日産リーフは、日産が満を持して投入した電気自動車で2010年12月に発表された。大容量のリチウムイオン電池に、電力を効率的に回収する協調回生ブレーキ、ITを駆使し充電場所の検索などができるナビなど、日産のテクノロジーのすべてを投入して登場した。

　また、こういったテクノロジーだけでなく、生産方法も驚きだった。特別な電気自動車ということもあり、専用ラインをもつ専用工場で生産されるのかと思われたが、なんと他のガソリン車と同じラインで混流生産されていた。電気自動車を普及させるため、生産コストを抑え価格に反映させるなど、日産のすべてが投入されたモデルともいえる。そんなことが評価され、翌年の日本カー・オブ・ザ・イヤー を受賞するなど、世界中でも評価された。

　そんな日産リーフだが、日産が思っていたほど販売台数が伸び悩む。その理由は色々とあった。国内では補助金を得ても、同じクラスのガソリン車やハイブリッド 車より高価。販売店では、顧客の充電環境を整備しないとならない煩わしさから積極的にセールスしない。また、航続距離の問題や充電インフラの未整備も上げられた。

　しかし、日産リーフはそんな逆境もものともせず、短期間での改良、マイナーチェンジを繰り返し、航続距離や使い勝手はアップ。さらに、2度に渡る価格引き下げを行った。また、充電インフラに関しても積極的に投資した。この力の入れ方は、まさに、創立80周年を代表するクルマといえるだろう。

　今回投入された「日産リーフ80th Special Color Limited」は、人気グレードに、日産を代表するプレミアムスポーツカーである「GT-R」 や「フェアレディZ」 の歴代の名車で採用したヘリテージカラーを受け継いだ車体色を特別に設定したモデル。更に、専用ブロンズカラーのホイールカバーやドアミラー等の魅力的な装備を標準装備し、創立80周年記念の特別感を演出している。

　創立80周年記念車と大きな節目であることや、今や日産の顔ともいえるリーフの特別仕様車の割には色が違う程度と意外と特別感が無いのは残念ではある。

　また、ヘリテージカラーというのも、昔の日産を知っている人で、日産ファンでないとあえて選ぶ理由が無いのも顧客層を絞っているようにも感じる。そんなこともあり、LEDヘッドライトやバックビューモニターなどが標準装備されたのだろう。

　そんな日産リーフ80th Special Color Limitedの価格は、3,454,920円。ベースのXグレードの価格が3,292,920円円なので、約16万円アップということになる。ヘリテージカラーのボディ色がどれほど価格アップするかは不明だが、装備アップ分を含むと、それほどお買い得なイメージは無く、価格アップ相当といった印象だ。また、限定車ということでもないようなので、特別感はそれほどない。このヘリテージカラーが気に入ったのなら満足感はあるだろう。

　このヘリテージカラーは、フェアレディ240Z G（1972年）のボディカラー「グランプリマルーン」、初代フェアレディZ S30（1969年）のボディカラー「グランプリオレンジ」、スカイラインGT-R Vスペック R34（1999年）のボディカラー「ベイサイドブルー」となっている。