2トン超ボディで燃費8.1km/L! エコカー補助金対象車【フォード エクスプローラーEcoBoost(エコブースト)新車情報 】 [CORISM]
超円高でも強気の価格と左ハンドルのみの設定
新型フォード・エクスプローラーは、昨年9月に発売された。エクスプローラー20年に渡る歴史の中で最も大きな改良が施された注目のモデルだ。静粛性や乗り心地は抜群に向上して、これがあのエクスプローラーか? と、思わせるくらい進化した。デザインは、泥臭さが無くなり未来感のあるスタイリッシュなフォルムへ変身。都会派のラグジュアリーSUVとしてふさわしいものになった。それでいて、テレイン・マネージメント・システム(4WDシステム)も秀逸で、都会派になったからといって、悪路での走破性に妥協していない点も評価できた。
さて、それ以前のエクスプローラーは、トラックベースのラダーフレームをもっていた。大きく重いボディだが、キャンプ用のトレーラーハウスなどを引くのには、頑丈さなどで確かにトラックベースが面倒な開発なく使え、またコストも下がり利益も上がるメリットはあった。
しかし、競合車も多くなり、もはやフォードのメリットだけでは通用しない時代になった。そこで、この4代目エクスプローラーから、しっかりとSUVとしての価値をもう一度問い直し、競合車と十分戦えるモノコックボディを採用。さらに、最新の低燃費化されたV6DOHCエンジンを搭載したのだが、低燃費化の波は想像以上に速かった。
そこで、今回新たに2Lエコブーストエンジンが追加され搭載された。考え方は、VWのTSIと同じ。小さなエンジンに過給器を装着して、限りなく低回転域でのトルクを稼ぐ。エンジンの回転数を上げなくても、大きなトルクを発生するので、常に高いギヤを使える。さらに、エンジンの回転数を抑えることができるので、結果、燃費が上がるというものだ。V型エンジンが大好きなアメリカ人にしては、大きな決断だ。
この2Lエコブーストエンジンは、なかなかパワフル。243馬力を5,500回転、366Nmを3,000回転で発生する。V6の3.5Lエンジンは、294馬力/6,500回転、345Nm/4,000回転で発生。パワーこそ劣るものの、トルクは低回転で上回っていることから、扱いやすさはエコブーストが上だろう。
今回導入されたエコブーストは、なんとFFのみと割り切った。そのため、車重は110kg軽くなり2,020kg。それでも2トン超の重量級である。それでも、燃費は10・15モードで8.1km/L。V6が7.6km/Lなのでわずか0.5km/Lのアップだ。単純比較できないが、三菱パジェロ4WD3.8L、車重2.2トンが10・15モード燃費8.2km/Lだ・・・。
また、微妙なのは価格。FF化されたエコブーストだが、価格はなぜか3.5LエンジンのXLTと同じ440万円。エコブーストは、シートが本革だったり、助手席パワーシートが装着されているなど豪華さによる差別化が施されている。エクスプローラーのセールスポイントである卓越した4WDシステム、テレイン・マネージメント・システムなどが無いのになぜ? と、思う人は多いだろう。日本人は、燃費を良くし装備が豪華ならFFでも4WDでも無関係に売れるというマーケティングなのだろうか。
さらに、これだけ円高という要因が加わると、価格ダウンという考え方は無かったのだろうか。これだけインタネット時代になれば、本国での価格は一目瞭然。ちょっと調べるだけで、XLTが32,920ドルと出てきた。1ドル78円で計算すると約257万円となる。また、左ハンドルのみなので、右ハンドル仕様にする大きなコストはかかっていない現実もある。この現象は、フォードだけではなく、トヨタ カムリハイブリッドなどもかなり北米市場では割安感を感じる価格に設定されている。整備や保証などを除けば、この超円高の状況下なら、並行輸入したほうが圧倒的に安く買える。
フォード関係者からは、日本仕様に合った右ハンドル車を用意してくれと要望を出すと「もっと売ったら作る」と言われるケースがほとんどだという。日本車や韓国車がアメリカで売れている理由は、現地に合わせたより良いものを安く提供してきたからだ。魅力的なクルマなのに、左ハンドルしかないので購入を諦めた、というユーザーが多くいるという話はよく聞く。エクスプローラーは、多くの新しいファンを逃している可能性もあるだろう。
アメ車メーカーは、作る側視点が強すぎる傾向がある。少し前に、アメ車メーカーからTPP問題で日本の軽自動車規格を撤廃しろという要請があったという報道があった。アメ車メーカーが軽自動車規格でクルマを作れば売れるし、税制的にも平等に優遇されるのに。もう少し、ちゃんと日本のマーケットに向き合う姿勢が欲しい。これは、フォードジャパンも最も苦労している点でもあるだろう。
新型エクスプローラーは、発売以来好調で月販100台程度。新型エクスプローラーになって、クルマの完成度は格段とあがり、高級SUVとしてふさわしものになった。スタイリッシュで都会的なスタイルに心ときめく人も多いだろう。そんなエクスプローラーを趣味のクルマと割り切り、左ハンドルで多少不便でも割高感があってもいい。そう納得して買えるのならいいクルマになる。新型エクスプローラーは、全車エコカー補助金の対象車になっている。
<フォード エクスプローラーXLT EcoBoost価格>
・FWD 4,400,000円
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