激安! とても良い買い物ができた日産
この日産の出資は、随分安い買い物になった。不正問題が発覚する前、三菱自動車の株価は2015年11月頃に1,000円を超える株価を記録している。その後、徐々に株価は下がり、不正が発覚した後の株価は400円台半ばまで落ちた。日産は新規に発行される5億660万株の三菱自動車株を、一株当たり468円52銭で取得する予定。株価は、2016年4月21日~2016年5月11日までの期間の出来高加重平均としている。ほぼ、不正発覚前の半額以下の株価、ほぼ底値のような価格で三菱を傘下に収めたことになる。
スピーディでスムースな出資合意の裏には?
三菱自動車をグループ傘下にしたいと日産が以前から考えていたのだとしたら、三菱自動車の燃費不正問題は、日産にとって軽自動車の供給が止まるという痛手を負いながらも、バーゲンプライスで三菱自動車を手に入れたカタチになる。
三菱自動車の株主である三菱グループから、出資の話がほとんど出てこないというのも不思議な状況。三菱グループとの調整も極秘のうちに勧められ、こうしたシナリオに向けた準備が着々と進められていたようにもみえる。ましてや、国交省が、三菱自動車に立ち入り検査に入ったのは、日産が出資の発表を行った翌13日だ。国交省もこうしたシナリオに絡んでいるようにもみえる。
いつ稼働再開できるか不安はあるものの、国内工場閉鎖という最悪のシナリオは回避できた三菱
三菱自動車にとって、日産とのアライアンスにより、軽自動車が今まで通りOEM供給できるため、国内の工場を閉鎖する必要がなくなるのは心情的にも大きい。今回の燃費不正問題では、三菱の国内販売は長期間に渡り大打撃を受けることは確実。国内専用車の軽自動車は、国内で生産され国内で売らるため海外に輸出されない。軽自動車は、とくに深刻で単独での復活は無理といった状況。こうなると、軽自動車の生産工場閉鎖となる可能性が高く、閉鎖にならなかったとしても三菱は多くの仲間を失うことになる。関連会社やサプライヤーを含めれば、三菱だけの問題でなく、日本経済にも打撃を与えかねない。
もはや、自動車は高度化が進み、莫大な開発費がかかる。自動運転技術や燃料電池車などには、多くの開発費が必要になり、三菱1社の体力ではこうした投資がしにくいというのも事実だ。頼みの綱だった三菱グループも赤字やゼロ金利、トラブルなど各社三菱自動車を支援する余力が少ない状況だったことも、スムースに日産が出資で来た理由のひとつだろう。益子会長にしてみれば、もはや選択肢が無い状況だったのだろう。
三菱自動車を救った日産の出資は、三菱自動車にとってデメリットは少ない。三菱は日産の協力を得ることで国内の雇用を守り、さらなる未来への一歩を踏み出すことができるようになった。
また、我々が心配なのは、三菱ブランドがどうなってしまうのか? と、いうことだ。日産のゴーン社長は、独立したブランドであり続けることに変わりないと強調する。
結果的に、日産とルノーグループは、三菱自動車を傘下に入れたことで、世界での販売台数は1,000万台に近付く。世界トップ3入りが目前となってくる。
さて、下世話な話だが日産ゴーン社長は、ルノーから約8億8000万円の報酬を得ている。同時に日産からもも報酬を得ている。今回の出資では、日産が三菱に対して取締役の推薦ができる。もし、ゴーン社長が三菱の取締役をも兼ねることになると、ゴーン社長はルノー、日産、三菱という3社から報酬を得ることも考えられる。
日産、プレスリリース全文「日産自動車と三菱自動車、戦略的アライアンスを締結」
両社の戦略的アライアンスは、過去5年間に亘り、協力を続けてきた現行のパートナーシップを更に発展させるものです。
日産と三菱自動車はまた、購買、車両プラットフォームの共用、新技術の開発分担、生産拠点の共用、および成長市場を含む、複数の面で協力することにも合意しました。
日産の社長兼最高経営責任者(CEO)のカルロス・ゴーンは、「本件は画期的な合意であり、日産と三菱自動車の双方にウィンウィンとなるものです。両社が集中的に協力し、相当規模のシナジー効果を生み出すことで、新たな自動車産業の勢力ができあがることになります。当社は、三菱自動車の筆頭株主として、同社のブランドと歴史を尊重し、大きな成長の可能性の実現をサポートしていきます。日産は課題に直面している三菱自動車を支援し、同社をアライアンス・ファミリーの新たな一員として歓迎したいと思います」と述べました。
三菱自動車の取締役会長兼CEOの益子修は、「長年に亘り数々のパートナーシップで成果を生み出してきた日産自動車には、アライアンスのメリットを最大限に活かす豊かなノウハウがあります。今回の合意で、両社の将来の発展に求められる、長期的な価値を生み出すことができるでしょう。開発や共同購買など、リソースの共有を含む戦略的なパートナーシップの深化が、長期的な価値をもたらします」と語りました。
以上の取り決めに従い、日産は新規に発行される5億660万株の三菱自動車株を、一株当たり468円52銭で取得する予定です。株価は、2016年4月21日~2016年5月11日までの期間の出来高加重平均とします。取引成立後、日産は三菱自動車の筆頭株主となります。
三菱自動車と日産は、三菱重工業、三菱商事、ならびに三菱東京UFJ銀行が、今後も三菱自動車への出資比率を高水準で維持し、この戦略的アライアンスを支持することを期待しています。
株式の取得は、三菱自動車の株主である三菱グループと株主間契約を結び、規制当局の承認を経て、2016年5月末を目処にアライアンスの正式契約を締結し、2016年末までに全ての手続きが完了する見込みです。
日産による三菱自動車への戦略的な出資は、17年間に亘る仏ルノーとの株式持合いを中心とするアライアンスモデルを更に拡大します。日産はダイムラーとアフトワズを含む他の自動車グループにも出資、またはパートナーシップを結んでいます。
本合意を受け、三菱自動車は、日産が推薦する、同社の議決権に比例した人数の、取締役会会長を含む取締役候補を提案することになります。
【関連記事】
【オススメ記事】
- フォルクスワーゲン ポロ新車情報・購入ガイド ついに全長4m越えに! 3ナンバー化した6代目新型ポロは、1.0L直3ターボを搭載【ニュース・トピックス】
- 三菱エクリプスクロス試乗記・評価 さすが4WDの三菱! 豪快にリヤタイヤを振りだすような走りも楽しめる絶妙なS-AWCに脱帽!【レビュー】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.6】 日差リーフの実電費チェック! (一般道編)コツコツ電費を稼ぐe-Pedal【評論家ブログ : 日産リーフ】
- メルセデス・ベンツSクラス新車情報・購入ガイド 約20年振りの直6エンジンに、ISGを組みあわせた次世代エンジンを搭載!【ニュース・トピックス】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.5】 日差リーフの実電費チェック! (高速道路編)実電費アップは、こだわりの空力性能にあり!【評論家ブログ : 日産リーフ】
- 三菱エクリプスクロス新車情報・購入ガイド スタイルに走り、装備とスキ無しの完成度を誇るコンパクトSUV。ガソリン車だけしかないことが、唯一の弱点?【ニュース・トピックス】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.4】 30歳代クルマ好き女性、初めての電気自動車! その評価は?【評論家ブログ : 日産リーフ】
- 日産セレナe-POWER新車情報・購入ガイド ついに、シリーズハイブリッドシステムを搭載したセレナ! 5ナンバーミニバン、ハイブリッド車戦争へ加速!!【ニュース・トピックス】
- マツダCX-8試乗記・評価 際立つ運転のしやすさ! こだわりの「躍度」を雪上でチェック!【レビュー】
- 日産テラ(TERRA)新車情報・購入ガイド ナバラベースのSUV中国でデビュー! 日本への導入は?【ニュース・トピックス】
CORISM公式アカウントをフォローし、最新記事をチェック!