新長期対応は厳しいため、当面ディーゼル車の導入はないと思われる。
すでに、Aクラスは限定車の先行発売が開始され終了している。価格は、A180 BlueEFFICIENCY EDITION NEXTが325万円、A180 BlueEFFICIENCY Sports EDITION NEXTが375万円となっている。これらのクルマは、限定車なので300万円超となっているが、おそらくエントリーグレードのA180ブルーエフィシェンシーは、確実に300万円を切る価格設定がされるだろう。カジュアル路線で、買いやすさをアピールするAクラスなので、Bクラスの299万円より、さらにお買い得感のある価格になるはずだ。
アニメでブランド変革! 日本独自の戦略スタート
キャラクターデザインに「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズを手掛けた貞本義行氏、演出に西久保瑞穂氏、作画に黄瀬和哉氏、音楽に川井憲次氏など、日本アニメ界屈指の才能が集結した、6分間の本格アニメーション作品が実現した。これは、日本独自のキャンペーンとなっている。
疑問に思うのは、なぜメルセデス・ベンツがアニメなのかという点だ。これには、メルセデス・ベンツが日本で抱えている大きな問題点の解決策のひとつとして、大きなチャレンジなのだ。
メルセデス・ベンツの保有は、セダン中心で、トヨタなどと同じく高年齢化が進んでいる。高年齢の保有は、いずれ消滅する。今までは、例えば40歳代はCクラス、50歳代になればEクラス、そして60歳代になるとSクラスと顧客のステータスと年齢が上がるのと同時に、クルマもサイズアップしてきた。しかし、現在の経済状況や顧客の価値観は、大きく変化し、今まで通りの商売では成り立たなくなっているのだ。トヨタの新型クラウンが大きくイメチェンしたのも、ほぼ同じ理由によるもの。
さらに、メルセデス・ベンツ=超保守というイメージも強く、最近では知名度の低かったアウディがPRイベントなどを積極的に利用して、知名度と洗練されたイメージのアピールに成功。結果、販売台数を伸ばしている。
そこで、メルセデス・ベンツは、AクラスとBクラスを若年層の顧客獲得の切り札として設定。古い世代には、信じられないくらいメルセデス・ベンツがカジュアルなプロモーションを展開している。これは、今までのメルセデス・ベンツのカタイイメージを大きく変革したいという想いの表れでもある。
今回のアニメによるプロモーションも、日本独自の戦略だ。グローバル化が進んだとはいえ、国が違えばメルセデス・ベンツに対するイメージも若干違う。ヨーロッパや北米などと同じ手法では、ブランドイメージの変革などできない。そう判断したのか、日本のお家芸ともいえるアニメで若年層にアピールすることを選択した。
まさに、大胆なイメージ戦略だ。これなら、メルセデス・ベンツというブランドやクルマに興味がない若年層に、まずはリーチ可能。リーチできたなら、いざクルマを買う場合に、メニューリストに入ってくる可能性も高まる。アニメの中のAクラスを見て、本物を見てみたいと思う人もいるだろう。
このアニメ1本で、ブランドイメージの変革など簡単にできないと思うが、新たなチャレンジとしては大きな意味を持つはずだ。最近では、このアニメが海外にも流れ好評だという。
日本メーカーのCMは、タレントのイメージで勝負したがるが、あえてアニメを選択したメルセデス・ベンツの戦略はおもしろい。今後どのようにして、ブランドイメージ変革を続けていくのか、メルセデス・ベンツのチャレンジに注目だ。
NEXT A-Class アニメーション
メルセデス・ベンツ Aクラス 欧州仕様車画像集
メルセデス・ベンツ Aクラス プロダクトフィルム
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