セダンとワゴンの新型カローラ登場!
トヨタは、セダンとワゴンのカローラシリーズをフルモデルチェンジし発売を開始した。すでに、発売済み5ドアハッチバックのカローラスポーツの派生車になる。
また、従来のカローラ アクシオはカローラへ。カローラ フィールダーは、カローラ ツーリングへと車名が変更された。
今回のフルモデルチェンジで、新型カローラシリーズは12代目となった。カローラシリーズは、トヨタの中でも長い歴史を誇るモデルだ。初代カローラは、1966年に登場している。
さよなら、高齢者?
新型トヨタ カローラシリーズは、従来のカローラ アクシオ、カローラ フィールダーから大きく変化した。ボディは大きくなり、ひとクラス上になっている。デザインも、カローラ スポーツと同様なイメージで若々しさを前面に出した。従来のカローラ アクシオとカローラ フィールダーとは、まったく違うクルマになった。
これには、大きな訳がある。トヨタは、カローラのブランドを再構築したいのだ。セダンのカローラ アクシオは「おじいちゃんのクルマ」というイメージ。実際、カローラ アクシオユーザーの平均年齢は70歳代だという。しかも、国内コンパクトセダンの需要は激減しており、今後も回復が見込めない。
そんな状況下で、驚くべきことが判明した。なんと、若年層ではカローラブランドがまったく浸透しておらず「おじいちゃんのクルマ」的イメージもなく無垢の状態だ。
それは、カローラブラドを「おじいちゃんのクルマ」から「若者のクルマ」に変革できることを意味していた。未来のない高齢顧客より、これからの顧客である若年層が重要。そこで、トヨタはカローラ スポーツのCMキャラクターに若年層の人気が高いタレントの菅田将暉と中条あやみを起用。大きくイメージチェンジを図っている。
また、従来のカローラシリーズは、ほぼ国内専用車というのも大きな理由のひとつ。グローバル化の波に中で、国内専用車は販売台数が少なく利益も出ない。こうなると、フルモデルチェンジの期間が長くなり、結果として供促力が無くなり、さらに売れないという悪循環に陥る。プレミオ、アリオンやエスティマなどが、いつまでたってもフルモデルチェンジをしないのはそんな理由からだ。
トヨタは、比較的日本専用車を多くもつメーカーだったが、国内専用車を打ち切るという大きな決断をしたことになる。よく言えば、カローラブランドの再構築だが、悪く言えば高齢者向けの国内専用車は、儲からないので必要無いということになる。プレミオ、アリオンやエスティマなども同様なことになると予想でき、ついにトヨタは母国のマーケットの車種さえも徹底的な合理化を始めている。
ついに3ナンバーへ、1サイズ大きくなったボディ
新型トヨタ カローラ、カローラツーリングのボディサイズは、1クラス以上大きくなった。新型カローラのボディサイズは、4,495mm×1,745mm×1,435mm、ホイールベースは2,640mmとなった。先代モデルと比較すると、全長が+90mm、全幅+50mm、ホイールベース+40mmとなった。
注目は、全幅が3ナンバーサイズになったことだ。先代カローラアクシオ顧客の平均年齢は70歳代。こうした高齢の顧客の中には、5ナンバーサイズにこだわるケースが多いという。5ナンバーから3ナンバーになることで、税金がアップしていた時代はとっくに終わっているので、ある意味形骸化された仕組みでもある。ただ、道幅が狭い日本においては、全幅が1,695mmと狭いボディのクルマは扱いやすいのは事実だ。
新型カローラは、全幅にこだわる顧客のニーズに対応するために、カローラスポーツでは1,790mmあった全幅を45mm減らし1,745mmへと変更している。これは、ドアなどを国内専用に設計し直して装備した。
これは、5ナンバーにこだわる顧客に対して、違和感無く乗り換えてもらうための。先代モデルとなる30型プリウスにも、高齢の顧客が多かったが同じ全幅1,745mm程度なら違和感なく乗り換えてもらえたという。
また、15インチホイール装着グレードの最小回転半径は5.0mと小さい。このクラスのコンパクトカーとしては、トップレベルの機動性を誇る。先代となるカローラアクシオが4.9mなので、ここはかなり頑張ったポイントでもある。ただし、16&17インチホイール装着車は5.3m。この数値だとクラス平均。15インチホイール車は、エントリーグレードのみの設定となるので、最小回転半径5.0mという優れた機動性を得られる顧客は少ない。
それでも、ボディサイズにこだわる顧客には、先代となるカローラアクシオ、カローラフィールダーの設定グレードや一部の装備を見直し、引き続き販売することで顧客をつなぎとめたい考えだ。
ワイド感を強調したデザインで存在感をアップ
新型トヨタ カローラシリーズのデザインは、カローラスポーツと同様のフロントフェイスをもつ。このフロントフェイスは、トヨタ独自のキーンルックが採用され、なかなか個性的。
やや、好き嫌いが明確に出るデザインなので、セダンを好む保守層にとって、このキーンルックは、かなり先鋭的に思える。ただ、カローラシリーズを若者のブランドとして再構築するのであれば、今回のチャレンジは正解だろう。W×Bグレードには、2連続させたJ字形状のクリアランスランプ&デイライトを装備。昼夜を問わず、ひと目でW×Bと分かるデザインとした。
新型カローラのリヤデザインは、水平基調のリヤコンビネーションランプを装着。ワイド感を強調し、安定感のあるリヤビューにまとめられている。ワゴンボディの新型カローラツーリングは、樹脂バックドアを採用。軽量化すると同時に、立体的な造形を実現。また、大きくボディサイドまで回り込んだリヤコンビネーションランプで、セダンと同様にワイド感をアピールする。
新型カローラとツーリングのインパネは、基本的にカローラスポーツと同じ。インパネデザインは、水平基調のデザインを採用。さらに、薄型でワイド化することで開放感を演出している。滑らかさとシャープさを組み合わせ、スポーティな雰囲気にまとめている。また、Aピラーを細形化し良好な視界を確保している。
カローラのリヤシートは、トランクスルーが可能な6:4分割可倒式を採用。カローラツーリングのラゲッジスペースは、リバーシブルデッキボードを設定し、荷室床面の高さを2段階に調節可能とした。これにより、荷物を多く積むワゴン車としての使い勝手が大幅に向上。内装色は、少々選択肢が少ない。W×Bはブラックとホワイトの2トーン。その他は、ブラックの1色のみ。若年層の顧客を取りたいのであれば、もう少しデザイン性の高い色やシート生地を使った仕様が欲しい。
1.8Lハイブリッド車の燃費は29.0㎞/L
新型トヨタ カローラシリーズに搭載されたエンジンは、1.8Lハイブリッドと1.8Lと1.2Lターボの3タイプ。1.8Lガソリン車は、140ps&170Nmで燃費は14.6㎞/L(WLTC)。実用面では十分な仕様。主にエントリーグレード系に搭載されている。ミッションはCVT
メインは、1.8Lハイブリッド。システム出力は122psで、燃費は29.0㎞/L(WLTC)。ハイブリッド搭載グレードは3グレードと多い。また、全グレードに電気式4WDであるE-Fourが設定されている。
そして、なぜかセダンとワゴンにも、1.2Lターボと6MTの組み合わせが1グレード設定された。出力は116ps&185Nm、燃費は15.8㎞/Lとなった。
この3タイプのパワーユニットすべてに用意されたグレードがW×B(ダブルバイビー)。W×Bは、ブラック&ホワイトとハイコントラストな内装などを採用したモデル。先代モデルも人気だったこともあり、すべてのパワーユニットを搭載している。
最新の「トヨタセーフティセンス」を標準装備するものの・・・
重要な安全装備は、クルマや歩行者(昼夜)、自転車運転者(昼)を検知する自動ブレーキを含む予防安全装備「トヨタセーフティセンス」、サイド&カーテンエアバッグ、ニーエアバッグは全車標準装備だ。一定の安全性能を確保している。
しかし、アクセルとブレーキの踏み間違いを抑制するインテリジェントクリアランスソナーは、一部オプション設定。後側方から接近する車両を検知し警報を発するブラインドスポットモニター、リヤクロストラフィックオートブレーキなどは全車オプション。
ブラインドスポットモニターなどは、使用頻度が高い機能なので、これくらい標準装備化してほしいもの。1クラス下のコンパクトカーであるマツダ デミオには、標準装備されているくらいだ。こうした安全装備を細かくオプション設定するのは「交通死亡事故ゼロを目指したい」とする、豊田社長の意向とは異なるものだ。
トヨタブランド初のディスプレイオーディオ標準装備化
新型トヨタ カローラシリーズの装備でポイントとなるのは、国内トヨタブランドとして初めてディスプレイオーディオを全車に標準装備したことだ。スマートフォンとの連携が可能となり、日常利用している地図アプリや音楽などをディスプレイで操作・利用が可能となっている。スマートフォンの地図アプリが使えれば、高額なナビを買う必要が無くなるし、地図は常に最新というメリットがある。また、従来通りの車載用ナビを使いたい場合、エントリーナビキットまたはT-Connectナビキットの2種類が選択可能になっている。
また、新型カローラシリーズには、DCM(車載通信機)を標準装備。エアバッグが開くなどの事故時に、自動で通報。ドライバーの意識がない場合など、救急車の手配をしてくれるヘルプネットなど、安心・便利なコネクティッドサービスが利用可能。基本利用料5年間無料。6年目以降は3,300円/年[税抜]または、300円/月[税抜]となる。
新型トヨタ カローラ、カローラツーリングのグレード選び
新型カローラシリーズのグレード選びでは、まずボディ形状の選択。一般的な使い方なら、セダンで十分。アウトドアレジャーやスポーツなどで、荷物を多く使う人はやはりワゴンであるツーリングがよい。また、ツーリングとセダンの価格差は、グレードによって異なるものの10万円前後。これくらいの差なら、便利なワゴンのツーリングを選んだ方がよい。また、ツーリングの方がよりリセールバリューも高いので、短期の乗り換えなら、よりメリットが大きくなる。
そして、次はエンジンの選択だ。搭載されているエンジンは、1.8Lと1.2Lターボ、そして1.8Lハイブリッドの3タイプ。よりCO2の排出量が厳しくなっており、しかもEV(電気自動車)化が加速する中で、一般的なガソリン車というのは選びにくい。そのため、新型カローラシリーズでのお勧めは、やはり1.8Lハイブリッドということになる。
新型カローラシリーズのグレード選びでは、まずガソリン車、ハイブリッド車共にエントリーグレードであるG-X系は外して考えるとよい。G-X系は、走行安定性に係わる部品であるリヤのスタビライザーが装着されていない。さすがに、このクラスのクルマでスタビライザー無しというのは操縦安定性的にもお勧めできない。また、アクセルとブレーキの踏み間違えに効果があるインテリジェントクリアランスソナーもオプション、その他細かい部分で装備が簡素化されている。
こうなると、グレードはSかW×Bのどちらかということになる。大きな装備差は、W×Bには、視認性に優れるオプティトロンメーター、合成皮革+レザテックのシート表皮、リヤスポイラー、17インチホイール、Bi-Beam LEDヘッドライトなど。W×Bは、かなり贅沢な仕様になっている。価格差はセダンが約18万円、ツーリングが約15万円。それほど大きな価格差はないので、予算に余裕があれば積極的にW×Bを選んでもよい。
新型トヨタ カローラ(セダン)価格
・カローラG-X (FF) 1,936,000円(1.8L)
・S (FF) 2,139,500円(1.8L)
・W×B (FF) 2,315,500円(1.8L)
・W×B (FF)2,409,000円(1.2Lターボ) 6速MT[i-MT]
・HYBRID G-X (FF) 2,403,500円(1.8L)/4WD(E-Four) 2,601,500円(1.8L)
・HYBRID S (FF) 2,574,000円(1.8L)/4WD(E-Four) 2,772,000円(1.8L)
・HYBRID W×B (FF) 2,750,000円(1.8L)/4WD(E-Four) 2,948,000円(1.8L)
新型トヨタ カローラ ツーリング(ワゴン)価格
・S (FF) 2,216,500円(1.8L)
・W×B (FF) 2,365,000円(1.8L)
・W×B (FF) 2,458,500(1.2Lターボ) 6速MT[i-MT]
・HYBRID G-X (FF) 2,480,500(1.8L)/4WD(E-Four)(1.8L) 2,678,500円
・HYBRID S (FF) 2,651,000円(1.8L)/4WD(E-Four)(1.8L) 2,849,000円
・HYBRID W×B (FF) 2,799,500円(1.8L)/4WD(E-Four)(1.8L) 2,997,500円
新型トヨタ カローラ燃費、ボディサイズなどスペック
代表車種 トヨタ カローラハイブリッドW×B(FF)
全長×全幅×全高 4,495mm×1,745mm×1,435mm
ホイールベース 2,640mm
トレッド前/後 1,510/1,520
最小回転半径 5.3m
車両重量 1,370kg
乗車定員 5名
エンジン種類 直列 4気筒 DOHC
エンジン型式 2ZR-FXE
総排気量 1,797cc
エンジン最大トルク 142Nm(14.5kg・m)/3,600rpm
トランスミッション 電気式無段変速機
モーター最高出力 53kW(72PS)
モーター最大トルク 163Nm(16.6kg・m)
使用燃料 無鉛レギュラーガソリン
JC08モード燃費 30.8km/L
WLTCモード燃費 25.6km/L
サスペンション形式前/後 マクファーソンストラット/ダブルウィッシュボーン
タイヤサイズ前後 215/45R17
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