日産は、上海モーターショーで、コンセプトカー「日産Friend-ME（フレンド・ミー）」を世界初公開した。日産Friend-ME（フレンド・ミー）は、力強い彫刻的なラインを持ち、きらびやかな夜の街中でも注目を集めるような堂々とした外観と、乗車した4人の友人たちが対等な立場で一緒にワクワク感を得られるようデザインされた室内空間を特長としている。

　日産は、中国の一人っ子政策以降の1980年代に生まれた約2億4,000万人にもの中国の若者「八零后（Bālínghòu）」は、どのようなことに憧れるのかということを探究。特に20代半ばの男性の社会的な行動形態に焦点を当て、「Friend-ME」のコンセプトをつくりだした。

　Friend-ME （フレンド・ミー）は、兄弟姉妹がいない八零后の世代をターゲットとしている。一人っ子なので、仲間と共有する時間はかけがえのないものだという。Friend-MEは、4人だけのプライベート空間が与えれてていて、4人の仲間は自分たちだけの心地の良いプライベート空間を共有する仕様になっている。それぞれ4人全員が対等な空間などを有していて、バーチャルにつながることでワクワク感を共有できる。

　Friend-ME のデザインには、「Distilled ‘Da Qi’(大気)-進歩的な’大気’の解釈」と呼ぶ手法を用いた。「大気」とは、独特の雰囲気を醸し出す、あるいは存在感があるということだが、それと同時に、流れに乗る、調和するということも意味する。そのバランスをとりながら「大気」を進歩的に解釈し、本質へと到達。その結果、セダンのカテゴリーに全く新しい、若々しい一面を加えることができたという。

　難しい話はさておき、Friend-ME のデザインは、中国で抜群の人気を誇るティアナとはまったく違うデザイン手法を感じさせる、とてもエモーショナルなものだ。ワイド＆ローなシルエットをもち、極限まで寝かせれて短いAピラーなど、まるでスーパーカーのようなエッセンスが加えられている。そんなプロポーションに加え、立体的な『Vモーションシェイプ』、エネルギッシュで抑揚のある面、『ブーメランシェイプ』、薄く軽さを表現した『フローティングルーフ』、跳ね上げたような形のCピラー部などの新しい造形が加えられている。それぞれが、調和していることで、アグレッシブな印象を与えながら洗練され雰囲気さえももつ。

　Friend-MEのコンセプトは、乗車する4人全員が対等な仲間。そのため、フロントとリアの4つのシートは全てが同じように先進的なスタイルでまとめられている。独立して空間ながら、4人全員が、車速、ナビゲーション、燃料の残量など、同じ情報を共有することができるのが特徴だ。また、全員が同じ音楽を聴くなど、一体感を出すことは当然ながら、よりプライベートな空間ということで4人それぞれが自分のシートで自分の好きな音楽を聴くこともできるというユニークなものとなっている。

　IT関連も先進的だ。一体型センターコンソールは、ダッシュボードからリアシートの間へと伸び、4つのシートからそれぞれ操作することができる。自分の携帯電話から、車内のスクリーンに送るなどデータのやり取りをすることで、自分が面白いと思ったコンテンツを全員で共有することも可能。

　日産Friend-MEは、2011年に開設された北京の日産デザインチャイナ（NDC）と日産グローバルデザインセンター（NGDC）のデザインチームによる合作。ハイブリッドシステムを採用したセダンだ。

　日産Friend-MEは、このようにエンジンや走りのパフォーマンスに関してのインフォメーションがほとんど無い。 ひとつの見方として、日産は中国の八零后の世代は、クルマが持つ走って楽しいという価値観は無く、快適に移動するプライベート空間としての魅力を好むように感じる。それは、日本でも同じ事がいえることだが、そうなると中国でもクルマ離れが始まっているのだろうか。