ホンダ初! インド生産のコンパクトSUVが新型WR-V
ホンダは、コンパクトSUVである新型WR-Vを発表した。新型WR-Vは、2024年3月22日に発売を開始する。この新型ホンダWR-Vは、インドで生産され、日本に輸入し販売されるモデル。タイ生産車を国内で販売するのは、ホンダ初となる。
新型ホンダWR-Vは、日本とインド、そしてタイをターゲットにしたコンパクトSUV。グランドコンセプトが「VERSATILE FREESTYLER」。VERSATILEとは、多様なライフスタイルやニーズに適応できる特性を意味する。そして、FREESTYLERとは、私たちがさまざまな制約を乗り越え、自由に自分らしいスタイルで生きることを表現した。シンプルながらもモダンなデザインに、クラストップレベルの居住空間と荷室容量を備え、多様な用途に高い実用性で応えるコンパクトなSUVが新型ホンダWR-Vだ。
あれ? カーボンニュートラル時代なのに、ハイブリッドの設定は無し。ガソリン車のみ? 低価格をウリにした割り切り系?
こうしたコンセプトはともかく、新型WR-Vは、とにかく割り切った仕様となっているのが特徴。まず、ホンダのハイブリッドシステムであるe:HEVの設定が無く、ガソリン車のみ。さらに、SUVなのに4WDの設定も無いのだ。
日本マーケットでは、もはやハイブリッド車の販売が50%弱になっている状況。コンパクトカーの日産ノートは、ハイブリッド車しか設定していないほどだ。しかも、同じコンパクトSUVのヴェゼルの初期受注では、e:HEVが93%も占めた。それなのに、新型WR-Vにe:HEVの設定が無い。
こうした動きは、ホンダが掲げる「2040年までにEV・FCEV販売比率をグローバルで100%にする」という目標に逆行しているようにも見える。
4WDの設定に関しては、微妙な判断。日本マーケットでは、降雪地域で4WD需要が高くなる。しかし、ヴェゼルの初期受注では、FF(前輪駆動)車の人気が高く、4WD比率が約19%だからだ。
こうした状況から、新型WR-Vはインドとタイがメインターゲットであることが伺える。日本マーケットは、二の次といった印象が強い。
しかし、インド生産ということで、大きなメリットも提示された。それが、価格だ。新型WR-Vの価格帯は、2,098,800~2,489,300円。同じクラスのヴェゼルが、2,399,100円だ。装備が微妙に異なるものの、新型WR-Vの価格は安く見える。価格志向の顧客には、注目の1台になるだろう。
ただし、フィットをベースとしてSUVルックにしたフィットクロスターの価格が2,145,000円。フィットクロスターと比較すると、それほど安価に見えない点が悩みどころ。思い切って、200万円を切る価格であれば、より強烈なインパクトを与えたかもしれない。
広い室内と荷室をもつ実用性に優れたコンパクトSUV
新型WR-Vのボディサイズは、全長4,325×全幅1,790×全高1,650mm、ホイールベースは2,650mmだ。ヴェゼルが全長4,330×全幅1,790×全高1,580mm、ホイールベースが2,610mmなので、全幅以外、新型WR-Vの方がやや大きい。ホイールベースは40mmも伸びている。
元々、ヴェゼルのホイールベースもライバル車に比べると長めなので、後席スペースなどは広い。新型WR-Vは、さらにホイールベースが伸びていることから、後席の広さは1クラス上のレベルとなっている。
荷室も広い。フルフラットにはならないものの、荷室容量はクラストップレベルとなる458L。ヴェゼルも404Lと広めだが、新型WR-Vの荷室はさらに上回る広大な荷室となっている。
そして、新型WR-Vは4WDの設定が無いのに、最低地上高はクラストップレベル195mm。ちょとしたラフロード程度なら、十分に走行できる。
ホンダらしくない? 万人向けの手堅いデザイン
新型WR-Vのデザインは、SUVのトレンド通り。まず、大きな顔とグリルを組み合わせ、フェイス上部サイドに細めのヘッドライトを配置。コンパクトSUVながら、迫力あるフェイスに仕上げている。
ボディサイドは、面の張りが強いシンプルでボリューム感のあるデザイン。SUVらしい重厚感がある。リヤはカッチリとしたデザインで、スポーティさを感じさせるデザインとなった。水平基調のリヤコンビネーションランプなどを配することで、ワイド感もアピールする。
ホンダは、ZR-Vやヴェゼルのように、オリジナリティを求めたデザインを追求してきた。だが、WR-Vは、デザイントレンドから外さないコンサバなスタイルになっている。万人受けを重視するのであれば、きっとこの手法が正解。ただ、ホンダらしさという点では、やや異なるのかもしれない。
シンプルで落ち着いた雰囲気のインテリア
インテリアは、最近のホンダ車に共通したシンプルで落ち着いたデザインとなった。インパネは、水平基調のデザインとし広さをを演出。スイッチ類などは、センターコンソール上部に集中配置。スッキリとした視界と運転しやすさを目指した。
メーターは、7インチTFT液晶メーターとアナログスピードメーターを組み合わせた。7インチTFT液晶メーターでは、スピードメーターや走行モードなどの基本情報に加え、Honda SENSINGなどの情報を見やすく表示した。
さらに、装備面では、エアコンの風を後席へ届けるリアベンチレーションを全タイプに標準装備。後席空間の快適性を向上させている。
予防安全装備の機能向上に期待
新型WR-Vに搭載されるパワーユニットは、1.5L直4DOHCのガソリンエンジンのみの設定。118ps&142Nmの出力をアウトプットする。ヴェゼルやフィットなどにも使われているエンジンと同じだ。
CVTは、DBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)とCVTの協調制御「G-design Shift」を採用。リニアな加速フィールを追求。また、エンジンマウント類の配置やサイズを最適化し、エンジンの振動を低減した。
そして、歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備パッケージ「ホンダセンシング」を全車標準装備。自動ブレーキ機能は、交差点内右左折時の対向方向者や自転車などには対応しておらず、今後の機能向上に期待したい。
ホンダWR-Vの後悔・失敗しないグレード選び
新型ホンダWR-Vのグレードは、エントリーのX、中間のZ、最上級グレードのZ+の3グレード構成。エンジンは1.5Lガソリン1タイプ、4WDの設定はなく全車FF(前輪駆動)なので、装備で選べばよいという仕様。
安全装備などには差が無いので、どのグレードでも安心して選べるのが特徴。豪華さは必要なく、シンプルな仕様で十分と言うのであれば、エントリーグレードのXがお勧め。価格は2,098,800円。今や、軽自動車でも200万円を超える時代なので、なかなか買い得感がある価格だ。
中間グレードであるZとの大きな違いは、16インチスチールホイールであることや、LEDフォグライトや本革巻きステアリング、リアセンターアームレスト、コンビシートなどが装着されていない程度。これで、Zより約25万円も安価なら、積極的に選んでもよいグレードといえる。
一般的なクルマの場合、最上級グレードを選んでおけば、まぁ、それほど失敗したり後悔したりするケースはないのだが、新型WR-Vは別。最上級グレードのZ+は、中間グレードのZに対してプラス装備されているのが、Z+専用エクステリア(ベルリナブラック・フロントグリル、シルバー・ドアモールディング、シャープシルバー塗装ドアロアーガーニッシュ)、シャープシルバー塗装ルーフレールガーニッシュなどだ。
これだけの装備で、約14万円も高価になり価格は2,489,300円だ。新型WR-Vは、価格訴求を重視したコンパクトSUVであるならば、ちょっと高価な印象が強い。装備がやや異なるので単純比較はできないが、ヴェゼルのガソリン車Gグレード2,399,100円よりも高価だ。こうなると、最上級グレードのZ+は、やや選びにくいグレードとなる。
結論、シンプルさと予算重視ならX、十分な内外装のクオリティを求めるならZがお勧めになる。
ホンダWR-V新車価格
*前輪駆動のみの設定
・WR-V X 2,098,800円
・WR-V Z 2,349,600円
・WR-V Z+ 2,489,300円
ホンダWR-V燃費、ボディサイズなどスペック
代表グレード WR-V Z+ FF
全長×全幅×全高 mm 4,325×1,790×1,650
ホイールベース mm 2,650
トレッド(前/後) mm 1,540/1,540
最低地上高 mm 195
車両重量 kg 1,230
エンジン型式 L15D型
エンジンタイプ 直列4気筒DOHC
総排気量 ㏄ 1,496
エンジン最高出力 kW(ps)/rpm 87(118)/6,600
エンジン最大トルク N・m(kgm)/rpm 142(14.5)/4,300
燃費(WLTCモード ㎞/L) 16.2
サスペンション 前:マクファーソン式 後:車軸式
タイヤ 前後 215/55R17
最小回転半径 m 4.9
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