販売好調のESがGSに引導を渡した?
レクサスは、ミドルクラスの上級セダンであるESを一部改良し発売を開始した。
レクサスESは、2018年10月に日本初登場している。レクサスESの歴史は、少々複雑で、レクサスの主戦場である北米では、すでに7世代目となっている。初代ESは、日本でカムリプロミネント、2代目から4代目まではウインダムとして発売されていた。
こうした姉妹車関係にあるモデルがトヨタブランドで発売されていたことや、同じセグメントにGSがあり競合を避ける理由もあり、ESの日本導入は長期間に渡り見送られてきた。
レクサスの中でも、FF(前輪駆動)のESより、FR(後輪駆動)のGSの方が、より高級車として相応しいという考え方があったのも事実だ。しかし、競合を避けGSの販売を続けた日本のレクサスだったが、GSの販売は低迷し続ける。レクサスとしては、このクラスでも存在感をアピールしたい。もはや、競合を避けている場合ではない、ということもあり7代目となるESをフルモデルチェンジを機に2018年10月に日本初導入した。
7代目ESは、その優れたデザインや静粛性・乗り心地・先進性が高く評価され、ヒットモデルとなった。2019年の登録車販売台数ランキングでは、11,140台を売り46位となる。ほぼ、600万円以上の価格で、人気が無いセダンモデルとしては異例の売れ行きとなった。
GSと同等のサイズや高級感でありながら、価格は200万円ほど安いというのも売れた理由のひとつとはいえ、当時、桁違い販売台数となっていた。こうしたESの高い人気は、日本だけでなくグローバルでも同様。GSは、撤退することを表明している。ある意味、ESがGSの息の根を止めたともいえる。
ハイブリッド用バッテリーをリチウムイオンに変更し燃費を向上
販売好調なESだが、デビューから2年未満で大幅改良が改良が加えられた。なんと、ハイブリッドシステムの心臓部といえるハイブリッド用バッテリーをニッケル水素電池からリチウムイオン電池に変更した。
この変更により、燃費はWLTCモード で22.3 km/Lとなり、従来型比+1.7km/Lとなっている。トヨタの最新ハイブリッドモデルは、すでにリチウムイオン電池へシフトしている。高級車ブランドであるレクサスモデルが、未だ旧式となったニッケル水素電池であれば、ESのもつ先進性というブランドイメージが下がることになる。燃費向上だけでなく、こうしたことへの対応もあるのだろう。
デジタルアウターミラーの機能向上
そして、ESは発売時に量産車として世界で初めてデジタルアウターミラーを採用した。ドアミラーの代わりにカメラを使う技術だ。小さなカメラが、従来のドアミラー部に設置されている。ドアミラーと比べると、かなり小型化されているため、ひと目でデジタルアウターミラーであることが分かる。デザイン的にも、かなりユニークで、ESの特徴にもなっている。
今回の改良では、従来バージョンLでしか選べなかった個性的なデジタルアウターミラーを“F SPORT”でもオプション選択可能とした。
また、デジタルアウターミラーそのものの使い勝手や見やすさも向上させている。走行時にモニターから見える他の車両、壁、障害物との距離感を測りやすくする距離目安線の表示機能を追加。車速に応じて車両後端から最小5m~最大30mの距離を示す線を表示している。
安全装備を標準装備化。ようやく高級車に相応しい装備になった
さらに、安全装備も向上。パーキングサポートブレーキ(静止物+後方接近車両)[PKSB]やブラインドスポットモニター[BSM]を全車標準設定し、予防安全装備を充実させている。
約600万円するクルマに、今まで、これくらいの装備が標準装備化されていなかったことがむしろ物足りなかった状態。これで、ようやく高級車に相応しいレベルに達したといえる。
そして、日々進化するコネクティッド関連も強化。マルチメディアシステムはSmartDeviceLink、Apple CarPlayやAndroid Autoに対応。iPhoneやAndroidのスマートフォンを12.3インチワイドディスプレイと連携させることが可能。リモートタッチによる画面操作や音声操作が可能となった。
また、おくだけ充電の充電トレイと、センターコンソールのスマートフォン収納スペースを拡大。より、大きなサイズのスマートフォンに対応するなど利便性を向上させた。
この改良でレクサスES300hは、5,907,407円から約8万円アップの5,990,000円とした。ハイブリッド用電池の変更や安全装備の拡充などの向上分を含めると、かなり安価な価格アップとなっている。
レクサスES価格
・ES300h “version L” 7,130,000円
・ES300h “F SPORT” 6,489,000
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