トヨタ シエンタ新車情報・購入ガイドの目次
2代目シエンタ、2021年度モデル末期同士のフリードに大差で負けた!?
トヨタは、コンパクトミニバンであるシエンタをフルモデルチェンジし発売を開始した。新型シエンタは、今回のフルモデルチェンジにより3代目となる。
初代トヨタ シエンタは、2003年に登場した。コンパクトミニバンの先駆け的な存在だった。ただ、デビュー直後から大ヒットモデルとはならず、ジワジワと人気が高まっていった。
大きな転機となったのは、2008年に同じキャラクターのホンダ フリードが登場。フリードの登場によりコンパクトミニバンが、注目され始めた。
初代シエンタは、2010年に一旦販売を終了するも、2011年にマイナーチェンジし再び販売を開始。ただし、2011年にはフリードにハイブリッド車が投入され、イッキにコンパクトミニバンの人気が高まっていく。
しかし、初代シエンタはデビューが2003年と古いため競争力不足。フリード一強時代が始まった。厳しい販売状況かであったものの、初代シエンタは2015年まで発売されたロングセラーモデルとなった。
2代目シエンタは、イッキに進化。ハイブリッド車は、ライバルのフリードハイブリッドを圧倒する低燃費を誇った。フリードハイブリッドも2016年にフルモデルチェンジし2代目となるが、2代目シエンタの燃費値には届かなかったほどだ。
そんな圧倒的な超低燃費性能であることも含め、シエンタはデビュー直後から人気モデルとなる。その人気は、コロナ禍となるまで好調を維持。コロナ禍では、半導体や部品不足による影響でシエンタは苦しい戦いを強いられた。
その一方で、ライバルフリードは半導体や部品不足の影響が少なく、納期も比較的短いということもあり販売面は好調。2021年度の販売台数で、シエンタはフリードに対して約2.4万台もの差を付けられてしまった。
これぞ技術の進化! ボディサイズはほぼ変わらないのに居住性・使い勝手は大幅アップ
そして、ついに2022年8月に3代目シエンタがフルモデルチェンジ。基本的に、2代目シエンタのキープコンセプトで、低燃費性能や使い勝手の良さをさらに向上させている。
3代目シエンタのボディサイズは、全長4,260×全幅1,695×全高1,695mm、ホイールベースは 2,750mmとなっている。なんと、全高が+20mmとなったこと以外は、2代目シエンタと同じサイズのままだ。
ただし、プラットフォームはヤリスやアクアなどと同じ最新のGA-Bプラットフォームが採用されいてる。
全高が高くなったことで、2列目以降のヘッドクリアランスには、より余裕ができた。また、2列目シートは、やや持ち上げたことにより、2列目シートより高い位置に設置。2列目シートからの視界や開放感をアップしている。
また、パッケージグも見直され、クラストップレベルとなる最大1,000mm(従来型比+80mm)の前後カップルディスタンスを実現。2列目の居住性を、大幅に向上している。
そして、330mmと低いフロア地上高や段差のないフラットなフロアを踏襲。全高を高めたことも含め、パワースライドドア開口部の高さを1,200mm(従来型比+60mm)に広げ、後席への優れた乗降性を実現している。小さな子供から高齢者まで、よ楽な姿勢で乗り降りできるようになっている。
バックドアは、開口部の高さを15mm(従来型比)拡大。荷室高も20mm(従来型比)高くしたことで、よりスムーズな荷物の出し入れを実現。27インチタイヤの自転車でもハンドルを開口部にとられることもなく積載が可能だ。
2列シート5人乗りタイプでは、荷室床面に加え、2列目シートのチルトダウン構造を見直した。格納時のシート背面高さを下げたことで、荷室高を50mm(従来型比)拡大。フラットで大容量のラゲージスペースとなり、多くの荷物を積載するだけでなく、車中泊にも便利な仕様となった。
3代目シエンタは、使い勝手やスペース面で、大幅に利便性をアップ。このあたりは、かなりフリードを意識している。
便利な装備を満載
装備面では、「ハンズフリーデュアルパワースライドドア」、「天井サーキュレーター」、「後席用サンシェード」など、気の利いた装備も用意されている。また、運転席シートバックには、充電用のUSBポートも用意されており、後席でもスマートフォンやゲーム機などの充電が可能だ。
さらに、ようやくというべきか、予防安全装備パッケージであるトヨタセーフティセンスで使われている前方用単眼カメラを使ったドライブレコーダーが設定された。ドライブレコーダーを後付けする必要が無く、音声認識、エアバッグ衝突センシングなど優れた機能を誇る。
また、後付けではないため、録画データをディスプレイオーディオですぐに再生が可能。Wi-Fi経由でスマートでの再生も可能と高い利便性が魅力だ。
よりカジュアルでオシャレになったデザイン
3代目新型トヨタ シエンタのデザインは、2代目シエンタと比べるとかなり雰囲気を変えてきた。2代目シエンタは、歌舞伎の隈取をイメージさせるような個性的なデザインが魅力的だった。
しかし、3代目新型シエンタでは、全体的にカジュアルな印象が強くなっている。ルノー カングー的なシルエットに、シトロエンC3の個性的なエアバンプ的なサイドプロテクションモールを装備する。
3代目シエンタのデザインは、室内の広さを感じさせながら、車体を大きく見せないデザインだという。ただ、全高は1,695mmと大きくなったこともあり、なかなか立派に見える。
大きく見せないデザイン手法として「シカクマル」シルエットが採用されている。フロントフェイスは、左右ギリギリにヘッドライトが装備され、ちょっと目の離れたデザイン。なかなか目力が強いのだが、可愛らしくも見える。また、グリルはフェイス下部に設置。下方に向かいややワイドになるデザインで、安定感あるフェイスとしている。嫌味のない押し出し感と迫力も兼ね備えた優れたデザインと言える。
収納スペース豊富だが、ややコッテリ系のインパネデザイン
インテリアデザインは、ややコッテリ系。使う楽しさを拡げ、心地よい室内空間を演出するインテリアデザインした。インパネ上部はフラットで、視界も良好。
ただ、カップホルダーや小物入れなどを充実させるためか、色々な要素が入り乱れている感じで、全体的にゴチャゴチャしたインパネ周りに見える。収納スペースに入るモノを楽しく表現したピクトグラムも個性的だが、ノイズのようにも感じる。
インテリアカラーは豊富。明るい「フロマージュ」と、落ち着いた空間を演出する「ブラック」を配色。ファンツールパッケージとして、親しみやすいアースカラーの「カーキ」もオプション設定されている。
もはや敵無し! 超低燃費な1.5Lハイブリッド。しかし、ガソリン車は・・・
3代目新型シエンタに搭載されたパワーユニット2つ。1.5Lガソリンと1.5Lハイブリッドだ。
驚きなのは、1.5Lガソリン車。なんと、このモデルもアイドリングストップが装備されていない。トヨタは「カーボンニュートラルに全力で取り組む」としている。18.4㎞/L(WLTCモード)という優れた燃費値を出した直3 1.5L M15 A-FKS型エンジンとはいえ、アイドリングストップ機能さえ付いていないのであれば、トヨタが宣言している「カーボンニュートラルに全力で取り組む」というメッセージは、言行不一致といった印象を与えるだけだ。すでに、日産はコンパクトカーのノート系では、ガソリン車の設定をしていない。
3代目新型シエンタの1.5Lハイブリッドシステム出力は、116ps。燃費は28.2~28.5㎞/L(FF、WLTCモード)。ライバル、フリードはモデル末期のモデルとはいえ燃費は20.9㎞/L(FF、WLTCモード)と、他を寄せ付けない圧倒的な燃費値となっている。
小さなクルマでも国内トップレベルの予防安全装備
3代目新型シエンタの予防安全装備パッケージである「トヨタセーフティセンス」の機能は、国産車トップレベルになる。重要な歩行者検知式自動ブレーキは、昼夜の歩行者と自転車、昼間の自動二輪まで検知し、衝突回避・被害軽減を行う。また、交差点内など右左折時の歩行者、右折時の対向車にも対応する。
その他、アクセルとブレーキの踏み間違え防止機能、後側方車両接近警報など、多くの機能が用意されている。ただし、一部機能はグレードによりオプション設定だ。
運転支援機能で、とくに便利なのがPDA(プロアクティブ・ドライビング・アシスト)。トヨタセーフティセンスの機能を使い、ドライバーが危険な状態になる前に車両が安全運転をアシスト。例えば、路肩にいる歩行者との距離が近ければ、ステアリング操作をアシストし歩行者の距離を保つ。アクセルオフ時、前方の車両との距離を絶妙に維持しながら減速。停止は自らブレーキを踏む必要があるものの、ブレーキとアクセルを踏みかえる回数が激減。疲労軽減にも役立つ。カーブの手前で速度が高い場合、アクセルオフ後に速やかに減速などの機能がある。なかなか便利で安全な機能だ。
その中で、唯一微妙な設定なのが、全車速追従機能式クルーズコントロール。なぜか、停止保持機能ありと無しが設定されているのだ。この機能は、高速道路などでの渋滞時などに便利で、ストップ&ゴーを簡単な操作ででき、ドライバーの疲労軽減に役立つ。しかし、停止保持機能が無ければ、ブレーキを踏み続ける必要があるので、あまり疲労軽減にならない。これでは、全車速追従式クルーズコントロールのメリットが十分に生かせていない。
4代目新型トヨタ シエンタのグレード選び ハイブリッドZ一択!?
新型シエンタのグレード選び。まずは、パワーユニット。「カーボンニュートラル」が叫ばれている中、今時アイドリングストップ機能さえ装備されていないガソリン車は除外。そのため、ハイブリッド車からグレードを選ぶことになる。
ハイブリッド車のグレードは3つ。エントリーグレードのXは、ブラインドスポットモニター、パーキングサポートブレーキ(後方)、バックガイドモニター、パワースライドドア(右側)などがオプション。安全面や利便性で、やや装備が物足りないので除外。
こうなると最上級のZか中間のGという選択になる。ただし、Gには全車速速追従式クルーズコントロールの停止維持機能が無い。さらに、撥水・消臭機能付きシート表皮、ハンズフリーデュアルパワースライドドアがオプション設定だ。
高速道路などをよく利用するのであれば、全車速追従式クルーズコントロールの停止保持機能は、必須アイテム。こうなると、最上級グレードZがベストという選択になる。
このクルーズコントロールが必要ないのであれば、Gグレードでも悪くない。ただ、撥水・消臭機能付きのシート表皮は、アウトドアレジャーニーズだけでなく、小さな子供の食べこぼしなどにも便利。消臭機能は、ペットを連れて外出する人にも向くので、このオプションも必須アイテムだ。
発売直後なのに、すでに2023年4月以降の生産予定って?
そして、最も悩ましいのが納期。撥水・消臭機能付きシート表皮や天井サーキュレーター、ハンズフリーデュアルパワースライドドアなど、Gグレードの場合、オプションを選択すると、発売直後なのにすでに7ヶ月以上待ちとなる2023年4月以降の生産予定になるという。
つまり、納期を少しでも短く、と考えるのであれば、最上級グレードのZを選択するしかない状態。もはや、中間グレードのGに関しては、メーカー側が「オプション付けるのなら選ばないで!」と、言っているよなものだろう。こうした状況なので、納期重視なら、多少、高価になるがZグレードを選ぶしかない。
トヨタ シエンタ価格
■1.5Lハイブリッド FF(前輪駆動)車
・X 5人乗り 2,380,000円/7人乗り 2,420,000円
・G 5人乗り 2,650,000円/7人乗り 2,690,000円
・Z 5人乗り 2,870,000円/7人乗り 2,910,000円
■1.5Lハイブリッド 4WD(E-Four)車
・X 5人乗り 2,578,000円/7人乗り 2,618,000円
・G 5人乗り 2,848,000円/7人乗り 2,888,000円
・Z 5人乗り 3,068,000円/7人乗り 3,108,000円
■1.5Lガソリン FF(前輪駆動)車
・X 5人乗り 1,950,000円/7人乗り 1,990,000円
・G 5人乗り 2,300,000円/7人乗り 2,340,000円
・Z 5人乗り 2,520,000円/7人乗り 2,560,000円
新型トヨタ シエンタ燃費、ボディサイズなどスペック
代表グレード: シエンタZ 7人乗り FF
ボディサイズ[mm]: 4,260×1,695×1,695
ホイールベース[mm]: 2,750
最低地上高[mm]: 140
最小回転半径[m]: 5.0
車両重量[kg]: 1,370
総排気量[cc]: 1,490
エンジン種類:M15A-FXE型 直3 DOHC
エンジン最高出力[kW(ps)/rpm]:67(91)/5,500
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm]:120〈12.2〉/3,800-4,800
フロントモーター最高出力[kw(ps)]: 59(80)
フロントモーター最大トルク[N・m(kg-m)]:141(14.4)
システム出力[kw(ps)] 85(116)
ミッション: 電気式無段変速機
WLTCモード燃費[km/l]: 28.2km/l
バッテリー 種類:ニッケル水素
サスペンション前/後:ストラット/トーションビーム
タイヤサイズ:185/65R15
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