主に毎日使う女性をターゲットに開発された軽自動車が新型トコット
ダイハツは、新型軽自動車であるミラ トコット発売を開始した。
新型ダイハツ ミラ トコットは、ロールーフタイプの軽自動車。実用車的なミライースに対して、よりライフスタイル感をプラスしたモデル。「誰でもやさしく乗れる、エフォートレスなクルマ」をコンセプトに、軽自動車に相応しい
低価格やコンパクトなサイズ感を追求した。主に女性ユーザーをターゲットにしたモデルになる。ライバル車は、スズキ ラパンだ。
女性ユーザーがターゲットということもあり、より女性目線であることが大切。そこで、女性社員によるプロジェクトが発足した。このチームにより、従来の女性向けの商品にありがちな、ベース車両に対して「かわいさ」や「かっこよさ」といった らしさ” を強調する、いわば「盛る」という発想が大きく転換された。徹底して 素” の魅力にこだわり、シンプルにしていくという考え方をコンセプトに取り入れた。シンプルでありながら、自分らしさの軸を持つ女性が増えていることが理由だ。
女性を中心とした開発プロジェクトで生まれた新型トコットだが、男の影も・・・
ただ、ダイハツは女性を中心とした開発とた女性のためのクルマであることを強調。しかし、こうした手法は以前からあり、珍しいことではない。どんなに企画段階で女性を増やしていても、最終的に決済するのが男性であれば、完全に振り切った女性のためのクルマとは言いにくい。
男性の開発責任者やマネージャーと意見交換を繰り返せば、自然と上司の開発責任者の意見を忖度する傾向になるからだ。どうせやるなら、開発責任者も女性にするくらい徹底してもいいだろう。
その結果、新型ダイハツ ミラ トコットは、想像できる範囲に収まっていて、とくに驚きはない。シンプルがコンセプトのひとつになっているが、これも当然のこと。ミライースをベースとされ、ミライースよりやや上のモデルとして位置付けることが条件である以上、女性がホントに求める軽自動車というよりも、低価格という裏コンセプトが重要視される。
こうなると、シンプルで質感の高い高額軽自動車が企画されることはないの当然のこと。単純に低価格=シンプルという耳障りのよい単語の置き換えでしかない。そもそも、女性が主体になって企画したので女性向けのクルマ、という強調したアピールの仕方がいかにも男性的だ。
シンプルで扱いやすいデザインをもつ新型トコット
新型ダイハツ ミラトコットのボディサイズは、全長3,395×全幅1,475×全高1,530㎜となった。ベースとなるミライースに対して、30㎜全高が高くなっている。全高を高くすることで、室内スペースに余裕を与えている。また、ミライースより、少し大きく立派に見せることで、ミライースより上級モデルであることもアピールしている。
新型トコットのデザインは、自然体でいられるシンプルで愛着のわくデザインとした。角を落としたボクシィなデザインと、丸いヘッドライトの組み合わせは定番ともいえるが、スッキリ感があり好感度は高い。
また、ボディパネルは、まさにシンプルでストレートな板といった印象。シンプルゆえに、こうしたパネル面を歪み無く成型するのは難しい。すぐに歪に気が付いてしまうからだ。ダイハツの生産技術の高さを感じる部分でもある。
そして、水平基調のスタイルということもあり、バック時の視界の広さや見切りがよいデザインになっている。ボディサイズがつかみやすく、運転しやすい。
新型トコットには、全8色のボディカラーが用意された。セラミックグリーンメタリックをはじめ、3色の新色を開発した。
さらに、より個性的なスタイルを求める顧客に対して、シボとプリントを組み合わせることで布のような質感を実現したキャンバス地調のデザインフィルムトップ(Dラッピング)を新開発。ルーフ、バックドアアッパー、フロン
トバンパーに貼ることで、2トーンカラーのような個性をアピールする。
スッキリ感際立つインテリアだが・・・
新型トコットのインテリアは、定石通り水平基調で広さをアピールするデザインだ。センターコンソール上部には、ナビなどのモニターが入るスペースがある。上部に配置されているので、比較的見やすい位置にある。ただ、もっとモニターを大きくして、奥に設置したほうが視線移動の距離が短く視認性と安全性は向上する。
シート背もたれ部は明るい印象のベージュ。室内が明るくなり、広々とした雰囲気にもなる。乗り降りの際に足や荷物が触れることがあるシート座面には、茶色を配色した個性的な 2 トーンカラーとした。これは、ベージュ系のような明るいカラーは、汚れが目立ちやすく敬遠されるケースが多いため。座面をより濃い茶色にすることで、汚れが目立ちにくくする配慮が施されている。最上級グレードのホワイト系のパイピングが取り付けられ、よりオシャレな印象となっている。
新型トコットの装備は、シンプルながらまずまずといったところ。スマートフォンの充電などに便利なUSB電源ソケットを2口をLグレードを除き標準装備化。しかし、電源ソケットはあってもスマートフォンの置き場がないという詰めの甘さもある。
そして、一度使うと非常に便利で二度と手放せなくなるシートヒーター(運転席/助手席)を座面、背もたれ部に設定。最上級グレードのGに標準装備化した。冷え性の人などには、腰から温めてくれるので、非常に快適性が高まる装備だ。
さらに、Gグレードには、フロントウインドゥにIR&UVカットガラス、フロントドアにスーパーUV&IRカットガラス採用。日焼けの原因となる紫外線や、暑さを生む赤外線を効果的に遮断する。
歩行者検知式自動ブレーキを含む安全装備スマートアシストⅢは、全車標準装備化されず残念・・・
驚いたのは、歩行者検知式自動ブレーキであるスマートアシストⅢが全車標準装備化されなかったこと。いくら小さい軽自動車であっても、歩行者と衝突すれば歩行者を殺す可能性がある。クルマは扱い方を間違えば、人を殺す商品だ。そうした商品を売り、利益を上げるメーカーは、安価になった自動ブレーキ関連の安全装備は自ら積極的に標準装備化し、死亡事故を減らすための責任がある。
さらに、ダイハツのニュースリリースでは、「SRSサイドエアバッグ&SRSカーテンシールドエアバッグを軽自動車として初めて全車標準装備した」と、かなり積極的にクルマの高い安全性能をアピールしている。
しかし、これは単に新しい保安基準に適合させる必要があったためだ。保安基準に合致しなければ、クルマは売ることができない。今までのダイハツ車のほとんどが、サイド&カーテンエアバッグが装着さえできない状況だった。
こうした安全装備の標準装備化は、メーカーの安価で売りたいという営業面の戦略より、そして何よりも優先されなければならないものだ。
操縦安定性に関しては割り切り感が強い新型トコット
そして、走行性能面で重要な役割を担うスタビライザーが新型トコットには装備されていない。スタビライザーは、カーブでのクルマの傾きを抑え、クルマの操縦安定性を高める重要な部品だ。
装備されたなかった理由は、女性が街中で乗るクルマという割切から、高い操縦安定性は必要無いという判断だ。しかし、クルマである以上、高速道路だって走るし、地方の幹線道では速度も高い。装備されるべき部品のひとつだ。
ダイハツは、ムーヴで軽自動車の走りは頼りないという顧客の声を真摯に聞き、軽自動車の走りの質を一気に引き上げ、クラスを超えたパフォーマンスを披露。軽自動車は、安いだけのクルマではない、ということを証明している。それなのに、あえてまた過去に戻るような選択をしているのか少々疑問だ。
新型トコットに搭載されるエンジンは、ミライースと同じKF型の660㏄直3エンジンだ。出力は52ps&60Nmとなっていて、ミライースより若干パワフルな仕様となっている。組み合わされるミッションはCVTだ。パワフルなターボモデルは用意されていない。
新型トコットの燃費は、29.8㎞/Lになった。ベースとなったミライースが35.2㎞/Lと大きく燃費性能が落ちている。これは、スクエアなデザインになり全高がやや高くなったことで、空気抵抗が増えたこと。そして、車重が重くなっていることが主な要因だ。
新型ダイハツ ミラ トコットのグレード選び
新型ダイハツ ミラ トコットのグレード選び。エンジンは、1タイプのみなので新型トコットのグレード選びは容易。豪華装備と安全装備の有無で選べればいい。選んでいけないグレードは、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備スマートアシストⅢが装備されていないLグレード。このグレード以外は、スマートアシストⅢが装備されている。
L“SA”Ⅲは、USB電源ソケットやシートヒーター、運転席リフターなどが装備されていない。こうした装備が必要無く、価格重視という人以外はあまりお勧めできない。
そうなると、X“SAⅢ”かG“SAⅢ” が残る。このグレード間の大きな差は、スーパーUV&IRカットガラス(フロントドア)、シートヒーター、オートライト、オートエアコン、パノラマモニター対応純正ナビ装着用アップグレードパックなど。価格差は約8万円。これらの装備は、あった方がより便利で快適なので、多少無理をしてでも最上級グレードとなるG“SAⅢ”を選んだ方が満足度は高い。
そして、新型ダイハツ ミラ トコットの買い時。よほど急いで買う理由がないのなら、しばらく待った方がよい。ダイハツもかなり未使用車を中古車マーケットに送り出す傾向が強い。未使用車とは、ディーラーなどが自社の都合で買い手がいないのに、自社名などで登録し売ったことにみせかけたクルマだ。登録しただけなので、ほとんど新車コンディションなので未使用車と呼ばれる。
こうした未使用車は、一度登録しているので中古車扱いになり中古車店の店頭に並べられる。中古車扱いなので、新車より安い価格で売られる。この価格がかなり安い。コンディションは新車並みなので、あえて新車を買う理由がないと感じるほどだ。好みのグレードや色が見つかれば、かなりコストパフォーマンスに優れる。
新型トコットも、こうした未使用車が早くも出ている。こうなると、2019年になるくらいには、大量の新型トコットが未使用車として売られている可能性が高い。少し待って、こうした未使用車をあえて狙うのもいいだろう。
新型ダイハツ ミラ トコット グレード別価格
・L 1,074,600円/4WD 1,204,200円
・L“SAⅢ” 1,139,400円/4WD 1,269,000円
・X“SAⅢ” 1,220,400円/4WD 1,350,000円
・G“SAⅢ” 1,296,000円/4WD 1,425,600円
吉岡里帆出演、新型ダイハツ トコットCM動画
https://youtu.be/hN6e3buhS-I
ダイハツ ミラ トコット燃費、ボディサイズ、スペックなど
全長×全幅×全高 3395×1475×1530mm
ホイールベース 2455mm
車両重量 720kg
エンジン型式 KF
最高出力 52ps(38kW)/6800rpm
最大トルク 60N・m( 6.1kg・m)/5200rpm
総排気量 658cc
JC08モード燃費 29.8km/L
タイヤサイズ(前後) 155/65R14
最小回転半径 4.4m
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