ヤリスクロスに勝つためには、新開発のプラットフォームが必要?
ホンダは、コンパクトSUVである2代目新型ヴェゼル(VEZEL)を世界初公開した。2代目新型ホンダ ヴェゼルの発売日は、2021年4月頃の予定だ。
初代ホンダ ヴェゼルは、2013年末に登場したコンパクトSUV。3代目フィットのプラットフォーム(車台)を使い開発されている。そのため、サイズ的にはBセグメントSUVとなり、国産車でのライバルはトヨタ ヤリスクロスや日産キックス、マツダCX-3だ。
当然のことながら、2代目新型ヴェゼル最大のライバル車は、やはりトヨタ ヤリスクロスということになる。そこで、重要になるのが、2代目新型ヴェゼルのプラットフォームが4代目フィットベースか否かということになりそうだ。
この4代目フィットベースのプラットフォームだと、2代目新型ヴェゼルは少々分が悪くなる。4代目フィットのプラットフォームは、3代目フィットのプラットフォームを改良したもの。新開発されたプラットフォームをGA-Bを使うヤリスクロスと比べると、さすがに厳しい戦いになる。
と、いうのも、ヤリスハイブリッドVSフィットe:HEVでは、燃費面でフィットe:HEVはヤリスハイブリッドに対して大敗しているからだ。フィットe:HEVは、約20%も燃費が悪い。
これは、ハイブリッドシステムの差もあるものの、大きいのは車重の差と言われている。フィットe:HEVの車重は、1,180~1,200㎏(FF)で燃費は27.2~29.4㎞/L(WLTCモード)。対するヤリスハイブリッドの車重は、1,050~1,090㎏(FF)で燃費は35.4~36.0㎞/L(WLTCモード)となっている。このように、約100㎏もの差があるのだ。もちろん、プラットフォームだけの差ではないものの、プラットフォームの重量差は否めない状況だ。
この差が、そのまま2代目新型ヴェゼルに反映されると、燃費面でヤリスクロスを超えるの難しい。もちろん、運動性能面でもマイナスだ。2代目新型ヴェゼルが逆に、大幅軽量化された新プラットフォームが搭載されれば、ヤリスクロスの強力なライバルになる。2代目新型ヴェゼルは、プラットフォームが大きなカギを握るだろう。
クーペ系SUVから、正統派SUVとなったデザイン
2代目となる新型ホンダ ヴェゼルのコンセプトは「AMP UP YOUR LIFE (アンプ アップ ユア ライフ)」。日常生活の質の向上を重視し、アクティブで新しいものにオープンな、今の時代を生きる人々に向けて、実用性だけでなくプラスアルファの体験価値を提供することで、日々の生活の楽しさを増幅=AMP UPさせるようなモデルを目指した。
まず、デザインは、初代ヴェゼルのイメージはあまりなく、まったく異なるモデルとなった印象だ。初代ヴェゼルは、後端に向けて滑らかに下方へ向かうクーペ的なルーフラインが魅力的だった。
しかし、2代目新型ヴェゼルでは、そうしたルーフラインとは決別。とくに、後席の居住性を重視したと思われるフラットなルーフラインになっている。そのため、初代ヴェゼルと比べると、スタイリッシュさはそれほどなく、正統派SUVといった印象が強い。ただ、その分、ボリューム感がアップしていて、より大きく立派に見えるスタイリングになっている。
フロントフェイスは、ボディーとの一体感を高めた同色グリルを採用。あまり立体感のないフェイスで、全体的にマツダのSUV感がある。
リヤのコンビネーションランプは、横長でボディサイドに設置。ワイド感をアピールするデザインとなっている。
ホンダ初の機能を搭載したホンダコネクトに注目
インテリアは、水平基調のデザインでワイド感あるインパネとなっている。
全体的にシンプルにまとめられている。各部にソフトパッドなどを採用し、質感の高さも感じさせる。装備類では、心地よい光を室内に取り入れるパノラマルーフが用意されている。
コネクティッド関連では、新世代コネクテッド技術を搭載した車載通信モジュール「Honda CONNECT(ホンダコネクト)」を搭載。ホンダ初の機能として、ナビゲーションシステムが新しい地図に自動で更新される「自動地図更新サービス」を搭載。
その他、スマートフォンがキーの代わりになる「ホンダデジタルキー」や、車内での楽しさ・快適さが拡がる多彩なアプリを提供する「ホンダアプリセンター」、車内でデータ通信容量を購入し、インターネットに接続して楽しめる「車内Wi-Fi」などが、初搭載されている。
そして、重要な予防安全装備類は、最新の安全運転支援システム「ホンダ センシング」を用意。フロントワイドビューカメラと高速画像処理チップを採用し、先代ヴェゼルから機能を更なる進化・充実させている。
アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)は、渋滞追従機能付きへ進化。そのほかにも、衝突軽減ブレーキ(CMBS)、路外逸脱抑制機能、標識認識機能、車線維持支援システム(LKAS)の各機能を先代モデルよりさらに進化。このほか、後方誤発進抑制機能、近距離衝突軽減ブレーキ、オートハイビームなど、3つの機能も新追加した。
1.5Lハイブリッドと1.5Lガソリンを搭載
2代目新型ヴェゼルに搭載されるパワーユニットは、1.5Lのe:HEVと1.5Lガソリンエンジン。
e:HEVは、シリーズハイブリッドでエンジンはほぼ発電に徹し、その電力でモーターを駆動し走行する。
ただ、高速道路などエンジン負荷が低い場合で、コンピュータが発電するよりエンジン出力で走行した時の方が、燃費がよいと判断した場合、直結モードで走行する。NORMAL、SPORT、ECONと3つの異なる走行モードを選択可能。また、Dレンジ、Bレンジ、減速セレクターにて、アクセルオフ時の異なる減速度を選択することが可能だ。
4WDモデルでは、悪天候や雪上走行においても安定したドライビングを可能にする、「リアルタイムAWD」を搭載。とくに、e:HEVとの組み合わせでは、モータードライブの特徴である素早くリニアなトルク発生と、四輪に常時最適な駆動力配分を行うリアルタイムAWDの働きにより、さまざまな道路環境で、安定感のある愉しい走りを提供する。
2代目新型ホンダ ヴェゼルの価格を予想。初代ヴェゼルよりも安くなる?
さて、気になる2代目新型ホンダ ヴェゼルの価格を予想してみた。最大のライバルであるトヨタ ヤリスクロスの価格が、ひとつの目安になる。ヤリスクロスは、かなり戦略的な価格で、新型車ながらライバル車より安価な設定だ。初代ヴェゼルよりも安価な設定。
ヤリスクロスのガソリン車は約180~244万円で、ハイブリッド車は約228~282万円。2代目新型ヴェゼルの価格は、これより安いか同等レベルと予想できる。ヤリスクロスのエントリーグレードは、予防安全装備であるトヨタセーフティセンスが装備されていない。2代目新型ヴェゼルのホンダセンシングは、恐らく全車標準装備。
そうなると、実質的に2代目新型ヴェゼルの価格は、ガソリン車で約190~240万円程度。ハイブリッド車は225~280万円前後と、ほんの少しヤリスクロスより安くなるのではないだろうか? 初代ヴェゼルよりも安くなりそうな予感だ。
2代目新型ヴェゼルに新搭載する主な装備
・ハンズフリーアクセスパワーテールゲート(予約クローズ機能付き)
・パノラマルーフ(Low-Eガラス採用)
・新設計のエアコン吹き出し口「そよ風アウトレット」
・ヒルディセントコントロール
・静電タッチ式LEDルームランプ
・独自開発のプレミアムオーディオ※4
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