自動運転レベル3を実現した新型レジェンドは、限定100台。価格は1,100万円!
ホンダは、フラッグシップセダンのレジェンドに、国交省から世界初の自動運転レベル3を認可された「ホンダセンシング・エリート(Honda SENSING Elite)」を搭載し発売を開始した。
自動運転レベル3となったホンダセンシング・エリートを搭載したレジェンドだが、現在のところ100台限定生産。しかも、販売は特定の販売店のみでリースとなる。レジェンド ハイブリッドEXホンダセンシング・エリートの価格は1,100万円だ。
自動運転レベル3を取得したホンダセンシング・エリートを搭載したレジェンドは、現行モデルが5代目。2015年に登場し、2018年にマイナーチェンジし大幅にデザインを変更している。
当時、レジェンドはホンダの最新技術が惜しみなく投入されたモデルで、V6 3.5Lエンジンをベースとした「SPORT HYBRID SH-AWD」を搭載。このシステムは、4輪の駆動力をモーターを使い自在に制御する革新技術。4輪駆動、前輪駆動、後輪駆動などの駆動方式をシームレスに切り替えることが可能で、各車輪の駆動力を瞬時に制御。色々なシーンで走行安定性や旋回性能の向上に寄与する。このシステムは、スーパーカーであるNSXのコア技術としても採用されている。
走行中、スマホいじりOK! となる「トラフィックジャムパイロット」
まず、ホンダセンシング・エリートが認可された自動運転レベル3とは、条件付自動運転車(限定領域)と呼ばれている。
この限定領域条件下では、システムがドライバーに代わってすべての運転操作を行うことが可能となっている。これにより、自動運転レベル2のハンズオフに加え、アイズオフが可能となっている。
このアイズオフが可能になったということが、とても重要なポイント。アイズオフとは、簡単に言えばよそ見OK。走行中に前方を注視する必要が無くなり、携帯電話の仕様や車載モニターで映画なども楽しめるようになる。
もちろん、クルマ側からドライバーに運転要求があれば、即座に対応しなければならないということが前提。とはいえ、クルマの運転中に前方監視をしなくてよいというのは、まさにすべてのドライバーにとって、未知の領域に入ったといえる。
このホンダセンシング・エリートの自動運転レベル3条件付自動運転車(限定領域)とは、高速道路や自動車専用道での「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)」使用時だ。「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)」が機能しているときだけ、よそ見や携帯電話操作などが可能になる。
さすがに、速度の高い通常走行時には、まだリスクが高いのか自動運転レベル3とはならないようだ。技術的には、恐らく100㎞/hでも可能だと思われるが、国交省も初の認可。いきなり高速域で走らせずに、まずは低速域の渋滞時のみで様子を見ようということなのだろう。
自動運転レベル3の領域は、まだかなり限定的とはいえ、非常に便利な機能と言える。休日、レジャー後の帰り道、いつも渋滞して嫌気がさす高速道路で、その真価を発揮する技術だ。
トラフィックジャムパイロットの作動条件として、自車の速度が自動運行装置の作動開始前は約30km/h以下、作動開始後は約50km/h以下であること。また、高精度地図及び全球測位衛星システム(GNSS(Global Navigation Satellite
System))による情報が正しく入手できていないと、トラフィックジャムパイロットは作動しない。つまり、衛星からの電波が届かないようなトンネルでは使えないケースがある。その他にも、一定の条件あるので、どんな時でもOKというシステムではない。
ハンズオフのまま自動で車線変更!
その他、ハンズオフ機能として以下の機能が用意された。
●高速道路や自動車専用道で、渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)と車線維持支援システム(LKAS)が作動中に一定の条件を満たすと、ドライバーがハンドルから手を離した状態でも、システムが運転操作を支援する機能。
・ハンズオフ機能付車線内運転支援機能
システムが車線内の走行や追従を支援します。システムは設定された車速を保ちながら車線中央に沿うように走行し、先行車がいる場合は適切な車間距離を保ちながら追従を支援します。
・ハンズオフ機能付車線変更支援機能
ハンズオフ機能付車線内運転支援機能で走行中、ドライバーが周囲の安全を確認しウインカーを操作すると、システムが車線変更に伴う加減速、ハンドル操作を支援します。
・ハンズオフ機能付高度車線変更支援機能
ハンズオフ機能付車線内運転支援機能で走行中、高度車線変更支援スイッチをONにすると一定の条件下でシステムが状況を判断して、車線変更や追い越しなどの操作を支援します。システムが車速の遅い先行車を検知した場合、ドライバーに告知を行ったうえで、追い越しや車線復帰を支援します。
ドライバーや周囲の安全にも配慮した緊急時停車支援機能
このハンズオフ機能の内、車線内運転支援機能については、日産がスカイラインに搭載したプロパイロット2.0がある。だが、ハンズオフで、車線変更支援機能はプロパイロット2.0では対応していない。プロパイロット2.0では、車線変更支援時にはドライバーがステアリングに手を添える必要がある。このあたりが、レジェンドの自動運転レベル3との違いだ。
ちなみに、日産のプロパイロット2.0は自動運転レベル2。レベル2の中でも、レベル3に近いレベルに達している運転支援機能だ。
さらに、ハンズオフ機能付高度車線変更支援機能は、自動運転レベル3車両ならではの機能。ドライバーは車両側の指示に従って後方の安全を目視で確認したり、前方監視を怠らなければステアリングから手を放していてもよい。
また、ドライバーが病気などで意識を失っている状態などでは、緊急時停車支援機能が作動する。この機能は、ドライバーがシステムからの操作要求に応じ続けなかった場合、左車線へ車線変更をしながら減速・停車を支援する。ハザードランプとホーンで周辺車両への注意喚起を行いながら、減速・停車。路肩がある場合は、左側車線に向かって減速しながら車線変更を支援し、ドライバーと周囲の安全も考慮している。
さらに、自動運転レベル3ということもあり、通常のレジェンドとまったく異なるヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)をもつ。ハンドル、ナビ画面上部、グローブボックスには、ホンダセンシング・エリート表示灯を装備。ハンズオフ可能な状況ではハンドルの表示灯がブルーに点灯。トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)作動時は、その他の表示灯もブルーに点灯する。
一方、システムがドライバーに操作要求をする場合には、これらの表示灯がオレンジに切り替わって点灯・点滅する。また、12.3インチの大型フル液晶メーターでも、システムの作動状態や周辺車両の状況、操作要求をシンプルかつ表現力豊かに表示。
こうした自動運転レベル3に対応したホンダセンシング・エリートは、フロントセンサーカメラ ×2、 ライダーセンサー ×5、レーダーセンサー ×5と多くのセンサー類と、3次元の高精度地図や、全球測位衛星システム(GNSS)の情報を用いて、自車の位置や道路状況を把握する技術に支えられている。
限定100台&リース販売。ホンダのメリットは?
ホンダの高い技術力により可能となった自動運転レベル3。しかし、販売方法からもホンダの不安がにじみ出ている。
レジェンド ホンダセンシング・エリートを搭載したモデルは、100台限定生産で限られて店舗でのリース販売。この販売方法が意味するものは、限られた管理できる台数をマーケットで走らせデータを収集。リース販売なので、期間が満了すれば車両は回収でき、これも貴重なデータとなる。
ホンダは、アコードハイブリッドやPHEV、クラリティFCVなど、先進モデルに関しては、似たような販売形態をとってきた。自動運転レベル3と言っても、まだまだ、一般の人が制約なしに手に入れることはできないということだ。
とはいえ、真っ先にマーケットに投入したことは、後々ライバルメーカーよりアドバンテージになることは間違いない。また、世界初というワードは、ホンダの技術力をアピールするためにも重要。
この技術が生かされ、より進化したホンダセンシングにも期待が高まる。その結果、ホンダが目指す道を使う誰もが事故に遭わない社会の実現をめざした安全思想「Safety for Everyone」により近付いたことには間違いない。
ホンダ レジェンド価格
・レジェンド ハイブリッドEX ホンダセンシング・エリート 11,000,000円
ホンダ レジェンド燃費、ボディサイズなどスペック
全長(m)/全幅(m)/全高(m) 5.030/1.890/1.480
ホイールベース(m) 2.850
トレッド(m) 前・後 1.630
最低地上高(m) 0.145
車両重量(kg) 2,030
エンジン型式 JNB
エンジン種類 水冷V型6気筒SOHC
総排気量(L) 3.471
電動機型式 H2-H3-H3
エンジン最高出力(kW[PS]/rpm) 231[314]/6,500
エンジン最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 371[37.8]/4,700
モーター最高出力(kW[PS]/rpm) 前(H2) 35[48]/3,000 後(H3) 27[37]/4,000(1基当り)
モーター最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 前(H2) 148[15.1]/500-2,00 後(H3) 73[7.4]/0-2,000(1基当り)
トランスミッション 7速DCT
WLTCモード燃費燃費(Km/ L) 12.4
最小回転半径(m) 6.0
動力用主電池 リチウムイオン
タイヤ 前・後 245/40R19 94Y
サスペンション方式 前/後 ダブルウイッシュボーン式/ウイッシュボーン
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