2018年秋、新型レクサスESが日本初導入へ
レクサスは、中国・北京モーターショーで、ハイブリッドセダンである新型レクサスESを世界初公開した。この新型レクサスESは、2018年秋に日本マーケットに初導入される予定だ。
レクサスESは、国内ではトヨタ ウインダムとして売られていた期間が長かったモデル。しかし、3代目ウインダムでレクサスESとの関係は終了。ウインダムは無くなった。これは、レクサス専用車として際立たせる意味があった。セルシオが無くなり、レクサスLSとなったのと基本的に同じだ。ただ、異なるのはレクサスESは、国内に導入されなかった。
売れないはずのセダンをあえて導入。その訳は?
今回、新型レクサスESは、2018年秋に日本へ初導入される。この背景には、トヨタ カムリの好調が大きく影響しているのだろう。新型レクサスESに近いボディサイズをもつカムリは、大胆なデザインと2.5Lハイブリッドの組み合わせが高く評価され売れている。2017年度の販売台数は、26,127台で登録車販売台数ランキングで31位になった。モデル末期とは言え、クラウンが26,316台なので、いかにカムリが売れたかよく分かる。カムリは、デザインが良く、燃費の良いハイブリッドなら、日本で人気のない国産セダンでも売れる、という結果を出した。
当然、より個性的で高級感あふれるレクサスなら、さらに売れるという自信もあるのだろう。また、期待されたものの結局、鳴かず飛ばずで消えてしまったレクサスHSの役割も担うということもある。
GA-Kプラットフォーム採用で、走行性能と乗り心地を両立
そんな新型レクサスESのボディサイズは、カムリよりやや大きい全長 4,975×全幅1,865×全高1,445㎜、ホイールベース2,870㎜となった。プラットフォームは、カムリなどと同じGA-Kプラットフォームが採用された。GA-Kプラットフォームは、走行性能を高めるために、低重心化されているのが特徴。新型レクサスESは、歴代ESがDNAとして継承してきた上質な乗り心地をさらに進化。その上で、新世代レクサス車としてアピールしているスポーティな走りも提供する。
低重心プラットフォームGA-Kのメリットは、走りの質だけでなく外観デザインにも影響を与えている。より走りを予感させるワイド&ローのプロポーションが可能となった。
アーティスティックなスピンドルグリル
新型レクサスESのデザインは、4ドアクーペのような流麗さが魅力だ。大きく傾斜したAピラーからCピラーへと流れるようなライン、小さなウインドウなどの組み合わせはクーペのようにも見える。
さらに、フロントフェイスは、レクサスのデザインアイコンでもあるスピンドルグリルが圧倒的な存在感を放つ。新型レクサスESのスピンドルグリルは、かなりアート的なデザインとなった。鋭利に折り返すフレームと波紋のように連続する縦フィン形状のグリルメッシュを組み合わた。日本庭園の砂紋のような美しさがある。さらに、小型3眼LEDヘッドランプが加わり、鋭くシャープな表情を創り出した。
静粛性の高いラグジュアリーな室内空間
新型レクサスESのインパネデザインは、他のレクサスモデルの中でも、なかなか先鋭的なデザインが採用されている。各種操作系はドライバーを包み込むようにデザインされ、機能性も高そうだ。逆に助手席側は、広がり感あるデザインとなっていてリラックスできる空間になっている。
センターコンソール、ドアアームレストの表皮には立体的なパターンで加工を施すビスコテックス技術を採用。深みのある表現で、室内空間に程よい包まれ感と広がりを演出。レクサスらしいエレガントなイメージをアピールする。
上質なインテリアなので、車内の静粛性も重要。そのため、風洞実験による車体形状の検証や吸音材・遮音材を最適配置した。また、ノイズリダクションホイールや遮音性の高いアコースティックガラスの採用した。こうした技術は、フラッグシップセダンLSで培った技術を継承してる。さらに、人が心地よく感じる周波数帯を解析。エンジンやオーディオのサウンドと調和した快適な室内空間に仕上げている。
2.5Lハイブリッドシステム搭載! スポーティな走りを実現するFスポーツも新設定
新型レクサスESに搭載されるパワーユニットは、新型トランスアクスルやPCUを採用した直2.5Lハイブリッド。これらの新技術により、ダイレクトな加速フィーリングを実現。また、ハイブリッドバッテリーをさらに小型化。リヤシート下に配置した。リヤシート下に配置したことで、前後の重量配分も向上し、低重心化した。当然、荷室容量の拡大している。
足回りは、リヤサスペンションにダブルウィッシュボーン式を採用。ジオメトリーを最適化し、優れた操縦安定性を確保した。また、ラック平行式電動パワーステアリングが採用されたことで、より優れたステアリングレスポンスを実現した。
新型レクサスESには、スポーティグレードであるFスポーツが設定された。Fスポーツは、高い走行性能がウリのグレード。そのため、サスペンションは、きめ細かい減衰力の制御を行うリニアソレノイド式AVSを採用。さらに、パフォーマンスダンパーを車体の前後に配置し、ボディ剛性のバランスを向上させている。このパフォーマンスダンパーにより、細かい振動を減衰吸収。優れた操縦安定性と上質な乗り心地を実現した。
グリルは、Fスポーツブランド統一の新しいFメッシュパターンを採用。また、Fスポーツの鋭く磨き上げられた走りを表現するために、日本刀の仕上げ工程「刃取」に着想を得たFスポーツ専用アルミオーナメントパネルを新開発した。最新の生産技術で匠の研磨技術を再現。日本刀の刃文をイメージさせる紋様を作り出し日本的な美しさを表現した。
進化した予防安全装備。標準装備化されるかどうかが重要
安全装備面では、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備である第2世代のレクサスセーフティシステム+が採用された。このシステムは、単眼カメラとミリ波レーダーの性能向上により、昼間の自転車運転者や夜間の歩行者も検知可能となり進化している。日本メーカーで、夜間歩行者検知ができる自動ブレーキは数少ない。歩行者との衝突事故は夜間に多い。それだけに、より交通事故を減らす効果が期待できる。
また、駐車場などにおけるアクセルペダル踏み間違い時の衝突、接近する後方車両との接触被害の軽減に寄与するパーキングサポートブレーキを採用。対後方歩行者にも対応しているので、より高い安全性能を得ている。全体的に、従来のレクサス車の中では、高いレベルの安全性能を得た新型レクサスES。
ただ、注意したいのはレクサス車の場合、こうした安全装備が全車標準装備化されないことが多い点だ。グレードにより、安全性能に差がある。レクサスのような高級車ブランドが安全性能に差を付けるようでは、ブランドイメージは下がるだけだ。新型レクサスESは、どのグレードも世界トップレベルであるといえるように安全装備を標準装備化してほしい。
新型レクサスESの価格は500万円オーバー? 燃費と価格を予想
新型レクサスESの日本導入は、2018年秋。価格や燃費など、詳細は発表されていない。まずは、価格を予想してみた。まず、おなじセダンであるGSとの関係だ。GSは、FR(後輪駆動)なので、FF(前輪駆動)の新型ESより効果になると思われる。2.5Lハイブリッドを搭載するGS300hの価格は6,153,000円から。そして、ひと回り小さいHS250hが4,347,000円からだった。
こうした状況を考えると、新型レクサスESの価格は500万円越えは確実だろう。ただ、徹底的に装備を省いたエントリーグレードを設定し、安価に見せる販売戦略を取る可能性もある。そうした場合、500万円を切り499万円というような価格設定になるだろう。
そして、新型レクサスESの燃費。基本的に、カムリと同じハイブリッドシステムの改良バージョンと予想できる。大幅な燃費アップは期待できないので、カムリの28.4㎞/Lがひとつの基準となるだろう。ただ、レクサスESはカムリよりやや車体が大きい。当然、車重が重くなると考えられる。そうなると、新型レクサスESの燃費は、カムリよりやや悪くなるはず。その結果、27~28㎞/L前後の燃費値となると予想した。
新型レクサスES動画
https://youtu.be/130wHVXDUhA
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