三菱エクリプスクロス新車情報・購入ガイド スタイルに走り、装備とスキ無しの完成度を誇るコンパクトSUV。ガソリン車だけしかないことが、唯一の弱点? [CORISM]
■激戦コンパクトSUVセグメントで、S-AWCを武器に存在感をアピールする新型エクリプスクロス
新型三菱エクリプスクロスのボディサイズは、全長4,405×全幅1,805×1,685㎜となった。このボディサイズは、Cセグメントと呼ばれるクラスに属するSUVだ。CセグメントのSUVは、世界的に見ると多くのライバルがいるクラスになる。新型エクリプスクロスは、世界戦略車だ。ただ、日本国内においては、まだライバルは少ない。トヨタC-HRやスバルXVがライバルになるが、価格ベースだとマツダCX-3やホンダ ヴェゼルなどもライバル車となる。
そんな国内マーケットにおいて、新型エクリプスクロスが差別化できるポイントが4WD機能。新型エクリプスクロスの予約受注では、約7割が4WD車が占めた。このことからも、三菱の4WDに対して期待が高いことが分かる。
新型三菱エクリプスクロスの4WDシステムには、意のままの操縦性と安定性を高次元で実現する車両運動統合制御システムS-AWC(Super All Wheel Control)が搭載された。
前後トルク配分を行う電子制御カップリングは、アウトランダーのものから約3%軽量化。駆動トルクや車速、車両走行条件などから、後輪へ伝達するトルクを常に適切に制御。優れたトラクション性能と4WD車特有のタイトコーナーブレーキング現象のないスムーズな旋回を両立している。
この優れたメカを生かすのがS-AWC。電子制御4WDをベースに、ブレーキを制御するアクティブヨーコントロール(AYC)に加え、アクティブスタビリティコントロール(ASC)とABSを統合制御。ハンドル角、ヨーレイト、駆動トルク、ブレーキ圧、車輪速などをセンサーで検知し、ドライバーの操作と車両の状態を正確に把握。こうしたデータを元に、旋回時にはブレーキ制御によるアクティブヨーコントロール(AYC)がドライバーの意図した走行ラインをトレース。同時に電子制御4WDによって後輪へ伝達するトルクを適切に配分。アクティブスタビリティコントロール(ASC)やABSも協調しながら高い走行安定性を維持する。
この4WD機能が新型エクリプスクロスの武器ともいえるもの。走行モードは「AUTO」、「SNOW」、「GRAVEL」と3つが用意されている。「AUTO」、「SNOW」は基本的に高い操縦安定性を誇るモード。「GRAVEL」は、より楽しい走りを提供。後輪を滑られて走るようなことも可能だ。これらのモードは、センターコンソールに配置したドライブモードセレクターで選択できる。
■1.5Lターボだけでは物足りない! 2.2LディーゼルやPHEVにも期待したい新型エクリプスクロス
1.5Lターボエンジンと組み合わされたミッションは、8速スポーツモード付のINVECS-IIIと呼ばれるCVT。ステップアップシフト制御が採用されていて、CVT特有の回転が先行するような吹け上がり感を低減し、ダイレクトのあるフィーリングとなった。
新型エクリプスクロスの燃費は、FF(前輪駆動)車が15.0㎞/L、4WD車が14.0㎞/Lとなった。1.5Lのダウンサイジングターボとしての燃費値としては少々物足りない数値。そのため、エコカー減税にも対応していない。日本マーケットでより販売台数を増やしていくためには、せめてエコカー減税に対応する程度の燃費値にしたいところだ。
こうなると、やはり欧州仕様の2.2Lディーゼルエンジンなども欲しい。このディーゼルエンジンは、150ps&400Nmというスペック。CセグメントのSUVで400Nmという大トルクは、より新型エクリプスクロスの存在感を際立たせるエンジンになる。今後の導入に期待したいところだ。
また、新型エクリプスクロスは、初期の段階からPHEV化も視野に開発されている。そのため、より早い段階でエクリプスクロスPHEVの投入も予定されているという。三菱にはアウトランダーPHEVという優れた電動化技術が投入されたモデルがある。アウトランダーPHEVのようにツインモーター4WDが搭載されるかどうかは不明。だが、三菱の持つ電動化と4WD技術が一体化されたエクリプスクロスPHEVにはかなり期待できる。
■構造用接着剤を使い、より強固なボディとなった
そして、構造用接着剤でねじり剛性をアップした。構造用接着剤は、最近多くのメーカーがボディ剛性をアップするために採用する技術。この構造用接着剤をドアやゲートの開口部、リヤホイールハウスを中心に使用。ねじり剛性を向上させ、操舵時のダイレクトなレスポンスや振動低減に寄与している。
強固なボディにセットされたサスペンションは、フロントにマクファーソンストラット、リヤにマルチリンクが採用された。フロント&リヤのショックアブソーバーには、圧力変動の少ない高応答のバルブを取り入れた。また、リバウンドスプリングも採用している。
リヤサスペンションには、アッパーアームやロアアーム、トーコントロールアームに中間板入りのブッシュを採用。直進時の不快な振動を大幅に低減。ステアリング操作時のダイレクト感や安定性を向上。さらに
マルチリンクのブッシュ特性を最適化。快適な乗り心地の確保と正確なハンドリング実現した。
そして、よりスポーティなハンドリング性能を追求。電動パワーステアリングの操作音を低減、操舵感を向上させた。ステアリングのロック to ロック回転数を、2.9回転とクイック化。操舵レスポンスと取り
回しの良さを向上させている。
新型エクリプスクロスのハンドリング性能は、背の高いSUVとは思えないほどスポーティなフィーリングに仕上がった。十分な乗り心地性能を確保しながら、気持ち良い走りを披露する。また、S-AWC技術により、オンロードでもオフロードでもよく曲がりコントロールしやすい4WDになっている。
■シャープさ際立つデザインが採用された新型エクリプスクロス
新型エクリプスクロスのデザインで印象的なのがサイドビュー。強烈なウェッジシェイプ(前傾姿勢)デザインが採用された。ボディサイドには同様に、後方に向けて跳ね上がるシャープなのキャラクターラインが入れられ、ウェッジシェイプデザインをより強調している。
リヤスタイルもかなりユニークなデザインとなった。好き嫌いが分かれるデザインだが、ひと目でエクリプスクロスと分かる。そのデザインは、前傾したリヤウインドウと、それを二分割するチューブ式LEDテールランプ。発光すると光のラインが一直線に連続し、夜間はとくにエクリプスクロスらしさをアピールする。
そして、新型エクリプスクロスを象徴するボディカラーが新色の「レッドダイヤモンド」。高彩度、高輝度に優れ、深みのある赤になった。
■広大な荷室、使い勝手を誇るインテリア
インパネ中央上部には、薄型デザインのスマートフォン連携ディスプレイオーディオ(SDA)を配置。上部の見やすい位置に設置されている。ただ、画面のサイズはやや小さい。また、メーターフード上部には、ポップアップ式のヘッドアップディスプレイが装備され先進性があり、安全性にも貢献している。
シフト横には、スマートフォン連携ディスプレイオーディオ(SDA)を操作するために初採用したタッチパッドコントローラーを装備。タッチパッド式だと、一般的な右利きのドライバーにはやや操作しにくい印象だ。左ハンドル車向けの装備ともいえる。
リヤシートは、6:4分割可倒式。スライド&リクライニング機構を採用されている。スライド量は200mm、リクライニング角度は16°~32°の範囲で9段階のアレンジが可能。よりリラックスして後席に座ることができる。
ラゲッジスペースは、なかなか広大。リヤシートを最前端にスライドさせることで、448Lの最大荷室容量を確保。9インチのゴルフバッグを横積みで4個も積載でいる。リヤシートバックを前倒しすると、荷室長が最大1569mmに拡大。長尺物の収納可能。また、荷室床下には、使い勝手のいい大容量のラゲッジアンダーボックスが設置されている。
新型三菱エクリプスクロスの安全装備には、先進予防安全装備であるe-Assistが用意された。衝突被害軽減ブレーキシステム[FCM]と車線逸脱警報システム[LDW]、オートマチックハイビーム[AHB]、誤発進抑制機能(前進&後退時)[UMS]は全車標準装備。サイド&カーテンエアバッグ、ニーエアバッグも標準装備されており、一定レベルに達している。
ただし、レーダークルーズコントロールシステム[ACC]、後側方車両検知警報システム(レーンチェンジアシスト機能付)[BSW/LCA]、後退時車両検知警報システム[RCTA]はMグレードにはオプションでも装備できない状態だ。
■三菱エクリプスクロスのグレード選び
搭載エンジンは1タイプのみなので、まずFFか4WDかという選択になる。4WDになると約22万円高価になる。基本的にはFF車で十分だが、新型エクリプスクロスは4WDにこだわったモデル。そのため、お勧めは4WD車になる。
新型エクリプスクロスのグレード選びでまず外したいのが、エントリーグレードのM。安全装備の選択肢が少ないことや、LEDヘッドライトや18インチアルミホイールではないので、やや装備面で物足りなく感じる。ただ、完全に価格訴求用のグレードというほどではないので、シンプルな装備でも満足できる人や、予算重視であるというのであれば、Mグレードという選択もありだろう。Mグレードの価格は2,532,600円からとなる。
残る選択肢はG、G Plus Packageとなる。価格差は約17万円。G Plus Packageの価格は2,879,280円だ。大きな装備差は、スマートフォン連携ディスプレイオーディオ、後側方車両検知警報システム(レーンチェンジアシスト機能付)[BSW/LCA]、後退時車両検知警報システム[RCTA]など。Gグレードだとスマートフォン連携ディスプレイオーディオをオプションで選択することができない。別途ナビをオプション選択する必要がある。そうなると、G Plus Packageの価格を超えてしまう。スマートフォンのナビで十分と考えるのなら、G Plus Packageの方が安全装備もよく買い得感もある。そのため、基本的にG Plus Packageを中心にグレード選びを考えるといいだろう。
■三菱エクリプスクロスの価格
・M 2WD 2,532,600円/4WD 2,748,600円
・G 2WD 2,706,480円/4WD 2,922,480円
・G Plus Package 2WD 2,879,280円/4WD 3,095,280円
■三菱エクリプスクロスの燃費、スペックなど
代表グレード | 三菱エクリプスクロスG Plus Package 4WD |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,405×1,805×1,685mm |
ホイールベース[mm] | 2,670mm |
トレッド前/後[mm] | 1,545/1,545mm |
車両重量[kg] | 1,550kg |
総排気量[cc] | 1,498cc |
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] | 110(150)/5500 |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] | 240(24.5)/2000-3500 |
ミッション | CVT |
タイヤサイズ | 225/55R18 |
JC08モード燃費 | 14.0㎞/L |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 3,095,280円 |
発売日 | 2018/3/1 |
レポート | 編集部 |
写真 | 三菱自動車 |
■以下、2017年11月過去記事 三菱復活への試金石となるエクリプスクロスとは?
新型三菱エクリプスクロスは、コンパクトSUVと呼ばれるジャンルに属する。欧州仕様のボディサイズは、全長4,405×全幅1,805×全高1,685㎜。いわゆるCセグメントに属するSUVになる。CセグメントのSUVは、国内では少なくトヨタC-HRやスバルXVなどがライバル車となる。 価格帯は異なるだろうが、ボディサイズ的にはメルセデス・ベンツGLAやBMW X1、フォルクスワーゲン ティグアンなども同じクラスとなる。
国産ライバルと比べると、全幅はややワイドで全高はかなり大きい。輸入車ライバルと比べても、全高はやや高めだ。クーペ風のルーフラインながら、全高は高いというユニークなシルエットが特徴。全長がやや高いため、大きく見える。
ダイナミックシールドで、三菱らしい力強さをアピール!
サイドビューは、フロントフェイス同様にシャープな印象をアピール。彫刻的なキャラクターラインによるウェッジシェイプ(前傾姿勢)を強調している。
リヤビューは、好き嫌いが明確に出ると思われるユニークなデザインとなった。高い位置に配したワイドなリヤランプと前傾したリヤウインドウを上下に二分した。なかなか斬新なイメージだ。リヤランプは、チューブ式LEDを採用。テールランプと中央のハイマウントストップランプが一直線に発光し、ワイドな安定感を表現した。
インテリアは、ブラックとシルバーのモノトーンとしたハイコントラストな仕様。よくある外しのないベーシックな色使いだ。インパネデザインは、水平基調とし広がり感を演出。また、薄型のスマートフォン連携ディスプレイオーディオ(SDA)、タッチパッドコントローラー、ヘッドアップディスプレイを搭載する。
リヤシートは、6:4分割のロングスライド&多段階リクライニング機構を採用。後席乗員の広いレッグスペースを確保。また、クーペのように後端を落とし込んだルーフラインでありながら、十分なヘッドクリアランスを確保した。
こだわりの4WDを搭載! コンパクトSUVらしい優れた機動性を発揮
4WDは電子制御タイプで、アクセル開度や車速、車両の走行条件などから、後輪へ伝達するトルクを常に適切に配分する。これにAYCブレーキ制御を追加。車両運動統合制御システム「S-AWC」を採用し、ドライバーの操作に忠実な車両挙動を実現。
また、「AUTO」「SNOW」「GRAVEL」の3つの走行モードを設定。ドライバーの意思で、センターコンソールに配置したドライブモードセレクターで選択できる。
ボディ関連では、フロント部を3 点式のストラットタワーバーで補強。リヤ周りを重点的に構造用接着剤の塗布によって高剛性化した。この構造用接着剤は、アウトランダーPHEVの一部のモデルに採用されていて、なかなか好印象だった。
サスペンションは、フロントがストラット、リヤがマルチリンクとなった。欧州仕様では、215/70R16
か225/55R18サイズのタイヤ&ホイールが用意されている。大径ホイールを装着し4WDでありながら、最小回転半径は5.3m。道の狭い日本国内でも、使いやすい小回り性能を誇る。
PHEVの投入はあるのか? 欧州仕様では、2.2Lディーゼルエンジンも用意。日本仕様は?
このガソリンエンジンに組み合わされるミッションは、8速スポーツモード付のINVECS-Ⅲ(CVT)。8速スポーツモードでは、各段をクロスレシオとしながらワイドレシオ化している。また、ステップアップシフト制御を採用。CVT特有の回転が先行するような吹け上がり感を低減。ダイレクトで力強い加速感を実現した。
欧州仕様車には、2.2Lのクリーンディーゼルエンジンが用意されている。150ps&400Nmという出力をもつ。CセグメントのSUVで400Nmという最大トルクは、かなりパワフル。このエンジンは、デリカD:5などに搭載されているエンジンがベースとなっているようだ。国内マーケットへの導入は不明だが、投入されればかなりユニークなモデルとなることは確実だ。
また、残念なのはPHEVなど電動化技術がプラスされたパワーユニットが無いことだ。三菱には、アウトランダーPHEVという優れたモデルが存在する。技術的にも優れたパワーユニットで、こうした電動化技術がエクリプスクロスにも搭載されれば、さらに三菱らしさをアピールできるはず。今後投入されるかどうかは不明だが、多くの三菱ファンにとって期待したいのはダウンサイジングターボエンジンではなくPHEVだろう。
2018年3月発売か? 価格は250万円前後と予想
そして、新型エクリプスクロスの価格。同じCセグメントのSUVであるC-HRの1.2Lターボ車がFFで約253万円から。この価格がひとつの目安となるだろう。新型エクリプスクロスは、より排気量が大きい1.5Lターボとなるが、三菱ブランドであることを考えるとトヨタのC-HRより高額な価格設定はしにくい。C-HRよりも、買い得感をアピールする価格設定とする可能性が高い。
そうなると、新型エクリプスクロスの価格は250万円を切ると予想。わずかに250万円を切る248万円程度からになるのではないだろうか。クラストップレベルの買い得感を出す、と完全に振り切る判断がされる可能性もあり、その場合、238万円など240万円を切る可能性もあるだろう。新型エクリプスクロスの動向に注目だ。
新型三菱エクリプス クロス(欧州仕様車スペック)
・ホイールベース[mm]:2,670
・エンジン:1.5Lダウンサイジング直噴ターボエンジン
・トランスミッション / 駆動方式:6速MT / 2WD 8速スポーツモード付CVT / 2WD・4WD
・最高出力[kW / rpm]:120 / 5500
・最大トルク[N・m / rpm]:250 / 1800~4500
・フロンサスペンション/リヤサスペンション:マクファーソンストラット/マルチリンク
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