マツダ アクセラは2013年11月に発売が開始。アクセラは、CX-5 やアテンザ と同様にマツダの新世代技術SKYACTIV（スカイアクティブ） 技術と新デザインテーマ魂動（こどう） を全面採用した第3弾のモデル。

　ボディタイプは5ドアハッチバックを中心にセダン が用意されている。サイズ的には、フォルクスワーゲン ゴルフ などがライバルになるCセグメントカーに属する。

　マツダ アクセラは、国内メーカー同一車種で唯一3タイプのパワーユニットもつモデル。ガソリンエンジンは、1.5Lと2.0L。2.2Lのクリーンディーゼル 。そして、トヨタ から技術供与で得たハイブリッドが用意さていて、顧客はこの3タイプ4つのエンジンから自分の好みにあったものが選べる。

　今回の改良では、アクセラの1.5Lガソリンエンジン車（FF）に、上級機種「15Sツーリング」 が新設された。このマツダ アクセラ15Sツーリングは、日本メーカーの1.5Lクラス車として初めて、中高速走行時の衝突被害をブレーキの自動制御で回避または軽減するスマート・ブレーキ・サポート（SBS）及び約30～100km/hの範囲で自動追従走行を可能にするマツダ・レーダー・クルーズ・コントロール（MRCC）を装備した高い安全性能をもつグレードとなっている。

　赤外線やミリ波、カメラを使うアクセラの安全装備は、多くのコンパクトカー が使う赤外線のみの自動ブレーキに比べれば、自動ブレーキの作動速度域が高く、高い水準の安全装備と言える。速度が高ければ高いほど事故のダメージは大きくなるので、より高い速度域で自動ブレーキが作動するのであれば、当然、被害軽減という役割も大きくなる。価格が重視されがちな1.5Lクラスに、こうした高い安全装備が標準装備されているグレードが増えたのは高く評価できる。環境・経済性重視の時代だけに、1.5L車を選んだからと言ってすべてが価格重視ではなく、排気量が小さくても安全で高級な装備が欲しいという顧客も増えていることを考えれば、こうした上級の安全装備を1.5Lクラスに搭載するのは正しい判断だ。今、安全装備は、商売上でも重要な要素となっている。

　当然、アクセラがこうした選択をしたのは、スバル インプレッサ の存在がある。インプレッサには、ぶつからないクルマで話題となったアイサイトがある。自動ブレーキ＝アイサイト というブランドが浸透したこともあり、インプレッサの販売は好調だ。

　そうなれば、当然、アクセラにもこうした自動ブレーキ関連の装備を装着したモデルを用意しなくてはならない。アクセラがインプレッサの安全装備より勝っているのは、リア・ビークル・モニタリングシステム（RVM）が装備されていること。車線変更などによる接触事故を防ぐ役割を持つ装備で、斜め後方の車両を検知し、注意喚起と警告をする機能だ。微妙に性能は違うものの、前方だけのインプレッサに対して、後方への予防安全機能を持っているのがアクセラが勝っている部分だ。

　さらに、走行時に必要な情報を表示して視線移動や焦点調節を最小限にするアクティブ・ドライビング・ディスプレイをクラス初搭載とし、安全装備を充実させて差別化している。

　アクセラは、デビューしてから、1年も経過していない新しいモデル。こうしたスピーディな改良は、マツダならではのもの。一方で、売れているとマイナーチェンジ時期まで一切手を付けないメーカーもある。常に進化させ、より良いクルマをマーケットに送り出すと姿勢は、メーカーとして正しい考え方だ。逆に、もう一方の顧客視点では、すでに購入してしまったのに短期間でドンドン古くなっていくという感じもあり心情的には穏やかではないだろう。どちらを支持するかは人により違うとは思うものの、クルマはモデルチェンジサイクルが長いことを考えれば、着実に進化させることは必要だろう。

　新たに追加されたマツダ アクセラ15Sツーリングの価格は2,138,400円。15Sに比べ約22万円のアップとなっている。随分高くなった印象だが、追加装備を考えるとそれなりの価格アップというところ。割安感はそれほどない。もう少し、割安感があれば買いやすいだろう。