マツダMX-30 Rotary-EV新車情報・購入ガイド 買って後悔無し!? マツダブランドの象徴、830㏄ロータリーエンジン搭載!

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【マツダ】2023/09/16

マツダMX-30 Rotary-EV フロントスタイル

 

約11年振り、ロータリーエンジン復活!

 

マツダは、MX-30に発電用ロータリーエンジンを搭載したPHEVである新型マツダMX-30 Rotary-EV(エムエックス・サーティー・ ロータリー・イーブイ)」をの予約受注を開始した。

発電用エンジンとはいえ、マツダにとってロータリーエンジンは約11年振りの復活となった。発売は2023年11月の予定。

マツダMX-30 Rotary-EV リヤスタイル

 

 

レンジエクステンダーからPHEVへシフトしたから生まれたRotary-EV

 

このマツダMX-30 Rotary-EVの誕生は、複雑な要素が絡み合って生まれている。きっかけは、初期の構想とは異なる車両企画となったこと。

当初、MX-30 EVモデルの短い航続距離不足を補うため、小さな発電用エンジンを搭載したレンジエクステンダーを企画していたという。

しかし、BEV(バッテリー電気自動車)の航続距離は、ドンドンと伸びていく。当時のエクステンダー的なEVでは航続距離が短く、売れないと判断された。そこで、より航続距離を伸ばすために、MX-30 EVモデルのバッテリー容量を減らし、50Lものガソリンタンクを積んだPHEVへとシフトしたのだ。

マツダMX-30 Rotary-EV フロントフェイス

マツダMX-30 Rotary-EV リヤアップ

 

 

普通のエンジンでは、ボンネットに入らない!?  ロータリーなら入るかも?

 

ところが、次に問題になったのは、発電に十分なパワーやトルクをもつエンジンがボンネットの中に入らないという事実だった。そこで、白羽の矢が立ったのロータリーエンジンだった。1ローターなら、ギリ入る。そんなイメージだったという。

マツダMX-30 Rotary-EV エンジンルーム

 

 

燃費性能が物足りないが、売れる商品力はあるのか?

 

だが、ロータリーエンジンには大きな問題があった。それは、燃費。昔から、ロータリーエンジンは、燃費が悪いと言われ続けていた。MX-30 Rotary-EVのハイブリッド燃費は15.4㎞/L(WLTCモード以下同)。

最新のロータリーエンジンでも、燃費は良くない。1クラス上で2.4Lエンジンを搭載する三菱アウトランダーPHEVのハイブリッドの燃費は16.2㎞。圧倒的な燃費性能を誇るトヨタ ハリアーPHEVは、2.0Lエンジンで20.5㎞/Lだ。ボディサイズが1クラス小さいMX-30 Rotary-EVの方が、燃費で負けていて売れるのか? と、いう問題だ。

マツダMX-30 Rotary-EV インパネ

 

 

マツダのブランド価値=ロータリーエンジン! だからこそ生まれたRotary-EV

 

こうしたマイナス要因を解消したのが、マツダブランド価値向上。取締役専務執行役員兼CTOの廣瀬氏によると、「マツダから想起されるものは、未だロータリーエンジンがトップランクに入っている 」という。

これは、意外。というのも、RX-7などが新車販売されていてロータリーエンジンに憧れを抱いていた、今の中高年なら当然の結果だ。

だが、最後のロータリーエンジン搭載車となったRX-8が生産を終了して約11年という長い時間が経過。当然、若年層にはロータリーエンジンのイメージなどは無いはずだ。ところが、某漫画の影響もあり若年層にもロータリーエンジンファンが多いのだとう。

ロータリーエンジンは、マツダの財産。マツダのロータリーエンジンへの想い。マツダはロータリーエンジンを復活させたいという意思があったこと。ロータリーエンジンは、マツダのブランドイメージを向上させる価値があること。ロータリーエンジンしかボンネットに入らないこと。などなど、色々な要素が絡み合い、多少燃費が悪くとも、MX-30 Rotary-EVの投入は、マツダや顧客にとってメリットがあると判断されたようだ。

とはいえ、マツダMX-30 Rotary-EVは、より幅の広い顧客をターゲットとして、大量販売できる商品ではないだろう。ある意味、ニッチ戦略車ともいえる。

たくさんの人を70~80%満足させるのではなく、少量の人を100%以上、120%満足させるためのクルマだといえそうだ。マツダファン、ロータリーファンにとっては待望のモデルということになる。

マツダMX-30 Rotary-EV フロントシート

マツダMX-30 Rotary-EV リヤシート

 

 

約15㎏も軽量化に成功!

 

MX-30 Rotary-EVの核となるロータリーエンジンは、8C-PH型。排気量は830㏄で、最高出力72ps、最大トルク112Nmとなった。このエンジンに薄型高出力ジェネレーターが組み合わされた。ローター幅は、76mm。創成半径は120mmとなった。

ロータリーエンジンとはいえ、低燃費・低エミッション化は大きな課題。そのため、燃料の直噴化や燃焼室の形状最適化が施された。

また、コンパクトなロータリーエンジンとはいえ、軽量化も重要。車重が軽くなることで、燃費性能の向上による航続距離のアップにつながる。そのため、サイドハウジングをアルミ化。15㎏以上もの軽量化に成功している。

そして、ロータリーエンジン特有の悪魔の爪と呼ばれたローターハウジングの波状摩耗痕。より信頼性を高めるために、燃焼室の気密性を確保するため、ハウジングの摩耗や摩擦を低減した。アペックスシールの厚さは、従来の2.0mmから2.5mmへ。ローターハウジングの表面メッキを変更しオイルの保持性を確保した。

マツダMX-30 Rotary-EV アルミサイドハウジングセラミック溶射
アルミサイドハウジングの表面には、高速フレーム法によるセラミック溶射を施し、摩耗抵抗と摩耗を低減。

ローターの回転バランス精度を上げるためのチェック
ローターの回転バランス精度を上げるためのチェック。この後、自動で調整加工される。

 

匠の技と最新工作機器のハイブリッド生産されるロータリーエンジン

 

こうした新開発の8C-PH型ロータリーエンジンの登場により、マツダの生産技術も大幅に向上している。このロータリーエンジンを生産するのは、マツダ本社工場だ。

まず、ローターの大型化に伴い、バランス精度向上のため多くの技術が投入された。なんと、従来比でバランス精度は75%の改善。シール性の追求は、50%もの改善が必要だった。

こうした大幅な改善を行いながら、最短工程設計による生産性革新が行われた。13B型ロータリーエンジンでは、多軸専用ラインで切削50工程あった。しかし、8C型ロータリーエンジンでは、高速1軸NCラインで切削9工程と大幅に工程を削減できたのだ。

また、バランス精度アップのため、職人技に頼っていた従来品から自動化されている。

自動化が進んだとはいえ、重要なシール精度の向上は匠と呼ばれる職人の指先を重視。伝承された匠の技が気密部品のバネの反発をチェック。高い品質を支えている。

そして、完成した8C型ロータリーエンジンは、高い品質を確保するため、全数エンジンを始動させて異常がないかチェック。その後、車両組み立てへと搬送されていく。エンジンの全数チェックというのは、ロータリーエンジンならではのもの。高い品質のロータリーエンジンを送り出すというマツダのこだわりを感じる。

ローター、匠の手によるシール精度の追求
自動化が進んでも機械で判別できないバネの反発は、匠と呼ばれる職人の手によりチェックされる。

 

 

見事な工夫で、複雑な混流生産を可能にしたマツダ本社工場

 

MX-30 Rotary-EVの組み立ては、マツダ本社工場で行われている。この工場では、MX-30 Rotary-EVの他にMX-30 EVやガソリン車、CX-30、ロードスターなど、車種や駆動方式、パワーユニットなどがまったく異なるモデルを混流生産している。

見学している側から見ると、もはや何が何だか分からないくらいで、なぜこんなに手際よく組み立てられるのか不思議。

かなり効率よく取付部品などが工員へ送り込まれ、組み立て手順などが分かりやすく表示されるなどミスを誘発しない仕組みとなっている。秒単位で確実に取付作業をする工員のテクニックには脱帽だ。

また、MX-30 Rotary-EVの生産では、MX-30 EV用と同じAGV(無人搬送車)にバッテリーと燃料タンクを合体させたパーツを積載し搬送。生産性を向上させている。

まさに、MX-30 Rotary-EVは、最新テクノロジーと最新生産技術の融合から生まれたモデルといえる。

マツダ本社工場PHEVユニット取付
PHEVのバッテリーとガソリンタンクは、別ラインでひとつのユニットにまとめられ、EVと同じAGV(無人搬送車)で運ばれる。EVと同じAGVを使うことで生産性を向上。

 

EVよりパワーアップした新開発モーターを搭載

 

ついつい、ロータリーエンジンにフォーカスしがちなMX-30 Rotary-EVだが、他の部分もかなりのこだわりを見せる。当初、コストをアップさせないために、MX-30 EV用のモーターをそのまま使うと思われていた。

しかし、モーターも新開発。最高出力170ps、最大トルク260Nmを誇る。MX-30 EVが最高出力145ps、最大トルク270Nmなので、大幅に出力が向上している。

これは、MX-30 Rotary-EVが、MX-30 EVより車重が130㎏も重いことなどによるもの。走りにこだわるマツダらしい選択だ。最高速は140㎞/hとMX-30 EVと同じとなっている。

MX-30 Rotary-EVには、「ノーマル」、「EV」、「チャージ」の3つの走行モードが設定された。ノーマルモードは、EV走行を基本とし、走行状況に応じて発電する最もベーシックなモード。

EVモードは、できるだけEVとして走るモード。急加速時など、多くの電力が必要な場合などにはエンジンが始動する。

チャージモードは、夜間の住宅街やキャンプ場などで電力を使いたい時など、バッテリーの残量をなるべく減らさずに移動。そのため、チャージモードでは、積極的にエンジンが始動し発電する。バッテリー残量は、10%単位で任意で設定が可能だ。

また、回生ブレーキをエンジンブレーキのようにパドルで操作し、車速コントロールや前後の過重移動がコントロールできる「ステアリングホイールパドル」も用意されている。

本社工場 MAZDA MX-30 Rotary-EV 生産ライン
PHEVのAssyyは、ガソリン車のガソリンタンク取付け場所で行われる。組み立ての工数は多いものの、流れてくる部品が変わるだけ。

 

 

もしもの停電時には、最大約9.1日分の電力供給が可能

 

そして、MX-30 Rotary-EVのバッテリー容量は17.8kWh。3kWの普通充電でバッテリー残量0~100%までが、約6時間20分。6kWの普通充電で約3時間となっている。

また、MX-30 Rotary-EVは、発電車としての価値がある。V2LやV2Hにも対応。V2Lでは、1500Wまで家電製品などが使用可能。災害時などV2H機器があれば、バッテリーが満充電なら約1.2日分の電力を供給可能。また、ガソリンが満タンであれば、エンジンで発電し約9.1日分の電力が供給可能となる。

マツダMX-30 Rotary-EV メーター

マツダMX-30 Rotary-EV シフトノブ

 

 

キーが、アレと同じって? 超マニアックな特別仕様車「エディションR」

 

そして、デザイン。外観デザインは、MX-30 EVの時も感じたが、パワーユニットによってデザインを変更していない。今回のMX-30 Rotary-EVも、専用エンブレムや空力性能を高めたホイールくらいだ。もう少し、ひと目で分かる位の差が欲しいと思うのだが、これもデザイナーのこだわりだと理解した。

それでも、もう少しベースのMX-30と差を付けてよ! と、営業サイドからの声があったかは不明だが、特別仕様車として「エディションR」が用意された。

外板色は、専用色のマローンルージュメタリックを採用。ただし、この色はルーフサイドの差し色と使用されている。その他は、内外装共にブラックでまとめられている。

そして、マニアックなのがキーフォブ。なんと、ロータリーエンジンのローター局面と同じ曲線になるようデザイン。しかも、キーシェル表面両端に段差を付け、ローターアペックス(頂点のシール溝)と同じ2.6mmでデザインされた。ローターと比べると、まさに同じカタチ。自分のクルマのローターは見ることができないが、ロータリーエンジンファンにとっては話のネタになる面白いこだわりだ。

また、フロアマットもエディションR専用タグ付き。ヘッドレストには、MX-30 Rotary-EVの専用エンブレムを模したマークとエディションRのロゴがエンボス加工されている。こうした、手法はやり過ぎると子供っぽくなる傾向があるが、そのギリギリを攻めた特別仕様車だ。

マツダMX-30 Rotary-EV エディションR フロントスタイル

マツダMX-30 Rotary-EV エディションR  ヘッドレストロゴ

マツダMX-30 Rotary-EV エディションR  キー

 

 

マツダMX-30 Rotary-EVの失敗・後悔しないグレード選び

 

マツダMX-30 Rotary-EVのグレードは、5グレード設定となった。5グレードといっても、実質3グレードとなる。「Industrial Classic」、「Modern Confidence」、「Natural Monotone」の3つは、カラーの異なるクロスと合成皮革のシートをベースに、ボディカラーの選択肢がグレード毎に異なる程度の違い。それぞれ、好きな世界観の内装やボディ色が選べる。

装備類は、ベースグレードに対して、アダプティブLEDヘッドライトやクルージング&トラフィックサポート、ヘッドライトやリヤコンビネーションランプのデザイン、デイタイムランニングライト、自動防眩ルームミラー、パワーシート、運転席・助手席シートヒーター、AC1,500W電源、ボーズサウンドシステムなどなど、装備はかなり充実している。

むしろ、ベースグレードは、装備が貧弱で400万円を超えるクルマとしては物足りない仕様。MX-30 Rotary-EVのグレード選びでは、ベースグレードを外して検討すれば、後々、後悔・失敗したと感じることは無いだろう。

特別仕様車エディションRは、マニアックなマツダファン用といった印象だ。

そして、BEVはリセールバリューが悪い傾向があるが、マツダはPHEVのMX-30 Rotary-EVの残価を高く設定し、購入しやすくするプランを用意。エンジン車と同等の残価設定とした。

だが、より販売台数を伸ばし電動車を推進したいのであれば、エンジン車より高めの残価設定とするなど、更なる攻めの姿勢も必要だろう。

マツダスカイプラン(残価設定型クレジットプラン)は以下の通り。

  3年プラン 4年プラン 5年プラン 6年プラン
残価率 55% 43% 35% 30%

マツダMX-30 Rotary-EV ラゲッジスペース

 

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マツダMX-30 Rotary-EV 充電口

 

マツダMX-30 Rotary-EV価格

 

・MX-30 Rotary-EV 4,235,000円

・MX-30 Rotary-EV Industrial Classic 4,785,000円

・MX-30 Rotary-EV Modern Confidence 4,785,000 円

・MX-30 Rotary-EV Natural Monotone 4,785,000円

・MX-30 Rotary-EV 特別仕様車Edition R 4,917,000円

 

マツダMX-30 Rotary-EV燃費、航続距離などスペック

 

代表グレード MX-30 Rotary-EV FF

全長×全幅×全高 mm  4,395×1,795×1,595

ホイールベース mm  2,655

トレッド(前/後) mm  1,565/1565

最低地上高 mm  130

車両重量 kg  1,780

エンジン型式  8C-PH

エンジンタイプ  1ローター

総排気量 ㏄ 830

エンジン最高出力 kW(ps)/rpm  53(72)/4,500

エンジン最大トルク N・m(kgm)/rpm  112(11.4)/4,500

モーター型式  MV型

モーター最高出力 kW(ps)/rpm  125(170)/9,000

モーター最大トルク N・m(kgm)/rpm  260(26.5)/0-4,481

電力用主電池  リチウムイオン電池

燃費(WLTCモード ㎞/L) 15.4

充電電力使用時走行距離 ㎞ 107

駆動方式  前輪駆動(FF)

トランスミッション  -

サスペンション 前:ストラット 後:トーションビーム

タイヤ 前後  215/55R18

最小回転半径 m  5.3

 

 

 

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