FF(前輪駆動)になった新型BMW1シリーズ
BMWはエントリーモデルとなるコンパクトハッチバックの1シリーズをフルモデルチェンジし、発売を開始した。納車は11月以降に開始される予定だ。
BMW1シリーズは今回のモデルが3代目で、初代モデルは2004年9月、2代目は2011年9月に発表されている。3代目1シリーズの大きな特徴は、駆動方式がFR(後輪駆動)からFF(前輪駆動)に変わったこと。すでに2シリーズなどがFF化されているから、1シリーズのFF化も当然といえば当然だが、FRにこだわり続けてきたBMWだけに、ついにと感じるのも否めない。
新型BMW1シリーズは、駆動方式をFFにすることで、軽量化が図られて燃費に貢献し、室内空間が広くなり、衝突安全のクラッシャブルゾーンを確保しやすくなるなどのメリットがあるから、FRのような素直なハンドリング性能を持ったFF車が作られるなら、これは大いに歓迎すべきだろう。先代となる1シリーズの購入動機は、FRだからというユーザーは非常に少なかったという。それだけに、1シリーズのFF化は吉と出るか凶と出るか、今後の販売台数に注目したい。
新世代キドニーグリルを装着
新型BMW1シリーズのボディタイプは、5ドアハッチバックのみの設定。外観デザインは、上下方向の厚みを増して大型化するとともに、中央部が連結した形になる新世代のキドニー・グリルを採用したのが大きな特徴。ひと目でBMWと分かるデザインだ。くっきりとしたデザインの4灯式ヘキサゴナルLEDヘッドライトを採用することで、若々しさとスポーティさを強調している。
ボディサイドには、はっきりしたプレスラインが採用され、リヤホイールを強調するような力強いシルエットをまとうとともに、全体として端正な印象を与えるものとしている。横から見ると、ノーズが短くなってキャビンが前進しているのが分かる。FF方式を採用したことによる新しいデザインだ。リアは低重心なシルエットに、新デザインのL字型テールライトが印象的である。
実用性がアップした室内空間
新型BMW1シリーズのボディサイズは全長435mm×全幅1800mm×全高1465mmで、FF用プラットホームを採用しホイールベースは2670mmとなった。2代目1シリーズに対し、全長がわずかに短くなり、全幅と全高は拡大している。ホイールベースは20mm短くなった。なお、MスポーツとM135iでは、バンパー形状の違いから全長が4355mmになる。
室内スペースは、前輪駆動方式の採用によって拡大が図られた。後部足元のスペースが約40mm広くなり、より乗降しやすくなるなど、室内空間の機能性が大幅に改善されている。ラゲッジスペースの容量も20L増えて380Lとされている。後席の背もたれを倒して荷室を拡大することができ、最大では1200Lの容量となる。
新型BMW1シリーズのインテリアは、インストセンターをやや運転席側に傾けるドライバー・オリエンテッドの基本文法に則った上で、最新のデザイン手法が採用されている。5.1インチのメーターパネル・ディスプレイ及び8.8インチのコントロール・ディスプレイを基本に、オプションで10.25インチのディスプレイを2つ備えた最新のBMWライブ・コックピット(最上級グレードのM135iには標準装備)や、大型化したBMWヘッドアップ・ディスプレイがラインアップされている。さらに、Qi対応の機器(スマートフォンなど)を充電できるワイヤレス充電機能を全車に標準装備した。
「OK、BMW」で起動するインテリジェント・パーソナル・アシスタントを用意
BMWコネクテッド・ドライブを標準装備したのも新型BMW1シリーズの特徴だ。これは車載通信モジュールにより、ドライバー、クルマ、そして取り巻く情報をITネットワークでつなぐことで、「もしもの時に備える万全の安全性」「カーライフを進化させる革新の利便性」「充実の情報と最新のエンターテインメント」を提供する総合テレマティクス・サービスで、2013年に輸入車として初めて導入されたもの。スマートフォン向けアプリの導入により、車両情報やニュースなどへのアクセスを可能にし、利便性を向上させるサービスを提供している。
2018年8月には、操作性・利便性を高めた新たな機能を追加すると共に、新しいスマートフォン向けアプリ「BMW Connected」を導入し、クルマとユーザー、情報をシームレスにつなげ、より快適でスマートなモビリティ・ライフをサポートする新しいサービスとして生まれ変わった。
またオプションのナビゲーション・パッケージ(最上級グレードのM135iには標準装備)を選択すれば、会話のみで車両の操作や、情報へのアクセスが可能となるBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントが装備され、機能性と操作性が大幅に向上する。
BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントは、AI技術を活用することで、音声で車両の操作、情報へのアクセスが可能となるBMW最新の機能だ。今までの音声入力と異なり、より自然な会話で、ドライバーの指示や質問を理解し、適切な機能やサービスを起動可能にするほか、使用頻度に応じてドライバーの好みを学習し、長く乗り続けるほどドライブにおける真のパートナーとしての役割を担うことが可能となる。
また、BMWのインテリジェント・パーソナル・アシスタントの特徴として、システムの“名前”をドライバーが自由に付けられる点にある。例えば、システムを「OK、 BMW(オーケー・ビー・エム・ダブリュー)」だけでなく、「(例)1シリーズ」など、呼びかける言葉を任意に設定することが可能。より身近な存在としてストレス無く使用することが出来る。
アンダーステアを抑制するARBを搭載
新型BMW1シリーズの機能面の特徴は、日本で販売されるBMWとして初のARBが搭載されたことだ。ARBは、エンジン・コントロール・ユニットが直接スリップ状況を感知し、ダイナミック・スタビリティ・コントロール(DSC)を経由することなく、以前より約3倍の速さでその信号を直接エンジンに伝達する機能だ。
これにより、前輪駆動車特有の、コーナリング時に車両が外側に膨らんでしまう現象(アンダー・ステア)を大幅に抑制し、より俊敏な走りを実現する。そして、アルミニウム製のエンジン・フードを採用した最新世代の直列3気筒エンジンおよび直列4気筒エンジンと、高張力鋼とアルミニウムを効果的に組み合わせた骨格により、ボディ剛性を確保しながら最大30kgの軽量化を実現している。
xDriveにより、トラクションを稼ぐハイパワー仕様のM135i
搭載エンジンは2機種。主要グレードに搭載されるのは直列3気筒1.5Lの直噴ターボ仕様で、103kW/4600~6500rpm、220N・m/1480~4200rpmのパワー&トルクを発生する。バルブトロニックやダブルVANOSなどBMWのエンジン技術が盛り込まれたエンジンだ。
最上級グレードのM135i xDriveに搭載されるのは、直列4気筒2.0Lの直噴ターボ仕様で、こちらは225kW/5000~6250rpm、450N・m/1750~4500rpmのパワー&トルクを発生する。グレード名から分かるように2.0Lエンジンの搭載車は駆動方式が4WDになる。
運転支援機能は、新たにレーン・チェンジ・ウォーニング、後部衝突警告機能、クロス・トラフィック・ウォーニング(リア)、スピード・リミット情報表示機能を追加したドライビング・アシストを標準装備(ベースグレードの118iA 除く)される。さらに、直近に前進した50mの軌跡を記憶しその軌跡通りに後退する際に、ステアリング操作を自動で行う「リバース・アシスト」を備えたパーキング・アシストを全車に標準装備する。
新型BMW1シリーズのグレード選び
バリエーションは118iが334万円、118i Playが375万円、118i Mスポーツが413万円、M135i xDriveが630万円(各消費税10%込み)の4グレードの構成だ。
BMWというと、Mスポーツというのが定番に近いものになっているが、標準車に装着されるタイヤが205/60R16であるのに対し、MスポーツとM135iに装着されるのは225/40R18になる。
実際に試乗する前の段階ながら、BMWはランフラットタイヤを基本としていることもあり、スポーツサスペンションが標準で、18インチタイヤを装着するMスポーツは乗り心地が硬すぎる可能性が高い。
イチ推しにするのは118i Playだ。ベースグレードの118iだと、このグレードだけ装着されない装備も多いので、ちょっと選びにくい。低価格を訴求するためだけのグレードと見られる。375万円の118i Playには、ドライビング・アシスト、BMWコネクテッド・パッケージなどが標準装備されるので、オプションで装着したいのはアダプティブ・クルーズコントロールくらいである。
BMW1シリーズ価格
・BMW 118i 3,340,000円
・BMW 118i Play 3,750,000円
・BMW 118i M Sport 4,130,000円
・BMW M135i xDrive 6,300,000円
BMW1シリーズ燃費、ボディサイズなどスペック
ボディサイズ 全長x全幅x全高(mm) 4,355x1,800x1,465
ホイールベース(mm) 2,670
車両重量(㎏)1,390
ラゲージ・ルーム容量(L) 380 (後席折りたたみ時 1,200)
定員(名) 5
エンジン種類 直列3気筒DOHC
総排気量(cc) 1,499
最高出力(kW 〔ps〕 / rpm (EEC)) 103〔140〕/4,600-6,500
最大トルク(Nm 〔kgm〕 / rpm (EEC)) 220〔22.4〕/1,480-4,200
JC08モード(km/L) 未発表
WLTCモード(km/L) 未発表
駆動方式 前輪駆動
トランスミッション 7速DCT
タイヤサイズ前後 225/40R18
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