使い勝手と美しさを両立した4ドアクーペ
BMWはプレミアム・コンパクト・セグメントにおける初の4ドアクーペとなる新型2シリーズ・グランクーペの発売を開始した。
BMWの4ドアクーペは、2012年にBMW6シリーズに設定されたグランクーペが初めてのモデルで、その後、4シリーズ、8シリーズなど、各モデルレンジに展開されてきた。優雅な外観デザインとスポーティな走行性能、4ドアならではの高い利便性などを併せ持つことで、グランクーペはそれぞれのモデルで支持を得ている。
今回、2シリーズにグランクーペが導入されたことで、BMWのすべてのセグメントに4ドアクーペの幅広いラインアップが完成したことになる。
2シリーズ・グランクーペは、多様化し個人の価値観がより尊重される現代社会において「スタイルにこだわりながらも、都会にフィットするサイズであり、さらに利便性が高い4ドアで、かつ、洗練されている」というような、何にも妥協しない現代社会の大人に向けた新たな選択肢として日本市場に投入された。
日本マーケットでも扱いやすいボディサイズ
新型BMW2シリーズ・グランクーペのボディは、全長4540mm、全幅1800mm、全高1430mmという日本の一般的な機械式駐車場にも入る手頃なサイズを基本とする。このボディに、クーペモデルらしい滑らかなルーフラインを備え、都会に映える全く新しいデザインを与えられた。
BMWの特徴であるキドニーグリルは、クーペモデルに採用される左右にワイドに伸びた幅広のデザインが象徴的なものとされている。同時に、縦に格子状に配置されているキドニーバーには、シルバーに黒のアクセントラインが細長く刻まれていて、これはBMWとしても初めて採用されるデザインで、先進的かつ立体的な印象を与えている。
リヤには、BMW最新のデザイン・コンセプトを採用したL字型テール・ライトを装備するほが、ボディサイドのプレスラインは、陰影を際立たせて、クーペならではの機敏さや優雅さを際立たせるスタイルとされている。
室内空間には、6色に変更可能なライトが装備されたインテリアトリムや、オプションで10.25インチのフルデジタル・メーターパネル、10.25インチのコントロール・ディスプレイをラインアップし、都会的かつ先進的な空間を演出している。
4ドアによる乗降性の良さと、前輪駆動方式を基本に採用したことによる余裕ある室内空間が特徴で、ボディサイズの近いBMW2シリーズ・クーペと比べても、約33mm広い後席の足元スペースを確保している。またラゲッジルームも約40L拡大した最大430Lを確保することで、高い利便性を確保している。
エントリーグレードには、自動ブレーキなどが非装着
運転支援機能は、自動ブレーキやレーン・チェンジ・ウォーニング、後部衝突警告機能、クロストラフィック・ウォーニング(リヤ)、アクティブPDC、スピード・リミット情報表示機能などを備えたドライビング・アシストを標準装備(スタンダードグレードを除く)している。
ただ、日本マーケットでは、もはや自動ブレーキなどの予防安全装備は、軽自動車でも標準装備化されている。高額車であることを考えれば、スタンダードグレードにも標準装備化するべき。このグレードは、装備を簡略化し価格を安く見せるために設定されているようだ。
また、直近に時速35km以下で前進走行したときの軌跡を50m記憶し、後退する際にその軌跡通りにステアリング操作を自動で行う「リバース・アシスト」の機能を備えたパーキング・アシストを全車に標準装備している。
オプションのナビゲーション・パッケージを選択すれば、会話のみで車両の操作や、情報へのアクセスが可能となるBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントが装備され、高い利便性を実現する。
実用的な直3 15Lターボと、パワフルな2.0Lターボを用意
新型BMW2シリーズ・グランクーペに搭載されるエンジンは、2機種が用意された。いずれもガソリンエンジンだ。218i系に搭載されるのは直列3気筒1.5LのDOHC+インタークーラー付きターボ仕様で、103kW(140ps)/4600rpm、220N・m/1480~4200rpmのパワー&トルクを発生する。
いわゆるダウンサイジングターボで、1.5Lながら2.0Lを超える自然吸気エンジンに相当する実力を発揮する。駆動方式は前輪駆動で、組み合わされるトランスミッションは7速のDCTだ。実用面でも、十分なパフォーマンスを誇る。
もう1機種は、M235i xDriveグランクーペに搭載される専用エンジンで、直列4気筒2.0LのDOHC+インタークーラー付きターボ仕様。こちらは、225kW(306ps)/5000rpm、450N・m/1750~4500rpmのパワー&トルクだ。同様に自然吸気なら4.5L級の最大トルクをもつ。BMWらしいスポーティな走りを存分に楽しめるパワーユニットだ。燃費性能に関しては、認証待ちだ。
これだけの大出力だと、さすがにFF(前輪駆動)方式では最適なトラクションが得られないこともあり、駆動方式はフルタイム4WDで電子制御8速ATと組み合わされる。
キレのあるハンドリング性能を支えるARB
218i系のモデルは、余裕ある室内空間を実現するため前輪駆動方式を採用すると同時に、1シリーズで日本初の仕様として導入されたARB(タイヤスリップ・コントロール・システム)を搭載する。ARBは、エンジン・コントロール・ユニットで直接スリップ状況を感知し、ダイナミック・スタビリティ・コントロール(DSC)を経由することなく、以前より約3倍の速さで信号を直接エンジンに伝達する機能を持つ。
他にも、車両に搭載された先進技術と連動することで、前輪駆動車に特有のコーナリング時に車両が外側に膨らんでしまう現象(アンダーステア)などを大幅に抑制し、ドライバーが意図する走りをより忠実に実現する。ARBは、4WDのM235iにも装着されている。
BMWらしさを象徴するスポーツグレード、M235i
新型BMW M235i xDriveグランクーペは、パワフルなエンジンを搭載して電子制御8速ATと組み合わせるとともに、BMWのインテリジェント4輪駆動システムであるxDriveを採用している。さらに、新開発の機械式トルセンLSDを標準装備し、よりスポーティかつ俊敏な走りを実現する。
デザイン面でも、メッシュデザインのキドニーグリルや、専用の台形型デュアル・エキゾースト・テールパイプを採用するとともに、キドニーグリルやエアインテークトリム、ミラーキャップなどをセリウムグレーに統一することで、よりアグレッシブで差別化された外観としている。
また、AI技術を活用し、音声で車両の操作、情報へのアクセスが可能となるBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントが標準装備となるなど、充実した装備を備えている。
クルマと人をスマートにつなげるBMW Connected
なお、BMWは「Joy of Ownership. 一人ひとりに、歓びと安心を。」をコンセプトに掲げ、ユーザーがBMWの高品質な製品を安心して満喫できるよう、2016年からBMWの全モデルに、「BMWサービス・インクルーシブ・プラス」を設定している。これには、3年間の無償メインテナンス、タイヤ/キーの破損や紛失の際の費用サポートなどが含まれている。
新型2シリーズ・グランクーペにも、BMWコネクテッド・ドライブが標準装備される。BMWコネクテッド・ドライブは、車載通信モジュールにより、ドライバー、クルマ、そして取り巻く情報をITネットワークで繋ぐことで、「もしもの時に備える万全の安全性」、「カーライフを進化させる革新の利便性」、「充実の情報と最新のエンターテインメント」を提供する総合テレマティクス・サービスだ。
2013年に輸入車として初めて導入された。また、スマートフォン向けアプリの導入により、車両情報やニュース等へのアクセスを可能にし、顧客の利便性を向上させるサービスを提供してきた。さらに、2018年8月には、より操作性・利便性を高めた新たな機能を追加するとともに、新しいスマートフォン向けアプリ「BMW Connected」を導入し、車とユーザー、情報をシームレスに繋げ、より快適でスマートなモビリティ・ライフをサポートする新しいパーソナル・アシスタント・サービスとして生まれ変わっている。
新型BMW2シリーズ・グランクーペのグレード選び
新型BMW2シリーズ・グランクーペのグレード選びは、まずエントリーグレードの218iは外して考えたい。価格は369万円と安価にみせているだけのグレードで、自動ブレーキなども装備されていないし、オプションで装着することもできないからだ。その他の装備も、やや物足りない。そうなると、実際のエントリーグレードとなるのは、218i グラン クーペ Play で価格は410万円となる。
ただ、このグレードでも全車速追従式クルーズコントロールなどが装備されていないので、オプション選択する必要がある。その他、iDriveナビゲーション・パッケージなどを装備すると、プラス35万円程度は必要。こうなると、約450万円からのクルマということになる。
グレードの選択肢は少なく、218i系ではPlayかM Sportから選択するしかない。日本マーケットでの人気は、圧倒的にM Sport。リセールバリューも高い。価格差は約40万円。予算さえ許せば、専用のエアロパーツやサスペンションが装備されたM Sportがイチオシとなる。
M235i xDriveの価格は665万円と、かなり高額になる。特別なモデルなので、思いっ切りスポーツドライビングを楽しみたい人向けだ。
新型BMW2シリーズ・グランクーペの値引きは?
BMW2シリーズ・グランクーペは、通常なら新型車なので、しばらくの間、値引きは厳しい状態だ。ところが、新型コロナ不況でクルマが売れていない。
しかも、輸入車は販売を予想して発注する。そのため、新型コロナ不況のような予想を超えた不況状態になると、在庫車がダブついてしまう。インポーター側としては、長期在庫を避けたいこともあり、在庫車に限っては一定の値引きが期待できる。
ただ、何もしなければ値引きは厳しい。メルセデス・ベンツCLAなど、2シリーズ・グランクーペと同等価格帯のクルマと競合させることが条件になる。
新型BMW2シリーズ・グランクーペ価格
・218i グラン クーペ 3,690,000円
・218i グラン クーペ Play 4,100,000円
・218i グラン クーペ M Sport 4,480,000円
・M235i xDrive グラン クーペ 6,650,000円
新型BMW 2シリーズ・グランクーペ、ボディサイズなどスペック
代表グレード:BMW 218i グラン クーペ M Sport
全長x全幅x全高(mm) 4,540x1,800x1,430
ホイールベース(mm) 2,670
トランク・ルーム容量(L) 430
エンジン型式 B38A15A
種類 直列3気筒DOHCガソリンターボ
最高出力(kW 〔ps〕 / rpm (EEC)) 103〔140〕/4,600
最大トルク(Nm 〔kgm〕 / rpm (EEC))220〔22.4〕/1,480-4,200
駆動方式 前輪駆動(FF)
トランスミッション 7速DCT
タイヤサイズ前後 225/40R18
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