アウディA3/S3新車情報・購入ガイド 歩行者検知式自動ブレーキを標準装備化しながら価格引き下げ293万円からと、価格でも勝負に出た! [CORISM]
販売台数面で重要なモデルがA3。しかし、ライバル車に対してやや高めの価格アピールとなっていた
アウディA3 は、2013年に登場。このモデルで3代目となる。5ドアハッチバック となるスポーツバックが2013年にデビューし、セダンはやや遅れて2014年に導入された。
初期に導入されたアウディA3は、1.4LターボのFFと1.8Lターボのクワトロ(AWD)といったモデル。エントリグレードで、308万円からとやや高めの価格設定になっていた。アウディA3は、プラットフォームなど基本部分をフォルクスワーゲン ゴルフ と共用したモデルだ。こうした手法は、フォルクスワーゲングループでは良く行われており、主にコスト削減などのメリットがある。
コスト削減しながらも、各ブランド毎に独自の味付けが施されており、各モデルの独自性は失っていないのがポイントだ。とはいえ、メーカー側でのコスト削減は進んでいても、それほど販売価格は安くなっていないのも事実。
アウディは、プレミアムブランドということもあり、308万円からという価格設定になったものの、同じCセグメントに属するメルセデス・ベンツAクラス は、2013年当時で284万円という価格からのスタート。ボルボV40が269万円から売られていた。さらに、基本部分を共有するフォルクスワーゲン ゴルフの価格はさらに安く249万円だったので、装備などは別としてアウディA3はやや高めな印象が強くなった。
最近では、多くの輸入車メーカーが販売台数面での基盤車種としているのが、A3のようなCセグメント車だ。アウディにとっても、販売台数という指標では非常に重要な車種となる。
ライバル車と同じく300万円を切る価格戦略に! 歩行者検知式自動ブレーキが標準装備化され、安全装備は充実したものの・・・
今回の改良では、安全装備がかなり向上した。ブレーキやアクセルをシステムが自動制御して車間距離と速度を一定に保つ「アダプティブクルーズコントール」をはじめ、追突防止/歩行者保護のための自動ブレーキ機能を含めた「アウディプレセンス フロント」を全モデルに標準装備した。Aクラスには、歩行者検知機能がない。V40ほど高度の安全装備が標準装備されていないが、一定水準の安全性能を手に入れたことになる。
さらに、車線維持操作を助ける「アウディアクティブレーンアシスト」、車線変更時の危険を減らす「アウディサイドアシスト」、渋滞時のドライバーの負担を軽減する「トラフィックジャムアシスト」といった先進システムも選択できるようにした。2017年夏以降の販売車両より「セーフティパッケージ」としてオプション設定する。ただ、アウディは自らをプレミアムブランドと呼ぶ以上、こうした安全装備は標準装備化するべきだろう。似た装備をV40が標準装備化している。プレミアムブランドが、安全装備を顧客の財布の中身次第にするのであれば、国産車と大差ない。
190ps&320Nmという、パワフル過ぎる2.0Lターボモデル&クワトロで差別化!?
A3に搭載されるエンジンは、従来の1.8Lターボが無くなり1.4Lターボと2.0Lターボの2タイプとなった。A3のquattro(AWD)モデルには、従来の1.8Lターボに代わり「Bサイクル」と呼ばれるアウディ独自の燃焼方式を採用した新しい2.0LのTFSIエンジンが搭載された。
Bサイクルという呼称は、発案者のDr. ラルフ ブダック(AUDI AGのエンジニア)にちなんだもので、バルブタイミングの設定により低~中負荷領域で吸気工程を短縮する、いわゆる「ミラーサイクル」の原理を取り入れ、燃料消費を減らしている。その一方で、高負荷運転時ではバルブタイミングを一般的なものに戻し、2.0Lの排気量とターボチャージャーによる過給をフルに活かし、大きなパワーを発揮させているのが特徴だ。このBサイクルエンジンは、圧縮比を11.6と過給エンジンとしては異例に高く設定。高効率化に貢献している。出力とトルクは140kW(190PS)/ 320Nmとなり非常にパワフル。JC08モードで燃費は16.0km/Lで前モデル比8%向上した。大きめの排気量を逆に利用し、効率とパワーの融合を図るこの技術コンセプトをアウディは「ライトサイジング」と呼び、今後採用するエンジンを拡大していく方針だ。
このエンジンと組み合わされたミッションも多段化が進んだ。A3 quattroとS3には、電子制御油圧式のマルチプレート(多板)クラッチによりエンジントルクを前後輪に振り分けるquattroフルタイム4輪駆動システムを採用されている。このquattroモデルのSトロニック トランスミッションは、従来の6速から、トルク容量も高めた新7速が採用された。
この新7速Sトロニックトランスミッションには、「アウディドライブセレクト」で “efficiency” のモードを選択したとき、巡航中のアクセルオフ時にクラッチが切り離され、ギアがニュートラルな状態となる「フリーホイーリング」の機能がプラスされている。コースティング状態になり、燃料消費を削減する。
A3のハイパフォーマンスモデルであるS3も一部改良が加えられた。S3には、213kW(290PS)&380Nmを発揮する2.0 TFSIエンジンが搭載されている。このエンジンは、従来のモデルから、3kW(5PS)パワーアップした。
フォルクスワーゲンのゴルフRは、2.0Lターボで280ps&380Nmなので、S3の方が10psほどパワフルということになる。また、ゴルフRは6速なのに対してS3は7速となっていることから、S3の魅力度はややアップといったところだ。ただ、S3の価格は606万円なのに対してゴルフRは、約554万円とややリーズナブルな価格設定となっている。
S3は通常のA3に対して、車高が25mm(新しく設定されたsportと比べても10mm)ローダウンされ、敏捷性を高めている。また、切り角に応じてレシオが代わる「プログレッシブステアリング」を全モデルに標準装備。電子可変ダンパーシステムの「アウディマグネティックライド」をオプション設定した。
S3のエクステリアは、専用デザインのバンパーとルーフスポイラー、18インチホイール、リヤの両側に設置された迫力あるデュアルエグゾーストなどを採用。通常のA3より、かなりアグレッシブなスタイルとなっており、特別なモデルであることを主張する。
インテリアはファブリックとレザーを組み合わせたスポーツシート、専用デザインの3スポーク革巻きマルチファンクションステアリングホイール、ナビゲーションシステムなどを標準で装備。シートに関しては、アウディデザインセレクションによるファインナッパレザーを使った特別仕様(エクスプレスレッド)も選択することが可能だ。
アウディA3/S3のグレード選び。お勧めは、1.4Lのsportが無難!?
S3はこうしたスポーツモデルが好きな人向けなので、お好きならどうぞ。
A3の2.0Lターボ車は190ps&320Nmとかなりパワフル。これだけパワフルだと全車quattro(AWD)じゃないと、パワーを生かしきれないのだろう。そもそも、実用車として考えると、このクラスでこれほどのパワーが必要なのか? と、思ってしまうほど。そのため、価格も高価になり、約400万円からという価格帯になる。降雪地域に住み、AWDが必要。さらに、購入予算が潤沢にあり、アウディ好きでないと選びにくい。ちなみに、ライバル車となるBMWの2シリーズ218d xDrive(AWD)アクティブツアラーが398万円。こうなると、積極的に勧めにくい。
こうした状況だと、やはりA3のお勧めグレードは1.4Lターボモデル。A3 Sportback 1.4 TFSIは293万円と現実的だ。歩行者検知式自動ブレーキが標準装備化されているのも好印象。悩みどころは、A3 Sportback 1.4 TFSI sportとどちらを選ぶべきかという点。このグレードは、36万円アップの329万円。装備差は17インチホイール、スポーツシート、シートヒーター(フロント)、パドルシフト、デラックスオートマチックエアコンディショナー、スポーツサスペンション、アウディドライブセレクトなどといったところ。
シンプルに実用車として使うのであれば、エントリーグレードで十分といったとこと。どうせ輸入車を買うのなら、走りも楽しみたいというのであればsportという選択になるのだろう。
リセールバリューもsportの方が高価になる可能性が高いので、5年以内程度で乗り換えるのであれば、sportを選んでおいた方が無難かもしれない。
アウディA3/S3価格
Audi A3 Sportback 1.4 TFSI sport ¥3,290,000
Audi A3 Sportback 2.0 TFSI quattro ¥3,990,000
Audi A3 Sportback 2.0 TFSI quattro sport ¥4,290,000
Audi A3 Sedan 1.4 TFSI ¥3,110,000
Audi A3 Sedan 1.4 TFSI sport ¥3,470,000
Audi A3 Sedan 2.0 TFSI quattro ¥4,170,000
Audi A3 Sedan 2.0 TFSI quattro sport ¥4,470,000
Audi S3 Sportback ¥6,060,000
Audi S3 Sedan ¥6,240,000
【関連記事】
- アウディA3セダン新車情報・購入ガイド 日本にジャストサイズだが、売れない輸入車セグメントへの挑戦!
- アウディA3スポーツバック新車試乗評価 やっぱり、アウディならクワトロなのか? ゴルフとの走りの違いは?
- アウディA3新車情報・試乗評価一覧
- フォルクスワーゲン ゴルフR試乗記・評価 気難しさは一切無し!? 最速ゴルフの6MTを試す!
- フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアント試乗評価 積載性・燃費・価格よし、全方位敵無しの完成度を誇るゴルフヴァリアント!
- フォルクスワーゲン ゴルフGTE新車情報・購入ガイド EV航続距離53.1km! 走りを意識したPHVだが、そうするしかなった理由も?
- フォルクスワーゲン ゴルフ新車情報・試乗評価一覧
- メルセデス・ベンツ Aクラス試乗評価 メルセデスなのに、価格的フレンドリーになったスポーティ・ハッチバック
- メルセデス・ベンツAクラス新車情報・試乗評価一覧
- メルセデス・ベンツCLA試乗評価 トランクの付いたAクラス? スタイリッシュなスタイリング同様、カタメでスポーティな乗り味
- BMW 1シリーズ新車情報・購入ガイド クラス唯一のFR車が、300万円を切る戦略的価格で、激戦Cセグメントクラスに再び勝負を挑む!
- BMW 1シリーズ新車情報・試乗評価一覧
- トヨタ プリウス新車情報・試乗評価一覧
- スバル インプレッサ新車情報・試乗評価一覧
- マツダ アクセラ新車情報・試乗評価一覧
【オススメ記事】
- フォルクスワーゲン ポロ新車情報・購入ガイド ついに全長4m越えに! 3ナンバー化した6代目新型ポロは、1.0L直3ターボを搭載【ニュース・トピックス】
- 三菱エクリプスクロス試乗記・評価 さすが4WDの三菱! 豪快にリヤタイヤを振りだすような走りも楽しめる絶妙なS-AWCに脱帽!【レビュー】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.6】 日差リーフの実電費チェック! (一般道編)コツコツ電費を稼ぐe-Pedal【評論家ブログ : 日産リーフ】
- メルセデス・ベンツSクラス新車情報・購入ガイド 約20年振りの直6エンジンに、ISGを組みあわせた次世代エンジンを搭載!【ニュース・トピックス】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.5】 日差リーフの実電費チェック! (高速道路編)実電費アップは、こだわりの空力性能にあり!【評論家ブログ : 日産リーフ】
- 三菱エクリプスクロス新車情報・購入ガイド スタイルに走り、装備とスキ無しの完成度を誇るコンパクトSUV。ガソリン車だけしかないことが、唯一の弱点?【ニュース・トピックス】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.4】 30歳代クルマ好き女性、初めての電気自動車! その評価は?【評論家ブログ : 日産リーフ】
- 日産セレナe-POWER新車情報・購入ガイド ついに、シリーズハイブリッドシステムを搭載したセレナ! 5ナンバーミニバン、ハイブリッド車戦争へ加速!!【ニュース・トピックス】
- マツダCX-8試乗記・評価 際立つ運転のしやすさ! こだわりの「躍度」を雪上でチェック!【レビュー】
- 日産テラ(TERRA)新車情報・購入ガイド ナバラベースのSUV中国でデビュー! 日本への導入は?【ニュース・トピックス】
CORISM公式アカウントをフォローし、最新記事をチェック!