三菱自動車は、「低燃費」「低価格」「コンパクト（扱いやすさ）」をコンセプトとした「三菱ミラージュ」に、基本装備を充実させながらお買い得な価格とした新グレード「S」を設定し、その他のグレードでも一部改良を施し発売を開始した。

　三菱ミラージュは、2012年8月にフルモデルチェンジ。先代ミラージュが姿を消してから、約12年ぶりという記念すべきモデルとして登場した。さらに、このミラージュは、再生を図る三菱にとっても重要な車種。国内だけでなく、アジアを中心としたグローバル戦略車として、三菱の期待を背負っていた。しかし、残念ながら超円高が続いていた日本マーケットだったので、価格競争力が見込めるタイでの生産となっている。

　そんな期待を背負った三菱ミラージュだったが、国内の販売は苦戦が強いられる。発売直後はソコソコの販売台数を記録したものの、2013年度に入り、販売台数は失速し、今では月販台数が3ケタ台という月が続いている状態だ。

　そこで、投入されたのが、この新グレード「S」と一部改良ということになる。このSグレードは、今まであったE、M、Gと3グレード体系の下から2番目に位置する。Eグレードが、当時99.8万円で価格訴求用で、ビジネス使用でも厳しい状況だったのだろう。この上のMグレードは、118.8万円と一気に20万円弱高価になっていたため、ビジネスやレンタカーニーズ、価格志向の顧客には、少々高価だったのかもしれない。

　このSグレードには、紫外線を約99%カットする「99%UVカットガラス」（フロントドア）を標準装備。プライバシーガラス（リヤドア、テールゲート）、パワーウインドウ（運転席セーフティ機構付ワンタッチ式）、電動格納式リモコンドアミラー、ABS（電子制御制動力配分装置付）、エマージェンシーストップシグナルシステムなど基本装備を充実させ、1,124,550円という価格設定としている。この価格は、上級グレードのMに対して約7.5万円安く、エントリーグレードからは約12.5万円高い設定だ。

　しかし、このSグレードは、一般顧客には割り切りが必要だ。まず、アイドリングストップ機能などが装備されていないのだ。そのため、燃費は23.2㎞/Lとなっていてアイドリングストップ機能付き車は27.2㎞/L となっており、大きな差がついている。さらに、Sグレード以下はエコカー減税75％。MとGグレードは免税だ。MとSの減税額差は、三菱の資料によると18,900円。そうなると約7.5万円安くても、減税効果によりその差は縮まり約5.5万円くらいの差にしかなくなるのだ。これくらいなら、しばらく乗れば燃費差でも取り戻せそうだし、Mならオートエアコンや実燃費向上に役立つ空力パーツまで付く。こうなると、あえてSグレードを選ぶ理由はあまり見当たらない。一般の人が三菱ミラージュを購入するなら、Mグレード以上がおすすめだ。

　一部改良では、紫外線を約99%カットする「99%UVカットガラス」（フロントドア）を標準装備（「E」を除く）。リヤシート上下調整式ヘッドレスト（中央席）をメーカーオプション設定。ベーシックグレードの「E」にビジネスシーンでの使い勝手を高めた「ビジネス向けパッケージ」をメーカーオプション設定。主な機能・装備は、電動格納式リモコンドアミラー、リバース連動リヤオートワイパー、プライバシーガラス（リヤドア、テールゲート）、スペアタイヤ、フルホイールカバーで、メーカーオプション価格は73,500円となっている。

　また、2006年より三菱のハッピードライブアンバサダー（大使）を務めている人気キャラクター「ハローキティ」の40周年を記念し、ミラージュ専用のパッケージオプション「ハローキティ 40th アニバーサリー パッケージ」（5アイテム）をハローキティの誕生日である11月1日から400セット限定で販売する。エクステリアでは、「ハローキティ」のシンボルであるリボンをあしらったフルホイールカバー、立体感のあるリヤエンブレム、オリジナルデザインのデカール（助手席側フロントバンパーコーナー、運転席側ドアミラー、左右リヤドア、運転席側テールランプ上、給油口）を、インテリアでは、「ハローキティ」柄のシートカバー（全席）、オープントレイアクセントマットを装備した。さらに、ミラージュ専用のシートカバーと同じ絵柄をあしらった「ハローキティ プレミアムグッズ」（クッション、マスコット、車検証カバー）をプレゼントされるというものだ。

　かなり、本格的なキティ仕様となっているので、限定車ではなく特別仕様車として売った方が、ミラージュの販売台数の積み上げ的には貢献してくれるのではないだろうか。オプション価格は、116,970円と安くはないが、自分の大好きなキャラクターに囲まれてドライブが楽しめるのなら、価値あるオプションとなるだろう。