北米マーケットの要望を色濃く反映したCR-V
ホンダは、中型のSUVであるCR-Vをフルモデルチェンジし発売を開始した。新型ホンダCR-Vは、これで5代目となる。
ホンダCR-Vは、早くからSUVマーケットに参入していたモデルだ。初代CR-Vは、1995年に登場。車名の由来は、Comfortable Runabout Vehicleだ。セダンの快適性と機動力、ミニバン並みのユーティリティーをもち人気モデルとなった。
しかし、ホンダCR-Vはフルモデルチェンジする度、徐々に北米マーケットの要望を色濃く反映してくるようになった。3代目CR-Vでは、ついに全幅が1,800㎜を超えた。
4代目CR-Vは、2016年まで販売されたが、販売台数が伸びず終了。北米では、2016年に5代目CR-Vが投入された。しかし、4代目CR-Vの不振の影響もあったのか、国内では1クラス下のヴェゼルが大ヒットしていたこともあり、5代目CR-Vの導入は長期間見送られていた。これは、国内で人気のハイブリッド車がすぐに導入できなかったことも理由のひとつと言われている。
その後、ハイブリッド車導入の目途が付いたこともあり、ようやく5代目新型ホンダCR-Vが投入された。
ホンダの国内販売は、軽自動車と小型車に極端に依存した状況。さらに、このクラスのSUVで出遅れたホンダ。閉塞感がある国内販売の状況をCR-Vで打破できるのか、とても重要なモデルになる。
新型CR-Vのコンセプト「守・破・離」とは?
新型ホンダCR-Vが、守り続けるべき価値。打破すべきもの。極めるべき強み。立ち返るべき原点。剣道などで用いられる言葉「守・破・離(しゅ・は・り)」と、原点回帰の「帰」をキーワードとした。本質価値を全方位にわたって進化させることで、世界中の顧客に感動をもたらす、次世代SUVのベンチマークをめざしたという。
ベースとなったのは、シビックから採用している新世代プラットフォーム(車台)。基本骨格が大きく進化し、「走る」「曲がる」「止る」といったクルマの基本挙動をドライバーの意思にリニアに沿うよう、ダイナミクス性能を磨き上げた。
CR-V初のハイブリッドシステムを搭載。さらに4WDも
新型ホンダCR-Vに搭載されたパワーユニットは2つ。L15B型直噴1.5L VTEC TURBOと、2.0LのSPORT HYBRID i-MMDが用意された。
注目したいのは、やはり2.0LのSPORT HYBRID i-MMD。3.0L V6自然吸気ガソリンエンジン並みの最大トルク315Nmを誇る。モーターの特性上、この最大トルクがアクセルを踏んだ瞬間から新型CR-Vを前方に押し出す。新型CR-Vは、軽いクルマではないが、かなり力強く走り出すことは確実。しかも、燃費はクラストップとなる25.8㎞/Lを誇る。
このハイブリッドシステムは、「EVドライブモード」「ハイブリッドドライブモード」「エンジンドライブモード」の3つのモードをもつ。非常に複雑な制御をシームレスに切り替え、実にスムースで力強い走りが可能だ。
さらに、このSPORT HYBRID i-MMDには、初の4WD機能も用意された。電子制御で後輪の駆動力を緻密に素早くコントロールするリアルタイムAWDを搭載。雪道での発進やコーナリング、登坂などで優れた走破性を実現。この4WDの駆動力配分は、マルチインフォメーション・ディスプレーで確認できる。
190psをアウトプットする1.5Lターボも用意
L15B型直噴1.5L VTECターボエンジンは、ステップワゴンなどで採用されているものと基本的に同じ。しかし、新型CR-Vように専用開発のターボチャージャーを装備。最大出力190ps、最大トルク240Nmを発揮。ステップワゴンに比べ、大幅に出力とトルクがアップされている。
一般的にターボエンジンは、出力を上げると燃費が悪くなる傾向にあるが、エアロダイナミクスを追求しシャッターグリルを採用することなどにより、JC08モード燃費は15.8㎞/Lという低燃費性能を実現している。
ガソリン車には7人乗りも用意。使い勝手のよい荷室
新型ホンダCR-Vのボディサイズは、全長4,605×全幅1,855×全高1,680mm、ホイールベース は2,660mmとなった。先代モデルと比べると全長+70㎜、全幅+35㎜、全高(FF)-5㎜、ホイールベース+40㎜となった。狭い道が多い日本マーケットにおいては、やや全幅がワイドで扱いにくい印象がある。ただ、最小回転半径は5.5mとまずまずの数値になっている。
新型ホンダCR-Vは、ホイールベースが40㎜も伸びた。より広大な室内空間になったこともあり、新型CR-Vのガソリン車には3列目シートをもつ7人乗りが用意された。このクラスの3列目シート車の中では、やや居住性に優れる。
ただ、日産エクストレイル同様、このサイズのSUVで7人乗りというのは多少無理がある。3列目シートの居住性はタイトで、あくまで一時的な使い方になる。
荷室は、5人乗りのガソリン車が561Lで、さらにカーゴアンダーボックスがあり24Lの容量をもつ。この容量は、なかなか広大な荷室といえる。アンダーボックスもあるので、小物の収納など、使い勝手も良い。
ハイブリッド車の荷室容量は499Lとなり、アンダーボックスはないので、荷室容量はやや小さくなっている。
そろそろ進化に期待したい予防安全装備ホンダセンシング
新型CR-Vの安全装備は充実している。歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備であるホンダセンシングが全車に標準装備。渋滞追従機能付アダプティブ・クルーズ・コントロールや、後側方から接近する車両との接触などに対して警報を発するブラインドスポットインフォメーション、サイド&カーテンエアバッグも標準装備化。ただ、ホンダセンシングも夜間の歩行者検知や自転車検知機能もそろそろほしいところだ。
新型ホンダCR-Vのデザインは、いかにもホンダ車らしいロボットっぽいフェイスになった。押し出し感は十分で、LEDヘッドライトと相まって存在感のあるフェイスとなっている。
そんなエクステリアデザインに対して、インパネデザインはスッキリとしたシンプルなものとなった。重厚感と高級感が上手く混在している。ただ、モニターの設置場所は、もう少し上部にあった方が見やすい。
ホンダCR-Vのグレード選び
新型ホンダCR-Vの価格は、3,230,280円からとなった。グレード選びは、選択肢が少なくオプション設定もほとんどないので簡単だ。そのため、何が最も優先順位が高いのか、という点が重要になる。ガソリンか? ハイブリッドか? 5人乗りか? 7人乗りか? という部分が大きな選択肢になる。7人乗りを選ぶと、ガソリン車しか選べない。ガソリン、ハイブリッド共に、EXとMasterpieceの2グレード構成。それぞれに4WDも設定されている。
今後、消費税アップによる自動車税制の変更を考えると、ハイブリッドに比べ燃費が悪くなるガソリン車は選びにくい。しかし、ガソリン車とハイブリッド車の価格差は約55万円もある。この価格差をどう考えるかが難しい。燃費差による燃料費差では、とても回収できる金額ではないからだ。
ただ、これから電動化技術が入ったクルマが、今後イッキに主流になっていく。そう考えると、予算に余裕がある、もしくは多少無理すればハイブリッド車が買えるというのであれば、やはり新型CR-Vはハイブリッド車を選んだ方がよい。もちろん、ハイブリッド車の方が、売却するときのリセールバリューが高くなるだろう。
EXとMasterpieceのグレード間装備差は、ハンズフリーアクセスパワーテールゲート(イージークローザー/挟み込み防止機構付)、電動パノラミックサンルーフ、本革シート、助手席4ウェイパワーシート、ルーフレールなど。これらの装備がプラスされ、価格は約36万円のアップとなる。単品でのオプション設定はないので、どれかひとつ欲しいだけでも約36万円を払いMasterpieceを選択するしかない。
ホンダCR-V価格
・EX 5名 FF 3,230,280円/4WD 3,446,280円
・EX 7名 FF 3,421,440円/ 4WD 3,637,440円
・EX・Masterpiece 5名 FF 3,591,000円/4WD 3,807,000円
・EX・Masterpiece 7名 FF 3,814,560円/4WD 4,030,560円
■2.0L SPORT HYBRID i-MMD
・HYBRID EX 5名 FF 3,784,320円/4WD 4,000,320円
・HYBRID EX・Masterpiece FF 4,145,040円/4WD 4,361,040円
ホンダCR-Vの燃費、ボディサイズなどスペック
ホンダCR-V HYBRID EX・Masterpiece FF 5人乗り 主要スペック
全長 4,605mm 全幅 1,855mm 全高 1,680mm
ホイールベース 2,660mm
車両重量(車重) 1,700kg
エンジン型式 LFB 排気量 1.993㏄
エンジン最高出力(kW[PS]/rpm) 107[145]/6,200
エンジン最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 175[17.8]/4,000
モーター最高出力(kW[PS]/rpm) 135[184]/5,000-6,000
モーター最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 315[32.1]/0-2,000
JC08モード燃費 25.0㎞/L
WLTCモード燃費 20.2㎞/L
トランスミッション 電気式無段変速機+減速セレクター7スピードモード付
サスペンション方式(前/後) マクファーソン式/マルチリンク式
タイヤサイズ (前後) 235/60R18
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