【解説動画あり!】ハイブリッド車の燃費を10%以上向上! トヨタ、高効率SiCパワー半導体を開発! [CORISM]

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【トヨタ】2014/05/21

左:シリコンパワー半導体採用PCU(現行品) 右:SiCパワー半導体採用PCU(目標サイズ)

10%の燃費向上と、PCUの体積1/5を目指す!

SiCパワー半導体

左:シリコンパワー半導体ウェーハ(トランジスタ) 右:SiCパワー半導体ウェーハ(トランジスタ)

 初代プリウス が1997年にデビューし、トヨタハイブリッド 車が初めてマーケットに投入された。当時、この技術がこれほど世界を席巻する低燃費技術になるとは思われていなく、圧倒的な低燃費を誇りながらも初代プリウスはそれほど売れなかった。

 それでもトヨタは、ハイブリッドにこだわった。売れば売るほど赤字になると言われていた初代プリウスの技術を諦めることなく、ハイブリッド技術を磨き続けた。その結果、ハイブリッド車は大ヒットし、ドンドンと車種を広げ、世界最高燃費のアクア は月販販売台数2万台という数字をコンスタントに叩き出すほどになった。

 その昔、カローラクラウン のトヨタだったが、今ではハイブリッドのトヨタというイメージがあるほどとなり、ハイブリッド車では完全に他を寄せ付けない圧倒的な強さを誇る。

 そんなハイブリッドの王者、トヨタは、ハイブリッド技術をさらに磨き続けている。

 トヨタとデンソー、豊田中研は、共同でハイブリッド車に使う新しい素材であるSiCによるパワー半導体を開発した。

 ハイブリッド車には、モーター駆動力を制御するパワーコントロールユニット(以下、PCU)が搭載されている。PCUは、走行時にバッテリーの電力をモーターに供給したり、減速時には回生した電力をバッテリーに充電するなど、ハイブリッド車の核となる電力利用をコントロールする頭脳といえるものだ。

 そのPCUは、ハイブリッド車の電力損失の約1/4を占めているという。PCUの大半がパワー半導体であるため、電力損失の約20%は、パワー半導体によるものだった。

 つまり、このパワー半導体の高効率化、すなわち、電流を流す時の抵抗を低減することは、燃費向上のキーテクノロジーのひとつということになる。トヨタは、1997年の初代プリウス発売時よりパワー半導体の自社開発に取り組み、ハイブリッド車の燃費向上を図ってきたのだ。

 このパワー半導体の素材は、現在シリコンが主流。トヨタは、このシリコンパワー半導体から、新素材であるSiCパワー半導体を開発。このSiCとはSilicon Carbide(シリコン カーバイド)の略。シリコンと炭素の化合物で作られている。

 このSiCパワー半導体はシリコン半導体に比べ、電流を流した時の発熱が少なく、さらに電流を流したり切ったりするON OFF切り替え時に、わずかに流れてしまうテール電流と呼ばれるロスがほとんどないというものなのだ。こういったロスを抑え高効率化することで、結果的に燃費を向上させることができるのだ。

 良いことだらけのSiCパワー半導体だが、コストはシリコンに比べ一桁以上高いといわれており、コスト低減が課題だという。

 このSiCパワー半導体により、PCUの体積の約40%を占めるコイル、コンデンサの小型化が可能。トヨタは、将来的にPCUの体積を現行型比で1/5を目指すという。当然、小型化は軽量化にも貢献する。

 トヨタは、このSiCパワー半導体を使いハイブリッド車の燃費を10%の大幅向上を目指す。すでに、このSiCパワー半導体を使ったプリウスの試作車で、5%を超える燃費向上を確認。今後1年以内に公道での走行実験を開始するという。

 2015年には、燃費40.0㎞/Lを目標に開発されている新型プリウスが投入されるなどと噂されている。このタイミングでは、4代目新型プリウスには、このSiCパワー半導体が採用されることは難しいかもしれないが、発売を遅らせるなどし、ホンダが追随できないくらいの燃費値を叩き出すことも予想できる。プリウスの販売台数なら、コスト面でもコストダウンするのも容易かもしれない。また、逆に慎重なトヨタの社風を考えると、高コストを吸収しやすいフラッグシップである新型レクサス LS あたりに搭載するのか? など、どの車種にまず搭載されるのか期待が高まる新素材だ。

 トヨタはすでに、2013年12月に電子制御装置や半導体などの研究開発及び生産の拠点である広瀬工場内に、SiC専用の半導体開発のためのクリーンルームを整備。SiCパワー半導体の早期実用化に向けて開発を強化していくという。

高効率SiCパワー半導体、解説動画

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(レポート:CORISM編集部

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