電動化が進んだX5。ディーゼルは廃止? それとも?
BMWは、SUVのX5(エックスファイブ)をマイナーチェンジ。ディーゼルエンジンを除いたガソリンハイブリッドとPHEVの3モデルを発表した。各モデルは以下の通り。
従来のX5と言えば、やはりディーゼル車が高い人気を誇っていた。重量級ボディに、650Nmという大トルクは、非常に力強く、しかも低燃費だった。また、直6 3.0Lエンジンということもあり、スムースさも際立っていた。
今回、48Vマイルドハイブリッドシステム化により、今後、ディーゼル車の導入はあるのか? それとも、ガソリンだけなのか? 今後の新型X5の動向にも注目だ。
・BMW X5 xDrive 50e (PHEV)
・BMW X5 M60i xDrive(48Vマイルドハイブリッド)
・BMW X5 M Competition(48V マイルドハイブリッド)
*M60i(Mパフォーマンス・モデル:サーキットで培われた技術を余すことなく取り入れて走行性能を高めたモデル)
*M Competition(Mハイ・パフォーマンス・モデル:サーキットで本格的な走行を可能とすべく開発されたモデル)
直線的なデザインと陰影を活かしたモダンな佇まい
新型BMW X5のエクステリア・デザインは、BMWのラグジュアリー・モデルに相応しい存在感と、堂々とした雰囲気の佇まいが魅力。スポーティさも感じられて、好感が持てる。
フロントにはBMWモデル初の矢印型デイ・ライト機能を持ったLEDヘッドライトを採用。フロント・バンパーも大型化される。
プラグイン・ハイブリッド・モデルには、暗闇で光るアイコニック・グロー・キドニー・グリルを採用して夜間の視認性を向上させている。
リヤには、横方向にデザインされたスリムなX字型LEDコンビネーション・ライトでXモデルであることを表現する。
インテリアにおいては、12.3インチのメーターパネルと、14.9インチのコントロール・ディスプレイを一体化。運転席側に湾曲させたカーブド・ディスプレイの採用により視認性と高い操作性を実現した。
PHEVモデルのEV航続距離は、大幅に伸び約100㎞へ!
新型BMW X5のxDrive50eに搭載されるのは、3.0L直列6気筒のガソリン・エンジンで、最高出力313PS(230kW)/5,000rpm、最大トルク450Nm/1,750-4,700rpm。組み合わされるモーターは最高出力197PS(145kW)、最大トルク280Nmを発揮して、システム・トータルの最高出力は489PS(360kW)、最大トルク700Nmを達成する。
また、容量29.5kWhのリチウム・イオン・バッテリーを搭載。電気モーターのみで最高速度140 km/h、一充電あたりの航続距離は約100kmを実現。マイナーチェンジ前の「xDrive 45e」系のEV航続距離が約80㎞だったので、さらに使い勝手が向上している。約100㎞もの距離をEV走行できれば、送迎や買い物、近距離ドライブなどでは、ほぼガソリンを消費しない走行が可能。優れた環境性能を誇る。
環境性能を重視しながら、0-100㎞/h加速は4.8秒(欧州仕様車)とちょっとしたスポーツカー並み。PHEVでも走る楽しさにこだわるBMW車らしい。
驚愕! SUVなのに、0-100㎞/h加速3.8秒!
M60i xDrive(Mパフォーマンス・モデル) は、4.4L V型8気筒BMWツインパワー・ターボ・ガソリン・エンジンに、8速ステップトロニック・スポーツ・トランスミッション、さらには48Vマイルド・ハイブリッド・システムが組み合わされる。システム・トータルの最高出力は530PS(390kW)、最大トルク750Nmだ。このモデルの0-100㎞/h加速は、4.3秒とこちらもスポーツカー並みの俊足だ。
M Competition(Mハイ・パフォーマンス・モデル) は、4.4L V型8気筒BMW Mツインパワー・ターボ・ガソリン・エンジンに、8速Mステップトロニック・トランスミッション。48Vマイルド・ハイブリッド・システムが組み合わされ、システム・トータルの最高出力625PS(460kW)、最大トルク750Nmを発揮する。
このX5 M Competitionの車重は、2,450㎏とかなり重い。しかし、0-100㎞/h加速は驚愕の3.8秒。スーパーカー並みの加速力となった。SUVでサーキットを走る意味があるのか? と疑問に思う部分もあるが、これもまたBMWのこだわりなのだろう。
最先端のテクノロジーで世界最高の「ドライビング・ダイナミクス」を実現
新型BMW X5は、様々な最先端シャシー・テクノロジーを採用して、あらゆる運転状況における安定性、ハンドリング性能、乗り心地を実現する。
新型X5 xDrive50e 及び M60i xDrive には「オートマチック・セルフレベリング・コントロール付きアダプティブ2アクスル・エア・サスペンション」(自動セルフレベリング付きのエア・サスペンション)が、M60iには4輪操舵が標準装備される。
X5Mには、「アダプティブMサスペンション・プロフェッショナル」を装備して快適で安全なハンドリングを実現した。
M60i xDrive には、卓越性とハンドリング快適性を高める「インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング」を標準装備して、まったく新しい走行性と長距離ドライブの快適性を提供。
M Competition には、「アダプティブMサスペンション・プロフェッショナル(電子制御ダンパーとアクティブ・ロール・スタビライザーを備える)」を採用しMセットアップ・メニューからモードが選択可能だ。
・Comfort(コンフォート)モードは、長距離走行において快適性を重視
・Sport(スポーツ)は、ボディ剛性を高めることでスポーツ走行に対応
・Sport Plus(スポーツ・プラス)モードではダイナミックな走行に対応
さらに、直進走行時の快適性向上に寄与するアクティブ・ロール・スタビライザー、Mスポーツ・ブレーキ、優れたトラクション性能を実現するMモデル専用 4輪駆動システムM xDrive(エム・エックスドライブ)や、リア・アクスルにはアクティブMディファレンシャル等が採用されて、BMWの「駆けぬける歓び」を実現している。
高級車に相応しい多くの安全機能・運転支援システムを装備
新型BMW X5には「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」を装備。この運転支援機能は、高速道路での渋滞時において、ドライバーの運転負荷を軽減し安全に寄与する運転支援システム。ドライバーが絶えず前方に注意するとともに、周囲の道路交通や車両の状況に応じて直ちにハンドルを確実に操作することができる状態にある限りにおいて、一定の条件下において、ステアリングから手を離しての走行が可能となる。
新型BMW X5には、高性能カメラ&レーダー、および高性能プロセッサーによる高い解析能力で、精度と正確性の向上した最先端の運転支援システム「ドライビング・アシスト・プロフェッショナル」の搭載により次の運転支援を行う。
・「アクティブ・クルーズ・コントロール(ストップ&ゴー機能付)」
・「レーン・チェンジ・ウォーニング(車線変更警告システム)」
およびレーン・ディパーチャー・ウォーニング(車線逸脱警告システム)
・ステアリング&レーン・コントロール・アシスト
・レーン・チェンジ・アシスト
・サイド・コリジョン・プロテクションおよび衝突回避・被害軽減ブレーキ
(事故回避ステアリング付)
・クロス・トラフィック・ウォーニング
・ペダル踏み間違い急発進抑制機能
・パーキング・アシスト・プロフェッショナル(リバース・アシスト・プロフェッショナル機能付き)
この機能は、時速 35km 以下の条件で前進した直前のルート最大 200m までを記憶、同じルートをバックで正確に戻ることが可能で、特に都市部に存在する路地や通行制限などでの対向車とのすれ違い時、安全かつ正確に元のルートに復帰できるのは有効だ。
繋がる安心、BMWのコネクテッド・ドライブ
新型BMW X5では、車載通信モジュールにより、ドライバー、クルマなど、取り巻く情報をITネットワークで繋ぎ「もしもの時に備える万全の安全性」、「カーライフを進化させる革新の利便性」、「充実の情報と最新のエンターテインメント」を提供する総合テレマティクス・サービスを2013 年に導入。
また、スマートフォン向けアプリの導入で、車両情報やニュース等へのアクセスを可能にして、顧客の利便性を向上させるサービスを提供。
2021年夏には、より操作性・利便性を高めた新たな機能を追加すると共に、新しいスマートフォン向けアプリ「My BMW」を導入することで、車とユーザー、情報をシームレスに繋げ、より快適なモビリティ・ライフをサポートする新しいパーソナル・アシスタント・サービスとして生まれ変わっている。
そのBMW Intelligent Personal Assistant(BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタント)は、AI 技術により音声会話だけで車両の操作、情報へのアクセスが可能なBMW 最新の機能だ。従来の音声入力と異なり自然な会話に近い言葉で、ドライバーの指示や質問を理解し、適切な機能やサービスが起動可能になる他、応じてドライバーの好みを学習し、長く乗り続けるほど信頼のおけるパートナーとなる。
また、ドライバーがシステムの「名前」を自由に付けることが可能で、例えば起動する際に「OK, BMW(オーケー・ビー・エム・ダブリュー)」だけでなく、呼びかける言葉を任意に設定することができるので、より身近な存在になるだろう。
無限の可能性を秘めた「Amazon Alexa」の利便性
新型BMW X5に搭載されるAmazon Alexaは、皆さんご存じのAmazonが提供するクラウドベースの音声サービスで、日本においても日本語による音声サービスが提供されています。
Alexaに話しかけるだけで天気予報やニュース、音楽ストリーミングの再生、Amazon.co.jpでのショッピング、ホームデバイスの操作などが可能。スマートフォンアプリ「My BMW」の車両をAlexaと連携させることで、自宅さながらにAlexaの様々なサービスや機能を利用することが可能だ。
車内で「アレクサ、音楽をかけて」と話かけて、好みの曲をストリーミング視聴したり。「アレクサ、明日は雨が降る?」と、目的地の天候や週末の天気予報を確認することもできる。
また、クルマからスマート・ホーム・デバイスで「アレクサ、リビングルームの温度を22℃に設定して」などと、外出先から自宅のエアコンを事前にコントロールすることもできる。
Amazon Alexaで快適・便利な移動空間は、精神衛生上も安全性に貢献する技術だ。
失敗・後悔しない新型BMW X5のグレード選び
新型X5のグレード選びは、かなりマニアックなユーザー向けだ。ディーゼル車の設定が無い状態なので、一般ユーザー向けといえるのは、PHEVのxDrive50eのみということになる。今のところ選択肢が他に無いので、xDrive50eがベターだ。
微妙な選択となるのが、M60i xDrive。確かに走行性能はxDrive50eを上回るものの、M Competitionほどではないという微妙な立ち位置。日々の使い勝手という面では、経済的にもPHEVのxDrive50eがよいからだ。
M CompetitionとM60i xDriveの価格差は、約450万円とかなり差があるものの、走りの質を重視するのであれば、M Competitionを選択した方が、後々、後悔したとか失敗したといった印象は低くなるだろう。
BMWのXモデルの歴史
BMW Xモデルは、1999年「X5(エックスファイブ)」、2004年「X3(エックススリー)」、2008年「X6(エックスシックス)」、2010年には「X1(エックスワン)」の初代モデルが誕生。その後2014年に「X4(エックスフォー)」、2018年に「X2(エックスツー)」、続いて2019年に「X7(エックスセブン)」を誕生させている。
この内「X1、X3、X5、X7」の奇数は、それまでのSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)とは異なるオンロード走行性能を高めた、SAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)コンセプトによって新たなセグメントを確立している。
また偶数の「X2、X4、X6」は、スポーティでエレガントなクーペ・デザイン、BMW Xモデルの力強い存在感を兼ね備えた、SAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)コンセプトを形成している。
さらに、2023年にBMW X初のM専用モデル、「BMW XM(BMW Mモデル初のプラグイン・ハイブリッド・モデル)」を発表し、現在のBMW Xは8モデルとなっている。
BMW X5価格
・BMW X5 xDrive50e M Sport ¥12,600,000
・BMW X5 M60i xDrive ¥15,200,000
・BMW X5 M Competition ¥19,720,000
BMW X5シリーズボディサイズなどスペック
・BMW X5 xDrive50e M Sport
全長x全幅x全高(mm) 4,930x2,005x 1,755
ホイールベース(mm) 2,975
車両重量(kg) 2,500 車両総重量(kg) 2,775
エンジン 直列6気筒ガソリンツインターボ
総排気量(cc) 2,997
最高出力(kW〔ps〕/rpm(EEC)) 230〔313〕/5,000
最大トルク(Nm/rpm) 450/1,750-4,700
リチウムイオン・バッテリー容量(kWh) 29.5
電気モーター種類 交流同期電動機
電気モーター出力(kW〔ps〕) 145〔197〕
電気モーター・トルク(Nm〔kgm〕) 450〔45.9〕
システム・トータル最高出力(kW〔ps〕) 360〔489〕*
システム・トータル最大トルク(Nm) 700*
装着タイヤ フロント275/45R20 リヤ305/40R20
・BMW X5 M60i xDrive
全長x全幅x全高(mm) 4,930x2,005x 1,765
ホイールベース(mm) 2,975
車両重量(kg) 2,390 車両総重量(kg) 2,665
エンジン V 型 8 気筒ガソリンツインターボ
総排気量(cc) 4,394
最高出力(kW〔ps〕/rpm(EEC)) 390〔530〕/5,500
最大トルク(Nm/rpm) 750/1,800-4,600
マイルド・ハイブリット・システム
電気モーター種類 交流同期電動機
リチウムイオン・バッテリー容量(kWh) 29.5
電気モーター出力(kW〔ps〕) 9〔12〕
電気モーター・トルク(Nm〔kgm〕) 200〔20.4〕
システム・トータル最高出力(kW〔ps〕) 390〔530〕*
システム・トータル最大トルク(Nm) 750*
装着タイヤ フロント275/40R21 リヤ315/35R21
・BMW X5 M Competition
全長x全幅x全高(mm) 4,940x2,015x 1,750
ホイールベース(mm) 2,970
車両重量(kg) 2,340 車両総重量(kg) 2,615
エンジン V型8気筒DOHCガソリンツインターボ
総排気量(cc) 4,394
最高出力(kW〔ps〕/rpm(EEC)) 460〔625〕/5,500
最大トルク(Nm/rpm) 750/1,800-4,600
マイルド・ハイブリット・システム
電気モーター種類 交流同期電動機
リチウムイオン・バッテリー容量(kWh) 29.5
電気モーター出力(kW〔ps〕) 9〔12〕
電気モーター・トルク(Nm〔kgm〕) 200〔20.4〕
システム・トータル最高出力(kW〔ps〕) 625〔460〕*
システム・トータル最大トルク(Nm) 750*
装着タイヤ フロント295/35R21 リヤ315/30R22
*ヨーロッパ仕様値
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