全高を除き、Aクラスとほとんど同じボディサイズをもつ新型メルセデス・ベンツBクラス
メルセデス・ベンツのコンパクトなFF(前輪駆動)系マルチパーパスモデルであるBクラスがフルモデルチェンジを受けた。昨年10月のパリサロンで発表されたモデルで、日本では7年振りのフルモデルチェンジとなる。メルセデス・ベンツの対話型インフォテインメントシステム「MBUX」を搭載するのが大きな特徴だ。
新型メルセデス・ベンツBクラスの外観デザインは、メルセデス・ベンツの最新のデザイン思想を反映させたものとされ、ラインやエッジを大幅に削減した輪郭を採用している。といっても、フロントグリルにはお約束のスリーポインテッドスターが鎮座していて、ひと目でメルセデス・ベンツであることが分かるデザインだ。
やや細めのヘッドライト、低めに設定されたフロントエンド、ボンネットからAピラー、ルーフへと流れるようなラインを持つ。エッジを索然したとはいえ、ショルダー部分とボディサイドにはキャラクターラインが入れられ、力強さやスポーティさを表現している。
リヤもワイド&ローを強調するため、細めで左右方向に幅広いコンビネーションランプが採用されている。こうしたワイド&ローのデザインは単にデザインにとどまらず、空力特性の向上にも貢献し、Cd=0.24という優れた数値を得ている。
新型メルセデス・ベンツBクラスのボディサイズは、全長4419×全幅1796×全高1562mm。Aクラスのボディサイズが、全長4419×全幅1796×全高1440mm。全長と全幅は同じ、Bクラスの方が全高がやや高い。Bクラスの全高は、都市部に多い立体駐車場の全高制限1550mmを僅かに超えている。1550mm制限の立体駐車場を使っている人は、Bクラスの購入はできなくなる。ただ、オプションのAMGラインを装着すると、専用サスペンションにより全高が1541mmになり、1550mm制限の立体駐車場もOKになる。
上質感の高いBクラスのインテリア
新型メルセデス・ベンツBクラスのインテリアは、先に発表されたAクラスのデザインを基本的に踏襲し、モダンでアバンギャルドな雰囲気を演出している。ダッシュボードはインパネ・クラスター上方のカウルを廃止し、そのダッシュボード上部にワイドスクリーンのディスプレーが配置されている。これは視線移動の少ない見やすい配置とするとともに、室内に解放感を与え、ワイド感を強調するデザインとしている。
新型メルセデス・ベンツBクラスの特徴として、ダッシュボードの中央部と助手席前部の一部が切り取られたように凹んでいるデザインがあり、これによってシンプルで 室内空間の広さを強調する。
5つの円形のエアアウトレットは、ジェットエンジンのタービンを連想させるデザインを採用するとともに、エアアウトレットの奥の部分に色のアクセントを施すことで、アフターバーナーを想起させる。
室内照明のアンビエントライト(オプション設定)は全64色が設定され、先代モデルの5倍に増やされた。64色を10種類の色彩の世界にまとめることで、鮮やかな色の変化を伴うライティングを実現する。
荷室の広さがポイントとなる新型Bクラス
デザイン性を追求すると同時に、Bクラスの特徴である広い室内空間と使い勝手の良さも強化された。新型Bクラスでは、先代モデルと同様に大人4人が快適に過ごせる広い室内空間をさらに拡大し、快適性を向上させている。前席の室内幅は33mm拡大されて1456mmになり、フロントのヘッドルームも5mm拡大されて1052mmになった。リアシートのバックレストは4:2:4分割可倒式で、様々な使い方に柔軟に対応できるものとした。
また、荷室も広い。多彩にアレンジできるラゲッジルームを装備した。荷室は、通常時455Lを確保。Aクラスが370Lなので、かなり使い勝手が良くなっている。また、テールゲートを自動で開閉できる「フットトランクオープナー」も用意している。
MBUXは「ハイ・メルセデス」で起動
新型Bクラスの特徴として、対話型インフォテインメントシステムMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)の搭載があげられる。MBUXはAIによる学習機能を持ち、特定のユーザーに適応する個別対応能力を備えている。これによってクルマ、ドライバー、乗員の間に結びつきが育まれるという。
ほかにも、高精細ワイドスクリーン・コックピット(10.25インチのワイドディスプレイでタッチスクリーン操作対応)や、自然対話式音声認識機能を備えたボイスコントロールなどを備えている。ボイスコントロールは「Hi(ハイ)、 Mercedes(メルセデス)」をキーワードとして起動する。
新型自然対話式音声認識機能は多くのインフォテインメント機能(目的地入力、電話通話、音楽選択、メッセージ入力・読み上げ、気象情報)に加え、エアコン、各種ヒーター、照明など多様な便利機能にも対応する。MBUXの音声認識機能は、自然言語認識機能の搭載により、インフォテインメントおよび車両操作関連の自然な言語を認識、理解できる。エアコンの温度を調節するときも、「温度24度」という明確な指示ではなく「暑い」と言えば理解するとのこと。
学習能力も備えていて、クラウド上のソフトウェアモデルによって新しい流行語を覚えたり、時代による言葉の用法の変化を学習したりする。さらに、ユーザーに合わせて適応することも可能で、定期的に決まった電話番号へ電話をするユーザーに対し、その時刻になるとディスプレーに相手の電話番号を「おすすめ」として表示する。また、決まった時刻にラジオの放送局を切り替えるユーザーには、この切り換えを提案するという。
MBUXの音声認識機能は、ユーザーによる発言を車載コンピューターとクラウドの両方でデータを評価し、それぞれ応答を送る。システムはどちらの応答がより確かであるかを判断し、数秒以内に反応する。このようなハイブリッド方式とした結果、MBUXは、インターネットに接続しない状態でも応答できるシステムとなっている。
スマートフォンのコネクティビティ関連機能も拡張されました。Qi規格対応機種の携帯電話を無線充電する「ワイヤレスチャージング機能」を前席に全車標準装備している。
1.3Lガソリンと2.0Lディーゼルを用意
搭載エンジンは2機種で、ガソリンとディーゼルがそれぞれ1機種ずつ用意される。いずれもダウンサイジング直噴ターボ仕様のエンジンだ。
B180に搭載されるガソリンエンジンは、直列4気筒1.3Lで、100kW(136ps)/5500rpmのパワーと200N・m(20.4kg-m/1460rpmのトルクを発生し、7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)と組み合わされる。
B200dに搭載されるディーゼルエンジンは直列4気筒2.0Lで、110kW(150ps)/3400rpmのパワーと320N・m(32.6kg-m)/1400rpmのトルクを発生し、こちらは8速DCTと組み合わされる。 駆動方式はいずれも前輪駆動のFFのみで、4WDモデルは設定されていない。
ガソリンエンジンには「デルタ形シリンダーヘッド」が採用された。その名前が示すようにシリンダーヘッドが三角柱を横に寝かした形状となっていて、通常のシリンダーヘッドに比べて高さが確保される一方、幅や重さが小さくなることで、省スペースや軽量化を実現している。
ディーゼルエンジンは十分なトルク性能と低振動や静粛性を併せ持つ。全長を切り詰めたコンパクトなエンジンであるのが特徴で、シリンダーブロックを軽量化のためにアルミニウム製とした一方、ピストンは熱膨張率の異なるスチール製とすることで、摩擦抵抗を40%以上を低減したという。
ターボチャージャーは可変タービンジオメトリーを採用し、低回転域から高回転域まで全域でトルクフルな加速を可能とした。ピエゾインジェクターを使用したコモンレール直噴システムは、 最大圧力を2050バールまで高められている。
また、冷却された高圧EGRと低圧EGRを組み 合わせた「マルチウェイ排出ガス再循環(EGR)」を採用し、燃焼の最適化を図るとともに、後処理を行う前の段階で窒素酸化物を低減することを可能とした。
世界トップレベルの予防安全装備だが、なんとオプション。標準状態では、軽自動車以下?
新型Bクラスには、自動運転開発の次のステップとなるメルセデス・ベンツの最新技術が盛り込まれている。一般道での安全運転支援はもちろんのこと、特に高速道路での運転支援機能によりドライバーの負担を大きく軽減させるものだ。
運転支援システムは、Sクラスと同等のシステムがオプションとして設定され、歩行者や車両の飛び出しを検知した場合や先行車両や障害物を回避できない場合の自動緊急ブレーキによる被害軽減機能、車線維持機能、斜め後方死角の車両と衝突回避を支援する機能などが備わっている。
先行車との車間距離のみならず周囲の交通状況(車両、車線、ガードレールなど平行な物体)を常に監視する仕組みだ。今回のモデルではBクラスとしては初のステアリングアシストも採用された。高速道路上での追従走行では、システム起動時に高速道路上で自動停止した場合、30秒以内(一般道は3秒以内)であれば自動再発進が可能で、渋滞時のドライバーの疲労を大幅に低減する。
ほかにも革新技術である「アクティブレーンチェンジングアシスト」は、ドライバーがウインカーを点滅させると、行き先の車線に車両がいないことを確認して自動で車線を変更する。
また、走行中にドライバーが気を失うなど万が一の場合には、自動的に車線を維持しながら緩やかに減速・停止する「アクティブエマージェンシーストップアシスト」も搭載している。
メルセデス・ベンツの安全運転支援システムは、ステアリング、ブレーキ、加速などの 作動が自然なのが特徴で、機械的なぎこちなさが排除されている。
メルセデス・ベンツは、安全性能に優れたクルマ。と、いった印象が強い。しかし、Bクラスにはこうした予防安全装備をセットにした「レーダーセーフティパッケージ」は、なんとオプション設定。
日本では、軽自動車にも歩行者検知式自動ブレーキの標準装備化が進んでいる。高級ブランドのメルセデス・ベンツがオプションといのうは、売値を安く見せ顧客の関心を引くためのテクニック。顧客の安全よりも、セールス側の都合が優先されている。標準状態では、歩行者検知式自動ブレーキさえ付かない状態では、メルセデス・ベンツブランドにとってはマイナスだ。
テレマティクスサービスは、充実・・・
「Mercedes me connect」と呼ぶテレマティクスサービスは、自動車がインフラなどと通信することによりユーザーの利便性を向上する先進的なテレマティクスサービスで、「24時間緊急通報サービス」などが最長10年間無償でご供される安心安全サービスと、“Send2Car”などが3年間無償で提供される「快適サービス」と2つのサービスで構成されている。具体的な内容は以下の通りだ。
●安心安全サービス
・24時間緊急通報サービス
事故検知時(エアバッグ、シートベルトテンショナー 展開時)または車内にあるSOSボタン押下時に、コールセンターが消防に連絡する。
・24時間故障通報サービス
ツーリングサポートが必要な際に、meボタンを押すと ツーリングサポートセンターにつながる。
●快適サービス
・リモートドアロック&アンロック
スマートフォンの操作で車両ドアのロック、 アンロックが可能。
・リモート(車両)ステータス確認
車両の走行距離、燃料計、平均燃費等の状態がアプリなどで確認できる。
・駐車位置検索
駐車した車両の位置をアプリの地図上に表示する。
・Send2Car
スマートフォンから、ナビゲ―ションの目的地を遠隔設定できる。
また、オプション設定のナビゲーションパッケージを装着すると、Mercedes me connectのナビゲーションサービス(天気やガソリン価格情報を地図上に表示)や、USBオンデマンド地図更新が利用できる。
新型メルセデス・ベンツBクラスの価格は、B180が384万円(消費税込み)で、B200dが422万円。この価格には、新車購入から3年間の一般保証修理/定期メンテナンス(点検整備の作業工賃・交換部品・補充油脂)/24時間ツーリングサポート/地図データ更新がすべて無料となる総合保証プログラム「メルセデス・ケア」が走行距離無制限が含まれている。予約注文は6月6日から始まったが、納車予定はB180が7月頃、B200dが10月頃とされている。
メルセデス・ベンツBクラス価格
・B180 3,840,000円
・B200d 4,220,000円
メルセデス・ベンツBクラス スペック
■代表グレード:メルセデス・ベンツBクラス B200d
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4419×1796×1562mm
ホイールベース[mm] 2729
エンジン型式 OM654q
総排気量[cc]1,756
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 110(150)/3400~4400rpm
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 320(32.6)/1400~3200rpm
燃料 軽油
ミッション 8速AT
タイヤ前後 前:後 205/55R17
WLTCモード燃費 -
最小回転半径 -
定員[人] 5
【関連記事】
- 日産オーラ ニスモ(AURA NISMO) tuned e-POWER 4WD試乗記・評価 絶賛! まるで後輪駆動のような楽しい走行性能【日産】
- 【動画】60系トヨタ プリウス 試乗レビュー! 超低燃費性能と、気持ち良い走りを高次元で融合!【トヨタ】
- 【動画】60系トヨタ プリウス内外装レビュー こだわりポイントを詳細レポート【トヨタ】
- トヨタ カローラシリーズ新車情報・購入ガイド スポーティな特別仕様車「ACTIVE SPORT」新投入!【トヨタ】
- スバル インプレッサ新旧比較 失敗・後悔しないクルマ選び【対決】
- スバル インプレッサ vs トヨタ カローラスポーツ徹底比較評価 失敗・後悔しないクルマ選び 【対決】
- トヨタ プリウス新旧比較 失敗・後悔しないクルマ選び【対決】
- アウディA3新車情報・購入ガイド これぞプレミアムブランド! リサイクル素材を積極採用した限定車【アウディ】
- 新車トヨタ ヤリス VS 中古車トヨタ カローラスポーツ徹底比較 失敗・後悔しないためのクルマ選び【対決】
- スバル インプレッサ試乗記・評価 五臓六腑に染みわたる「人、中心」のスバル哲学【スバル】
【オススメ記事】
- トヨタRAV4(50系)新車情報・購入ガイド 新型RAV4デビュー直前? 最後の改良か?【トヨタ】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー 10ベストカー取材会開催!【イベント】
- 【動画】トヨタ アルファード (40系)後悔・失敗しないための内外装レビュー【トヨタ】
- ホンダWR-V試乗記・評価 大満足か後悔か? 成功か失敗か? 見極め重要なコンパクトSUV【ホンダ】
- 日産エクストレイル(T33型)vs トヨタ ハリアーハイブリッド(80系)徹底比較!【対決】
- 日産フェアレディZ新車情報・購入ガイド 2025年モデルが登場! 納期は? 転売ヤー対策は?【日産】
- BMW M2クーペ(G87)試乗記・評価 「サーキットで乗ってみたい!」クルマ好き女子が試乗!【BMW】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー、栄えある10ベストカーが決定! 今年のナンバー1は、どのクルマに!?【イベント】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー、ノミネート車31台が決定!【イベント】
- マツダCX-80試乗記・評価 すべてに大人の余裕を感じた国内フラッグシップ3列SUV【マツダ】
CORISM公式アカウントをフォローし、最新記事をチェック!