やや複雑なZ34型フェアレディZ
日産は、フェアレディZの2024年モデルを発表した。フェアレディZ2024年モデルは、一部使用を変更。さらに、「フェアレディZ NISMO(ニスモ)」追加。そして、日産純正アクセサリー「フェアレディZ Customized Edition」を2023年10月下旬に発売する。
2022年に7代目として登場したフェアレディZ。少々複雑なモデルで、型式はZ34で6代目フェアレディZと同じ。つまり、プラットフォームなどは6代目Z34型と同じで、改良バージョンとなっている。プラットフォームこそ6代目Z34型と基本的に同じだが、エンジンやミッションは異なるものが搭載された。
プラットフォームを先代の改良版を使っていてもフルモデルチェンジとなるケースはよくあること。しかし、フェアレディZは型式をZ35とせずにZ34のままにしたのには訳がある。
それは、衝突被害軽減ブレーキの義務化によるものだ。7代目フェアレディZには、歩行者検知式の衝突被害軽減ブレーキが装備されていないのだ。保安基準では、2021年以降の新型車には義務化。
しかし、継続生産車は2025年12月以降から義務化となる。歩行者検知式の衝突被害軽減ブレーキを装備していないフェアレディZは、型式をZ34として継続生産という方法で保安基準をパスしている。
6代目Z34型は2008年デビューと、かなり古いモデルであったため、歩行者検知式衝突被害軽減ブレーキの装着が難しいのかもしれない。とはいえ、2025年12月以降は、継続生産であっても歩行者検知式衝突被害軽減ブレーキの装備が義務化される。納期が超長期化している中で、今後、歩行者検知式衝突被害軽減ブレーキの装備をどうするのかにも注目したい。
2タイプが用意された「フェアレディZ Customized Edition」
さて、2024年モデルのフェアレディZの改良は、全グレードにAmazon Alexaを標準搭載。そして、ボディカラーはS30型「フェアレディZ 432」で設定していた「グランプリオレンジ」を想起させる「432オレンジ」を新設定した。その他、Version T/STグレードにブルーの特別内装色を追加設定している。
そして、「フェアレディZ」向けの日産純正アクセサリーパッケージとして発売する、「フェアレディZ Customized Edition」では、「フェアレディZ」のエンブレムが入ったフロントバンパー、グリル、カーボンリヤスポイラーなど、特徴的な外観を再現できるエントリーパッケージを設定。さらに、専用デザイン 19インチアルミホイール、専用デザインエンブレム、フードデカールやボディサイドステッカーを設定したフルパッケージの2種類を用意している。
420ps! 後輪駆動のダイナミックな走りを極めたフェアレディZ NISMO誕生!
そして、注目したいのが「フェアレディZ NISMO(ニスモ)」だ。レースでのノウハウを投入した多くのNISMO専用チューニングが施されているのが特徴。
VR30DDTT型V6 3.0Lツインターボエンジンは、出力を298kW(405PS)から309kW(420PS)に、最大トルクは475N・m(48.4kgf・m) から520N・m(53.0kgf・m)にアップ。
このエンジンは、ターボのブーストアップとともに電動ウエストゲートバルブの制御を変更。さらに、GT-R NISMOのVR38DETTで開発された気筒別点火時期制御も採用。気筒別に最適な点火時期をコントロールすることでパワーとトルクを高めている。そして、ドライブモードのSPORT+をセレクトした際にはバルブタイミングを変更。アクセルを踏み込むと即時にトルクが発生するよう制御し、レスポンスを高めた。エンジンのポテンシャルアップに対応して、水冷式インタークーラーのサブラジエーターを強化し冷却性能も向上。高剛性エンジンマウントも採用。細部まで、走りにこだわったエンジンに仕上がっている。
また、トランスミッションは変速レスポンスと耐久性を向上させ、俊敏なシフトチェンジを可能としています。
さらに、ステアリングとボディのねじり剛性を高め、シャシーに施されたチューニングや、新設定の「トラクションモード」により、狙い通りのラインをトレースできる正確なステアリング操作をサポートする。
ボディには、専用フロントクロスバーを追加。フロントエンドを補強するとともに、リヤにも専用ラゲッジアンダーブレースと専用リヤアンダーフロアVバーを追加し、リヤフロアを補強している。
ブレーキには、NISMO専用ブレーキシステムを採用。本格的なスポーツ走行を実現します。ドライブモードには、NISMO専用のSPORT+モードを含む、3種類のドライブモードを設定し、使用シーンに応じた最適なチューニングを施しました。
ダウンフォースにこだわった外観デザイン
エクステリアは、フロントグリル、フロントとリヤバンパー、フェンダーモール、サイドシルプロテクター、リヤスポイラー、そしてリヤLEDフォグランプをNISMO専用パーツとして開発。さらなるダウンフォースの発生を主眼にボディの空力性能を高めている。
新形状のフロントバンパー、アンダーカバー、カナード、サイドシルは、GT-Rで培ったノウハウを投入し開発。フロントはバンパー下面形状によりリップ前の圧力上昇を最小化。バンパー先端とフロントリップスポイラーで気流を剥離させ、アンダーカバーで受ける負圧を最大化しダウンフォースを発生している。
また、カナードはフロントホイールハウス周辺の圧力を下げてダウンフォースを増加。ハイパワー化に対応しラジエーターの冷却性能の向上にも貢献。それに対してリヤは、ダウンフォース向上と空気抵抗抑制の両立をテーマに開発されている。
リヤバンパーは、サイドの張り出しと剥離を促進する形状により、車両背面への気流の巻き込みを防ぎ空気抵抗を抑制した。設置位置を見直し大型化したNISMO専用リヤスポイラーは、新たな断面形状によりバックドア上面の圧力を高めダウンフォースを向上。幅方向の拡大により空気抵抗の抑制にも貢献している。
これらの新開発パーツにより、ボディ全体で空気抵抗を抑えながらダウンフォースを獲得。車両を強く路面に押しつけることで、ハンドリング性能を大きく向上させている。また、ブレーキへの冷却風コントロールも実施。フェンダー下面形状によりブレーキ冷却風を制御し、ブレーキエアガイドを介して気流をブレーキローターへ導風して冷却性能を向上。つねに安定したブレーキ性能を確保した。
ホイールは、19インチ全面グロスブラック塗装の鍛造アルミホイール。剛性と軽量化を両立した9本のラジアルスポークデザインで、リム幅を広げながらも軽量化した。
インテリアは、ドライバーの運転への集中力を高めながら、スポーツ走行を盛り上げるカラーと素材を組み合わせた。NISMO専用チューニングのRECARO製スポーツシートは、ブラックのパーフォレーション付きアルカンターラとレザー素材を組み合わせで、ノンスリップ機能と高い質感を両立している。
フェアレディZNISMOのボディカラーは、専用色のNISMOステルスグレー/スーパーブラック 2トーンを含む、全5色をラインアップしている。
なぜ!? 新規ではフェアレディZ NISMOは購入できない?
より魅力的になった2024年モデルのフェアレディZ。しかし、販売面がかなり物足りない状況。2024年モデルを発表しているのに、受注は停止状態。納期長期化の解消目途が立ち次第、新規の注文受付を検討するという。
しかも、「フェアレディZ NISMO」はフェアレディZをすでに注文し、長期間待ち続けている顧客のみが、フェアレディZNISMOへの振替を可能としている。つまり、新規顧客はこれから販売店に行ってもフェアレディZ NISMOを購入することはできない。さらに、生産台数に限りがあるため振替希望者が多数となった場合は抽選だという。これでは、2024年モデルを発表する意味があったのか、少々疑問に感じる人も多いだろう。
日産スカイラインNISMO/NISMOリミテッド新車情報・購入ガイド
日産フェアレディZ、2024年モデル価格
駆動 | エンジン | グレード | ミッション | 価格(円) |
2WD | VR30DDTT | フェアレディZ | 6MT | 5,398,800 |
フェアレディZ Version S | 6,245,800 | |||
フェアレディZ Version ST | 6,657,200 | |||
フェアレディZ | 9M-ATx | 5,398,800 | ||
フェアレディZ Version T | 5,858,600 | |||
フェアレディZ Version ST | 6,657,200 | |||
フェアレディZ NISMO | 9,200,400 |
日産フェアレディZNISMO、出力、ボディサイズなど主要諸元
代表グレード フェアレディZNISMO
全長×全幅×全高 mm 4,410×1,870×1,315
ホイールベース mm 2,550
トレッド(前/後) mm 1,570/1,580
最低地上高 mm 125
最小回転半径 m 5.2
車両重量 kg 1,680
エンジン型式 VR30DDTT
エンジンタイプ V6 DOHCツインターボ
総排気量 ㏄ 2,997
最高出力 kW(ps)/rpm 309(420)/6,400
最大トルク N・m(kgm)/rpm 520(53.0)/2,000-5,200
燃費 ㎞/L(WLTCモード) 9.2
駆動方式 後輪駆動
トランスミッション 9速AT
タイヤ 前後 前255/40R19 後285/35R19
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