ホンダ インサイト新車情報・購入ガイドの目次
世代によって異なるボディサイズをもつインサイト
ホンダは、1.5Lハイブリッドセダンであるインサイトの販売を開始した。新型インサイトは、4,675㎜というボディサイズをもつ中型のセダン。1.5Lのハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-MMD」により、JC08モード燃費34.2㎞/Lを達成している。
新型ホンダ インサイトは、今回のフルモデルチェンジで3代目となる。初代インサイトから共通しているのは、ハイブリッド車であるということ。ボディサイズなどは、その世代のよって異なっている。
安価なハイブリッドとして話題になった2代目インサイト
とくに話題となったは、2009年に登場した2代目インサイト。IMAと呼ばれる1モーター式1.3Lのハイブリッドシステムを搭載。JC08モードで27.2㎞/Lを達成した。
驚きだったのは価格。高コストで高価になるハイブリッドシステムを搭載しながら189万円からというリーズナブルな価格で登場。ハイブリッド車の低価格化と普及に貢献した。
しかし、その直後3代目プリウスが登場。2代目プリウスより高コストな2モーター式1.8Lハイブリッドシステムを搭載。インサイトをライバル視していたプリウスは、205万円という戦略的な価格設定で勝負に出た。3代目プリウスは、1.3Lのインサイトより当然力強く、排気量が500㏄も多かったが、燃費値は32.6km/Lとインサイトに圧勝。ハイブリッド対決は、3代目プリウスが圧勝。インサイトの販売はジリ貧状態となった。
2代目よりひとクラス上のボディサイズになった新型インサイト
3代目となった新型ホンダ インサイトは、2代目インサイトより大幅にボディサイズを拡大して登場した。新型インサイトのボディサイズは全長4,675×全幅1,820×全高1,410mmとなり、2代目インサイトに対して285mmも大きくなっている。
基本的には、シビックと同じプラットフォームが採用されており、見方を変えればシビック ハイブリッドともいえる。全長4,675mmというと、レクサスISやメルセデス・ベンツCクラスなどと同等になる。ボディサイズが大きくなったこともあり、2代目インサイトではライバル関係にあったプリウスとは異なるカテゴリーのモデルになっている。
新型インサイトクラスの国産セダンは、数少が少なくライバルもあまりいない。しかし、国産セダンマーケットは完全に縮小している状態。新型インサイトは高価格帯になるため、ハイブリッド車とはいえ、そう簡単に売れるという訳ではない。しかも、新型インサイトは、都市部に多いマンションなどの立体駐車場の全幅制限1,800mmを超えている。こうなると、さらに顧客を限定してしまう。
トヨタ カムリは、日本に不向きな大柄なボディサイズで小回りも苦手。だが、デザインとハイブリッドの低燃費性能が評価され、着実な販売台数を維持している。新型インサイトもカムリ同様、デザインとハイブリッドの組み合わせで、一定の販売台数を確保できる可能性を秘めている。
ただ、トヨタとホンダでは営業力が異なる。セダン顧客がほとんどいないホンダに対して、トヨタには大事に守ってきたセダンユーザーが一定いたのだ。こうしたマイナス要因をどう覆していくのか、ホンダ国内営業の実力が試される。
変化したホンダデザイン?
新型ホンダ インサイトの開発コンセプトは「PRIME」。インサイトは「シンプルでありながら上質で、時代に流されない本質的な魅力を持つクルマ」であることを目指し「PRIME」のひと言に凝縮したという。
新型インサイトのエクステリアデザインで最も重視したものは「品格」だ。同じプラットフォームを使うシビックは、いかにもホンダらしいロボチックなデザインだった。
しかし、新型インサイトは随分趣の異なるデザインになった。従来のデザインは、コンパクトカーなどの比較的小さなクルマであれば、カジュアルな雰囲気があって魅力的だった。しかし、ボディサイズの大きなクルマになると、高級感や上質感にやや欠け、高級車感をあまり感じなかった。
ワイド感と迫力あるフェイスをもつ新型インサイト
とくに、新型インサイトのデザインではフロントフェイスのデザインが秀逸だ。水平基調のグリルデザインは、ワイド感を与え、クロームバーは高級感を感じさせる。彫りの深さと精緻感が表現されており、ユニークな押し出し感ある迫力を感じさせる。
リアデザインで目指したのは、グラマラスな造形美。空力を意識しかなり傾斜されたCピラーやルーフラインはスタイリッシュだ。
十分な荷室容量をもつトランク
インテリアデザインは、美しい花と甘美な蜜をイメージしたという。少々、乙女チックなイメージで、意味があまり理解できない。だが、ドライバーを中心に整然と配置されたパーツ類などは、美しい花と甘美な蜜のイメージというより、機能美を感じさせる。
ただ、センターコンソール中間部分に設置された8インチモニターは、視認性面では今ひとつといった印象。こうした視認頻度が高いモニター類は、ダッシュボード上部に設置すべきだろう。ドライバーの視線移動も少なくて済むからだ。
助手席側には、厚さ2.0mmのクッション層を内包したリアルステッチソフトパッドを採用し高級感を表現。最近のホンダ車は、こうしたソフトパッドとステッチの使い方が上手い。
フロントシートは、しっかりとしたサイドサポートがあるスポーティなもの。リヤシート下には、IPU(インテリジェントパワーユニット)を搭載。そのため、トランクルーム容量を一切損なわないパッケージを完成させている。トランク容量は519L。メルセデス・ベンツCクラスが455L、BMW3シリーズが480Lなので、なかなか実用的なトランク容量を誇る。
高効率1.5Lエンジンを搭載したSPORT HYBRID i-MMD。燃費は34.2㎞/L!
搭載されたパワーユニットは、1.5Lのハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-MMD」。2013年アコードハイブリッドに初搭載したシステムだ。このSPORT HYBRID i-MMDは、徐々に熟成を重ね、新型インサイトでは従来の2.0Lエンジンから1.5Lエンジンにまでダウンサイジングされている。この1.5Lエンジンは、世界トップレベルの最大熱効率40.5%を達成している。
さらに、新型インサイトでは、モーター磁石の重希土類フリー化、PCU(パワーコントロールユニット)の小型化などを実現した。
こうした技術により、新型インサイトの燃費はJC08モードで34.2㎞/L、WLTCモードで28.4㎞/Lを達成している。
シリーズハイブリッドを進化させたホンダの基幹技術「SPORT HYBRID i-MMD」
SPORT HYBRID i-MMDは、モーター駆動を基本としたハイブリッドシステムで、今後、ホンダの基幹技術となるものだ。すでに発売されているPHEVであるクラリティPHEVも基本的にSPORT HYBRID i-MMDをベースとしている。
SPORT HYBRID i-MMDの特徴は、モータードライブをベースとしている。3つのモードを走行状況によりシステムが自動で判断。最も効率の良いモードを選択する。
まず、EVドライブモードは、リチウムイオン電池に蓄えられた電力でEV走行する。ハイブリッドドライブモードは、シリーズハイブリッドと同様にエンジンが発電し、その電力でEV走行する。
シリーズハイブリッドである日産のe-POWERと大きく異なるが、エンジンドライブモードがあることだ。エンジンドライブモードは、エンジン負荷が小さいときなどに、エンジン出力のみで走行する。
これは、ハイブリッドドライブモードより燃費効率が良いと判断されたときに機能する。エンジンの出力をタイヤの駆動軸に直結し走行。この技術により、高速域では燃費効率が悪くなるシリーズハイブリッドのデメリットを解決している。
優れた安全性能を誇る新型インサイト
安全装備類では、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備「ホンダセンシング」が全車に標準装備されている。ホンダセンシングの機能には衝突軽減ブレーキ<CMBS>、誤発進抑制機能、歩行者事故低減ステアリング、路外逸脱抑制機能、渋滞追従機能付ACC<アダプティブ・クルーズ・コントロール>、LKAS<車線維持支援システム>、先行車発進お知らせ機能、標識認識機能、後方誤発進抑制機能、オートハイビーム。また、サイド&カーテンエアバッグも標準装備化されているので、高いレベルの安全性能を誇る。ただ、後側方から接近する車両に対して、注意・警告するブラインドスポットインフォメーションが、エントリーグレードのLXには標準装備されていない。似た装備はコンパクトカーのマツダ デミオにも標準装備化されているので、300万円を超えるような高級車なので、これくらいは標準装備化していほしい。
豪華装備面では、インターナビ+リンクアップフリー+ETC2.0車載器<ナビゲーション連動>を全タイプに標準装備化している。
ホンダ インサイトのグレード選び
新型インサイトのグレードは、エントリーグレードからLX、EX、EX・BLACK STYLEの3つとなる。パワーユニットは、1.5Lのハイブリッドのみなので、必要な装備の有無で選べばいい。
新型インサイトのグレード選びでは、まず、エントリーグレードのLXは外しておきたい。後側方から接近する車両を検知・警告を発する予防安全装備ブラインドスポットインフォメーションが装備されていない。
また、豪華装備ではパワーシートが無い。さすがに、300万円を楽々超えるモデルなので、この2つの装備くらいは欲しいところだ。
そうなると、EXとEX・BLACK STYLEという2択になる。この2グレード装備類に関しては、それほど大きな差がない。EX・BLACK STYLEの外観には、専用のブラッククロームメッキフロントグリル/ブラッククロームメッキリアバンパーロアーガーニッシュが装備され、やや精悍さが増したルックスになっている。
また、内装材がより豪華になっていてEX・BLACK STYLEには、本革×ウルトラスエード)&ブラック加飾のシートが装備される。助手席のインパネパネルもウルトラスエードになる。
新型インサイトEXの価格は3,499,200円で、EX・BLACK STYLEは129,600円アップの3,628,800円となった。この装備差は、好みで選べばいいだろう。
全体的に装備は充実しており、オプション設定は割り切った設定で本革シート程度。サンルーフくらいはあってもよかっただろう。また、大容量のリチウムイオン電池を搭載してるのだから、非常時に電源車としても使えるように1500W/100Vの電源くらいは設定してほしいところだ。
ホンダ インサイト価格
・インサイトLX 3,261,600円
・インサイトEX 3,499,200円
・インサイトEX・BLACK STYLE 3,628,800円
ホンダ インサイト燃費、ボディサイズなどスペック
■代表グレード:インサイトEX・BLACK STYLE
ホイールベース 2700mm
トレッド 1.545/1.565mm
車両重量 1390kg
最小回転半径 5.3m
エンジン LEB-H4型 直4DOHC 1496cc
エンジン最高出力 80kW(109ps)/6000rpm
エンジン最大トルク 134N・m(13.7kgm)/5000rpm
モーター最高出力 96kw(131ps)/4000-8000rpm
モーター最大トルク 267N・m(27.2kgm)/0-3000rpm
駆動方式 FF(前輪駆動)
トランスミッション 電気式無段変速機
JC08モード燃費 31.4km/L
WLTCモード燃費 25.6km/L
サスペンション方式 前:マクファーソン式 後:マルチリンク
タイヤサイズ 215/50R17
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