コンスタントに売れているスイフト
スズキは、コンパクトカーのスイフトをフルモデルチェンジ。CVT車を2023年12月13日、5MT車は2024年1月17日にそれぞれ発売を開始する。スイフトは、今回のフルモデルチェンジで5代目となった。
初代スイフトは、2000年に登場。JWRCに参戦するなどし話題になった。2代目スイフトは、2004年に登場。世界戦略車としての役割を担い、欧州などで徹底した走り込みが行われるなど、走行性能を磨き上げた。
この後、3~4代目スイフトも2代目スイフトのコンセプトを引き継ぎ、走行性能を磨き上げていく。さらに、走りに特化したスイフトスポーツの影響もあり、スイフトは、走りにこだわったコンパクトカーとしてのブランド力を強化していく。
スズキ スイフトの国内販売は、堅調に売れている点が特徴。フルモデルチェンジ直前、2023年度上期の販売台数も約1.3万台を販売。前年比108.0%と好調。登録車販売台数ランキングでも27位となり、スズキの登録車では、17位のソリオ、25位のジムニーワゴン(ジムニーシエラ)に次ぐ販売台数になっている。
さて、国内では5代目となるスイフトだが、グローバルでは4代目というやや分かりにくい状態。スズキの資料では、グローバルモデルとした2004年に登場したスイフトが初代とされている関係上、今回フルモデルチェンジしたスイフトは、以降4代目として表記する。
プラットフォームはキャリーオーバー。室内スペースは先代とほぼ同等
フルモデルチェンジした4代目新型スズキ スイフトのプラットフォーム(車台)は、先代モデルからのキャリーオーバーとなった。そのため、ホイールベースは同じで、ボディサイズや室内寸法も先代モデルとほぼ同じ。室内スペースや荷室なども、先代モデルと同等レベルだ。
キャリーオーバーとなったプラットフォームは、更なる熟成が図られた。ボディー結合部には、減衰タイプの接着材を使用。バッフル材の追加やダッシュパネルの板を厚くするなどし、エンジン透過音、ロードノイズなどを低減し、優れた静粛性を実現した。
先代スイフトも軽いボディが特徴だった。4代目新型スイフトも強度の高い高張力鋼板の使用範囲を拡大し、構造用接着剤を採用。先代モデルより、若干車重は重くなったものの、MZグレードのFF車で1トンを切る950㎏という軽い車重としている。
そして、サスペンションでは、スタビライザーの仕様を変更。より捻じれにくい仕様としたことで、コーナリング時の車体の傾きを抑え、操縦安定性を高めた。また、リヤサスペンションは、ストローク量を増加。バンプストッパーの形状や素材を変更し、突き上げ感を減少させ快適な乗り心地としている。
新開発1.2L「Z12E型」エンジン搭載で、大幅進化した燃費性能
パワーユニットは、ストロングハイブリッドは搭載されず、従来のマイルドハイブリッドシステムを踏襲。だが、エンジンは、新開発の1.2L「Z12E型」を搭載。この新開発エンジンは、徹底的な高効率化が施され、優れた燃費性能の他、低速から滑らかに上昇するトルク特性をもち、扱いやすい走行性能も実現している。ただ、出力は若干落ちており、先代の67kWから60kWとなった。
こうしたエンジンの他、空気抵抗も重視した外観デザインとした。バックドアサイドスポイラーの採用や、フロントストレイク、フロントバンパー、ホイール形状などを最適化。先代のスイフトより空気抵抗を約4.6%低減し、コンパクトカークラストップレベルの空力性能を実現している。空気抵抗減は、とくに高速域での燃費性能に大きく貢献する。
こうした低燃費技術により、4代目新型スイフトの燃費性能は、マイルドハイブリッド車のFF(前輪駆動)で24.5㎞/L(WLTCモード)と優れた燃費値を実現。先代のマイルドハイブリッド車が、21.0㎞/Lだったので約17%も燃費を向上している。
ひと目でスイフトと分かるデザインを継承
4代目新型スイフトのデザインは、歴代スイフトのシルエットを継承。今回のモデルチェンジでは、プラットフォームがキャリーオーバーなので、全体のフォルムは先代のイメージを引き継ぎ、ひと目でスイフトと分かるデザインとなった。力強く広がったワイドなリヤフェンダーによるリヤビューは、安定感とスポーティさを両立。いかにもスイフトらしいデザインになっている。さらに、LEDとなったヘッドライトやフォグランプ、リヤコンビネーションランプなどにより、高級感もアップした。
インパネデザインは、先代のやや重厚なデザインから、スピード感あるシャープで軽快なデザインへと大きく変更されている。センタークラスターは、先代の5度から8度へと傾斜角を強め、コックピット感を演出。上質感もある。ただ、残念なのは、メーター類。すでに、軽自動車でもデジタルメーター化している時代。アナログメーターというのは、さすがに古さを感じさせる。
4代目新型スイフトは、ボディカラーにもこだわった。スズキのコーポレートカラーでもある青は、抜けるような青空の鮮やかさと何処までも続く海の深い透明感を併せ持つ色を追求。新色の「フロンティアブルーパールメタリック」として用意した。光の当たり具合で、色々な表情を見せてくれる4代目新型スイフトの訴求色だ。
そして、バイオ素材のような先進テクノロジーを感じさせるスムースな質感を持った「クールイエローメタリック」を新色として採用。モノトーン9色、2トーン4色計13パターンのラインアップとした。
クラス、トップレベルの予防安全装備となった「デュアルセンサーブレーキⅡ」
4代目新型スイフトの劇的進化ともいえる装備が予防安全装備のスズキ「デュアルセンサーブレーキⅡ」だ。広角単眼カメラとミリ波レーダーの組み合わせになり、大幅に性能が向上した。このシステムは、デンソー製でトヨタの「トヨタセーフティセンス」に近い性能を誇る。
「デュアルセンサーブレーキⅡ」は、見通しの悪い道や交差点内で優れた性能を発揮。交差点内では、右左折時に歩行者や自転車、右折時の車両や自動二輪を検知し衝突回避、もしくは被害軽減が可能。こうした機能は、クラストップレベルの実力だ。
また、運転支援機能も充実。全車速追従式・停止機能付きアダプティブクルーズコントロール装着車は、カーブでの減速支援や車線内の中央付近を維持する機能もある。この装備が装着されたグレードには、電動パーキングブレーキも装備。信号などで停止中にブレーキから足を離しても、停止状態を維持するブレーキホールド機能もある。高速道路だけでなく、街中の移動でも疲労軽減が可能だ。
スズキ スイフトの後悔・失敗しないグレード選び。お勧めグレードは?
4代目新型スイフトのグレードは、マイルドハイブリッドのMZとMX、純ガソリン車のXGと計3グレードになる。MXのFFにのみ5速MT車が設定された。他のグレードには、それぞれ4WDも設定されている。
とにかく安いというのであれば、純ガソリン車のXGで価格は1,727,000円。マイルドハイブリッドのMXと比べると約20万円も安価。ただ、装備はシンプルでマニュアルエアコンだったり、アイドリングストップ機能も付いていないなど、やや物足りない。日々の足としての使い方以外は、あまりお勧めできないグレードだ。
中間グレードとなる、MXも少々微妙。最上級グレードのMZと約24万円も価格差があるためだ。まず、プレミアムUV&IRカットガラス(フロントドア)やIRカット機能付フロントガラスが装備されていない。暑い夏や、日焼けを気にする女性ユーザーにとっては、不向きな仕様。さらに、USB電源ソケットや全車速追従式クルーズコントロール、ディスプレイオーディオも装備されていない。欲しい装備が装着されていないため、満足度という面では、物足りない印象だ。
こうなると、ほぼすべて欲しい機能が付いている最上級グレードのMZがお勧めとなる。MZだと、リヤブレーキもドラムからディスクになり、走りの質も向上。価格は2,167,000円と安くは無いが、装備も十分に満足できるレベルにある。このMZに、オプションの全方位モニター付メモリーナビゲーション(133,100円)を選択すればよい。
ただ、小さなクルマなので、全方位モニターは必要無し、ナビはスマートフォンを使うというのであれば、とくに必要のない装備。安価なオプション装備ではないので、ジックリと検討するとよいだろう。
スズキ スイフト新車価格
■1.2Lガソリン
・XG FF CVT 1,727,000円/4WD CVT 1,892,000円
■1.2Lマイルドハイブリッド
・HYBRID MX FF 5MT 1,922,800円
・HYBRID MX FF CVT 1,922,800円/4WD CVT 2,087,800円
・HYBRID MZ FF CVT 2,167,000円/4WD CVT 2,332,000円
スズキ スイフト燃費、ボディサイズなどスペック
代表グレード スイフトHYBRID MZ FF CVT
全長×全幅×全高 mm 3,860×1,695×1,500
ホイールベース mm 2,450
トレッド(前/後) mm 1,480/1,485
最低地上高 mm 120
車両重量 kg 950
エンジン型式 Z12E型
エンジンタイプ 直列3気筒DOHC
総排気量 ㏄ 1,197
エンジン最高出力 kW(ps)/rpm 60(82)/5,700
エンジン最大トルク N・m(kgm)/rpm 108(11.0)/4,500
モーター型式 WA06D
モーター最高出力 kW(ps)/rpm 2.3(3.1)/1,100
最大トルク N・m(kgm)/rpm 60(6.1)/100
バッテリー種類 リチウムイオン
燃費(WLTCモード ㎞/L) 24.5
トランスミッション CVT
サスペンション 前:ストラット 後:トーションビーム
タイヤ 前後 185/55R16
最小回転半径 m 4.8
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