メルセデス・ベンツSクラス新車情報・購入ガイド カメラが目となり、知能をもった世界最高水準安全性能をもつ高級セダン [CORISM]
パワーユニットには、とくに目をみはるような特徴はないが、効率向上が図られた
新型メルセデス・ベンツSクラスは、まだ型式認可が下りていないようで、詳細数値は参考数値となるが、エントリーグレードとなったS400ハイブリッドは、全長5,116×1,899×1,493mmとなった。先代のハイブリッドモデルと比べると、16mm全長が伸び、29mmワイドになり、8mm車高が高くなっている。ホイールベースは、3,035mmと変化はない。
新型メルセデス・ベンツSクラスのエクステリアは、ボディサイズが多少ワイドになったくらいで、ホイールベースも変化がないので、全体のシルエットは先代と大きく変わった印象はない。ボディデザインそのものは、最新のメルセデス・ベンツ流儀に則り、サイドビューはクーペを思わせる美しく流れるようなシルエットをもち、ボディサイドのシャープなドロッピングラインが力強さをアピールする。
ヘッドライトは、Eクラスなどでも積極的に採用されているLEDを使ったユニークなものとなり、夜間などひとめでメルセデス・ベンツと分かる個性をもった。リヤにも新型のLEDリアコンビネーションランプが採用されるなど、積極的なLED化が施されている。
このLED化は、エクステリアだけでなくインテリアにも積極的に採用されている。エクステリアとインテリア全てのライトにLEDを使用し、ライトバルブをまったく使用しない世界初のクルマとなった。内外装合計約500個のLEDを使用しながら消費電力を抑え、従来モデルから25%の省エネルギーを実現。さらに、他の道路利用者に配慮し、夜間や信号待ちなどの際にブレーキランプやウインカーの明るさを低減し、眩しさを減らす光量切り替え機能も搭載しているのが、いかにも高級車らしい装備だ。25%もの消費電力の低減は、オルタネーターの負荷低減にもつながり、結果的に低燃費化にも効果的な技術だ。
搭載されるパワーユニットは、3タイプが用意される。エントリーグレードどのE400ハイブリッドには、メルセデスとして第2世代となる最新のハイブリッドシステムを搭載。最高出力306PS/ 225kW、最大トルク370Nmを発生する最新世代3.5L V型6気筒BlueDIRECTエンジンに、最高出力27PS/20kW、最大トルク250Nmを発生する高性能電気モーターと小型軽量リチウムイオンバッテリーを組み合わせた。このハイブリッドシステムは、従来の減速時の回生ブレーキ機能やモーターアシストによるブースト機能に加え、発進時など最高35km/hまで電気モーターのみの走行が可能なった。さらに、高速走行時に惰性で巡航するセーリング機能も備え、燃費効率は従来モデルに比べ約2割の向上。欧州NEDC総合燃費は、15.9km/Lでエコカー減税対象予定となっている。
メルセデス・ベンツS400ハイブリッドには、ロングホイールベースモデルは無く、ロングホイールベースモデルを選ぼうとすると、今更ながら大排気量のガソリンエンジンのみとなる。BMW7シリーズは、ロングホイールベースモデルにもハイブリッド車が用意されているので、ロングホイールベースモデルでハイブリッドとなるとBMW7シリーズということになる。
S550ロングに搭載されるエンジンは、最新世代4.7L V型8気筒ツインターボBlueDIRECTエンジン。高圧縮比に加え、綿密な燃料噴射を行うピエゾインジェクターを搭載するなど数々の最先端技術を採用した。さらなる改善を施したことにより、最高出力455PS /335kW(従来比+20PS/15kW)、最大トルク700Nmのパフォーマンス向上と、約8%の燃費低減を実現している。欧州NEDC総合燃費は11.6km/Lで、エコカー減税対象予定となっている。
そして、メルセデス・ベンツSクラスのトップグレードとなるS63AMGには、AMG社開発による5.5L V型8気筒直噴ツインターボエンジンが搭載れる。このエンジンも改良が施され、最高出力585PS/430kW(従来モデル比+41PS/30kW、パフォーマンスパッケージ比+14PS/+10kW)、最大トルク900Nm(従来モデル比+100Nm、パフォーマンスパッケージに同じ)の大幅なパフォーマンス向上を図りながらも、燃費は従来モデルより向上している。ボディはロングホイールベースモデルのみの設定だ。
また、S63AMGの圧倒的なエンジン出力を2WDで使い切るのは困難になってきたこともあり、S63AMGには4MATIC longが設定された。AMG 4MATICは、高性能エンジンのハイパワーを四輪へ効果的に配分し、常に最適なトラクション性能を発揮。トルク配分を後輪重視の33:67とし、ロッキングトルクを50Nmと低めに設定することで、高速走行時のコーナリングやコーナー立ち上がりなど、走行時のいかなる状況においても高い操縦性と圧倒的な加速を実現する。また、スポーツ走行時には、コーナリング時に内側のホイールに対してわずかにブレーキ介入を行うことで、アンダーステアを抑え正確なコーナリングを実現するカーブダイナミックアシストを装備した。
さすがメルセデスと呼べる、世界最先端の安全技術。それは、近未来を予感させる自動運転へのプロローグ?
「ディストロニック・プラス」は車間距離を維持するだけではなく、車線のカーブと先行車両をモニターしながらステアリング操作のアシストを行う機能を追加している。
「BAS(ブレーキアシスト)プラス」には飛び出し検知機能が加えられ、前方を横切るクルマや歩行者の飛び出しを捉えてディスプレイと音で警告します。ドライバーが警告に反応しない場合は「PRE-SAFEブレーキ」の自動緊急ブレーキが段階的に作動。また、リアバンパーに設置されたマルチモードミリ波レーダーが後方からの衝突の危険を検知すると後続車に警告するとともにブレーキ圧を高めて自車をロックし二次被害を軽減する「リアCPA(被害軽減ブレーキ付後方衝突警告システム)」を新たに装備した。
一部のオプション装備となるが、ナイトビューアシストプラスが用意されている。この装備は、夜間走行時、照明のない前方路上に歩行者や動物を検出すると、インストゥルメントパネル中央の表示をナイトビュー映像に自動的に切り替える。このシステムは、人や動物を正確に認識するために遠近2つの赤外線カメラを使用。フロントガラス上部の近赤外線カメラが前方の鮮明な赤外線画像を表示。フロントグリル内の遠赤外線カメラが人や動物と、それ以外の熱源の識別をサポートするというもの。そして、対象を見つけると赤く強調表示することでドライバーの注意を促し、検出した歩行者に対してはヘッドライト光をスポットライトのように当てて、ドライバーと歩行者の双方に注意を促すスポットライト機能も備えている。まさに、夜間走行時の究極の安全装備ともいえるものだ。この装備は、S550 longにオプション設定、AMGモデルに標準装備されている。
メルセデス・ベンツは、こういった安全装備を支えるために多くのカメラを取り付けた。そのカメラは、単に安全装備だけに使うのではなく、Sクラスに必要な快適な乗り心地を強力にアピールすることにもなった。この技術は、世界初のサスペンションシステム「マジックボディコントロール」と呼ばれている。乗り心地を向上させる仕組みは、ステレオマルチパーパスカメラが走行中前方の凹凸を捉え、その路面状況に応じて瞬時にサスペンションのダンピングを制御する。その結果、ボディに伝わる衝撃を最小限にしてフラットで極上の乗り心地を実現するというものだ。
新型メルセデス・ベンツSクラスには、カメラにレーダーなど、多くのセンシング技術が使われている。その結果、新型Sクラスは、人の目をはるかに超える情報を入手することができた。その情報を俊敏に処理し、的確にドライバーをサポートする。まさに「知能を得て、自らが判断するクルマ」となったことが、新型メルセデス・ベンツSクラス最大の特徴とも言える。この技術は、近未来の自動運転さえも予感させるもので、さすがメルセデス・ベンツのフラッグシップモデルといえる完成度だ。
新型メルセデス・ベンツSクラス価格
・S 400 HYBRID 右 3.5L V6直噴+ハイブリッド ¥10,900,000
・S 400 HYBRID エクスクルーシブ 右 3.5L V6直噴+ハイブリッド ¥12,700,000
・S 550 long 左/右 4.7L、V8 直噴ツインターボ ¥15,450,000
・S 63 AMG long 右 5.5L、V8 直噴ツインターボ ¥23,400,000
・S 63 AMG 4MATIC long 左 5.5L、V8 直噴ツインターボ ¥23,400,000
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