北米仕様の新型Zは、2グレード設定+240台の限定車
日産は、ニューヨークで北米仕様の新型「Z」を公開した。この新型Zは、北米で2022年春に販売を予定。北米などでは、日産Zと呼ばれるが、日本仕様となる新型フェアレディZは、2021年冬に発表される予定だ。
米国市場向けの新型Zには、「Sport」と「Performance」の2グレードと、240台の限定生産となる「Proto Spec」が用意される。
限定車の「Proto Spec」には、専用の黄色いブレーキキャリパー(Zロゴ付)、ブロンズカラーのアルミホイール、黄色がアクセントの本革シートと、黄色のステッチをインテリアに採用している。
405ps&475Nmを発揮するVR30DDTTエンジン
新型Zに搭載されるエンジンは、V6 3.0LツインターボのVR30DDTTエンジンが搭載される。このエンジンは、スカイライン400R用のものを新型Z用にチューニングしたと思われる。最高出力は405PS、最大トルクは475Nmだ。
このエンジンに組み合わされるのは、6速マニュアルトランスミッショ(MT)と、新開発の9速オートマチックトランスミッション(AT)。
6速MTには、475Nmという大トルクをアウトプットするVR30DDTTエンジンに対応。クラッチディスクとギヤトレインを強化した。
また、新設計のシンクロナイザーシステムの採用や、シフトプロファイルの変更により、ドライバーの意のままのスムーズなシフトチェンジを可能としている。
そして、新開発となった9速ATは、幅広いギアレンジとした。ダイレクトで素早いレスポンスを実現。
シフトモードは、通勤や高速道路でのロングドライブに最適なスタンダードモードと、ポテンシャルを最大限に引き出すスポーツモードを設定し選択できるようになっている。
スポーツモードは、より速い加速制御に加え、ステアリングやVDCに専用制御を採用。キビキビと駆け抜けるのに最適な設定とした。
コーナーリング性能を13%向上
そして、日産の後輪駆動車初となる、アドバンストローンチアシストコントロールシステムを搭載。クラッチ操作でエンジン回転数を保持し、停止状態から加速性能のポテンシャルを最大限発揮する。AT全車、MT車「Performance」グレードのみの設定となった。
より高い走行性能を得るために、ボディ剛性をアップ。ラックアシストタイプEPSやワイドフロントタイヤなどを採用し、コーナリング性能を最大で13%向上させた。
新型Zのサスペンションは、前後のダンパーを新設計の大径モノチューブダンパーとした。減衰力は、現行のZ34型比で約20%低減。
これにより、路面突起乗り越し時のショックを低減。モノチューブ式の強みである高応答性を活かすことで、路面追従性を向上させた。
また、アルミ製ダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションは、キャスター角を増やすなどしてジオメトリーを変更。直進安定性も向上させた。
フロントはS30、リヤはZ32のイメージを用いたデザイン
新型Zのデザインテーマは「伝統と最新技術の融合」。歴代のフェアレディZへのオマージュを感じさせるデザインを特徴だ。
外観デザインは、後輪駆動のスポーツカーのデザインを踏襲し、ロングノーズ&ショートデッキのシルエット。低重心のリアスタンスなど、初代のS30型Zをイメージさせる。
LEDヘッドライトのデザインは、240ZG(S30型)を彷彿とさせる2つの半円がイメージさせている。
また、リアコンビネーションランプは、Z32型を彷彿とさせるデザインとし、新たに3DシグネチャーLEDテールランプを採用した。
「Performance」グレードには、リヤのダウンフォースを高めたリヤスポイラー装備。フロントには、GT-Rの開発で培ったノウハウが活かされた優れた空力特性をもつスポイラーが装備されている。
新型Zのボディカラーは、モノトーン3色と、新色のセイランブルーとイカズチイエローを含む2トーン6色(いずれもスーパーブラックルーフ)とした。
懐かしさを感じる3連メーター
新型Zのインパネデザインは、インパン上部に設置された3連メーター(ブースト計、ターボスピード計、電圧計)が特徴的。やや、古典的なアイテムが採用され、懐かしいチューニングカー的デザインとなった。
しかし、そうした古典的なデザインの下部には、タッチパネルのモニターを設置。最新のコネクティッドサービスが用意される。
新型Zのメーターには、12.3インチ・フルデジタルメーターディスプレイを採用。エンジン回転計の針が真上を指し、シフトアップインジケーターが点滅してドライバーにシフトアップを促すなど、重要な情報を一度に表示できるようになった。
また、デジタルメーターなので、ドライバーの好みに合わせて情報を変更できる。計3つの表示モードが用意された。
新型Zのシートは、GT-Rの開発で培ったノウハウを活かし、ホールド性とフィット感を向上。シートバックにスエードを多用。スポーツドライビング時など、身体の横ブレを抑え、コーナリング時の身体の動きも抑制する。
インテリアカラーは、グラファイト、レッド、ブルーの3色を用意。特別限定仕様車「Proto Spec」では、インストルメントパネルのステッチをはじめ、室内の随所に黄色のアクセントを施した。
日産スポーツカーの歴史をつなぐ、重責を担う新型フェアレディZ
新型日産Zは、先代Z34型と比べると、まったく異なるデザインやパワーユニット、ミッションをとなった。
しかし、どうやらプラットフォーム(車台)は、Z34型のキャリーオーバーのようだ。Aピラーやルーフなどは、Z34型に酷似しており、ホイールベースも同じ2,550mmだ。
スポーツカーが売れない現代において、新たに専用のプラットフォームを開発しても、元が取れない状況。それだけに、プラットフォームのキャリーオーバーも仕方のないことだろう。
また、エンジンもスカイライン400Rベースのものが採用されているなど、共通化が図られている。
こうした手法は、スポーツカーらしくないと言えなくもないが、やはり、存続させることが大事。むしろ、外板パネルやインテリアを一新、新開発の9速ATの投入など、日産はかなり攻めた開発を行っている。
すでに、日産はGT-Rの生産を終了するとの噂があり、HPでもオーダー終了のアナウンスが掲載中。次期GT-Rが登場するという情報もない。こうなると、しばらくの間、日産のスポーツカーはフェアレディZのみ。日産スポーツカーの歴史をつなぐ重責を担うことになりそうだ。
新型日産Z出力、ボディサイズなどスペック
エンジン VR30DDTT 3.0L V-6 ツインターボ
最高出力 (hp) 400
最大トルク (lb-ft) 350 @ 5,600 rpm
トランスミッション 6速マニュアルトランスミッション/パドルシフト付き9速オートマチック
ブレーキ 前:ベンチレーテッドディスク/4輪アルミキャリパー対向ピストンブレーキ
ブレーキ後:ベンチレーテッドディスク/4輪アルミキャリパー対向ピストンブレーキ
ボディサイズ 全長 (インチ) 172.4 幅 (インチ) 72.6 高さ (インチ) 51.8
ホイールベース (インチ) 100.4
タイヤサイズ 前: 245/45R18 9J 後: 245/45R18 9J(Sport) 前: 255/40R19 9.5J 後: 275/35R19 10J (Performance、Proto Spec)
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